“様子見”が長期化を生む?不登校カウンセラーのための実動支援入門

一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会
代表理事 杉浦孝宣

SNSでは、スクールカウンセラーに相談した保護者の率直な声が日々流れています。

「毎回“様子を見ましょう”と言われるだけで、状況が変わらない…」

「半年“見守り”と言われ続け、気づけば家から一歩も出なくなった」

「優しいけど、実際に外に連れ出す支援はしてくれない」

「生活リズムが崩れているのに、睡眠の話だけで終わる…」

スクールカウンセラー=不登校の専門家だと思っていた保護者が、 喫茶室ルノアールやファミレスに駆け込み、面談直後の気持ちをSNSに吐露する姿は珍しくありません。

しかし、ここには大切な前提があります。

スクールカウンセラーは「不登校・引きこもりの専門家」ではありません。 国家資格である「公認心理師」は、心理支援のエキスパートですが、 家庭内の生活リズム崩壊・ゲーム依存・家族内パワーバランス調整・家庭訪問が必要なケースなど、
“行動が完全に止まった子ども”へのアプローチまでは想定されていません。

だからこそ、本記事では、 「様子見で長期化させない」「学校現場でも使える実動支援」を 40年間・1万人の支援データから体系化して紹介します。


目次

第1章:不登校は“段階(ステージ)”で進行する

不登校は、最初から引きこもりになるわけではありません。 多くの場合、次のような段階(ステージ)を経て進行します。

ステージ1〜5の全体像

  • ステージ1:欠席が増え始める。朝の不調、遅刻。
  • ステージ2:登校できたりできなかったりを繰り返す。
  • ステージ3:完全不登校。自室で過ごす時間が長くなる。
  • ステージ4:昼夜逆転・ゲーム依存が進む。親との会話が減少。
  • ステージ5:外出拒否、感情爆発、家庭内暴言・暴力など。

スクールカウンセラーは、面談室での言動を基に心理状態を見るプロですが、 家庭内での実態(生活リズム・ゲーム時間・親子関係)までは把握できません。

このギャップが、ステージ判定を難しくし、 “まだ大丈夫” “様子を見ましょう” という判断につながるのです。

ステージを見誤る典型例

  • 面談では穏やか → 家では昼夜逆転で荒れている
  • 会話はできる → 生活習慣は完全に崩壊している
  • 「勉強したい」と言う → 実際は昼夜逆転で手がつかない

だからこそ、家庭と学校の両方の情報からステージを見立てることが大切です。


第2章:カウンセリングだけでは止められない「引きこもり化」

心理支援だけでは止まらないラインがある

ステージ3〜5になると、 「話を聞く」だけでは子どもは動きません。 これは親の愛情不足ではなく、カウンセラーの技量不足でもありません。

必要な支援の種類が根本的に違うからです。

学校現場だけでは対応しきれない領域

  • 家庭訪問・同行支援が必要
  • 生活リズムの立て直しが必要
  • ゲーム依存や昼夜逆転への介入
  • 家庭のパワーバランス調整(親のコーチング)

これらは完全に“実動支援の領域”であり、 心理支援の専門資格である公認心理師の守備範囲を超えています。

だからこそ、カウンセラーを責める必要はありません。 「役割が違う」だけなのです。


第3章:実動支援とは何か──予防士が現場で行う支援の全体像

当協会の認定資格「引きこもり予防士」は、 心理支援と行動支援の中間に位置する専門家です。

学齢期の引きこもりを予防するために、次のような実動支援を行います。

親のコーチング

  • 声かけの変え方
  • 境界線の引き方
  • 生活面でのルール設定

家庭訪問支援(アウトリーチ)

  • 子どもと距離を縮める
  • 会話の糸口を作る
  • 外に一歩出るサポート

生活改善合宿・学生寮

昼夜逆転や生活リズムの崩壊が進んでいる場合は、 環境を変えることが最も効果的です。

学び直し支援

  • 通信制高校
  • サポート校
  • フリースクール

社会接点づくり

  • アルバイト
  • インターン
  • 地域活動

これらがすべて連動すると、子どもは自然と動き始めます。


第4章:学校カウンセラーが“実動支援”を導入する方法

学校だけで抱え込まないための3つの連携ポイント

  • 家庭との情報共有(生活リズム・ゲーム時間・親子関係)
  • ステージ判定を基にした対応選択
  • 外部支援(予防士・フリースクール)との連携

保護者に“行動支援”を勧める言葉がけ

  • 「学校では見えない部分を一緒に確認しましょう」
  • 「生活リズムの改善には、家庭訪問が効果的な場合があります」
  • 「安全に外出できるよう、同行支援を入れましょう」

第5章:成功事例──なぜ実動支援で子どもは動き出すのか

成功事例 16選

当協会が支援し、社会復帰した子どもたちの実例をまとめたページはこちらです。

あわせて読みたい
中学生の引きこもりに悩む親必見!成功事例から学ぶ対処法16選 中高生の引きこもりに悩む親必見!子供が親と話さない、昼夜逆転の生活をし、ゲームに没頭し続け、お風呂を避け、部屋はゴミだらけ。そんな状態に頭を悩ませていません...

10年引きこもり → 公務員のY子さん

中1不登校 → 自衛隊のカイト君

中高一貫校不登校 → 区役所勤務のカズキ君

家庭訪問 → 航空自衛隊のリョウタ君 など、さまざまな再出発の軌跡が紹介されています。

動き出す瞬間の共通点

  • 親の関わり方が変わった
  • 家庭訪問で信頼関係が生まれた
  • 生活リズムが整った
  • “小さな成功体験”が積み重なった

第6章:認定「引きこもり予防士」という新しい専門職

引きこもり予防士は、 「心理支援だけでは届かない領域」に踏み込める専門家です。

  • 家庭訪問
  • 生活改善
  • 行動支援
  • 親のコーチング

これらを“学齢期に”できる支援者は全国的にも希少で、 学校・家庭・自治体からの依頼が急増しています。


第7章:明日からできる実践ステップ

  • ステージを見誤らない
  • 様子見ではなく“小さな行動”を重ねる
  • 家庭だけで抱え込まない

おわりに:再出発は家庭と学校から動き出せる

当協会の相談先

まずは現状整理のためにご相談ください。

【30分無料個別相談はこちら】

どんな状態からでも、やり直すことはできます。 お子さんの未来は、ここからまた動き出せます。

  • URLをコピーしました!
目次