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そして、そのカイト君は2023年3月に通信制高校サポート校を卒業し、なんと公務員としての新たな道を歩み始めました。彼の努力と成長は、私たちに多くのことを教えてくれます 実は、彼を講演会に招待したのですが、彼の都合で直接参加することができませんでした。しかし、彼の物語を伝えることの重要性を感じ、私が創業したフリースクールへの通学までの経緯を動画で収録することになりました。そして、フリースクールの責任者である竹村が、彼の学校生活について発表してくれました。 この記事では、カイト君のこれまでの道のりと、彼が公務員としての新たなスタートを切った背景について、動画の内容と共にお伝えしたいと思います。
中1の時、カイト君 不登校から引きこもる
カイト君の物語は、多くの日本の子供たちが経験するかもしれない不登校の問題から始まりました。彼が中学1年生の時、学校生活に対するプレッシャーや友人関係のトラブルが彼を不安にさせました。家庭の環境も彼にとっては厳しく、両親の期待や、彼自身の自己評価の低さが彼をさらに追い詰める形となりました。
彼は自室に閉じこもり、外の世界と接触を避けるようになりました。彼の部屋はゴミだらけで、散らかり放題になりました。この時期、彼はエアガン3丁を部屋に持ち込み、立て籠もるようになりました。彼の心の中は、外部の脅威から自分を守ろうとする強い意志で満たされていました。親や私たちスタッフが彼の部屋に近づくと、彼は躊躇なくエアガンで撃ってきたのです。
彼の母親は、常に彼の将来を心配しており、学校を卒業し、社会に出ることを強く望んでいました。しかし、父親はもっと寛容で、カイト君の現状を受け入れ、彼が自らのペースで前に進むことを望んでいました。このような親の間での摩擦や矛盾は、カイト君のメンタルにさらなる重荷となりました。
しかし、私たちとの継続的な関わりとサポート、フリースクールでの新しい友人や教育環境の変化が、彼の心の変化をもたらしました。彼は自分自身と向き合い、自分の中の恐れや不安を乗り越える方法を見つけ出しました。最終的に、彼はフリースクールでの学びを経て、通信制高校を卒業。その後、公務員としての新しいキャリアをスタートさせました。彼のこの成果は、彼自身の努力はもちろんのこと、家族や私たちスタッフのサポートの結果でもありました。カイト君の物語は、絶望的な状況からでも変わることができる、希望の物語として多くの人々に伝えられるでしょう。
カイト君の軌跡:7ヶ月引きこもり中学生から公務員へ
カイト君と当会との出会いは、彼が中学1年生の時、7ヶ月以上引きこもっていた時期に始まりました。カイト君のご両親は、彼の状態に悩んでいて、どうして彼を外に出すことができるのか、わからなかったのです。彼の叔父と私は以前から知り合いであり、叔父さんがカイト君の状態を知った際、当会が彼の支援をすることをご両親に紹介しました。
初めの両親面談では、当会の拙著がなかったため、私自らが丁寧に当会の支援内容や方針を説明しました。そして、当会とご両親が相互理解した上で、訪問アウトリーチ支援をスタートさせることになりました。私の指揮のもと、アウトリーチ・ピアサポート訪問支援を実施し、毎月定期的に面談を行いながら、引きこもりのカイト君を立ち直らせるためのアドバイスと実際の訪問、この両輪が必要でした。
当会のミッションは、「子どもたちが規則正しい生活をし自信を持ち自律し社会に貢献する未来を実現する」というもので、カイト君にもこのミッションを元に支援しました。規則正しい生活をするためには、生活リズムを改善し、自律し自信をつけるためには、自分で考えて行動するように促しました。引きこもりの場合、本人の意志で自発的に外に出るようにすることが重要でした。
カイト君のご両親は最初、教育方針が全く違っていました。お母さんは学校に復学して欲しいという気持ちが強く、お父さんは学校はどこでもいいというスタンスでした。私たちが支援を開始してから数か月後、両親の意見が一致し、彼らは一緒にカイト君のサポートをすることができました。カイト君が自宅で引きこもっていた時期に、私たちは両親に対して「引きこもり146万人の実情」を伝え、アウトリーチ訪問支援の重要性を説明しました。
当会との出会いが、カイト君と彼の家族にとって、大きなターニングポイントとなりました。
彼らは一緒に困難を乗り越え、カイト君は引きこもりから抜け出し、通信制高校を卒業し、公務員として新しい人生を歩み始めました。彼の成功体験は、他の苦しんでいる家族にも希望を与えることができるでしょう。
引きこもり訪問支援の開始
カイト君の両親からの相談を受け、当会の引きこもり予防士である大倉が家庭訪問を始めました。最初の訪問では、部屋は完全に締め切られており、カイト君は一切の反応がありませんでした。大倉は何度も声をかけ続けましたが、彼からの返答はなく、部屋の中からは静寂だけが続いていました。親やスタッフが部屋に入ろうとすると、彼がエアガンで警戒しながら撃ってきました。この日はあえてカイト君を無理に出さずに、ご両親との話し合いを重点的に行い、カイト君の心境を理解し、何が彼を助けられるかを一緒に考えることに専念しました
ご両親との面談では、カイト君の日常や学校生活、趣味などについて詳しく伺いました。この情報は、彼の興味や好奇心を刺激し、引きこもりからの第一歩をサポートするための材料として非常に重要でした。
初めのうちは、大倉が一方的にカイト君に声をかける日々が続きました。しかし、無理に外に出すことを強要するのではなく、彼の興味や関心に焦点を当ててコミュニケーションを図りました。大倉は彼の部屋の前に手紙を残すことで、言葉を超えた信頼関係の構築を試みました。2ヶ月が経ち、カイト君の安否が気遣われたため、事前にカイト君に通告し、カギ屋を呼びました。両親と大倉が見守る中、カギ屋がカギを壊して、はじめて彼の部屋に入ることができました。
