保護者の相談

9060引きこもり問題 不登校統計データ

11年連続不登校過去最多34万人 「ひきこもりの中高年」にさせない

11年連続で不登校の子どもが過去最多となり、34万人に達しました。
長期の不登校は、将来、社会から孤立しがちな“ひきこもりの中高年”へとつながるリスクを抱えています。
しかし、親の支援と適切なアプローチでその道を防ぐことができます。

私は一般社団法人不登校・ひきこもり予防協会の代表として、39年以上にわたり、不登校やひきこもりで悩む多くのご家庭と向き合ってきました。
"子どもたちが規則正しい生活をし自信を持ち自律し、社会へ貢献できる未来を実現します" という明るい未来をつかむために、

今、私たちにできることとは何かを一緒に考えてみませんか?
下記は 先日、私の本をもとに プレジデントオンラインで掲載された記事です

不登校になった時の公的支援が乏しい日本

文部科学省は10月31日、全国の小中学校の不登校児童生徒数が34万6482人になったと発表しました。昨年度より約5万人増加しており、11年連続で最多記録を更新したことになります。

出典=「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」

私はこれまで39年にわたって、不登校・ひきこもりに悩む親子の相談に乗ってきました。
新型コロナウイルス感染症が流行してすぐ、
全国一斉休校があったときに、このままでは不登校・ひきもこりが急増すると確信して、『不登校・ひきもこり急増 コロナショックの支援の現場から』(光文社新書)を緊急出版しましたが、まさにそのとおりになってしまいました。
いまでもコロナの影響は続いています。じわじわとその余波が続いているのです。

2020年に生まれた子供は今、4歳になりましたが、幼いころに外に出ちゃいけないと育てられたので、芝生の上に足をのせただけで泣き出します。
小学生のときにコロナで修学旅行に行けなかった世代の子たちは、コロナが終わって中学生になっても、経験がないので修学旅行に行くのを渋る子が増えているのです。
コロナ世代の子どもはひきこもりになる可能性が高いと懸念しています。

現在日本で行われている不登校対策としては、各自治体の教育センター(適応指導教室)がありますが、実際に利用しているのは約10%です。約90%はどこにも通えていません
(※1)。学校に行けないのに、箱だけ用意しても子どもが行けるわけがありません。
つまり、不登校・ひきこもりになっても、日本では誰も救ってくれない状況になっているのです。
それを放置していたら、8050はちまるごうまる問題、9060きゅうまるろくまる問題(※2)に発展してしまいます。

でも悲観することはありません。やり方次第で、いくらでも立ち直りはできます。大切なのは正しい支援方法を知ることです。

※1「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」より算出。
不登校児童生徒数(小中学生)は29万9048人。そのうち、教育支援センターに通った人数は2万5292人で、8.45%(小数点3位以下切捨て)。
※2 それぞれ80代、90代の親が、50代、60代のひきこもりの子の面倒を見なければならない状態のこと。

10月度 不登校 高校中退 ひきこもり 相談事例

こちらは10月度に当会に寄せられた相談事例です。最近は高校卒業後の予備校不登校や大学不登校など、
数は少ないもののお問い合わせが増えています。これは、学びの場が変わっても持続する不安や圧力が影響していると考えられます。
一見、自由に見える大学生活も、新たな環境や期待に対するプレッシャーが不登校を引き起こす原因となることがあります。

当協会では、これらの問題に対しても個別の相談を受け付けており、一人ひとりの事情に合わせたサポートを提供しています。
高校を卒業した後でも、学業に関する悩みは多岐にわたります。予備校や大学での不登校は、多くの場合、勉強の進め方、人間関係、将来への不安など、複合的な要因が絡み合っています。

私たちは、これらの若者が直面する困難を一つ一つ丁寧に解決していくことで、彼らが自信を持って次のステップに進めるよう支援します。

例えば、個別のカウンセリング、学習支援、社会生活スキルの向上、自己理解と自己表現の促進など、多方面からのアプローチを行っています。

また、家族との関係改善や、学校との円滑なコミュニケーションを促進することも重要です。これにより、学生本人だけでなく、その支援者も含めた環境全体が改善されることを目指しています。

皆さんが抱える問題に対して、決して一人で悩まずに、私たちにご相談ください。

一緒に問題解決の糸口を見つけ、希望に満ちた未来を手に入れるお手伝いをさせていただきます。希望は必ずありますし、私たちはそれを一緒に探し出すお手伝いをここに約束します。

