引きこもり高校生が動き出した理由|40年の支援現場から見えた条件

引きこもり高校生が動き出した理由|40年の支援現場から見えた条件

「このままで大丈夫なのか…」

部屋にこもったまま、ほとんど出てこない引きこもり高校生を前に、そう感じていませんか。

・高校進学後に不登校になり、そのまま引きこもりに近い状態が続いている
・通信制高校には在籍しているが、実質は家から出られない状態
・昼夜逆転、ゲーム・動画漬けの毎日で、生活リズムが崩れている
・声をかければ不機嫌になり、親は何をしていいかわからなくなっている

実はこれは、非常に多くのご家庭がたどる共通パターンです。

そして重要なのは――

引きこもり高校生は、ある「条件」がそろったときに動き出す一方で、その条件を外してしまうと簡単に長期化してしまうという事実です。

この記事では、40年以上・1万人以上の不登校・引きこもり支援を行ってきた
一般社団法人 不登校引きこもり予防協会 の現場から、

  • なぜ高校生が引きこもりになるのか
  • なぜ「見守るだけ」では回復しないのか
  • 実際に動き出した引きこもり高校生に共通していた条件
  • 親が今すぐできる「次の一手」

を、動画の内容も踏まえて実例ベースでわかりやすく解説します。

なお、実際に10年の引きこもりから社会に出た高校生・若者も含めた成功事例は、こちらでまとめて紹介しています。
動き出した16の成功事例
https://yoboukyoukai.com/seikou14/


目次

第1章|引きこもり高校生は突然生まれたわけではない

結論から言うと、引きこもり高校生の多くは“いきなり”そうなったのではなく、グラデーションの中で状態が悪化しています。

典型的な流れは、次のようなものです。

  1. 中学〜高校のどこかで「学校に行きづらい」「休みたい日」が増える
  2. 欠席や遅刻・早退が増え、保健室登校・別室登校になる
  3. やがて完全な不登校となり、教室から離れる時間が長くなる
  4. 生活リズムが崩れ、昼夜逆転・ゲームや動画の時間が増える
  5. 外出・友人関係・家族との会話が減っていく
  6. 徐々に「引きこもり」と呼べる状態に近づいていく

この間、親御さんの頭の中では、こんな言葉が渦巻いているはずです。

  • 「今は休ませた方がいいのかもしれない」
  • 「無理やり学校に行かせたら、もっと悪化するのでは?」
  • 「そのうち自分から動き出してくれるかもしれない」

こう感じるのは、とても自然なことです。親として、子どもを追い込むようなことはしたくありません。

しかし、その一方で「待っているだけ」で悪化が進んでしまうケースも少なくないのが現場の実感です。

ステージ判定で「今どこにいるのか」を見える化する

当協会では、不登校〜引きこもりの状態を5段階のステージで整理しています。

  • ステージ1:欠席が増え始めた初期不登校(友人や先生とのつながりはまだある)
  • ステージ2:完全不登校だが、家族や友人、オンラインゲームなど人との接点はある
  • ステージ3:昼夜逆転・生活リズムの乱れが定着し、外出がほとんどなくなる
  • ステージ4:家庭内の会話も減り、親が部屋に入ることすら難しくなる
  • ステージ5:強い引きこもり(半年以上継続)で、学齢期を過ぎると大人の引きこもりへ移行

高校生の引きこもりは、多くがステージ3〜4にあたります。この段階で何も手を打たないと、あっという間にステージ5(大人の引きこもり予備軍)へ移行してしまいます。

ステージ判定の考え方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
不登校対応の迷いをなくす!親が知っておきたい5段階ステージ判定
https://yoboukyoukai.com/5stage/


第2章|なぜ「見守るだけ」では引きこもりは回復しないのか

もちろん、心身ともに消耗しきっている子どもにとって休養は絶対に必要です。

問題は、「休ませる」ことがいつの間にかゴールになってしまうことです。

次のような状態が続いていないでしょうか。

  • 起きる時間が日によってバラバラ(昼過ぎ〜夕方)
  • 予定は何もなく、1日のほとんどをスマホ・ゲーム・動画で過ごしている
  • 家族以外の人との会話や関わりがほぼゼロ
  • 「できた」という達成感や成功体験を感じる場がまったくない