その後は徐徐に、カイト君も当会のスタッフや活動に興味を持ち始め、外の世界との接触を増やしていくことができました。彼自身が自分の未来を切り開く力を持っていることを実感し、その第一歩を踏み出す支援を進めていきました。
ご両親との課題
カイト君の問題を解決するためには、彼自身だけでなく、ご両親との協力が不可欠でした。しかし、支援を開始した初期段階で、以下のような課題が浮き彫りとなりました。
1. 教育方針の違い カイト君のご両親は、彼に対する教育方針において異なる意見を持っていました。母親は彼に学業を重視し、できるだけ早く学校に復帰して欲しいという思いが強かったのに対し、父親はカイト君の心の健康を優先し、学校の種類や形式には固執しないスタンスを取っていました。
2. 対応の迷い カイト君の引きこもりという状況に、どのように対応すれば良いのか、ご両親自身が迷いを抱えていました。特に、彼がエアガンを手にして反抗的な態度を取ることに対して、どのように接すれば良いのか悩んでいました。
3. 情報過多 現代の社会では、インターネットをはじめとしたさまざまな情報源から、子どもの引きこもりや不登校に関する情報が溢れています。これにより、何が正解で、どの方法がカイト君に最も適しているのか判断が難しくなっていました。
これらの課題を克服するため、私たちはまずご両親の意見や感じている不安をしっかりと受け止める姿勢を持つことを心掛けました。そして、彼らの考えや希望を尊重しながら、カイト君の現状や今後の取り組みについて共有し、一緒に最適な方法を考えていきました。
引きこもり支援の成果
1. 学業の進展 カイト君は、私たちの支援とフリースクールでの学びを経て、2023年3月に通信制高校サポート校を無事卒業することができました。
2. 社会的自律 卒業後、カイト君は公務員としての職を得ることができ、一定の社会的自律を果たすことができました。これは彼が持っていた潜在能力を引き出し、困難に立ち向かう強さを持っていた証です。
3. 関係の再構築 当初、家族間でのコミュニケーションが難しく、特にカイト君とご両親との間には多くの摩擦がありました。私たちのカウンセリングを経て、家族内での信頼関係が徐々に回復しました。
現状
1. 持続的なサポート カイト君が社会に出て働くことになった今も、私たちとの定期的なカウンセリングやサポートを継続しています。新たな環境でのストレスや課題に対応するためのサポートが必要と感じられるからです。
2. 家族との関係 カイト君とご両親の関係は日々良好に進展していますが、まだ完全に理解しあっているわけではありません。家族間のコミュニケーションをさらに深めるためのサポートが続けられています。
3. キャリアの展望 公務員としての職を得たカイト君ですが、将来的にはさらに多くの選択肢やキャリアの展開を望んでいます。私たちは彼のキャリアプランニングのサポートも行っており、彼自身の望む未来を実現するための手助けをしています。
カイト君のこれまでの歩みは、多くの困難や挑戦を乗り越えてきた成果の証です。現状も彼の成長や家族との関係の向上を続けるための取り組みが行われており、私たちもそのサポートを持続しています。
まとめ
カイト君の旅は、不登校という難局から社会的な自立へと至る挑戦の連続でした。彼の中1の頃のエアガンを用いた立て籠もりの行為から、今や公務員として一定の地位を築くまでの過程は、彼自身の成長だけでなく、周りのサポートの重要性を物語っています。
彼の叔父との縁を通じて当会との関わりが始まり、専門的な支援と家族の協力が組み合わさることで、カイト君の中に眠っていたポテンシャルが引き出されました。特に、ご両親との関係の再構築や社会での立ち位置を見つける過程では、彼の持つ強さや適応力が明らかになりました。
しかし、カイト君のストーリーはここで終わりではありません。彼と家族の関係、キャリアの展望など、これからの成長や挑戦が待ち受けています。私たちも継続的なサポートを通じて、彼のさらなる飛躍を期待し、共に歩んでいく決意を新たにしています。
この経験は、一人の若者の可能性の無限大さを示すとともに、適切な支援や環境がどれほど大切であるかを教えてくれます。カイト君の物語は、私たちすべてに希望と勇気を与えてくれるものであり、その中には多くの教訓や啓示が隠されています。
不登校・引きこもりでお悩みの保護者の皆様へ
カイト君のように、一時期は学校に行くことが難しく、外の世界とのつながりを失いかけた子どもたちが、私たちの周りには数多くいます。そんな子どもたちの保護者として、日々の戦いや不安、絶望を感じることもあるかと思います。しかし、必ず道は開けます。ここで、そんなお悩みの保護者の皆様へのメッセージと、対応の一助となるポイントをご紹介させていただきます。
保護者自身のケアも忘れずに 子どものサポートに専念するあまり、自分自身の気持ちや健康をおろそかにしがちです。親のメンタルの安定も、子どもへの最良のサポートとなります。
成功事例を参考に カイト君のように、困難を乗り越えて新しい道を歩み始めた子どもたちの経験やストーリーを参考にし、希望を持ち続けましょう。子どもが抱える問題は、一家族だけの問題ではありません。多くの家族が同じような悩みを抱えています。共に支え合い、一歩ずつ前に進むことで、必ず明るい未来が待っています。「88%の引きこもり高校生も変われる! 将来の成功11事例」というブログ記事も参考にしていただければ幸いです!! あなたの愛と支えが、子どもの大きな力となることを信じて。