
40年以上の指導歴と不登校・ひきこもりの
9割を立ち直らせた解決力
まずは30分無料相談へ

40年以上の指導歴と不登校・ひきこもりの
9割を立ち直らせた解決力
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中学生や高校生が学校に行けなくなったとき、多くの保護者が口にする言葉があります。
「今は無理をさせず、見守るしかないですよね」──。
その言葉には、わが子を思う優しさと同時に、「どうしていいか分からない不安」が隠れています。
しかし、40年以上にわたり不登校と引きこもりの支援を行ってきた私は断言します。
「見守るだけ」では、子どもは変わりません。
むしろ、親が動かない時間が長引くほど、子どもは社会との距離を深めてしまうのです。
実際に、中学2年で不登校となり、そこから10年間引きこもったY子さんがいました。
ご家庭は「本人の気持ちが整うまで待とう」と静かに見守っていました。
しかし、その“優しい見守り”は、結果的に「孤立の固定化」へとつながっていったのです。
不登校の背景には、本人の怠けや甘えではなく、「どうしたらいいか分からない混乱」があります。
学校に行けない自分を責め、周囲の視線を恐れ、次第に家の中に閉じこもる。
そのとき、外からの小さな働きかけがなければ、
心はどんどん内側に固まっていきます。
親が「見守るだけ」で声をかけなくなると、
「自分はもう誰にも必要とされていない」と感じるようになります。
この無言の空白こそが、引きこもりの最初の入口なのです。
Y子さんのご家庭では、10年の間、誰も強くはたらきかけることができませんでした。
「怒るのも怖い」「学校に行けとは言えない」「また傷つけてしまうかも」――
親として当然の迷いや葛藤です。
しかし、10年後、偶然私たちの協会と出会い、
ご両親は「このままでは一生変わらない」と行動を起こしました。
家庭訪問で外部の支援者が入り、生活の立て直しを始め、通信制高校へ再入学。
卒業後には短大に進学し、最終的には公務員として社会に復帰しました。
そして今、Y子さんは結婚し、子どもにも恵まれ、
「見守るだけではなく、支えてもらえたから今の自分がある」と語ってくれます。
親の愛情としての「見守る」姿勢を、私は否定しません。
初期の不登校(ステージ1〜2)では、焦らず見守ることが大切な時期もあります。
しかし、それが半年、1年と続くと、
生活リズムの乱れ、昼夜逆転、スマホ・ゲーム依存といった症状が出始め、
子どもは「安心できる家庭の中で停滞」してしまうのです。
この状態を放置すると、ステージ3〜5に進み、
いわゆる“引きこもり状態”に陥ります。
親の見守りが「安全基地」から「閉じた空間」へと変わってしまう瞬間です。
これらが2週間以上続いたら、もう“見守り”ではなく“停滞”です。
一度立ち止まり、「何か働きかける必要があるのでは?」と考えるタイミングです。
不登校や引きこもりには、明確な“段階”があります。
当協会では、子どもの現状を5つのステージに分けて分析します。
1️⃣ 登校しぶり・朝の不調が出始めた段階
2️⃣ 休みがち・遅刻・欠席が続く段階
3️⃣ 昼夜逆転・ゲーム依存・無気力が目立つ段階
4️⃣ 家族以外と接触しない段階
5️⃣ 部屋にこもり、数ヶ月〜年単位で外出しない段階
この「ステージ判定」をするだけでも、家庭の方向性が変わります。
“どの支援を、どの順番で行うか”が明確になり、
焦りや迷いが減るからです。
実際、ステージ3以上で「もう見守れない」と感じた家庭が、
外部支援を導入してから3か月で大きく変化する例は珍しくありません。
あるお母さんは、最初のZoom面談で「息子の部屋のドアが開かない」と涙ながらに話していました。
しかし、家庭訪問をきっかけに、1か月後には玄関まで挨拶できるようになり、
半年後には通信制高校へ転入、アルバイトまで始めるようになりました。
見守るだけでは届かなかった「きっかけ」を、
第三者の支援が生み出すことができるのです。
「うちの子は、まだ大丈夫」
「そのうち動き出すと思う」
不登校が始まった当初、ほとんどの保護者がそう考えます。
しかし、時間が経つほどに状況は複雑になり、
「どこから手をつければいいのか分からない」と混乱してしまう。
この“見えない不安”を解消するのが、私たちのステージ判定です。
状況を「感情」ではなく「段階」で見ることが第一歩
不登校や引きこもりの支援では、「かわいそう」「心配」といった感情が先に立ちやすく、
つい直感で判断してしまいがちです。
ですが、支援現場で40年見てきた結果、