この状態が続くと、引きこもり高校生の中で「動かない自分が当たり前」になってしまいます。

その結果、

  • 「今さら学校や社会に戻れない」という諦め
  • 「外に出るくらいなら、このままでいい」と感じてしまう気持ち
  • 親からの声かけさえ負担に感じる過敏さ

が強くなり、引きこもりは簡単に長期化してしまいます。

つまり、「見守るだけ」では悪化のスピードを少しゆるめているだけで、根本的な解決にはつながりにくいのです。

「見守るだけではなぜダメなのか?」については、こちらの記事でもより詳しく取り上げています。
見守るだけでは子どもの“社会復帰”はムリ…不登校支援の現実
https://yoboukyoukai.com/見守るだけでは子どもの社会復帰はムリ…


第3章|通信制高校に通っていても引きこもる理由

ここ数年、特に多いのが次のようなご相談です。

「全日制高校をやめて通信制高校に転校しました。でも、家から出られないままで、引きこもり状態が続いています……」

通信制高校やサポート校は、本来とても価値のある選択肢です。合う子にとっては、再スタートの大きなきっかけにもなります。

しかし現場では、こんな状態になっているケースも少なくありません。

  • 在籍はしているが、レポートがほとんど出せていない
  • 登校日やスクーリングの日も行けず、先送りが続いている
  • 学校や先生、友達とのつながりがほぼゼロ

なぜ、こうなってしまうのでしょうか。

理由はシンプルで、「学びの場」を変えただけでは、生活・人間関係・自己肯定感が整っていない限り、動けるようにはならないからです。

通信制高校は「学び直し」の選択肢であって、

・生活リズムを立て直す場
・社会生活のリハビリをする場

までを、すべて面倒見てくれるとは限りません。

通信制高校と引きこもりの関係については、こちらの記事も参考になります。
通信制高校は解決になる?不登校1年の子に必要な7つの支援ステップ
https://yoboukyoukai.com/通信制高校は解決になる?…


第4章|引きこもり高校生が動き出した家庭に共通する3つの条件

では、実際に引きこもり高校生が動き出した家庭には、どのような共通点があったのでしょうか。

40年の支援現場から見えている3つの条件は、次の通りです。

条件1|家庭の外に「安心できる第三者」が入った

親でも先生でもない、子どもが本音を話しやすい第三者の存在は非常に大きな意味を持ちます。

  • 家庭訪問で、部屋の前から短い声かけを続ける
  • ゲームやアニメ、趣味など共通の話題から雑談を始める
  • 「学校に行くかどうか」ではなく、「これから何をしてみたいか」の話をする

こうした関わりが続く中で、子どもは少しずつ、

「この人になら話してもいいかもしれない」

と感じ始めます。ここが最初の一歩です。

条件2|生活リズムの立て直しから始めた

学校や進路の話をする前に、まず「起きる・食べる・寝る」を整えることから始めます。

  • 起床時間を、昼から午前中へと少しずつ前倒しする
  • 夜中のゲーム・動画時間を、いきなりゼロではなく「少し短く」していく
  • 朝・昼・晩の食事を、一緒にとれるタイミングを増やす

生活が整って初めて、子どもは「外に出る」「人と会う」エネルギーを持てるようになります。

条件3|親が「待つ役割」から「整える役割」に変わった

動き出したご家庭に共通するのは、親御さんが「ただ見守るだけの人」から「環境を一緒に整える人」へと変わっていることです。

  • 怒鳴る・説得する・他の子と比べる、を意識して手放した
  • 「できていないこと」よりも、「今できている小さなこと」に注目して声をかけるようにした
  • 家庭だけで抱え込まず、外部の支援者とチームを組むことを決めた

この親側の変化によって、子どもは「もう責められないかもしれない」「少し動いても大丈夫かもしれない」と感じられるようになります。

これらの条件は、実際に引きこもり高校生が動き出した成功事例にも共通しています。
中高生の引きこもりに悩む親必見!成功事例から学ぶ対処法16選
https://yoboukyoukai.com/seikou14/


第5章|10年引きこもりから社会に出た実例

当協会の支援では、次のような再出発の例が数多く生まれています。

  • 中2で不登校 → 約10年引きこもり → 通信制高校 → 短大 → 保育士 → 公務員
  • 高校中退 → フリースクール・通信制高校で学び直し → 美大合格 → IT企業へ就職
  • 中1不登校 → 家庭訪問でゲームから関係づくり → 通信制高校 → 自衛隊

