不登校・引きこもりは親の関わりで変わる|進学では解決しない理由

「不登校 引きこもり」と検索すると、通信制高校、家庭教師、予備校、カウンセラーなど、情報は山ほど出てきます。けれど、読めば読むほど、私はいつも同じ疑問にぶつかります。
――本当に、引きこもり状態の子どもを“動かした経験”があるのだろうか。

多くの記事は、本人の心理や特性を丁寧に説明します。不安、自己肯定感、発達特性、トラウマ。どれも大切な視点です。ただ、現場で何度も見てきたのは「理解しただけでは状況が動かない」という現実でした。進学先を変えても、環境を整えても、家の中の空気が変わらなければ、子どもは動けないまま固定化していきます。

この記事では、なぜ「進学」だけでは解決しないのか、そして親の関わりが変わると何が起きるのかを、40年以上の支援現場と実例をもとに、できるだけ具体的に整理します。

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目次

なぜ多くの親が「進学すれば解決する」と考えてしまうのか

「学校に戻す」発想が強いほど、出口が狭くなる

不登校が始まったとき、親はまず「学校に行ける状態に戻したい」と考えます。これは自然です。学校は子どもの生活の中心ですし、出席できない状態が続くほど、親の不安は大きくなります。

ただ、引きこもりが絡んでくると話が変わります。学校に行けないこと以上に、家の中での生活が崩れ、親子関係がぎくしゃくし、本人が外の世界とつながれないという状態が本体になっていきます。ここで「進学」だけに期待すると、問題の芯を外したまま時間だけが過ぎます。

「様子を見ましょう」が長期化の引き金になることがある

学校の先生や相談員、カウンセラーが「まずは様子を見ましょう」と言う場面は多いです。短期的な混乱期なら、それで落ち着くケースもあります。しかし、生活リズムが崩れ、会話が減り、家庭内で摩擦が増えているなら、様子を見るほど状況が固まっていきます。

親は、待てば良くなると思いたい。子どもも、何も言われなければそのまま過ごせる。スマホやゲーム、動画が無限にある時代は「動かなくても困らない状態」を作りやすい。だからこそ、どこかで“方針”を持つ必要が出てきます。

進学しても不登校・引きこもりが改善しない典型パターン

在籍できても、生活は崩れたまま

通信制高校やオンライン中心の学びは、本人に合えば大きな助けになります。一方で、「通学しなくていい」ことが、引きこもりの固定化につながることもあります。
在籍はしている。単位も何とか取れている。でも、昼夜逆転は続き、家族との会話は減り、外出はゼロのまま。こうなると、進学は“解決”ではなく“先送り”になります。

レポート学習が「社会と切れる」きっかけになることも

本人が自室で完結できる環境は、安心でもあります。ただし、人との接点がゼロになった瞬間から、回復のスイッチが入りにくくなるのも事実です。心理がどうであれ、社会復帰は「人との関係」の中で起きます。家庭の外に、信頼できる大人や同世代のつながりが戻らない限り、状況が動き出すことは稀です。

「進学したのに悪化した気がする」と感じたら、早めに状況を整理してください。

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学校・進学支援では「構造的にできないこと」がある

学校は家庭内の関係性に介入できない

ここは誤解してほしくないのですが、学校や教育機関を否定したいわけではありません。役割が違う、という話です。
学校は教育の場であり、家庭内のコミュニケーションや生活リズム、親子の信頼回復まで踏み込むのは難しい。しかも引きこもりが絡むと、子ども本人が学校と接点を持てなくなります。そうなると、学校ができることは一気に限られます。

「在籍・卒業」と「回復」は別物

卒業できることは素晴らしいです。ただ、卒業の瞬間に自動で社会復帰が起きるわけではありません。引きこもりが長引くほど、進路の節目で「次に進めない」問題が表面化します。だから、私たちは最初から卒業の先(就職・進学・社会接点)まで見据えて関わります。

回復の分岐点は「学校」ではなく「親の関わり方」にある

ここからがこの記事で一番大事な話です。
不登校・引きこもりが回復に向かうかどうかは、進学先の名前よりも、家庭の関わり方が変わるかどうかで決まる場面が多い。親が「どう声をかけるか」「どこまで許容し、どこから線を引くか」「誰とつなげるか」。この舵取りが、現実を分けます。

「見守る」は、方針があって初めて意味を持つ

見守ること自体を否定しません。問題は、見守りが「何もしない」になってしまうことです。
本人のペースを尊重しながらも、家庭としての方針を持ち、生活の土台を整え、必要なら外部の力を使う。ここまでセットで、初めて見守りが機能します。

