
40年以上の指導歴と不登校・ひきこもりの
9割を立ち直らせた解決力
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40年以上の指導歴と不登校・ひきこもりの
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助成金もあるし、フリースクールも調べた。でも、うちの子は動けないんです」
——最近、東京都内の保護者からこうした声を本当に多く聞きます。
2024年度から東京都では、不登校の小中学生を対象に、
月2万円のフリースクール助成金制度が始まりました。
経済的な支援が拡充されたことは大きな一歩です。
けれども、「制度は整っても、子どもが動けない」という現実が、今、あちこちの家庭で起きています。
私たち一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会にも、
「助成金を使いたくても、本人が部屋から出られない」
「見学に誘うだけで怒り出してしまう」
という相談が、毎日のように届いています。
私自身、小学3年で不登校になり、部屋から出られなくなった経験があります。
だからこそ断言できます。
“行かせたいけど、行かせられない”のは、親の責任ではありません。
問題は「居場所」ではなく、「そこに行けるまでの支援」が足りていないことなのです。
このブログでは、
・なぜ助成金があっても通えないのか
・フリースクールの現場で何が起きているのか
・どうすれば“動けない子”が動き出せるのか
を、実際の成功事例とともにお伝えします。
「もう一度、笑って話せる日を取り戻したい」——
その思いを持つすべての保護者の方へ。
私は40年以上、1万人の不登校・引きこもりの子どもたちを支援してきました。
どんなに長く引きこもっていても、必ず変われます。
その“第一歩”を一緒に見つけていきましょう。
2024年度、東京都は新たに「フリースクール等利用者支援事業」を開始しました。
これは、学校生活に馴染めず、生きづらさを抱える不登校の子どもたちが自分らしく成長できる居場所を持てるようにという目的で、
フリースクールなどの民間施設の利用料を補助する制度です。
助成対象は、都内在住の不登校の小・中学生の保護者。
条件を満たせば、月額2万円を上限に、通所型の不登校支援施設に通う費用が軽減される──そんな仕組みです。
一見すれば、「これで経済的な壁は取り除かれた」と思われるかもしれません。
しかし、現場の実態はまったく異なります。
当協会が東京都内の複数のフリースクールを調査したところ、通学している子どもは平均2〜3名程度。
つまり、制度は整っていても、多くの子どもたちはその“居場所”にすらたどり着けていないのです。
「行かない」のではなく、「行けない」。
その背景には、長期間の不登校によって昼夜逆転し、外に出る気力を失ってしまったり、
学校や友人との関係で傷ついた経験から「もう誰にも会いたくない」と心を閉ざしてしまったりする子どもたちの姿があります。
実際、文部科学省の統計でも、不登校児童生徒の55%以上が年間90日以上の長期欠席者です。
もはや一時的な休みではなく、「生活リズムの乱れ」や「社会的な孤立」が進行した“引きこもり予備軍”といっても過言ではありません。
保護者の中には、
「せっかく助成金があるのだから通わせたい」
「お金の問題ではなく、家から出ないのが一番つらい」
と悩む声が少なくありません。
本来、経済支援は“きっかけ”であるはずです。
しかし現実には、「お金があっても通えない」――。
それが、東京の不登校支援の現場でいま起きている静かな現実です。
助成金や制度が整っても、子どもが動けない――。
それは「やる気がない」「怠けている」からではありません。
支援の現場では、心と生活のバランスが崩れ、動きたくても動けない子どもたちが増えています。
ここでは、不登校・引きこもり支援40年の経験から見えてきた、
“通えない理由”を5つに分けて解説します。
① 睡眠リズムの崩壊と昼夜逆転(ステージ3)
不登校が長期化すると、まず生活リズムが乱れます。
「朝起きられない」「夜中までスマホやゲームをしてしまう」。
一見“怠け”に見えるこの行動も、実は心の防衛反応です。
昼間の外の世界(学校・社会)に対して不安や恐怖を感じるため、
無意識のうちに「夜」を安全な時間にしてしまうのです。
結果、昼夜逆転し、通学以前に朝起きることが難しくなります。
② ゲーム・スマホ依存(ステージ3〜4)
引きこもりのきっかけとして最も多いのが、ゲームやスマホへの過集中です。
「学校に行けない自分」を直視したくない心理から、
オンラインの世界に逃げ込み、“仮想の安心”を手に入れようとします。
ゲームをやめさせようと頭ごなしに叱っても、関係が悪化するだけです。
私たちは、まず「ゲームの世界が今のその子の居場所である」ことを理解し、
そこから“人とのつながり”を少しずつ現実に戻す支援を行っています。
③ 自信喪失とトラウマ(ステージ4)
いじめ、成績不振、教師とのトラブル…。
不登校の背景には、心に傷を負った経験が少なくありません。
「どうせ自分なんて」「行っても変わらない」といった諦めの言葉は、
本音ではなく“自分を守るための防衛反応”です。
こうした状態では、フリースクールやカウンセリングを紹介しても
「行きたくない」「話したくない」と拒否が強くなります。
心の回復を待つだけでは時間がかかりすぎます。