「ここまで戻れるのか…」と感じられるかもしれませんが、これは特別な一部の子だけの話ではありません。

中でも、10年間の引きこもりから動き出したY子さんの軌跡は、多くの親御さんに希望を与えています。
「見守る」は本当に正しい?10年の引きこもりから脱出したY子さんの軌跡
https://yoboukyoukai.com/「見守る」は本当に正しい?…

その他にも、多くの引きこもり高校生・若者が通信制高校・フリースクール・合宿・寮生活などを経て社会に出ていきました。
引きこもり高校生が動き出した16の成功事例まとめ
https://yoboukyoukai.com/seikou14/


第6章|引きこもり高校生に必要な「7つの支援ステップ」

当協会では、引きこもり高校生の支援を、次の7つの支援ステップで整理しています。

  1. ステップ1|ステージ判定(現状の可視化)
    不登校〜引きこもりの段階を1〜5で整理し、「今どこにいるのか」を親子・支援者で共有します。
  2. ステップ2|親のためのコーチング
    親御さんの不安や迷いを整理し、声かけや関わり方のコツを学びます。家庭内の空気を整えることが目的です。
  3. ステップ3|家庭訪問支援
    子どもと相性の良い支援者が自宅に訪問し、雑談やゲームなどから信頼関係をつくっていきます。
  4. ステップ4|生活改善合宿・学生寮
    生活リズムのリセットと自立の練習を、合宿や寮生活を通じて集中的に行います。
  5. ステップ5|学び直し(通信制高校・フリースクール等)
    その子に合った学びの場を選び、高校卒業や進学を目指します。
  6. ステップ6|アルバイト・インターン
    社会と小さくつながる経験を重ね、「働ける自分」「役に立てる自分」を取り戻します。
  7. ステップ7|社会貢献・自律支援
    公務員・企業就職・地域活動など、その子なりの社会参加の形を一緒に描いていきます。

ここで大切なのは、「親の学び(コーチング)」と「子どもの実動支援」を両輪で進めるという考え方です。

オンライン相談だけで見守るのではなく、家庭訪問・寮・合宿・ピアサポートなど“現場で動く支援”を組み合わせることで、引きこもり高校生でも再出発の可能性は大きく高まります。


第7章|親が今すぐできる「次の一手」

最後に、親御さんが今日からできることを整理します。

  • 「このままで大丈夫なのか?」という不安を、一人で抱え込まないと決める
  • 子どもの前で、きょうだいや他人と比べる言葉をできるだけ手放す
  • できていないことではなく、「今日これだけはできた」という小さな行動に目を向けて声をかける
  • 家庭の外に、安心して相談できる専門家・機関を一つ持つ
  • 本人が今は動けなくても、まずは親だけで相談を始める

引きこもり高校生の支援は、「親が悪い」「子どもが悪い」という話ではありません。

必要なのは、

  • 今どのステージにいるのかを知ること
  • 親が一人で抱え込まないこと
  • 家庭だけでは難しい部分を、外部の力と組んでいくこと

この3つだけです。


■ 無料相談のご案内|「このままで大丈夫なのか…」と感じたら

「このままで大丈夫なのか…」と一度でも感じたら、今の段階で相談してください。

引きこもり高校生は、完全に動けなくなってからでは選択肢がどんどん狭まってしまいます。

  • 保護者のみの相談でOK(本人が動けなくても大丈夫です)
  • 全国対応(オンライン相談)
  • 初回無料で状況を整理できます

今の状態に合った「次の一手」を、一緒に整理していきましょう。

不登校・引きこもり 無料相談(一般社団法人 不登校引きこもり予防協会)
https://yoboukyoukai.com/soudan/


まとめ|引きこもり高校生は「支援の順番」で変わる

引きこもり高校生は、

  • 甘えているだけでもなく
  • 怠けているだけでもなく
  • 決して「手遅れ」でもありません。

必要なのは、

  • 今どのステージにいるのかを知ること
  • 親御さんが一人で抱え込まず、外部とチームを組むこと
  • 生活 → 人間関係 → 学び → 社会参加という「支援の順番」を踏むこと

この3つだけです。

そして、その第一歩は、親御さんが「相談してみよう」と決めることから始まります。

お子さんの未来のために、そして親御さん自身の心を守るために、どうか一人で背負わないでください。私たちは、いつでも伴走します。

引きこもり高校生が動き出した16の成功事例
https://yoboukyoukai.com/seikou14/

今の状態を整理したい方の無料相談はこちら
https://yoboukyoukai.com/soudan/

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