ステージ判定1〜5|「進学では足りないタイミング」が分かる

不登校と引きこもりは、同じ言葉で語られがちですが、状態は段階で違います。段階を間違えると、良かれと思った対応が逆効果になります。

ステージ 状態の目安 親が押さえるポイント
1 行き渋り・欠席が増え始める 早期の対話と生活リズムの維持、学校調整
2 欠席が続く/家での滞在時間が増える 家庭内の摩擦を減らし、方針を固める
3 昼夜逆転・会話が減る/外出が減る 進学先より「関係と行動」を優先。外部接点が鍵
4 長期化/ほぼ外出なし/家庭内が荒れる 親のコーチング+家庭訪問など実動支援が必要
5 完全引きこもり/拒絶・暴言・無気力が固定 安全確保の上で、段階的に生活・関係・社会接点を再構築

実例:私立高校→通信制高校へ転校しても、状況が動かなかった家庭

ある保護者の方から、次のようなご相談がありました。

高校1年は私立高校に入学したものの、出席日数や成績の問題が重なり、2年目から通信制高校へ転校しました。通学不要のコースを選び、「家で勉強する」つもりでしたが、生活も態度も言葉も荒れ、親子の信頼関係が崩れてしまい、話が通じない状態です。様子を見ても改善しない気がして、長期化の不安が強い。状況を変えるには、本人が信頼できる人や良い人間関係と結び直すことが必要ではないか――そう感じています。

この相談は、特別な例ではありません。
「進学できた=回復した」ではないという現実が、ここに出ています。学校を変えても、学び方を変えても、家庭の関わりが変わらず、人との接点が戻らないままだと、引きこもりは固定化していきます。

保護者の方が直感的に気づいていた「信頼できる人・良い人間関係と結び直すこと」は、まさに回復の核心です。私たちが大切にしているのも、ここです。

似た状況なら、今の段階で手を打てます。
「転校したのに悪化した」「会話が成立しない」— その状態を整理しましょう。

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なぜ「進学だけで終わらせない支援」が必要なのか

引きこもり支援で難しいのは、本人の気持ちを尊重しながらも、生活・行動・人間関係を「現実の形」に戻していくことです。ここは、机上の理屈だけでは進みません。

私たち一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会は、親のコーチングを軸にしながら、必要に応じて認定NPO法人 高卒支援会とも連携し、家庭訪問や合宿、寮、学び直し、アルバイト・インターンなど“現場で動く支援”を組み合わせています。

親のコーチングが土台になる理由

最初に変えるべきは、子どもではなく、親の「関わり方の設計」です。
声のかけ方、距離感、家庭ルール、家族内の役割分担。ここが整うと、子どもの反応が変わり始めます。逆に、親が迷い続けると、家庭の空気が不安定になり、子どもはますます閉じていきます。

家庭訪問・合宿・寮が効くのは「関係が動く」から

引きこもりは、本人の内面だけの問題ではありません。
「安全だが停滞する環境」に長くいるほど、外に出る理由が消えます。だから、信頼できる支援者が関わり、生活のリズムを作り、同世代や社会と接点をつくる。小さくてもいいので「行動」が起きる設計が必要です。

PIVOT出演でも語った「見守るだけでは変わらない」現場の話

私が出演したYouTube番組「PIVOT」でもお伝えしたのは、まさにこの点です。
「見守る」だけで時間が過ぎるほど、選択肢が減り、回復のハードルが上がるケースを、現場で何度も見てきました。

動画では、不登校・ひきこもりが深刻化する前に親ができること、年齢別の関わり方、そして再スタートまでの道筋を具体的に話しています。

親が今すぐできる「最初の一手」

子どもを変える前に、状況を整理する

焦って正論を言うほど、関係は崩れます。かといって、放置すると固定化します。だからまずは、状況を整理してください。
生活リズム、会話の有無、外出頻度、家族内の衝突、学校との関係。どれがボトルネックなのかを把握し、ステージに合わせて順番を決める。ここからがスタートです。

「相談=入会」ではありません

よく誤解されますが、相談は契約ではありません。
むしろ、判断を誤らないために相談するものです。進学や転校を決める前、家庭内が荒れきる前、会話が消える前。ここで一度整理できると、次の一手が現実的になります。

「このままでは長期化しそう」と感じたら、早めに動いてください。
迷いが深くなるほど、家庭の空気は重くなります。

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16の成功事例が教えてくれる「再スタートできた家庭の共通点」

再スタートできた家庭に共通するのは、根性論でも、特別な才能でもありません。
親が「迷いながらでも方針を持ったこと」、外部とつながり直したこと、生活を整える順番を間違えなかったこと。これに尽きます。

実際の“再スタートの軌跡”をまとめています。似た状況の事例が必ず見つかります。

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まとめ|進学は「手段」。回復の鍵は親の関わりにある

進学は大事です。ただ、進学だけで引きこもりが解決するわけではありません。
回復に向かう分岐点は、家庭の関わり方が変わるか、外部との信頼関係がつながり直すか、生活が整い始めるか。ここにあります。

もし今、あなたが「このまま様子を見ても変わらない気がする」と感じているなら、その直感は軽視しないでください。迷いの段階で相談できた家庭ほど、動き出しが早いのは事実です。

一歩目は、決断ではなく「整理」です。

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