私たちは、訪問支援やピアサポートによって、「信頼できる人が一人いる」状態をつくることから始めます。
④ 親子関係の悪化・過干渉(ステージ4〜5)
親が良かれと思って声をかけても、
「うるさい」「放っておいて」と返されるケースが増えています。
保護者は焦りと不安から、つい「学校に行きなさい」「このままでどうするの」と言ってしまいがちですが、
子どもにとっては“追い詰められる言葉”になります。
実際、当協会への相談のうち約7割は「家庭内コミュニケーションの崩壊」を伴っています。
親が支援を受けることで対応が変わり、子どもの表情が和らぐ例も多く見られます。
「親を責めない」「子どもを焦らせない」――ここが最初の一歩です。
⑤ 発達特性・感覚過敏への理解不足(ステージ5)
ADHDやASDなど、発達特性を持つ子どもたちは、
教室のざわめきや他人の視線、時間のプレッシャーなどに強いストレスを感じます。
そのため、学校という環境自体が「苦手な場所」になってしまうのです。
一方で、家庭では安心できるため、外に出る動機が見えにくくなります。
ここに「自分はダメだ」「外の世界は怖い」という自己否定が重なり、
結果として部屋から出られなくなるケースが多いのです。
🔹まとめ:通えないのは「意志の問題」ではない
通えない子どもたちは、“甘えている”わけでも、“怠けている”わけでもありません。
不登校が長期化する中で、心と身体が「外に出ること自体が怖い」と感じるようになっているのです。
そのため、制度や助成金を整えるだけでは根本的な解決にはなりません。
必要なのは、家庭の中に手を差し伸べる支援――アウトリーチ(訪問支援)と親のコーチングです。
東京都の不登校問題は、年々深刻さを増しています。
東京都教育委員会が公表した最新の調査によると、
長期欠席者(30日以上の欠席)のうち「不登校」とされた児童・生徒数は、小学校で13,275人、中学校で18,451人。
いずれも前年より大幅に増加しており、小学校で+2,580人、中学校で+2,234人の伸びを記録しています。
● 不登校の出現率は過去最多水準
不登校の出現率は、小学校で2.21%、中学校で7.80%。
10年前には中学校で3〜4%台だったことを考えると、
東京都の中学生の約13人に1人が不登校という計算になります。
学校という仕組みの中だけでは、子どもを支えきれない現実が浮き彫りになっています。
● 学校復帰率も低水準──「戻れた」とは限らない
学校復帰率は、小学校で34.9%、中学校で27.9%と、
数字上はわずかに上昇しているものの、依然として7割以上が学校に戻れていない状況です。
また、「復帰」といっても、毎日通えている子ばかりではありません。
週1〜2日の登校や、別室登校、保健室登校など、
“名目上の復帰”にとどまるケースも少なくないのが実情です。
● 高校でも続く不登校・中退の連鎖
不登校の流れは高校にも及びます。
令和5年度の都内高校における長期欠席者は6,746人。
全日制では微減したものの、定時制で増加傾向にあります。
さらに深刻なのが中途退学者数2,081人という数字です。
全日制で1,091人、定時制で776人、通信制で214人。
高校進学後も、支援が届かないまま再び“引きこもり状態”に陥るケースが少なくありません。
● 不登校の「長期化」と「低年齢化」
近年特に顕著なのが、
「不登校の長期化」と「低年齢化」です。
文科省の統計では、全国的に見ても、90日以上登校していない長期不登校児が全体の55%を超える状況。
東京都でも同様の傾向があり、
一度学校から離れると、半年・1年単位で復帰が難しくなっています。
さらに、小学校低学年のうちから「学校が怖い」「疲れる」と訴える子も増え、
中学校に進む頃にはすでに外出への抵抗感が強いステージ3〜4に移行している例も珍しくありません。
● 数字の裏にある“見えない現実”
これらの統計は、「制度」や「学校」の枠内で見える数字にすぎません。
実際には、学校や公的機関のデータに含まれない“見えない不登校”が存在します。
たとえば、通信制高校に籍を置いているものの、実際には登校していない生徒。
また、家庭内で完全に閉じこもり、どの支援にもつながっていない子どもたち。
当協会への相談の中でも、
「フリースクールの存在は知っているが、うちの子は家から出られない」
「学校から紹介されたけど、本人が拒絶している」
という声が圧倒的に多く寄せられています。
● 行政支援の限界と次の課題
東京都の助成制度「フリースクール等利用者支援事業」は画期的な第一歩です。
しかし、制度の対象は“すでに外に出られる子ども”。
つまり、助成金が適用される段階まで行けない家庭には届きません。
この「制度の隙間」にいる子どもたちをどう支えるか。
そこにこそ、今求められているのが、
家庭訪問・オンライン支援・ピアサポートといった“外に出る前の支援”なのです。
東京都の助成制度が始まり、フリースクールや教育支援センターといった「居場所」は少しずつ整ってきました。
しかし、現場で支援に入ると、保護者の第一声は決まってこうです。
「行ける場所はあるのに、うちの子は部屋から出てこないんです」
助成金があっても、施設があっても、そこにたどり着けない子どもたち。
その数は、統計に表れる以上に多いのです。
● “行かない”のではなく、“行けない”
私たちが支援に入るとき、最初に保護者へお伝えするのは、
「お子さんは“行かない”のではなく、“行けない”状態にある」ということです。
