4人の成功事例を通して学ぶ!不登校・引きこもりを解決する鍵

昨日の講演会では、不登校や引きこもりの問題に直面しているご家庭向けに、実際に支援を受けた4人の子どもたちの成功事例を当事者、本人のリアルな話とともに紹介しました

一般社団法人不登校引きこもり予防協会 代表理事、認定NPO法人高卒支援会の創業者である、私、杉浦 孝宣は 多くの保護者の方々が抱えている「どうしたら良いのか分からない」という悩みに対して、実践的な解決策とともに、ピアサポートやアウトリーチ支援がどれほど重要かについてもお伝えしました。

ピアサポートとは、同じような経験を持つ子どもたち同士が支え合い、励まし合う支援方法です。
「自分と同じ立場の人からの助けが、回復への力になる」ということを示す支援方法です。

アウトリーチ支援は、引きこもり予防士が家庭に訪問して支援を行う方法で、「家の外に出ることが難しい子どもにとっては、家庭内で信頼関係を築きながら支援を提供する」重要な手段となります。

講演会では、これらの支援方法がどのように回復に繋がったのかを具体的な体験を通じて紹介し、不登校や引きこもりの子どもたちが社会復帰への第一歩を踏み出すために必要な支援のアプローチについても深く掘り下げました。

このブログでは、昨日の講演会で触れた成功事例をもとに、不登校・引きこもりを解決するための鍵をさらに詳しくお伝えします。

目次

はじめに 不登校・引きこもり問題の現状とその影響

不登校や引きこもりの問題は、現在の日本社会で最も深刻な課題の一つです。不登校の子どもたちの数は年々増加し、近年では引きこもりの成人化も進んでいます。教育現場でもこの問題に対応しきれない現実があり、多くの家庭が孤立しているという現状が続いています。

不登校・引きこもりの現実

  • 不登校とは、毎日学校に通うことができない状態を指します。これは精神的・身体的な問題、社会的な孤立感など様々な要因が絡んでいます。
  • 引きこもりは、学校を休んだ後に家にこもりがちになり、社会との接点を失うことです。長期的な引きこもりは、将来的な自立や社会復帰に大きな障害となります。


見守るだけでは解決しない

多くの保護者が「様子を見ましょう」「見守りましょう」という対応に悩まされています。学校側からも「そのうち自分から動き出すかもしれない」と言われ、実際には何もしないまま時間が過ぎてしまうことが多いのです。しかし、この見守りが実際には放置となり、子どもの問題がますます悪化する原因となります。

このような現実は、pivotでもお伝えしましたが、見守るだけでは問題は解決しないということを多くの家庭で実感しています。問題を放置すれば、子どもはますます社会との接点を失い、家庭の中で孤立していくのです。

親の役割と早期対応の重要性

親は子どもを支える最初の援助者ですが、その支援の方法を誤ると、問題が悪化する可能性があります。適切なタイミングでの関わり方と、専門的な支援を組み合わせることで、子どもたちの未来を切り開くことができるのです。ここでは、早期の対応がどれほど重要であるかを強調し、親としてどう向き合うべきかを解説します。

不登校〜引きこもり ステージ判定表

不登校と引きこもりは、段階的に進行していく問題であり、それぞれのステージに応じた対応が必要です。以下のステージ判定表を使って、子どもの状態を見極め、適切な支援を行うことが重要です。

ステージ不登校期間親子関係生活リズム食事状況
ステージ11日~60日会話あり朝起きている一日3食食べている
ステージ261日~180日会話はあるが減少昼夜逆転気味食事の回数が減る
ステージ3181日~1年会話がほぼない完全昼夜逆転好きな物しか食べない
ステージ41年以上閉室、無反応長時間寝ている食事の呼びかけも困難
ステージ520歳以上社会的孤立完全自閉栄養不良も見られる

ステージ1〜2(不登校)

ステージ1〜2は、まだ不登校の初期段階であり、親子間でのコミュニケーションが取れる時期です。この段階では、生活リズムがまだ整えやすく、家庭内での支援が可能な段階です。親子が一緒にルールを決め、少しずつ改善していける可能性が高いです。

  • ステージ1:不登校が始まったばかりで、親子の会話があり、生活リズムや食事も管理しやすい段階。
  • ステージ2:不登校が続き、生活リズムが乱れ始め、親子の会話も減少してきます。この段階で適切な支援を行えば、再登校や社会復帰も視野に入ります。

この段階で重要なのは、見守りではなく、積極的に関わりを持つことです。適切なタイミングで支援を入れることで、再登校や社会復帰に向けて大きな一歩を踏み出すことができます。

ステージ3以上(引きこもり)

ステージ3以上は、不登校が長期間続き、引きこもりに進行した段階です。この時期には、社会との接点がほとんどなくなり、生活リズムも完全に乱れて、食事も偏りがちになります。親子の会話が途絶え、家庭内での対応だけでは解決が難しくなります。

  • ステージ3:昼夜逆転が進み、親子の会話もほとんどなくなる。食事も偏り、好物ばかりを食べるようになる段階。
  • ステージ4:完全に部屋に閉じこもり、長時間寝ている。食事の呼びかけにも反応が薄くなり、引きこもりの深刻な段階
  • ステージ5:社会的に完全に孤立し、完全に自閉的な状態になる。栄養不良や健康問題も見られる。

この段階では、家庭だけでなく、専門家(引きこもり予防士)の支援が非常に重要です。早期の介入がないままだと、状況がさらに悪化し、社会復帰がますます難しくなります。社会との接点を持たせるために、家庭訪問やピアサポートを活用し、少しずつ信頼関係を築く必要があります。

