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引きこもり・不登校の子:9/1自殺特異日の警告

「引きこもり・不登校の子:9/1自殺特異日の警告」という深刻なタイトルの下、本ブログでは9月1日という自殺特異日を中心に、不登校や引きこもりの子供たちが直面する問題や心の叫びを解説します。一般社団法人不登校・引きこもり予防協会代表の杉浦孝宣が、38年にわたる取り組みを通して得た経験と知識を元に、この深刻な問題への理解と対策を提供します。今、この問題に向き合うための第一歩を一緒に踏み出しましょう

はじめに

子どもたちの自殺問題は日本の深刻な課題として注目されています。特に夏休み明け、新学期が始まる9月1日は最も子供の自殺が多いとされる「特異日」となっており、この事実は多くの人々にとって衝撃的であると同時に、私たち社会全体の課題として捉えられています。文部科学省や各教育委員会もこの日を重く受け止め、注意喚起や対策の強化を行っており、その背景や理由、そしてどのような取り組みがなされているのかについて、本ブログで詳しく探っていきたいと思います。不登校や引きこもりの現状、そして新型コロナウイルスの影響といった要因とともに、子どもたちが直面している困難や心の葛藤について考えてみましょう。

子どもたちの自殺が過去最多を記録した背景

日本は長らく自殺大国とも称される国で、近年、特に子どもたちの自殺率が高まっています。それにはさまざまな背景が存在すると考えられます。以下、その主な要因をいくつか挙げてみたいと思います。

1.学校の問題: 学校でのいじめは長らく社会問題として取り上げられてきました。被害者だけでなく、加害者やその周辺の生徒も精神的なプレッシャーを受けることがあります。また、学業のプレッシャー、進路の不安なども子どもたちの精神を追い詰める要因となっています。2. 家庭の環境: 児童虐待や家庭内のDVが増加しているとの報道もあり、安全と思われる家庭内でさえも子どもたちが精神的な安定を得られないケースが増えています。

3. SNSとの関係: SNSの普及により、ネットでのいじめや中傷が増加。24時間いつでも接触が可能な環境が、子どもたちに休息を与えない状況を生んでいます。

4. 新型コロナウイルスの影響: 一斉休校や外出自粛など、子どもたちの日常が大きく変わったことでのストレスや、家庭内での過ごし方の変化などが子どもたちの精神状態に影響を与えたと考えられます。

5. 特異日の影響: 夏休み明けの新学期が始まる9月1日は子どもの自殺が特に多いとされる日であり、これに対する予防や認識の不足が背景にあるとも言われています。

これらの要因は相互に関連しており、一つ一つの要因が重なり合って子どもたちの自殺率の上昇を引き起こしていると考えられます。社会全体での対策や理解が求められる状況です。

不登校・引きこもりの現状と公的機関の課題

不登校の問題が深刻化している中、実際の数字に目を向けると、驚くべき事実が浮かび上がります。過去9年間で不登校の数が連続して最多を更新しており、これは単なる一時的な問題とは考えられません。

しかし、その背景には国や文部科学省の取り組みに対する疑問が存在します。例えば、教育支援センター(公的フリースクール)は不登校の子どもたちを支えるための施設として位置づけられていますが、その実態は「登校を前提として」運営されていると言われています。しかし、不登校の本質は「学校に行けない」という事実にあります。もし登校が容易であれば、彼らは最初から通常の学級に通っているでしょう。このような逆説的な状況が、現場での実際の支援と行政の意向とのギャップを示していると言えます。

さらに、不登校や引きこもりの問題を乗り越えた後のサポート体制も十分とは言えません。多くの若者が通信制の高校などを卒業しても、正規の雇用を得ることが難しく、結果としてニートとしての生活を強いられるケースが増えています。事実、引きこもりの数は146万人にも上るとされ、この数字は増加の一途を辿っています。

何より、不登校や引きこもりの問題が「本人や保護者の自己責任」という視点で捉えられることが少なくありません。学校やカウンセラーから「不登校は様子をみましょう」との声が上がることが多いですが、このような根拠のない対策は、実際に引きこもりの増加を助長している一因と考えられます。このような問題が社会的にこれほど増加している現状を前に、国や関連の省庁がもっと具体的で実効性のある対策を講じないのは、疑問であり、改善の必要性を強く感じます。