長期の不登校を経験した子どもたちは、心と体が“外に出ること”を危険と感じています。
それは、動物が危険を察知して巣穴にこもるのと同じような防衛反応です。
外の世界に出ようとすると、心拍が上がり、頭が真っ白になり、
「行かなきゃいけない」「でも怖い」という葛藤で身動きが取れなくなる。
親が「頑張って行こう」「今日は行けるでしょ」と励ますほど、
子どもは「できない自分」に落ち込み、さらに扉を閉ざしてしまう――。
これが、当協会でいうステージ3〜5の典型的な状態です。
● 居場所の“段差”が高すぎる
フリースクールや教育支援センターは、確かに居場所として機能しています。
しかし、そこに行くためには「朝起きる」「電車に乗る」「人と会う」といった複数のハードルが存在します。
支援者にとっては当たり前の行動でも、
長期不登校の子どもにとっては、それが山登りのような負担になります。
「行きたい気持ちはあるけど、体が動かない」
「人の目が怖い。知らない人がいる場所は無理」
こうした言葉を、私たちは何度も耳にしてきました。
だからこそ、居場所を“作る”より先に、そこへ向かうための支援が必要なのです。
● 家の中が“安全地帯”であり、同時に“閉じ込める場所”になる
長期の不登校が続くと、家庭が子どもにとって唯一の安全地帯になります。
親や兄弟と過ごす時間、好きなゲームや動画――それらが「心の防波堤」になっているのです。
ところが、皮肉にもその“安全地帯”が、
やがて外の世界との断絶を強める「壁」になっていきます。
外に出るほどストレスが増し、
「外=怖い」「家=安心」という構図が完全に固定化してしまうのです。
この段階では、本人の意思だけでは動けません。
必要なのは、外から“安全な人”が家に関わること――。
つまり、家庭訪問やピアサポート(同世代の学生インターン訪問)によるアウトリーチ支援です。
● 「居場所」よりも先に必要なのは“関係”の構築
通学支援を行う際、私たちはいきなり「学校に行こう」「フリースクールに行こう」とは言いません。
まずは家庭訪問を通じて「話しかけても大丈夫な大人」として信頼を得るところから始めます。
1回の訪問で変わる子もいれば、3ヶ月かけてようやくドアが少し開く子もいます。
支援の本質は、「行く場所を用意すること」ではなく、「行ける心を育てること」。
この順序を誤ると、支援は形だけのものになってしまいます。
● “一歩踏み出した子ども”の変化は想像以上に大きい
一度でも外に出られるようになると、子どもたちはみるみる変わります。
外の空気、人との会話、ちょっとした達成感。
それらが、「もう一度やってみよう」というエネルギーに変わるのです。
ある男子中学生は、3ヶ月間の家庭訪問を経て、
「玄関の外に出て支援員と散歩すること」が最初の一歩でした。
その後、週1回のフリースクール通学を経て、
半年後には通信制高校へ進学。
今では、同じように悩む後輩の家庭訪問に“ピアサポーター”として参加しています。
● 結論:居場所は「ゴール」ではなく「通過点」
私たちは、フリースクールや学校復帰を“ゴール”とは考えていません。
居場所はあくまで「外に出るための通過点」であり、
その前にある「家庭支援」「関係づくり」こそが最優先です。
制度は整いました。
次に必要なのは、その制度を“使えるようにする支援”。
つまり、居場所へ行ける子を育てる支援なのです。
Y子さんが最初に不登校になったのは、中学2年の春でした。
原因は、学校での些細な人間関係のトラブル。
「行きたくない」と言い出した最初の1週間、母親は「少し休めば行ける」と信じていました。
しかし、その“少し”が10年という歳月になるとは、誰も想像していなかったのです。
● 中学2年から始まった「部屋の中の10年」
最初の1年は、家の中では笑うこともありました。
でも、だんだんと昼夜逆転が進み、家族との会話が減り、
次第にY子さんは自室から出てこなくなりました。
高校進学の話が出る頃には、
「どうせ私なんて」「今さら行けない」という言葉が口ぐせになり、
母親も「どうしてあげればいいのかわからない」と涙する日が続きました。
家族の誰もが“手を出せない静かな時間”――。
それが、Y子さんの10年間でした。
● 支援につながったきっかけは「親の一歩」
転機は、母親が当協会の無料相談に申し込んだことでした。
Y子さん本人ではなく、最初は母親がコーチングを受けたのです。
母親は「娘を変えたい」一心で相談に来ましたが、
私たちはまず、「親が“変えようとしない”ことが、最初の支援」だと伝えました。
子どもを責めず、見守るでもなく、“関わり方を整える”ことが第一歩です。
母親はそこから、
・「起きなさい」と言わない
・無理に話しかけず、短い言葉で“存在を伝える”
・感情的になりそうな時は一度席を離れる
という“関わりの練習”を始めました。
その変化が、やがてY子さんの心にも届いていきます。
● 家庭訪問支援とピアサポートが「外に出るきっかけ」に
母親の態度が変わり始めた頃、
私たちは家庭訪問支援をスタートしました。
初回はドア越しの挨拶だけ。
二回目も姿を見せず、声だけ。
でも、三回目には「どうも」と小さな声で返事が返ってきました。
その後、ピアサポートの学生スタッフが訪問に加わると、
Y子さんは少しずつ会話をするようになりました。
“年齢が近い存在”が、安心のきっかけになったのです。
半年後、Y子さんは「外の空気を吸ってみたい」と自ら玄関の外へ。