“感情ではなく段階で見る”ことで、親の焦りや誤解が劇的に減ることが分かりました。
お子さんの状態を冷静に観察し、
「今どのステージにいるのか」を把握すること。
これが“動く支援”の出発点です。
当協会の「不登校~引きこもりステージ判定表」
私たちは、不登校の状態を5つのステージに分けています。
どの段階にあるかを知るだけで、対応の優先順位が変わります。
| ステージ | 状況 | 親の対応のポイント |
| 1 | 朝の不調・登校しぶり・遅刻が出始める | 早期対応が鍵。焦らず生活リズムを整える |
| 2 | 欠席が週に数回、勉強や会話が減る | 学校に行くより「信頼関係の維持」を意識 |
| 3 | 昼夜逆転・ゲーム・スマホ依存・無気力 | “見守る”では限界。外部支援を導入する段階 |
| 4 | 家族との会話減少・外出拒否 | 家庭訪問や第三者の関わりが必要 |
| 5 | 完全引きこもり・暴言・暴力を伴うケースも | 専門支援・生活環境の切り替えが不可欠 |
多くの家庭が“気づかないうちに”ステージ3に入っている
相談を受けるご家庭の約7割は、「すでにステージ3」にあります。
つまり、「見守るだけでは変わらない」段階に差しかかっているのです。
親御さんは「ゲームばかりしている」「昼夜逆転している」ことを気にしつつも、
「学校に行くことがゴール」と思い込んでしまう。
けれど実際には、「学校に戻る前に生活を立て直すこと」が先なのです。
あるお母さんは、息子が半年間ゲーム漬けになっているにも関わらず、
「本人が落ち着けば、また行けると思っていた」と話してくれました。
しかし、そこから一年が経ち、
学校どころか、親子の会話すら消えてしまいました。
この時点で初めて「見守りすぎたかもしれない」と感じたそうです。
ステージを知ると、親の迷いが消える
ステージ判定を行うと、次のような変化が起こります。
感情ではなく、データと段階で現状を見つめることで、
保護者の心に“道筋”が生まれるのです。
「うちの子は何ステージだろう?」と考えることが、
すでに第一歩を踏み出した証拠です。
「見守る支援」と「動く支援」の境界線
ステージ2までは、家庭内での見守りや、
生活リズムを整える支援で十分効果があります。
けれど、ステージ3を越えると、
家庭だけでは支えきれなくなるのが現実です。
昼夜逆転、ゲーム依存、親への反発が強くなったら、
「そっとしておく」ではなく「外の風を入れる」時期です。
この判断が早ければ早いほど、回復までの時間は短くなります。
ご家庭でできる“簡易ステージチェック”
次の項目のうち、3つ以上当てはまる場合はステージ3以上の可能性があります。
該当する場合は、専門家への相談や、
「家庭訪問」「親のコーチング」など外部支援の導入を検討してください。
放置が半年を超えると、社会復帰までに数年を要することもあります。
ステージ判定で親子関係の修復が始まる
不登校の現場で大切なのは、子どもよりも先に親が動くことです。
ステージを知ることで、親は「今やるべきこと」「まだやらなくていいこと」を区別でき、
感情に流されず冷静に関われるようになります。
「何を言っても反応しない」
「もう話しかけるのが怖い」
そんな保護者の心にも、光を取り戻せるのがステージ判定の力です。
まずは“今”の位置を知る。
そこから、支援の地図が開きます。
このあと第3章では、
ステージ判定を踏まえてどのように親が関係を修復していくか──
「親のコーチングで家庭を変える方法」について詳しく解説します。
「どうして行けないの?」「いつまでこのままなの?」
子どもが学校に行かなくなると、ついそんな言葉が出てしまう。
親として当然のことです。
けれど、子どもから見れば、それは“責められた”と感じる言葉でもあります。
40年の支援現場で、私は何度もこの瞬間を見てきました。
親が「良かれと思って言った一言」で、
子どもが心を閉ざしてしまう場面です。
不登校支援において一番大切なのは、
“子どもを変えようとする前に、親の関わり方を変えること”。
これが「親のコーチング」の基本です。
「何を言うか」ではなく「どう伝えるか」
同じ内容を伝えても、話し方ひとつで結果はまったく違います。
「どうしてできないの?」と詰めるように言うと、
子どもは“責め”として受け取ります。
一方、「どんな時ならできそう?」と聞くと、
“理解されている”と感じ、少しずつ本音を話せるようになります。
コーチングの基本は、答えを押しつけるのではなく、本人の中にある答えを引き出すことです。