不登校や引きこもりの増加トレンド

不登校や引きこもりの増加トレンドは、複数の要因が絡み合いながら形成されています。以下に主な要因と分析を述べていきます。

1. 新型コロナウイルスの影響:

昨年の新型コロナウイルスの流行は、子供たちの日常生活に多大な影響をもたらしました。一斉休校やオンライン授業への移行、さらには人との接触機会の減少など、子供たちの日常が大きく変わる中、適応できない子供が増加しました。

2. 社会的な断絶:

コロナの影響で、人との直接的な関わりが少なくなったことで、友人や教師とのコミュニケーションの機会が減少。この社会的な断絶が、不登校や引きこもりの原因の一つとして指摘されています。

3. 家庭環境の変化:

リモートワークや失業など、親の働き方や生活環境の変化が、子供たちの精神的な負担を増やしています。特に、家庭内でのストレスが高まる中での対人関係のトラブルや虐待が、不登校や引きこもりの原因となっています。

4. 教育環境の変化:

オンライン授業が普及したことで、教育の質や内容に変動が生じ、全ての子供がこれに適応できるわけではありません。特に、自宅の環境やIT機器の整備が十分でない場合、学びの機会が失われ、孤立するケースが増えました。

5. メンタルヘルスの認識の変化:

近年、子供のメンタルヘルスの問題が徐々に浮かび上がってきました。それに伴い、気軽に「学校に行きたくない」と口にする子供も増えてきたのかもしれません。しかし、それが本当の意味での不登校や引きこもりに繋がるケースも少なくありません。

これらの要因が複雑に絡み合い、不登校や引きこもりの増加トレンドが形成されていると考えられます。状況の改善のためには、これらの要因を的確に捉え、多角的なアプローチが求められます。

学校と公共施設の影響

学校と公共施設は、子供たちの生活において重要な役割を果たしています。これらの施設がもたらす影響を以下の点で詳述します。

1. 学びの場としての学校:
学校は知識を習得するだけでなく、人間関係や社会性を学ぶ場でもあります。友人や教師との関係性は子供の自己肯定感や社会性の形成に大きく影響を及ぼすため、学校生活の充実は子供たちのメンタルヘルスにも繋がります。

2. 公共施設の役割:
図書館や公園、スポーツ施設などの公共施設は、子供たちの自由な時間を過ごす場所として、学校外の学びや体験の場を提供します。これらの施設が子供たちの成長や健全な育成に貢献しています。

3. 学校の閉鎖や一斉休校の影響:
新型コロナウイルスの影響で学校が一時閉鎖されたり、一斉休校となった際、子供たちの日常が大きく変わりました。学びの場が失われるだけでなく、友人とのコミュニケーションの機会も減少し、これが不登校や引きこもりの増加の一因となっています。

4. 公共施設の制限や休館:
コロナウイルスの影響で多くの公共施設が利用制限や休館を余儀なくされました。これにより、子供たちの外での活動や学びの場が制限され、家庭内での時間が増えることとなりました。これもストレスの増加や精神的な問題の原因となっています。

5. 教育の格差の拡大:
オンライン授業の普及により、家庭の環境やIT機器の整備状況によっては、十分な教育を受けることができない子供たちが出てきました。学校や公共施設の利用が制限される中、教育の機会格差がさらに拡大する恐れがあります。

学校や公共施設は、子供たちの生活の中で欠かせない存在です。これらの施設が提供する環境やサービスの変化は、子供たちの心理や行動に大きな影響を及ぼすため、適切な対応やサポートが求められます。

家庭内の問題の増加

家庭内での問題は深刻な状況にあります。具体的なデータを元に、現状を詳しく検証します。

1. 児童相談所での児童虐待相談対応件数:
令和3年度中に、全国225か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は207,659件となっており、これは過去最多の数値です。前年度と比較すると1.3%(2,615件)の増加となっており、2年前の令和2年度と比べても5.8%(11,264件)の増加を示しています。

2. 心理的虐待の増加:
虐待の中でも、心理的虐待に関する相談対応件数が増加しています。令和2年度には121,334件だったものが、令和3年度には124,722件となり、3,388件の増加を記録しています。

3. 通告の増加:
家族や親戚、近隣の知人、さらには児童本人からの通告が増加しています。令和2年度には46,521件だったものが、令和3年度には47,948件となり、1,427件の増加となっています。