その一歩が、10年の引きこもりから抜け出す始まりでした。
● フリースクール、そして再スタートへ
外に出られるようになったY子さんは、
フリースクールに週1日から通い始めました。
最初は30分で疲れてしまい、すぐに帰宅する日もありましたが、
少しずつ滞在時間が延び、1年後には通信制高校へ進学。
通信制高校では、同じ経験を持つ仲間に出会い、
「自分だけじゃない」と感じることで自信を取り戻していきました。
その後、短期大学で保育を学び、保育士資格を取得。
現在は公務員として保育関連の職場で働いています。
● 母親の言葉:「あの頃の自分を責めなくてよかった」
Y子さんの母親は、支援を振り返ってこう語ります。
「あの頃、“なんで行けないの?”って何度も責めてしまいました。
でも、支援を受けて気づいたんです。娘は“行かない”んじゃなくて、“行けなかった”だけなんだと。
私が焦らず、信じて待てるようになった時、娘も少しずつ前を向いてくれました。」
Y子さんは今、かつての自分のように悩む子どもたちのために、
「外に出るきっかけを作る仕事がしたい」と話しています。
● 支援のポイントまとめ
● 結論:支援は「時間のかかる奇跡」
10年間の引きこもりを経て、社会に出るまでには数年を要しました。
それでも、支援を止めずに続けたことで、Y子さんは人生を取り戻しました。
彼女の物語は、「どんなに時間がかかっても、人は変われる」という希望そのものです。
そして、その希望のスタート地点はいつも、家庭の中にあります。
カイト君が不登校になったのは、中学1年のゴールデンウィーク明け。
クラスに馴染めず、ちょっとした出来事から「もう行きたくない」と口にしたのが始まりでした。
最初は母親も「少し休めば落ち着く」と思っていましたが、
その“少し”が、あっという間に“完全な引きこもり”へと変わっていきました。
6月には、部屋のドアを閉めきり、
食事も家族と一緒に取らず、会話もなくなりました。
昼夜逆転、無言、無反応。
母親は「どう声をかけても届かない」と涙を流し、
家庭の中に重たい空気が流れるようになっていきました。
支援を依頼されたのは、まさにその6月。
中学1年の梅雨の季節――
部屋にこもったまま動かない息子を前に、
母親が勇気を出して、当協会に電話をくれたのが始まりでした。
● 家族や支援員にエアガンを向けた日
初めて家庭訪問に伺ったとき、
部屋の奥から突然、「来るな!」という叫び声。
次の瞬間、カイト君はエアガンを構えて支援員を威嚇しました。
母親は震えながら「怖くてどうしたらいいか分からない」と泣き崩れました。
けれども、私たちはその行動を“攻撃”ではなく、
「自分を守るための防衛反応」と受け止めました。
怒りや反発の奥には、
「誰もわかってくれない」「どうせ自分なんか」という強い孤独があるのです。
● “怒り”の裏にある“助けて”のサイン
多くの保護者が「暴力的な子ども=支援は難しい」と感じます。
しかし、支援の現場で見えてくるのはその逆。
暴言や威嚇は、「かまってほしい」「見捨てないでほしい」というSOSの形なのです。
当協会のスタッフは、そんなカイト君に対して、
説得や注意ではなく「関わり」を続けることを選びました。
玄関先で短く「今日も来たよ」「また来るね」と声をかける。
反応がなくても、ただ通い続ける。
“言葉を届ける”のではなく、“存在を届ける”日々が続きました。
やがて3週間ほど経ったある日、
部屋の奥から小さな声で、彼が言いました。
「……なんで毎日来るの?」
それが、心のドアが開き始めた瞬間でした。
● 7ヶ月間の家庭訪問で少しずつ変化
支援開始から1ヶ月後、
カイト君はドア越しに「今日、天気いいの?」と話しかけてくれました。
それから少しずつ、
支援員とのやり取りが“敵対”から“対話”に変わっていきます。
訪問を重ねるうちに、表情に笑顔が戻り、
母親とも一言二言、会話を交わせるようになりました。
支援開始から7ヶ月後――
彼はついに「外に出てみようかな」と口にしました。
その一言が、引きこもり生活からの脱出の第一歩となりました。
● フリースクール→通信制高校→自衛隊へ
家庭訪問支援とピアサポート(学生スタッフの同行支援)を通じて、
カイト君は週1回の外出から始めました。
最初は支援員と近くのコンビニに行くだけ。
それが徐々に外出習慣となり、
半年後には週2回、フリースクールに通えるようになりました。
通信制高校に進学したころには、
「自分も何かに挑戦したい」と話すようになり、
筋トレを始め、生活リズムも整いました。
そして卒業後、彼が選んだ進路は――自衛隊入隊。
母親は驚きながらも、涙をこらえきれずにこう言いました。
「あのエアガンを持っていた子が、人を守る仕事を選ぶなんて…」
2024年の春、カイト君は立派に自衛官として旅立ち、
同年の卒業式では、後輩たちの前でこう語りました。
「俺も昔は誰にも会いたくなかった。
でも、毎日会いに来てくれる人がいたから、外に出ようと思えた。
“信じてみる”って、こんなに大事なんだって分かった。」
● 家族にも変化が生まれた
支援が進むにつれ、母親も変わっていきました。
以前は「早く学校に戻ってほしい」と焦っていた母親が、
今では「今日一言でも話せたらそれでいい」と言えるようになりました。
「息子を変えようとするより、私自身が変わることが大事だと気づきました。
支援員の方が毎週来てくれたことで、私も“ひとりじゃない”と思えました。」
母親の安心感が、カイト君の回復スピードを後押ししていたのです。
