「人生終わった」と呟いた17歳男子|通信制高校→寮生活→社会復帰まで

「俺、もう人生終わったんだと思う」

その一言を、17歳のW君は、うつむいたまま呟きました。
通信制高校に転校後、昼夜逆転、家庭内の会話もほとんどなくなり、引きこもり状態が8ヶ月続いていました。

ご両親は、「見守るしかない」と思いながらも、このままでは本当に将来が閉ざされてしまうと感じ、当協会にご相談をくださいました。

そこから始まったのは、“魔法”ではなく、生活の再構築という地道な支援。
寮生活、通学支援、第三者との信頼関係、そして何より「家庭の変化」。

やがてW君は自らの意志で立ち上がり、大学進学を志し、防衛大学校に挑戦。
最終的には、自衛官として社会に羽ばたいていきました。

このブログでは、W君の歩みを通して、
「なぜ“人生終わった”と呟いた子が立ち直れたのか」
「親として、どう動くことが本当に子どもを変えるのか」

その“本質”を、40年以上にわたって1万人以上の支援に携わってきた私・杉浦孝宣が、
現場の実例をもとに保護者の皆さんにリアルにお伝えします。

お子さんの未来を変える鍵は、家庭の中にあるかもしれません。
今、同じように悩んでいるご家庭に、ぜひ読んでいただきたい内容です。

目次

第1章|通信制高校に転校…そこから崩れていった

「通信制高校に転校して、これでうまくいく――そう思っていたのに、息子は『人生終わった』と呟いたんです」

これは、W君のご両親から初めて伺った言葉です。
全日制高校に入学したものの、出席日数が足りず進級が難しくなり、やむを得ず通信制高校への転校を決断した。
「自宅で自分のペースで勉強できるから」と期待をかけた選択でしたが、現実は違いました。

通信制高校の“通わなくてもいい”という仕組みは、時に子どもを孤立させてしまいます。
特に、生活習慣の乱れがある子、自己肯定感が低い子、家庭以外に繋がりの少ない子にとっては、

「外に出なくてもいい環境」は引きこもりを加速させる危険があります。

W君もその一人でした。
昼夜逆転、スマホとゲーム漬けの毎日。
家庭内での会話はどんどん減っていき、やがて親子関係は崩れました。

特に、お父さんから聞いた「うちでは目も合わさない。話しかけても無視される。時には物を投げられることもある」という言葉が印象に残っています。
実際、お母さんは「毎日が嵐のようです。ちょっとでも口を出せば怒鳴り返され、私自身、家庭にいるのが怖くなってしまう」と涙ながらに話されていました。

そんな中、ある夜、W君が呟いたのです。

「…俺、もう人生終わったし」

その言葉を聞いた瞬間、私たち支援者でさえ胸が締めつけられる思いでした。
ましてや、親にとってはどれだけ辛い瞬間だったことでしょう。

私もこれまで1万人以上の子どもたちと関わってきましたが、こうした“諦めの言葉”は本音ではないことがほとんどです。
むしろ、「このままではダメだ」「どうにかしたい」という、助けを求める“サイン”であることが多いのです。

W君のご両親は、このサインを見逃しませんでした。

お父さんは私の著書を読み、「もう一度、家族として向き合いたい」と決意。
そして、ご相談に来てくださいました。
「このままでは本当に引きこもりになってしまう。なんとかしたい。でも、どうしたらいいかわからない」と、真剣な表情で。

私はお伝えしました。

「“待つ”だけでは、何も変わりません。けれど、“関わり方”を変えれば、道は拓けます」

この言葉を、ご夫婦は真正面から受け止めてくださいました。

これが、W君とご家族の再スタートの“最初の一歩”でした。

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