 

8月 9月 10月
相談件数 16 32 49
総合入会件数 0 2 3
総合面談件数 5 8 16
新書からの相談 0 0 1
内容 通信制高校資料請求 通信制高校資料請求 通信制高校資料請求
アウトリーチ支援 アウトリーチ支援 フリースクール
フリースクール 高校転学 復学
引きこもり訪問支援成功数 0 0 0
主な地域
東京 14 31 40
神奈川 1 0 0
埼玉 0 0 0
千葉 1 0 1
その他地域 0 1 0
不明 0 0 8
合計 0 0 0

不登校・ひきこもりからの3つのステップ 学齢期から大人のひきこもりまで対応

不登校・ひきこもりの子どもを立ち直らせるためには、次の3つのステップで支援をすることが有効です
(プレジデントオンライン記事「見守るだけでは子どもの“社会復帰”はムリ…『学校に行かない子』『自宅に引きこもる子』が日本中に増えたワケ」)。

規則正しい生活をする 不登校合宿、学生寮、海外留学を通して生活習慣を整えます。

自律して自信をつける 学び直しを通じて学習に対する自信を育みます。

社会貢献をする 職に就くことを最終目標に、アルバイトやインターンを体験させます

私が設立した高卒支援会、不登校・引きこもり予防協会では、上記の3ステップで、中高生から20代前半くらいまでを対象に指導してきました。
ただ、ここにきて、この方法がもっと上の世代でも有効であることがわかってきました。30代や40代のひきこもりの子どもを持つ親から相談があり、何件か指導したところ、ひきこもりが解決できたのです。
詳細はお伝えできないので残念ですが、30代、40代ともに、ひきこもりは男性でした。ご両親は60代と70代です。

私は27歳までしか指導した経験がありませんでしたから、効果があるか保証はできないと伝えました。
ただ、私の本を読んで、どうしても相談に乗ってほしいという切羽詰まった願いを受け、相談にのることになりました。

「アルバイトでもいい」親の切実な願い
いずれのケースも、自室にとじこもり、昼夜逆転し、家族とのコミュニケーションがほとんどとれていない状況でした。

ご両親たちの願いは、
「子どもがアルバイトでもいいので、ごく普通に働いて、自立した社会生活ができるようになってほしい。普通に親子として理解し合い、助け合い、お互いにコミュニケーションがとれる状態になりたい」
ということでした。

私には39年の経験があるので、ひきこもっている人の性格や態度、成育歴なども考慮したうえで、どのくらいのタイミングでどんな行動に出たらよいか、わかります。
3つのステップの順番は同じですが、一人一人によって細部の対応は違ってきます。
それでも、基本は同じです。

根気強く声かけをしよう

まずは、規則正しい生活と清潔な生活環境を整えることを目指します。強行に親が部屋に入って部屋を片付けるのではなく、自分でやるように根気強く声をかけます。

「部屋を片付けてゴミを出してね。部屋がゴミ屋敷のようになったら不衛生であなたの健康にも影響が出てしまうよ」

「夜は消灯して寝るようにしようね。夜ふかしを続けるとあなたの体調が悪くなるのではないかと心配だよ。それに、朝から活動できると気持ちがいいよ」

「食事はお父さんお母さんと一緒に食べよう。あなたと一緒にご飯を食べられると、お父さんもお母さんもうれしいのよ」

「お風呂に入ったり、シャワーを浴びたりして、清潔にしようね。さっぱりして気持ちいいよ」

などと部屋の外からていねいに声をかけます。メモを書いて食卓のテーブルや冷蔵庫、部屋の前など、子どもの目のつくところに置いたり貼ったりするといいでしょう。
あとで立ち直った子どもたちに話を聞くと、「あのころ、家族全員が自分を見捨てていたので、人生をあきらめていた」と言う子が多いのです。
親から声をかけてもらうことは、心に届きます。すぐに変化が現れるわけではありませんが、根気強く声をかけ続けることが大事です。

両親不在の時間をつくる

子どもが部屋を自由に片付ける時間を与えることも大事です。
お父さんとお母さんが出かけて1日か半日くらい家をあけることを、子どもにわかるようにメモや声かけをして伝えます。