● 支援のポイントまとめ
● 結論:「諦めない人」がいるだけで、人は変われる
カイト君の変化は、特別な才能でも、奇跡でもありません。
ただ、“諦めずに関わる大人がいた”という、それだけのこと。
助成金で居場所を整えることも大切ですが、
その前に必要なのは、居場所に行けるまでの伴走支援です。
子どもが外に出るためには、“制度”よりも“関係”が先に必要なのです。
――「家から出ない」から「社会に貢献する」までの道筋
不登校や引きこもりは、ある日突然起きるわけではありません。
少しずつ生活が乱れ、気持ちが落ち込み、関係が切れていく——。
だからこそ、回復にも段階(ステップ)が必要です。
Y子さん(10年引きこもり→公務員)も、カイト君(中1引きこもり→自衛隊)も、
この7つの支援ステップを一歩ずつ進んで社会復帰を果たしました。
🟢 STEP1|【ステージ判定】現状を正しく見極める
最初の一歩は、「いま、どの段階にいるのか」を正確に把握することです。
当協会では、不登校・引きこもりの状態を以下の5段階に整理しています。
ステージ | 状況 | 主な課題 |
1 | 登校しぶり・体調不良を訴える | 不安・緊張・生活リズムの乱れ |
2 | 完全不登校 | 学校への拒否感・家庭での孤立 |
3 | 家にこもる(中度) | 昼夜逆転・ゲーム・動画依存 |
4 | 外出拒否・引きこもり(重度) | 家族への暴言・無反応・情緒不安定 |
5 | 閉鎖的・無気力状態 | 希死念慮・目的喪失・完全閉鎖 |
このステージ判定を誤ると、支援は逆効果になります。
たとえば、ステージ3以上の子どもに「学校へ行こう」と声をかけても動けません。
それどころか、「また怒られた」「どうせ自分はダメだ」と心を閉ざしてしまいます。
まずは、「生活」・「気持ち」・「関係」のどこが滞っているのかを見極めることが、最初の一歩です。
そして、もし完全な引きこもり(ステージ3以上)に至っているなら、
家庭だけで抱えず、専門家に任せる他ありません。
いま、日本の引きこもり人口は146万人を超えています。
これは50人に1人という割合。
「うちの子だけ特別」ではなく、もはや社会全体の課題です。
放置すれば、年齢が上がるほど回復は難しくなります。
“ヤバイ”と思ったその時こそ、行動のタイミングです。
🟡 STEP2|【親のコーチング】家庭の空気を整える
引きこもり支援の第一歩は、子どもではなく親の関わり方から始まります。
多くの保護者が「どう声をかければいいかわからない」「怒ってはいけないと思うけど我慢できない」と悩みます。
当協会では、親ができることを3つに整理しています。
親が落ち着き、家庭の空気が変わると、子どもは安心を取り戻します。
その安心が、次の行動の原動力になります。
🔵 STEP3|【家庭訪問支援】外に出るきっかけをつくる
ステージ3以上の子どもは、外に出ること自体が恐怖です。
この段階で大切なのは、「言葉」よりも「存在」で寄り添うこと。
当協会の家庭訪問支援では、
という形で“関係を切らさない”支援を続けます。
その小さな積み重ねが信頼を育て、
「また来てくれた」という安心感が、やがて「外に出てみようかな」という変化を生みます。
🟣 STEP4|【生活改善合宿・学生寮】リズムを取り戻す
外出ができるようになった次の課題は「生活の乱れ」です。
昼夜逆転、不規則な食事、スマホ依存――これらは再登校や就労の妨げになります。
当協会では、八王子にある「日の出太陽の家」で生活改善合宿を実施。
規則正しい起床・就寝・食事のリズムを整え、
仲間と共に過ごすことで“自律の感覚”を取り戻します。
一人では変えられない生活も、環境が変われば変われる。
これは40年以上の支援現場で繰り返し実証されてきた事実です。
🟤 STEP5|【学び直し】学力と自信を回復する
生活リズムが安定したら、次は“学び直し”です。
多くの子どもは、「勉強=自分を責められるもの」として避けてきました。
通信制高校やサポート校、フリースクールなど、
自分のペースで学べる環境で「できた!」という成功体験を重ねます。
学びは点数のためではなく、自信を取り戻すためのプロセス。
この成功体験が「次に挑戦してみよう」という意欲を生みます。
🔴 STEP6|【アルバイト・インターン】社会との接点をつくる
勉強や生活が整った子どもたちは、少しずつ「働く」ことに関心を持ち始めます。
当協会では、学生インターンによるピアサポート(同世代支援)や、
地域でのアルバイト体験を通して、社会との接点を広げます。
「ありがとう」と言われる経験は、何よりの自信になります。
自分が“誰かの役に立てる”という感覚は、自己肯定感を飛躍的に高めます。
🟠 STEP7|【社会貢献・自律支援】支えられる側から、支える側へ
最終段階は「自律」そして「社会参加」です。
ここまで来た子どもたちは、自分で進路を選び、未来を描けるようになります。
公務員、大学進学、就職、留学――形はさまざまですが、
共通しているのは「自分の力で決めた」という誇りです。
かつて支援を受けていた子どもたちが、今は後輩を支える立場になっています。
「自分も助けてもらったから、今度は誰かを助けたい。」
この循環こそが、社会の希望であり、支援のゴールです。
まとめ:制度よりも、“関係”が人を動かす
助成金や制度は確かに大切です。
しかし実際に子どもを動かすのは、制度ではなく“人との関係”です。
どんなに制度が整っていても、「家から出られない子」には届きません。