親が“話す側”から“聴く側”に変わるだけで、
家庭の空気は大きく変わります。
「待つこと」と「放置すること」は違う
親御さんの多くは、「待つことも支援のうち」と考えています。
確かに、焦りすぎるのは逆効果です。
けれど、ただ時間を過ごすだけでは、
子どもは「自分は見捨てられた」と感じてしまうこともあります。
“見守り”と“放置”の違いを決めるのは、
親の声かけの有無です。
たとえば、
「今日どうだった?」ではなく「今日はどんな一日だった?」
「行けない理由は?」ではなく「どんな気持ちで朝を迎えた?」
といった小さな言葉の変化が、関係修復の第一歩になります。
親の「感情リセット」が必要な理由
不登校の子どもに接する親ほど、心が疲れています。
「何を言っても響かない」「もう諦めたい」
そんな気持ちになるのも当然です。
しかし、子どもは親の“表情”や“声のトーン”にとても敏感です。
イライラが伝われば、心のドアはさらに固く閉ざされてしまいます。
だからこそ、親自身が感情を整える時間が必要です。
当協会では、親御さんが自分の気持ちを整理し、
正しい関わり方を学ぶ「親のコーチング講座」を行っています。
「自分の声が子どもにどう届いているか」を知るだけで、
驚くほど親子の関係が変わるのです。
実際に変化が起きた家庭のエピソード
あるお母さんは、毎朝「早く起きなさい!」と言い続けていました。
息子は無言のまま、布団をかぶって動かない。
その状態が数ヶ月続いていました。
そこで彼女は、コーチングの方法を取り入れました。
「今日はどんな気分?」
「昨日の夜は眠れた?」
と、命令ではなく“気持ち”を尋ねるように変えたのです。
すると、最初は短い返事だった息子が、
ある日「昨日は3時まで寝られなかった」と話しました。
それをきっかけに、朝のリズムを一緒に整える取り組みが始まりました。
半年後には、外出できるようになり、通信制高校への進学が決まりました。
このように、親の言葉が変わるだけで、子どもも変わります。
「子どもが動かない」のではなく、「動ける環境がない」だけなのです。
親が変わると、家庭の空気が変わる
親のコーチングを導入したご家庭では、共通して次のような変化が見られます。
つまり、親が落ち着くと家庭が落ち着き、子どもも安定するのです。
子どもを変えようとするよりも、まず親が整う。
これが、最も効果的で確実な支援です。
「責めない」「焦らない」「比べない」
この3つは、親のコーチングにおける大原則です。
Y子さんのご両親も、最初は“何も言わない”という選択をしていました。
けれど、それが「無関心」と受け取られ、
娘さんは10年間、誰にも気持ちを話せずに過ごしました。
支援が始まってから、お母さんが涙ながらに言った言葉があります。
「もっと早く、関わり方を学べばよかった」
この後悔を、これからの親御さんにはしてほしくありません。
“学ぶ親”こそ、子どもを救う
不登校を乗り越えた家庭の共通点は、
親が変わる努力をしたことです。
「どう関わればいいか分からない」とき、
親がコーチングを学び、家庭のコミュニケーションを変える。
それが、すべての回復の起点になります。
親が変わると、子どもが変わり、
子どもが変わると、家庭全体が前向きになります。
それは決して理想論ではなく、現場で何千件も見てきた現実です。
「誰かに来てもらうなんて、恥ずかしい」
「うちの子は他人に会うのを嫌がるから…」
家庭訪問支援を勧めると、最初にこうおっしゃる親御さんは少なくありません。
無理もありません。
長く不登校や引きこもりが続く家庭ほど、
“家”という場所が心の防波堤になっているからです。
けれど、その“誰も入れない家”にこそ、
回復の鍵が隠れています。
家庭訪問とは、外から介入することではなく、
家庭という孤立した空間に風を通す支援なのです。
訪問の目的は「話を聞くこと」から始まる
家庭訪問と聞くと、「説得されるのでは」「無理やり外に出されるのでは」と
心配する方もいます。
しかし、当協会の訪問支援は、指導ではなく“傾聴”から始まります。
支援員が玄関先で親御さんと話し、
必要に応じてリビング、そして子どもの部屋の近くへ。
最初はドア越しでも構いません。
「誰かが自分のために来てくれた」という感覚が、
子どもの心に“変化の芽”を生むのです。
私たちは、無理に会話を促すことはしません。
ただ、安心できる距離を保ちながら、存在を伝える。
これが、信頼関係の再構築の第一歩です。
家庭訪問がもたらす3つの変化
訪問から始まった奇跡──リョウタ君のケース
リョウタ君(当時15歳)は、完全な引きこもり状態でした。