なぜ親が不在の時間が必要かというと、ひきこもりの場合、親が起きている時間にトイレに行くのをためらうため、ペットボトルに尿をためていることがあるからです。
それを親に知られずに自分で処分するには、親が不在の時間が必要なのです。こうした細かいアドバイスも39年の経験があるからわかることなのです。

出てくるきっかけは、本人の好きなこと

ただ、声かけするだけでは、なかなかできません。ポイントになるのは、本人の好きなことやこだわっていることです。
たとえば、マンガ好きなら、新しい欲しいマンガがあるはずです。ゲーム好きなら新しいゲーム機や新しいソフトなど欲しいものがあるはずです。そういったものを買いに行くことが、部屋を出るきっかけになります。
「部屋のゴミを出して片付けができたら、あなたが欲しかった△△を一緒に買いに行こう」
「部屋が片付いたら、あなたが欲しい△△を買うお金をあげます」
と、約束しましょう。

そのかわり、部屋の片付けなどができなかったら、あげません。要求されても断りましょう。約束はきちんと守ることです。
また、ひきこもりになっていると、男性の場合たいていは髪とひげが伸びっぱなしです。アルバイトや就職をするためには、散髪に行き、新しい服を買うことも必要です。そのための資金も必要でしょう。
「お父さんお母さんは、あなたがアルバイトや就職をして、自立してほしいと思っているよ。いずれお父さんお母さんは先に死んでしまうから、あなたがきちんと生活していけるような基盤を作ってほしいと思っています。

就職するには面接もあるだろうから、そのために散髪代や服代もあげます。就職活動費として、これから毎月××円あげます。ただ、部屋を片付けること、就職にむけて昼夜逆転を直して規則正しい生活をするようにしてください。
それがちゃんとできない場合は、お金をあげられません」
というように、約束しましょう。
そして、ゴミ出しや部屋の片付けなどがちゃんとできたら、ほめてあげましょう。大人であっても、精神的にはまだ子どもなのです。
少し大げさにほめるくらいがいいでしょう。それが本人にとって大きな自信になり、外に出てみようという気持ちになっていきます。

1カ月で中年男性に変化が出る

こういったアドバイスをきちんと実行したご家庭は、1カ月くらいすると、変化が出てきます。
親の声かけに返事をしたり、掃除を始めたり、一緒にご飯を食べるようになったりします。

あるご両親は、「1カ月で子どもが大きなゴミ袋10袋も出して、部屋を片付けました。

『よくがんばったから、ごほうびにお寿司を食べよう』といったら、数年ぶりに子どもと一緒に夕食を食べることができました」と、感激していました。
別のご両親は、「3週間でペットボトルや缶のゴミを大量に出して、少しずつ親子で会話するようになりました。2カ月で夕飯を一緒に食べるようになりました。
先日はこの数年で初めて外食に行き、息子の好きな焼肉を食べて、ビールで乾杯できました」と涙ながらに報告してくれました。

もちろん、一方向に順調によくなっていくわけではありません。反発も必ずあります。それでも、揺り戻しがあるのは当然のこと、と冷静に構えることです。
部屋の片付けなど約束を守らなければ、お金をあげないなど、約束をきちんと守ることです。片付けをしないのにお金をあげてしまうなど、譲歩してしまっては、部屋から出てくるチャンスなくしてしまうことになります。

長期化を防ぐために今、行動しよう

部屋から出て、規則正しい生活ができ、身なりや生活環境を整えて、親子でコミュニケーションがとれるようになったら、ひきこもりが解決したといえると思います。
そこから先の就職に関しては私の専門ではありませんので、ぜひ専門の方たちが協力して、元ひきこもりの就職を支援してほしいと思っています。

高濱正伸、杉浦孝宣『もう悩まない!不登校・ひきこもりの9割は解決できる』(実務教育出版)

国、自治体、各企業などが連携して、中高年の元ひきこもりが就職できるようなシステム作りをする必要があると思います。
この本を読んでいるお父さんお母さんは、まだ子どもが小さいはずです。このような8050問題、9060問題の当事者に自分たちがならないためには、今、行動することが必要なのです。
私の話をヒントにして、まずは第三者に相談しましょう。その一歩が、子どもが変わる一歩につながるのです。
あなたが行動すれば、子どもの不登校は解決でき、ひきこもりが予防できるのです 。

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