だからこそ、まずは家庭の中で、そして専門家と一緒に、
“関係をつなぎ直す支援”を始めましょう。
今、動くべき理由
日本の引きこもり人口は146万人。
その多くが「最初の半年、誰にも相談できなかった」家庭です。
しかし、当協会の支援を受けた家庭の9割以上が社会復帰を実現しています。
「もう無理かも」と感じたときこそ、始めるチャンスです。
どうか一人で抱えず、専門家にご相談ください。
📩 まずは30分の無料個別相談から
お子さんの状態を丁寧にヒアリングし、ステージ判定をもとに最適な支援をご提案します。
「うちの子も変われるかもしれない」——その一歩を、私たちは全力で支えます。
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次章では、東京都の助成金制度と、現場で見えてきた「通えない子どもたち」の実態をもとに、
制度と現場のギャップ──“助成だけでは救えない”理由を解説します。
――助成金や制度だけでは、子どもは動けない
「行政の制度があるなら安心ですね」
そう話す保護者の方が少なくありません。
確かにここ数年、国や自治体でも“不登校・引きこもり対策”が次々と発表され、ニュースでも「支援の拡充」が報じられるようになりました。
しかし——現場で子どもたちと向き合っている私たちから見ると、
「制度はあるのに、救われない家庭」があまりにも多いのです。
なぜそうなるのか? その理由を、実際の現場からお伝えします。
1. 制度は「動ける人」向けに作られている
多くの行政支援は、「本人が自分で窓口に行ける」ことを前提に設計されています。
ところが、当協会に寄せられる相談の約8割は、ステージ3以上——つまり、外出もできない段階です。
例えば「若者サポートステーション」や「地域若者支援センター」などは、
登録のために本人が来所する必要があります。
でも、引きこもり状態の子どもにとって「外に出て知らない人と話す」ことは、
そもそも最初の壁なのです。
結果として、支援が届くのは「すでに動ける人」ばかり。
本当に助けを必要としている家庭ほど、制度の“外側”に取り残されてしまうのです。
2. 制度は「生活の再建」までは見ていない
行政の支援はどうしても「進学」「就労」にフォーカスされがちです。
しかし、引きこもり支援の現場で最も大切なのは、
その前段階の「生活リズム」「人との関係」「自己肯定感」の立て直しです。
たとえばY子さん(10年引きこもり→公務員)のケースでは、
最初の半年は“外に出る”ことではなく、“昼夜逆転を直す”ことが目標でした。
行政制度では評価されない、地道な積み重ねです。
でも、こうした「時間をかけた支援」こそが、再出発の土台をつくるのです。
制度がそこまで手を伸ばせない今、民間の支援現場がその穴を埋めているのが現実です。
3. 制度ではつくれない“人との信頼関係”
カイト君(中1不登校→引きこもり→自衛隊入隊)のケースが象徴的でした。
行政窓口では「本人が来ないと相談は受けられません」と言われ、家庭は孤立。
しかし、当協会の支援員が家庭訪問を続けるうちに、
彼は「この人なら話してもいい」と、少しずつ心を開いていきました。
最初の訪問から7か月後、彼は自分の意思で外に出て通信制高校へ進学。
やがて自衛隊に入隊しました。
行政の支援は「制度」ですが、
子どもが動くのは「信頼関係」が生まれたときです。
支援の根幹は、人と人との関わりにしかありません。
4. 「点」ではなく「線」で支援をつなぐ必要がある
行政の支援は“点”で終わることが多く、
「相談に行った」「助成金をもらった」で止まってしまいがちです。
しかし、引きこもり支援は継続的な“線”の支援がなければ成果が出ません。
一度学校に戻れても、油断すると再び不登校に戻るケースも珍しくありません。
当協会では、
「生活改善 → 学び直し → アルバイト → 社会貢献」
という7つの支援ステップで、継続的なフォローを行っています。
一度立ち直った子が、再び引きこもらないようにするためです。
5. 行政と民間が“競う”のではなく、“組む”時代へ
私たちは行政を批判したいのではありません。
むしろ、これからは行政と民間が手を取り合うべき時代です。
東京都ではすでに、「学校外の学びの場・相談会」など、
行政と民間団体が連携する事業が始まっています。
当協会もその一部に協力し、学校・家庭・地域をつなぐ仕組みづくりを進めています。
行政は“制度”を整え、民間は“現場”で支える。
それぞれの強みを生かすことで、
ようやく「どんな家庭にも支援が届く社会」に近づけるのです。
6. “制度に頼る安心”から、“行動する勇気”へ
助成金や制度は心強いものです。
でも、それだけでお子さんが動けるわけではありません。
変化はいつも、「家庭の中から」始まります。
親御さんが一歩踏み出すことで、子どもは少しずつ前を向きます。
どうか、「誰かが何とかしてくれる」ではなく、
「一緒にやっていこう」という姿勢を持ってください。
私たちは、その第一歩を全力でサポートします。
📩 今すぐできること
・ステージ判定でお子さんの状態を知る
・親のコーチングで関係を整える
・専門家と一緒に、訪問・合宿・学び直しを計画する
これらを実践するだけで、現状は確実に動き出します。
どうか一人で悩まず、ご相談ください。
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――子どもが「動き出す前」に見せる小さな兆しとは?