朝から晩までオンラインゲームを続け、
母親が話しかけても返事はなく、
家族はドア越しに食事を置くだけの日々。
お母さんは涙ながらにこう言いました。
「もうどうしたらいいか分からない。でも、見守るしかないんです」
初めて訪問した日、彼は部屋の奥からわずかに声を出しました。
「帰ってください」と。
それでも支援員は、「分かりました、また来ますね」とだけ伝え、
何もせずに帰りました。
その1週間後、2回目の訪問で、彼は少しだけドアを開けました。
そして1ヶ月後、支援員と一緒に近所のコンビニまで歩きました。
「人と歩いたのは1年ぶりです」と、照れくさそうに言った笑顔を今も覚えています。
やがて通信制高校に編入し、数年後には航空自衛隊に入隊。
今では規則正しい生活と仲間との絆を取り戻し、
「家に来てもらったあの日が、人生の転機でした」と話してくれました。
家庭訪問は「押しつけ」ではなく「伴走」
支援の基本姿勢は、“一緒に考える”ことです。
親や本人を責めず、現状を受け止め、共に方向を探ります。
支援員はコーチングの考え方を学び、
感情的な言葉を使わず、安心できる関係を築きながら進めます。
訪問回数を重ねる中で、
「人と関わることって、案外悪くないな」と思える瞬間をつくること。
その体験が、次の行動へのエネルギーになります。
私たちは、その“第一歩”を共に踏み出す存在でありたいと願っています。
「家庭訪問なんて…」とためらう親御さんへ
訪問支援は、「最後の手段」ではありません。
むしろ、「最初の回復の入り口」です。
家庭内で関係が硬直してしまったとき、
支援者が入ることで、家庭内の視点が一気に変わります。
多くのご家庭で、「最初の訪問から2〜3週間で表情が変わった」と言われます。
ドアの隙間から挨拶が返ってきた、
メモで会話ができるようになった、
親が穏やかに声をかけられるようになった――
それらはすべて“動く支援”の成果です。
親の孤立を防ぐための「支援同行」
当協会では、家庭訪問と同時に「親の同行支援」も行っています。
初めて外部の支援者を招くとき、
親御さんも緊張されることが多い。
だからこそ、訪問時には必ず“親の心の支援”を同時に行います。
支援員が帰ったあとも、電話やLINEでのフォローを続け、
「次はどう話しかければいいか」を一緒に考えます。
支援は訪問して終わりではなく、家庭の中に“新しい関係性”を残していくものなのです。
「外の風」を入れる勇気が、家庭を変える
家庭訪問は、子どもだけでなく親も変える支援です。
親が「もう一人では抱えきれない」と認めた瞬間、
家庭に“風”が通り始めます。
リョウタ君のお母さんも、こう語ってくれました。
「最初は怖かった。でも、来てもらって本当によかった。
あのとき、ドアを開けたのは息子じゃなくて、私自身でした」
支援とは、外から何かを押し付けることではなく、
家庭がもう一度「人を信じる力」を取り戻すこと。
それができたとき、親子関係は必ず再生します。
家庭訪問を通じて、子どもが少しずつ心を開き始めても、
すぐに学校や社会に戻れるわけではありません。
なぜなら、長期の不登校や引きこもりで最も崩れるのは「生活リズム」だからです。
朝起きる、食事をとる、入浴する──
当たり前のことができなくなったとき、
自信や意欲も一緒に失われてしまいます。
この段階で必要なのは、「生活リズムを立て直すための環境」です。
つまり、家庭という閉じた空間から一度離れ、
生活改善合宿や学生寮など、“自律を取り戻す場”に身を置くことが、
次の回復ステップになります。
家庭では変えられない「環境の壁」
どれほど親が努力しても、家庭という環境には限界があります。
親子の関係が長くこじれている場合、
「おはよう」「ごはん食べた?」という一言さえ、
お互いにストレスになることがあります。
また、親が「もう少し頑張って」と言えば言うほど、
子どもは「分かってもらえない」と感じてしまう。
この悪循環から抜け出すには、
新しい環境で“親子を一度リセット”することが必要です。
生活改善合宿では、親子が一定期間離れ、
支援スタッフと一緒に規則正しい生活を取り戻すプログラムを行います。
朝は7時に起床し、朝食・掃除・運動・学習・就寝まで、
共同生活を通じて“生きるリズム”を取り戻します。
「やらされる」から「自分でやる」への転換
家庭では「やりなさい」と言われ続けていた行動も、
合宿では誰も強制しません。
代わりに、子ども自身が“自分の意思で動く”ことを支援します。
支援員は、「次、どうしたい?」と問いかけながら、
本人のペースで生活を整える手助けをします。