4. 虐待相談窓口の普及の影響:
児童虐待の相談窓口の普及や啓発活動が行われてきたことで、家族や親戚、近隣の知人、児童本人等からの通告が増えてきたことが伺えます。

これらのデータを見ると、家庭内の問題、特に児童虐待に関する問題が増加していることが明らかです。一方で、相談窓口の普及や社会全体の関心の高まりが、これらの問題の可視化に繋がっている側面もあると考えられます。この問題を解決するためには、さらなる啓発活動や早期の介入、そして家庭内の問題に対する適切なサポートが必要です。

こども家庭庁の新たな取り組みと対策

こども家庭庁は、子どもたちの健やかな成長をサポートし、家庭の安定を促すためのさまざまな取り組みを進めています。以下は、こども家庭庁が推進する新たな取り組みと対策の概要です。

1. 相談窓口の一元化:
児童虐待や不登校、引きこもりに関する相談窓口を一元化し、利用者が迷わずに相談できる体制を構築しています。このような取り組みにより、早期の相談と適切な支援を受けられることが期待されます。

2. 虐待防止教育の普及:
学校や地域において、虐待防止教育の普及を進めるプログラムを実施。子どもたち自身が虐待を理解し、早期に対応できるような環境作りを目指しています。

3. 支援センターの増設:
児童虐待や不登校、引きこもりの子どもたちを支援するためのセンターを全国各地に増設。専門家としてのカウンセラーや社会福祉士などが常駐し、専門的なアドバイスや支援を提供しています。

4. 親の教育・啓発活動:
親や保護者向けの教育や啓発活動を実施。子育ての悩みやストレスを和らげるための方法、虐待の予防策などを学ぶセミナーやワークショップを提供しています。

5. データベースの構築:
児童虐待や不登校、引きこもりのデータを集約し、詳細な分析を行うためのデータベースを構築。これにより、問題の実態を把握し、効果的な対策を策定することができます。

こども家庭庁のこれらの取り組みは、子どもたちの問題に真摯に取り組み、家庭の問題を解決するための具体的なアクションとして位置づけられています。今後の展開を注視しつつ、さらなる支援策の拡充が期待されます。

今年の展望

今年、児童生徒の安全と健康がますます重要になってきています。特に、令和4年の児童生徒の自殺者数が514人と過去最多となるなど、非常に憂慮すべき状況が続いています。令和5年の1月から5月までの自殺者数も164人と、前年の同期間よりは減少しているものの、まだ高い数字を示しています。

これを受けて、国は「こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議」を設置し、「こどもの自殺対策緊急強化プラン」を取りまとめました。また、「教育振興基本計画」にも児童生徒の自殺対策の推進が盛り込まれました。

今年の注目すべき取り組みの1つとして、児童生徒のSOSを早期に把握し、適切な支援へと繋げる動きがあります。特に、文部科学省は、1人1台の端末を活用し、健康観察や教育相談を行うための新しいシステムやマニュアルを提供しています。GoogleフォームやMicrosoft Formsを活用したアンケートフォームのマニュアルも整備され、学校や教育関係者はこれらのツールを利用して児童生徒の心の声をより早く、具体的に捉えることが期待されます。

また、他の関係機関からも自殺予防に関する通知や啓発活動の推進に関する依頼が出されています。これらの通知や依頼に対応し、全国の学校や関連機関は一丸となって自殺予防の取り組みを強化していくことが求められています。

総じて、今年は児童生徒の自殺予防に関する取り組みが一段と強化されることが予想されます。新たな技術やツールを活用しながら、学校、家庭、地域全体で児童生徒の命を守るための努力が続けられることを願います。

結び

私たち、一般社団法人不登校・引きこもり予防協会として、多くの子供たちが直面する不登校や引きこもりの問題に真摯に取り組んできました。その背景には、悩む子供たちやその家族を支え、再び社会に帰属感を持てるようサポートするという強い使命感があります。自殺という最も悲しい結果を招く前に、予防や早期発見・対応が如何に重要であるかを身をもって感じています。私、杉浦孝宣としても、これまでの取り組みを3冊の著書にまとめ、多くの方々に知っていただいています。

そして、私たちの経験や知見を生かし、今後も不登校や引きこもりの子供たちを支え、そして自殺を予防するための活動を積極的に推進していきたいと思っています。多くの皆様の理解と協力を賜りますようお願い申し上げます。

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