子どもが引きこもりから立ち直るとき、
実は“劇的な瞬間”があるわけではありません。
ほとんどの場合、小さな変化の積み重ねが、ある日ふっと「行動」へとつながります。
私たちは40年以上、1万人以上の子どもたちを支援してきましたが、
“変わる子ども”には共通の「サイン」があります。
そのサインを見逃さないことが、家庭でできる最大の支援です。
1. 会話が「拒否」から「反応」へ変わる
引きこもり初期の子どもは、親が何を言っても「うるさい」「関係ない」と返してきます。
でも、ある日、短くても反応するようになります。
たとえば——
こうした短い返事でも、“反応してくれた”というのが大きな一歩です。
Y子さん(10年引きこもり→公務員)も、最初は完全に無視でしたが、
支援員が毎週訪ねて声をかけ続けるうちに、
「今日は来るの遅かったね」と言ったのが、最初の変化でした。
親が焦って「それなら学校行こう」と言わず、
“返事が返ってきた”こと自体を受け止める——
これが第一のサインです。
2. 身だしなみや部屋の様子が少しだけ変わる
次に見られるのは、「生活空間」への小さな変化です。
布団を整える、カーテンを開ける、髪を洗う——
そんな些細な行動にこそ、自己回復の兆しがあります。
カイト君(中1不登校→自衛隊入隊)も、
最初は布団の中から出てこない状態(ステージ4)でした。
しかし、家庭訪問を重ねていくうちに、
ある日、支援員が「部屋に入っていい?」と声をかけると、
彼は「ちょっと待って」と言って布団を整えたのです。
この「ちょっと待って」が大切。
他者を迎える準備ができた瞬間——
それが、社会とのつながりを取り戻す第一歩でした。
3. ゲーム・動画の“使い方”が変わる
多くの保護者が「ゲームばかりしていて心配」と言います。
けれども、実はゲームや動画の中にも“変化のサイン”があります。
・ひとりで黙々とやっていた子が、友達やオンライン仲間と話すようになる
・見るだけだった動画から、「作る側」に興味を持ち始める
・ゲームを通して「誰かを助けたい」と思い始める
これらはすべて、外の世界への興味の回復です。
リョウタ君(不登校→航空自衛隊)も、最初は一日中ゲーム漬けでしたが、
「自衛隊の訓練動画」に関心を持ったことが、再出発のきっかけでした。
ゲームを“逃げ道”から“興味の窓”へと変える視点を、
親が持てるかどうかが分岐点になります。
4. 「家族以外の大人」との接触を受け入れる
ほとんどの成功例に共通するのが、“家族以外の信頼できる大人”の存在です。
親の言葉は届かなくても、第三者の支援員・ピアスタッフ・寮の先輩の声なら届くことがあります。
N君(2年引きこもり→カナダ留学→農業大学)も、
最初は家族には一言も話しませんでしたが、
家庭訪問で同年代のスタッフが来るようになってから、
「その人なら話す」と心を開きました。
親が「誰なら話せるか」を見極め、
本人が受け入れられる関係を作ることが、回復の決定打になります。
5. 自分から「やってみようかな」と言う瞬間
これは、支援のゴールではなく“本当のスタートライン”です。
「散歩してみようかな」「オンライン授業だけ出てみようかな」
そんな一言が出たとき、支援の方向性を間違えないことが大切です。
ここで親が「そう!その調子!」「やっとだね!」と喜びすぎると、
子どもはプレッシャーを感じて再び引きこもってしまうことも。
正解は、“静かに見守りながら支援者につなぐ”こと。
行動の火種を大きくするのは、家庭と専門家の二人三脚です。
6. 「変化のサイン」を見逃さないために
変化のサインは、どれもほんのわずかです。
けれども、その小さな変化を大人が“正しく見つける”ことができれば、回復の道は開けます。
ステージ判定で言えば、
ステージ3(生活リズムの乱れ)からステージ2(不登校継続)へ戻ること。
それだけでも、再び学校や社会へつながる可能性が生まれます。
大切なのは、「まだ変わっていない」と嘆くのではなく、
“少しずつ変わっている”ことに気づいてあげることです。
7. 親の行動が、子どもの変化を早める
私たちの支援で回復が早い家庭には、共通点があります。
それは「親が先に動いた家庭」です。
親が支援を受け、生活の声かけ・接し方・言葉の選び方を変えることで、
家庭の空気が変わり、子どもが安心できる空間になります。
「子どもが動いたら考える」ではなく、
「親が動くから子どもも動ける」——
それが、成功する家庭の共通点です。
8. 成功事例の裏にある“積み重ね”
どの子も、最初から順調に変わったわけではありません。
Y子さんもカイト君も、途中で投げ出しそうになった時期がありました。
それでも、「信じてくれる大人」がいたことが、何よりの支えになりました。
支援とは、“奇跡”ではなく“継続”です。
どんなに小さな一歩でも、積み重ねれば確実に前へ進めます。
まとめ|“サイン”を見つけたら、すぐに支援へつなげよう
お子さんが「話しかけに反応した」「夜が少し早くなった」「笑顔が戻った」——
それが、最大のチャンスです。
そのタイミングを逃さず、専門家へつなげてください。
支援のプロが関わることで、
その小さなサインは“確実な変化”に変わります。
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――「うちの子も、まだ変われる」と思えた日
結論から言います。
不登校・引きこもりの子どもたちは、必ず変われます。
ただし、その“変化”は、焦りや説得からは生まれません。
「理解」「関係」「行動」がそろったときに、初めて回復のスイッチが入ります。
私たちが40年以上、1万人以上の子どもたちと向き合うなかで見てきたのは、
“誰にでも変化のチャンスがある”という現実です。
では、どんな道のりを経て、笑顔が戻っていくのでしょうか。
1. 「受け止める」ことから始まる