まとめ:適切なステージでの支援が未来を切り開く

不登校や引きこもりには、必ず段階的な進行があります。それぞれのステージで、適切な支援を行うことが、子どもたちの回復の可能性を広げます。親としてできる最初のステップは、早期の問題認識と対応です。子どもが不登校になったと感じた時点で、支援を考えることが大切です。ステージに応じた支援を通じて、子どもは社会に戻り、未来を切り開くことができます。

不登校や引きこもりは、決して珍しい問題ではありません。社会全体で支えるべき課題です。早期に支援を開始し、家庭と専門機関が連携することで、9割以上の子どもたちが回復することができます。

今すぐ行動を起こし、子どもたちの未来を支援する第一歩を踏み出しましょう。

スマホ・ゲーム依存への対応は“ステージ別”に考えるべきです

今、多くの保護者がスマホやゲームの使いすぎを心配しています。「ずっと画面を見ている」「話しかけても無反応」――その姿を見ると、ついイライラしたり、不安になってしまいますよね。しかし、スマホやゲームに対する反応は、子どものステージに応じて適切に対応することが重要です。

なぜ“ステージ別”対応が必要なのか

残念ながら、未熟な専門家の中には、「今すぐスマホを捨てろ」や「ゲームは禁止しろ」という極端な指導をする方もいます。

また、逆に「本人がやりたいなら尊重してあげて」や、「様子を見ましょう」だけで済ませてしまうケースもあります。
しかし、これらの対応では不登校や引きこもりの問題を解決することは難しいのです。

私たちは、40年以上の支援経験を通して不登校や引きこもりは、そんな単純な問題ではないと確信しています。スマホやゲームがその子にとって何を意味しているのかを理解せずに対応すると、逆に問題が悪化する可能性があることを知っています。

私たちの対応:ゲームも“支援ツール”です

私たちは、**ゲームやスマホを「敵」ではなく「味方」**として使います。ゲームやスマホの使用は、子どもたちが社会と繋がるための重要な接点になることがあります。例えば、ゲーム内での会話をきっかけに子どもとの信頼関係を築くことができます。以下は、実際に支援スタッフがゲームを使って関係を深めたケースです。

  • ゲーム内での会話をきっかけに、子どもとの信頼関係を築く。
  • このゲーム、よく知ってるね!」と共通言語で話すことで、心の壁を溶かす。
  • ゲームの中にある**「仲間」「協力」「達成感」**を、現実社会での第一歩につなげていく。

実際に、支援スタッフがフォートナイトマインクラフトを一緒にプレイしながら関係を深めたケースもあります。それがきっかけで、外に出られるようになり、今は通信制高校で学んでいる子どももいます。

まとめ

  • スマホ・ゲーム依存への対応は、“ステージ別”に変えるべきです
  • 親子の会話ができるうちは、共にルールを作る“対話”がカギ
  • 引きこもり段階では、無理に取り上げず、“接点”として活用する発想を
  • ゲームの中にある“社会性”を回復へのステップに変えることもできる

「ゲームは悪」ではありません。使い方と関わり方さえ間違えなければ、回復のきっかけにもなるのです。

4人の成功事例を通して学ぶ!不登校・引きこもりを解決する鍵

成功事例1 S君の回復物語 — ステージ判定4(家庭内暴力と引きこもりからの再出発)

S君は、中学2年生で不登校になり、その後引きこもりの状態が進行しました。ゲーム依存と暴言、暴力が家庭内で深刻な問題となり、最終的には家庭内で包丁を振りかざすという暴力的な行動にまで発展しました。この時点で、家族は非常に困惑し、どうしていいかわからない状態でした。しかし、私たちの支援を受けることで、S君は立ち直り、現在では大学進学を目指して勉強を続けています

回復の鍵

S君の回復の大きな要因は、ピアサポートとアウトリーチ支援(家庭訪問)でした。特に、同じ経験を持つコータ君との関わりが、S君の心を開くきっかけとなり、支援を通じて少しずつ自信を取り戻しました。

  • ピアサポート:コータ君はS君と同じような経験を持ち、最初は言葉を交わすことすらできなかったS君に寄り添い、少しずつ心を開かせました。
  • アウトリーチ支援(家庭訪問):S君のケースでは、引きこもり予防士の根本が家庭訪問を担当し、家族と信頼関係を築きながら、少しずつ社会との接点を作る支援が、S君の回復を加速させました。

S君は、ステージ判定4に該当し、家庭内での支援だけではなく、専門的な支援が欠かせない段階にありました。そのため、支援機関との連携を強化し、社会復帰への道を切り開くための支援を続けました。

成功事例2:N君の立ち直り — ステージ判定4(外的支援と家庭訪問が生んだ社会復帰の第一歩)

N君は、学校に行けなくなり、その後引きこもりが進行しました。家庭内で抱えていた問題や学校での人間関係が原因で、次第に家に閉じこもるようになりました。初めは、家族内でのコミュニケーションが取れない状態が続いていましたが、私たちの支援を受けることで、少しずつ信頼関係を築き、社会復帰の第一歩を踏み出すことができました

支援方法

  • 家庭訪問による信頼関係の構築:N君が最初に受けた支援は、家庭訪問を通じて信頼関係を築くことでした。最初は何も話さなかったN君も、支援者と接することで少しずつ心を開き、家族との関係も回復しました。引きこもり予防士の根本が担当した家庭訪問によって、N君は安心して支援を受けることができました。
  • 学校との連携:学校やカウンセラーとも連携し、少しずつN君を社会復帰させるための支援を行いました。

N君も、ステージ判定4に該当する段階で、家庭内だけでは解決が難しく、専門家の介入が求められました。この段階では、専門的な支援が非常に重要であり、早期に専門機関を導入することが回復の大きな鍵でした。

  • URLをコピーしました!
目次