自分で起きて、自分で食べ、自分で片づける。
その繰り返しが、「自分はできる」という感覚=自律を取り戻す鍵になります。
実際、初日は朝起きられなかった子が、
3日目には自然に布団から出てくるようになることもあります。
環境が変われば、人は必ず変われるのです。
シュン君の合宿での変化──「生きる感覚」を取り戻した瞬間
シュン君(当時17歳)は、高校1年のときに不登校となり、
半年間、昼夜逆転の生活を続けていました。
母親が何度起こしても反応せず、
「どうしても起きられない」と涙ぐむ日々。
家庭訪問を重ねても、家の外には一歩も出られませんでした。
そこで、本人と相談のうえ、生活改善合宿に参加。
最初の2日は何も話さず、食事もほとんど取らない状態でした。
ところが、3日目の朝、スタッフと一緒に散歩に出たとき、
朝の空気を吸ってこう言いました。
「気持ちいい。外って、こんなに静かなんですね」
その瞬間、彼の目に光が戻りました。
合宿を終える頃には、同年代の仲間と笑顔で食事をし、
「次は寮で暮らしてみたい」と自ら希望を出したのです。
半年後、通信制高校に復学し、
現在は看護系大学に通いながら地域ボランティアを続けています。
寮生活が「自立」ではなく「自律」を育てる
当協会では、生活改善合宿を終えた生徒が、
その後、学生寮で暮らすケースも多くあります。
寮生活は「一人で生きる練習」ではなく、
「他者と関わりながら自律する練習」です。
誰かと一緒に生活することで、
“相手を思いやる”感覚や“時間を守る”習慣が自然と身につきます。
寮の仲間と一緒に朝食をとり、通学し、夜は振り返りをする──
それだけで、家庭ではできなかった「小さな責任」が育っていくのです。
スタッフが毎日見守りながら、
「今日できたこと」「明日はどうするか」を共有することで、
失った自信を少しずつ積み重ねていきます。
これは“管理”ではなく、“伴走”です。
「環境を変える=逃げること」ではない
多くの親御さんがこう言います。
「環境を変えたら逃げ癖がつくのでは?」
けれど、それは誤解です。
環境を変えることは、逃げではなく再出発の準備です。
今の環境で苦しみ続けるよりも、
一度“自分を整える場所”に身を置くほうが、
回復への近道になります。
現場では、「合宿に行ってもどうせ変わらない」と言っていた子が、
最終日には「もう少しいたい」と言うケースが本当に多い。
これは、安心と希望を感じた証拠です。
人は、安心したときに初めて変われるのです。
親が合宿を決断できたとき、子どもも変わる
生活改善合宿への参加を決めるとき、
一番勇気が必要なのは、実は親御さんです。
「離れて大丈夫だろうか」「寂しがらないだろうか」と不安になる。
しかし、その決断が、家庭の空気を大きく変えます。
ある母親は、合宿出発の日、泣きながら息子を見送りました。
「自分がそばにいないとダメだと思っていたけど、
本当にダメだったのは“私の不安”だったと気づきました」と語ってくれました。
親が“信じて送り出す”という姿勢が、
子どもに「自分を信じていいんだ」と伝わるのです。
この信頼が、回復の根っこになります。
自律リズムが戻ると、すべてが動き出す
合宿や寮で生活リズムが整うと、
不思議なほど子どもの行動が安定します。
・朝起きる時間が一定になる
・食事が整うことで気持ちが前向きになる
・会話が自然に増える
・「何かやってみたい」という意欲が生まれる
この「生活の安定=心の安定」です。
リズムを整えることは、再登校や就労の前提条件であり、
自律の第一歩でもあります。
支援者の役割は「リズムの伴走者」
支援員は、子どもたちに“正しさ”を教える存在ではありません。
毎日の生活の中で、「一緒にやってみよう」と伴走する存在です。
時に一緒にごはんを作り、掃除をし、悩みを聞く。
その地道な関わりの中で、子どもたちは「自分を立て直す力」を取り戻していきます。
私たちの合宿で最も大切にしているのは、
“やらせる支援”ではなく“気づかせる支援”。
その違いこそが、「自立」ではなく「自律」を育てるのです。
生活リズムが整い、自分を少しずつ取り戻した子どもたちは、
次の段階として「学び」を再開する準備を始めます。
しかし、ここで重要なのは、
“学校に戻す”ことを目的にしないことです。
不登校からの回復は、「再登校」よりも「再接続」。
つまり、“社会と再びつながること”がゴールなのです。
「学び直し」は過去をやり直すことではない
不登校の子どもにとって、「学校」は失敗や苦しみの象徴になっていることが多いです。
だからこそ、無理に“戻す”のではなく、
