親の対応で子どもは変わる!不登校中学生に効くコーチング実践法

一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会
代表理事 杉浦孝宣

不登校・引きこもりの相談は年間700件以上。40年以上の支援で1万人以上の子どもを社会復帰へ導き、成功率は9割以上。長年の支援から確信していることがあります。

──親の関わり方が変わると、子どもは必ず動き出す。

この記事では、中学生の不登校が「親の声かけ」の変化で改善した実例や、16名の成功事例の共通点をもとに、家庭で今日からできる“コーチング実践法”を1万字で徹底解説します。

「どう声をかけていいか分からない」「夫婦の意見が合わない」というご家庭にこそ届いてほしい内容です。


目次

第1章|結論:不登校中学生は“親の声かけ”で動き出す

親の声かけは、不登校改善の最強の“第一歩”です。

中学生は自尊心が揺れやすく、親の言葉は思っている以上に影響します。

正論や説得は逆効果になりやすく、安心を与える声かけが行動のスイッチになります。

当協会の支援でも、親の声かけが変わったことで「部屋から出られた」「外に出られた」「再び登校できた」ケースは多数あります。

今日からできる“親の変化”こそが、子どもを動かす最速の方法です。


第2章|まずは現状を可視化する「ステージ判定1〜5」

不登校は“段階”によって対応がまったく変わります。当協会では、40年の支援から以下の5段階に整理しています。

  • ステージ1:生活リズムの乱れ・遅刻
  • ステージ2:学校への不安・保健室登校
  • ステージ3:昼夜逆転・部屋にこもる
  • ステージ4:暴言・ゲーム依存などの情緒不安定
  • ステージ5:完全引きこもり・家族との断絶

重要なのは「ステージに合わせた関わりをすること」。
ステージに合わない声かけは、逆効果になる場合があります。


第3章|家庭を変える“7つの支援ステップ”

不登校改善には「順番」があります。当協会の支援は次の7ステップで進めます。

  1. ステージ判定(現状把握)
  2. 親のコーチング(関係修復・声かけ習得)
  3. 家庭訪問(信頼関係の再構築)
  4. 生活改善合宿・寮(リズム回復)
  5. 学び直し(通信制高校・サポート校)
  6. 仕事体験(アルバイト・インターン)
  7. 社会貢献・進学・就職

特に不登校中学生に最も効果があるのはSTEP2 親のコーチングです。


第4章|今日からできる!親の声かけ“6原則”

中学生の不登校に効果が高い声かけは次の6つです。

  1. 責めない・比べない
  2. 1ミリの行動を承認する(些細でOK)
  3. 感情に寄り添う(正論より気持ち)
  4. 選択肢を提示する(強制しない)
  5. 未来より“今日できること”
  6. 動けなかった日も責めない

特に「どうしたの?」ではなく、
「今日は何が一番しんどかった?」
と聞くほうが、子どもは安心して話せます。


第5章|成功事例:16名+一般化ケースから学ぶ“親の関わり方”

当協会の成功事例16名に共通するのは、親の関わり方が変わった瞬間に子どもが動き始めたことです。

●カイト君(中1不登校 → 自衛隊)

「行きなさい」から「一緒にできることを探そう」へ声かけを変更。家庭訪問でステージ3からステージ2へ改善しました。朝起きて一緒にご飯を食べる、小さな外出から始め、最終的には通信制高校を経て自衛隊に進みました。

●リョウタ君(不登校 → 航空自衛隊)

母親が叱責や説得をやめ、「起きられただけでもいいね」「顔を見られてうれしいよ」と声をかけるように変えたことで、家庭訪問スタッフとの関係が深まりました。そこから外出の回数が増え、航空自衛隊という進路につながりました。

●タツマ君(巣鴨中 → 引きこもり → 公務員)

中高一貫校で不登校になり、家にこもるようになりましたが、父親の「学校に行けなくても大丈夫だよ。これから一緒に考えよう」という言葉が大きな転機となりました。生活改善合宿や学び直しを経て、法政大学に進学し、その後公務員として働いています。

●佐藤渉太君(スポーツ推薦 → 引きこもり → 農業大学 → JA)

親の「期待」が重荷となり、不登校と引きこもりに至ったケースです。親が「あなたのペースでいい」「もう一度やり直せるよ」とスタンスを変えたことで、農業という新しい分野に興味を持ち、農業大学からJA内定へとつながりました。