最初のステップは、“行かせる”ことではなく、“受け止める”ことです。
多くの親御さんは「なぜ行けないの?」「どうしてやる気がないの?」と問い詰めがちですが、
子どもにとってそれは「責められている」と感じる言葉になります。
まずは、「行けない理由があるんだね」と受け止める。
その一言が、心の扉を開く鍵になります。
カズキ君(中高一貫校→不登校→公務員)は、
家庭内暴力まで発展していましたが、母親が「怒るのをやめた日」から、
少しずつ表情が和らぎ、やがて通信制高校への転校を受け入れました。
怒りを手放し、共感を持つ——それが笑顔の第一歩です。
2. 「生活」を整えると、心が整う
不登校・引きこもりの支援で最も大切なのは、生活リズムの回復です。
睡眠・食事・会話・外気に触れる時間——
この4つを取り戻すだけで、子どもは確実に安定します。
タツマ君(中1不登校→大学→公務員)は、
最初の3か月間、朝起きる練習だけに集中しました。
外出も勉強も、最初は後回し。
けれども、朝の散歩が習慣化したことで体調が安定し、
やがて通信制高校→大学→公務員という道を歩みました。
「心を変える」よりも、「生活を変える」。
それが、現場の確かな実感です。
3. 「人との関わり」が再出発のエンジンになる
次に大切なのは、人との再接触です。
人は誰かと関わることで、自分を取り戻します。
たとえば、家庭訪問での1時間の雑談、
ピアサポートで同世代が訪ねてきてくれる時間、
それだけで表情が変わる子がいます。
G君(高校中退→美大合格)も、8か月間の引きこもりから抜け出したきっかけは、
訪問してくれた大学生スタッフの存在でした。
「同じように悩んでた人がいた」と知った瞬間、
彼は“自分だけじゃない”と感じ、フリースクールに通い始めたのです。
孤立から再接続へ。
支援とは、人と人が再びつながるための橋渡しです。
4. 「できた」経験が自信をつくる
笑顔を取り戻すには、「成功体験」が必要です。
ただし、ここでいう成功は「テストの点」ではありません。
「起きられた」「話せた」「手伝えた」——
こうした日常の中の“できた”の積み重ねが、自信の源です。
当協会の合宿プログラム「日の出太陽の家」では、
朝の掃除や食事づくりなど、日常の共同生活を通して、
「自分にもできる」という感覚を取り戻します。
Y子さん(10年引きこもり→公務員)も、
最初の合宿で「料理当番を最後までやりきれた」ことが転機になりました。
それが、保育士資格取得→公務員就職という未来への第一歩になったのです。
5. 「笑顔」は、ゴールではなくスタート
私たちが支援現場でよく言う言葉があります。
「笑顔はゴールではなく、スタートだ」ということです。
一度笑顔を取り戻した子でも、また落ち込むことはあります。
でも、笑顔を取り戻した経験があれば、立ち直る力も持っています。
S君(中2暴力→引きこもり→大学進学)も、
包丁を振りかざすほど荒れていた時期を経て、
「自分の未来を諦めない」と決意したとき、
最初に見せた笑顔は“泣き笑い”でした。
その笑顔が、すべての再出発の原点です。
6. 支援の力×家庭の力=回復の確率が9割を超える
私たち一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会の支援成功率は、9割以上。
これは偶然ではありません。
「家庭」と「支援」が連携することで、回復スピードは格段に上がるからです。
親が孤立せず、支援者と一緒に考えることで、
お子さんの表情は必ず変わります。
そしてその先には、「笑顔の家族時間」が戻ってきます。
7. 行動を起こすのは“今”です
不登校や引きこもりは、時間が経つほど深刻化します。
「来年になったら」「もう少し様子を見て」——
その間にも、生活リズム・学習・自信が失われていきます。
でも逆に言えば、“今”動けば間に合うということ。
私たちは何度も、10年引きこもった子が立ち直る姿を見てきました。
だからこそ、断言できます。
「どんなに長くても、諦めなければ変われる」
——それが、支援現場40年の結論です。
結び|子どもが笑うと、家庭が笑う
子どもが笑うと、家庭が明るくなります。
家庭が明るくなると、子どもはさらに前を向きます。
支援とは、その“笑顔の循環”を取り戻すことです。
どうか、「うちの子も、まだ笑える」と信じてください。
私たちは、その一歩を一緒に歩みます。
📣 今後のイベント・支援プログラムのご案内
🗓 10月12日(日)13:00〜14:30|Zoom講演会
テーマ:不登校とひきこもりの違い 〜 対応の“順番”で未来が変わる〜
講師:杉浦孝宣(支援歴40年)・大倉星耶(中級ひきこもり予防士)
参加費:1,000円(税込)
▶ お申込み:https://x.gd/iYpfh MOSHフォームにて受付
全国どこからでもご参加いただけます。保護者・教育関係者歓迎。
🏕 10月24日(金)〜28日(火)|生活改善合宿 in 八王子「日の出太陽の家」
対象:生活リズムが乱れ、引きこもり傾向のある中高生
内容:規則正しい生活・共同炊事・自然体験・面談サポート
費用:67,400円(税込)
主催:認定NPO法人 高卒支援会/共催:一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会
📩 今すぐできること
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参考・関連リンク
📘 書籍:『不登校・ひきこもりの9割は解決できる』(実務教育出版)
🎥 YouTube:pivot出演回【前編】【後編】再生40万回突破
🌐 一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会
📍 東京都中央区銀座1丁目12-4 N&E BLD.6F