「新しい形で学ぶ」ことから始めるのが本当の意味での学び直しです。
通信制高校、サポート校、フリースクール──
どれも「過去を取り戻す場」ではなく、「未来をつくる場」です。
勉強だけでなく、人との関わりや生活習慣を少しずつ取り戻すステップとして、
非常に有効です。
学びの再開は「小さな参加」から始まる
多くの子どもたちは、いきなり通学を再開できるわけではありません。
まずは、週に1回、数時間だけの通学から。
あるいは、支援員と一緒に教室を見学するだけでも構いません。
大切なのは、「行けた」ではなく「行けそう」と感じる経験を積むことです。
この“できそう”の積み重ねが、
自己肯定感を少しずつ押し上げていきます。
通信制高校という「新しい居場所」
当協会が提携している通信制高校やサポート校では、
一人ひとりのペースに合わせたカリキュラムを組み、
勉強と生活リズムの両立を支援しています。
授業はオンラインと対面の両方に対応しており、
「今日は行けないけど、明日は行けるかも」という柔軟さがあります。
学び直しの第一歩として、通信制高校は最も適した環境の一つです。
カイト君の再出発──「環境が変われば、人は変われる」
カイト君(当時14歳)は、中学1年の2学期から完全不登校。
昼夜逆転、ゲーム依存、家庭内暴言が続いていました。
当初は支援員が訪問しても、部屋から出てこない。
母親も「この子はもう何を言ってもダメ」と諦めかけていました。
しかし、家庭訪問を続ける中で少しずつ会話が生まれ、
生活改善合宿を経て通信制高校への進学を決断。
「全日制には戻れないけど、通信制なら自分のペースでやれる気がする」と。
入学後、スタッフと一緒に週1回の登校を始め、
半年後には勉強もアルバイトも継続できるようになりました。
その後、自衛隊に入隊し、
現在は「規則正しい生活を続けられる自分」を誇りに思っています。
カイト君は言いました。
「環境が変わったら、心が動きました。あのまま“見守られて”いたら、今の自分はいません。」
「学び」は“居場所”を生み出す
通信制高校やフリースクールの特徴は、
勉強だけでなく「居場所機能」があることです。
同じ経験をした仲間が集まり、
「自分だけじゃない」と思える瞬間が増えていく。
これは、引きこもりからの回復において非常に大きな意味を持ちます。
学校という枠に戻るのではなく、
“自分のペースで学べる場所”に出会う。
それが、社会との再接続の第一歩になります。
親ができる「学び直しのサポート」
学び直しを支えるうえで、親御さんが意識してほしいことがあります。
「社会接点の回復」は未来への予行練習
学び直しが進むと、自然と社会との関わりも広がっていきます。
アルバイトやボランティア活動など、
「誰かに必要とされる体験」は、子どもの自信を大きく支えます。
たとえば、週に1回だけのボランティア参加でも構いません。
「ありがとう」と言われる経験は、
“社会に戻る力”そのものになります。
私たちはこの段階を「社会接点回復ステージ」と呼び、
一人ひとりに合わせた外出支援や就労体験のプログラムを提供しています。
親が安心して“手を離せる”瞬間
学び直しや社会接点の回復が進むと、
親御さんの中にも変化が生まれます。
「毎朝、無理に起こさなくてもいい」
「笑顔で送り出せるようになった」
「焦らなくても、この子にはこの子のペースがある」
こうした気づきが、家庭に穏やかな空気をもたらします。
親が安心して見守れるようになると、
子どもはその信頼を糧に、さらに成長していきます。
支援の本質は、親と子の“距離の取り方”を整えることにあります。
近すぎても、遠すぎてもいけない。
お互いが自分の人生を生きながら、支え合える関係へ。
学び直しの段階は、その転換点なのです。
“再び学ぶ”ことは、“再び生きる”こと
通信制高校に通う生徒の多くが、最初は「勉強が嫌い」と言います。
しかし、数か月もすると、口々にこう話します。
「先生が話を聞いてくれるから、頑張れる」
「同じ経験の子がいるから、安心する」
「自分のペースでやれるのが嬉しい」
この言葉に共通しているのは、
“人とつながりながら生き直している”という実感です。
学びは単なる知識の習得ではなく、
「再び社会に向かう勇気」を育てる過程なのです。
次の第7章では、
学び直しの先にある最終段階──
社会貢献と自律支援で“再出発”を実感するステップ
について、Y子さんをはじめとした実例を交えてお伝えします。
子どもたちが通信制高校や寮生活で生活リズムを取り戻し、
新しい学びを始めたあと、次に迎えるのは「社会に出る」ステージです。