✔ 一般化ケース:夫婦のすれ違いが背景にあった中学2年生の例

以下は、個人が特定されないよう一般化した実例です。

ある中学2年生の男の子。不登校期間は半年以内。食事は1日1食、親とのコミュニケーションは主に父親中心という状態でした。

中学1年の冬ごろから欠席が増え、支援団体のサポートを受けて一時的に再登校したものの、夏休みで生活リズムが崩れ、再び不登校に戻ってしまいました。

背景には両親の関わり方のギャップがありました。

  • 父:信じて見守るタイプ(尊重型)…子どもの意思を尊重し、無理に働きかけない。
  • 母:頑張らせる方向へ働きかけるタイプ(過干渉になりやすい)…社会的なルールや年齢相応のふるまいをきちんと伝えようとするあまり、厳しい口調になることも多かった。

夫婦の話し合いはたびたび衝突に発展し、父親が母親を無視するような場面もありました。家庭の空気は緊張状態となり、子どもはどちらの親にも応えられず、トイレに長時間こもるなどの“逃避行動”が増えていきました。

母親は「自分が家を出れば家庭が静かになるのではないか」と悩むほど追い詰められましたが、子どもがさらに引きこもるリスクを考え、踏みとどまりました。

このケースで効果的だったのが、第三者の介入(親のコーチング)+家庭訪問です。親自身が自分の関わり方のクセを客観的に振り返り、夫婦で「子どもの回復を最優先にした共通ルール」をすり合わせていきました。

同時に、家庭訪問によって、子どもが「親以外の安心できる大人」とつながる機会を持てたことで、家の外への一歩が生まれました。

このように、夫婦が真逆のタイプでも、方向性を整理するだけで驚くほど改善が進むことがあります。


第6章|ステージ別コーチング完全ガイド

●ステージ1:生活リズムの乱れ

まだ学校に行ける日もある段階では、「ちゃんとしなさい」ではなく、「一緒に朝ごはんを食べようか」「明日は何時に起きてみる?」といった“伴走型”の声かけが効果的です。

●ステージ2:学校への不安

「なんで行かないの?」ではなく、「行けないくらいしんどいんだね」「行かなくてもいい。でも今日は何ができそう?」と、気持ちを受け止めつつ、行動の選択肢を一緒に考えます。

●ステージ3:昼夜逆転・こもり

親の声かけだけでは限界が出やすい段階です。家庭訪問など、外部の大人が入ることで“家の中の空気”を変える必要があります。 「今日、5分だけ一緒にリビングに来てみない?」など、ハードルを低く設定し、小さな成功体験を積み重ねていきます。

●ステージ4:情緒不安定

暴言やイライラが強いとき、親が感情的に反応すると、状況は悪化します。 短く・落ち着いた声かけがポイントです。 「今はしんどそうだから、少し時間をおこうね」「また落ち着いたら話そう」など、距離をとることも大切です。

●ステージ5:完全引きこもり

ここまで進んだ場合、親だけで解決しようとするのは非常に危険です。専門家によるアウトリーチ(家庭訪問)や、合宿・寮といった環境の切り替えを含めて検討する必要があります。


第7章|家庭で使える“質問リスト”

今日から使える、子どもの負担を増やさない質問の例です。

  • 「いま一番しんどいこと、ひとつだけ教えてくれる?」
  • 「5分だけなら、一緒にできそうなことあるかな?」
  • 「外に出るとしたら、何分くらいならいけそう?」
  • 「今日は、少しでも“できたこと”はあった?」

ポイントは、「詰問」ではなく“一緒に考えるスタンス”で聞くことです。


第8章|悪化させないためのNG対応

親のほんの一言が、子どもの心を閉ざしてしまうことがあります。次のような対応はできるだけ避けましょう。

  • 将来の説教(「このままだと将来大変だぞ」など)
  • 正論・理屈で追い詰める
  • 兄弟や友人と比較する
  • スマホ・ゲームを一方的に没収する

これらに共通しているのは、親の“焦り”が前面に出てしまっていることです。焦りを抱えるのは当然ですが、それをそのまま子どもにぶつけても、状況は好転しません。


第9章|親のコーチングが必要な理由

親が変わると、家庭の空気が変わり、子どもが動き出します。 夫婦で方向性がズレている家庭ほど、第三者が入ることでスムーズに整理できます。

当協会の成功事例16名は、すべて「親の関わり方が変化したタイミング」から改善が始まりました。

親だけが悪いわけではありません。誰も、最初から不登校の親としての“正解”を知っているわけではないからです。 だからこそ、親も学びながら、一緒に変わっていくことが大切です。


第10章|まとめ:親の声かけは家庭を動かす“最初の一歩”

不登校は必ず解決できます。 完璧な親になる必要はありません。今日から、声かけを少し変えてみる。 その一歩が、子どもの未来を大きく変えます。

ひとりで抱え込む必要はありません。私たちが伴走します。

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