とはいえ、ここでも焦りは禁物です。
社会に出るとは、“就職すること”ではなく、
“誰かの役に立つ体験を通して、自分を再確認すること”。
それが、私たちが言う「社会貢献ステップ」です。
「支援される側」から「支える側」へ
長い引きこもりを経て外に出た若者たちは、
最初は「自分なんか何もできない」と口にします。
しかし、生活改善や学び直しを通じて自信を取り戻していくうちに、
少しずつ「自分にも何かできるかもしれない」と思い始めます。
この“自分も誰かを支えられる”という気づきが、
社会参加への最大の原動力になります。
Y子さんもそうでした。
中学2年から10年間引きこもり、社会と断絶していましたが、
通信制高校→短大→公務員という道を歩みながら、
いまでは子育てをしながら後輩たちにメッセージを送る立場になりました。
彼女の口ぐせは、こうです。
「私、支援してもらったから、今度は誰かの支えになりたいんです。」
社会貢献は「特別なこと」ではない
多くの保護者が「うちの子に社会貢献なんてできるの?」と不安を口にします。
けれど、社会貢献とは何も難しいことではありません。
・地域の清掃に参加する
・子ども食堂でお手伝いをする
・アルバイトで感謝される
・後輩の話を聞いてあげる
その一つひとつが、“社会との接点を取り戻す行為”です。
そして、この体験こそが「自己効力感」を育てます。
「自分でも人の役に立てる」という実感が、
自律と社会参加を支える土台になるのです。
社会の中で「もう一度、自分を信じる」
支援を受けた若者たちは、皆、最初は不安でいっぱいです。
「人にどう思われるか」「また失敗したらどうしよう」と怯えます。
しかし、社会の中で誰かに“ありがとう”と言われた瞬間、
その恐れは少しずつ溶けていきます。
人は、他者との関係の中でしか自己肯定感を育めません。
だからこそ、社会との再接続=心の再生なのです。
ある生徒は、福祉施設でのボランティアを通じて、
「ありがとう」と言われるたびに涙を流しました。
「10年間、誰からも必要とされていないと思っていたけど、
あの言葉で生きる勇気が戻った」と。
この“誰かに必要とされる感覚”が、
子どもたちを本当の意味で社会に戻していきます。
親の役割は“見送ること”に変わる
この段階に来ると、親御さんの役割も大きく変わります。
これまでの「支える」「見守る」から、
「信じて見送る」にシフトする時期です。
子どもがアルバイトやボランティアに挑戦するとき、
つい「大丈夫?」「失敗しないでね」と口にしたくなる。
けれど、それはかつての“見守るしかない”頃の癖です。
今は、「やってごらん」「応援しているよ」と背中を押すだけでいい。
親の一歩引いた姿勢が、子どもに自信を与えます。
“信じて見送る”とは、子どもの成長を受け入れる最終段階です。
社会貢献ステップの具体例
当協会では、次のようなプログラムを通して
子どもたちの社会接点の回復を支援しています。
これらの活動はすべて、単なる「体験」ではなく、
“自律した社会生活への助走”です。
Y子さん──10年の引きこもりから社会貢献へ
中学2年で不登校になったY子さん。
家族は「今は見守るしかない」と思い続け、
結果として10年の引きこもりを経験しました。
しかし、30歳を目前に当協会と出会い、
家庭訪問・通信制高校での学び直し・短大進学を経て、
公務員として採用されました。
その後、結婚・出産を経て、今は子育てをしながら地域の活動に参加。
不登校支援イベントで登壇し、かつての自分のように苦しむ家庭へこう語りました。
「“見守るだけ”では変わらない。でも、動けば必ず道は開ける。」
彼女の姿は、多くの保護者に希望を与えています。
社会貢献がもたらす“自律の完結”
支援のゴールは、「学校復帰」でも「就職」でもありません。
それはあくまで通過点。
本当のゴールは、“誰かのために生きたいと思えるようになること”です。
社会に貢献できるという実感は、
自己肯定感の最上位──「生きる意味」の再獲得につながります。
そして、その瞬間にこそ、
不登校や引きこもりからの回復は“完結”します。
親が見届ける「再出発の瞬間」
長い年月を経て、子どもが社会に出ていく瞬間、
親御さんの胸にはさまざまな感情が入り混じります。
安堵、誇り、そして少しの寂しさ。
けれど、そのすべてが“支援の終わり”ではなく、
“人生の新しい始まり”です。
子どもが社会に羽ばたいていく姿を見守ることこそ、
親としての最高の喜びではないでしょうか。
Y子さんのご両親は、こう語ってくれました。
「10年、何もできなかった自分たち。でも、諦めなかった。
動いてくれた支援者がいたから、私たちも前に進めました。」
再出発は「一人で立つ」ことではなく「誰かとつながる」こと
自律とは、“一人で生きる力”ではありません。
“人と関わりながら、自分の足で歩ける力”です。
支援を通して、子どもたちは「誰かに支えられる」経験をし、
やがて「誰かを支える」存在になります。
その循環こそが、社会の中で生きる力の本質です。
不登校・引きこもりの支援の最終目標は、
この“支え合う力”を育てることにあります。
まとめ──“見守る”から“動く”へ、そして“支え合う”へ
不登校や引きこもりの解決は、「親が動く」ところから始まり、
「子どもが動く」ことで進み、
「社会とつながる」ことで完結します。
“見守るだけ”では届かない。
けれど、動き出せば、必ず変わります。
社会貢献と自律支援のステージは、
再出発のゴールであり、同時に新しい人生のスタートライン。
私たちはその道のりを、これからも親と子の両方と共に歩み続けます。
「見守ることが大事だ」と、多くの専門家やメディアが言います。
確かに、子どもに安心を与える“待つ姿勢”は必要です。
しかし、“見守りすぎ”が続くと、回復のチャンスを逃すことがあります。
その結果、子どもは「動かない」ことに慣れ、
親は「何もできない」ことに慣れていきます。
この“共依存の静かな悪循環”が、
日本の不登校・引きこもり問題を深刻化させているのです。
不登校は過去最多、146万人の「その後」
文部科学省と内閣府の調査によると、
2024年の時点で、
日本にはおよそ146万人の引きこもり状態の人が存在します。
しかも、その半数以上が「学齢期に不登校経験あり」と回答しています。
つまり、「中学生で見守りすぎた結果が、大人の引きこもり」に直結しているのです。
この数字は、もはや家庭の問題ではなく、社会の課題です。
当協会の現場でも、10年・15年と動けずにいる方からの相談が後を絶ちません。
「もっと早く行動していれば…」と後悔される親御さんの声を、
私は40年以上の支援の中で何百回と聞いてきました。
「見守る」は“信じる”とは違う
多くの親御さんが「見守る=信じる」と思っています。
しかし、両者はまったく違います。
子どもが動けない状態のとき、
「信じて見守る」という言葉は、実は“何もしない理由”になってしまうことがあります。
これは、結果として「放置」に近い形を生み出します。
Y子さんのケースがまさにそうでした。
中2で不登校になり、「そのうち行くだろう」と家族が待ち続けた結果、
気づけば10年間、引きこもりの状態が続いたのです。
「今は休ませた方がいい」は“最初の数ヶ月だけ”
もちろん、体や心が疲れきっているときには、
“休む期間”は絶対に必要です。
しかし、問題はその休みが長期化したとき。
半年、1年と経つうちに、
昼夜逆転・スマホ依存・無気力・家族との会話減少が進行し、
子どもは「外に出る力」そのものを失っていきます。
この状態を放置すると、
次第に「外に出たい」という気持ちさえ消えてしまう。
それが“見守りすぎの怖さ”です。
私たちはこれを「支援タイミングの喪失」と呼び、
不登校支援の最大のリスクと位置づけています。
ステージ3以上は“見守り”ではなく“動く支援”へ
当協会では、不登校から引きこもりへの進行度を
ステージ1〜5に分類しています。
| ステージ | 状況の目安 | 必要な対応 |
| ステージ1 | 朝起きられない・遅刻欠席が続く | 生活リズム改善・親のコーチング |
| ステージ2 | 不登校が1~3か月続く | 家庭訪問やオンライン支援で接点づくり |
| ステージ3 | 家から出ない・会話が減る | 家庭訪問+合宿など“実動支援”が必要 |
| ステージ4 | 完全な引きこもり状態 | 寮・合宿・ピアサポートによる段階的支援 |
| ステージ5 | 長期化・20代以降 | 社会復帰支援・就労訓練・再教育支援 |
ステージ3以上に達した時点で、
“見守る”では間に合いません。
この段階では、親子関係だけでは解決できず、
外部の「動く支援」──つまり家庭訪問や合宿・寮などの実践的な介入が必要です。
放置の先に待つのは「家庭崩壊」
「見守るしかない」と言っている間に、
家庭内では小さな歪みが広がっていきます。
・親が毎朝イライラする
・きょうだいが不安を抱える
・父母間の会話が減る
・家の中が重苦しくなる
この空気が続くと、親のメンタルも限界を迎え、
やがて“共倒れ”の状態になります。
そうなってから支援を始めても、
回復には何倍もの時間がかかります。
「動く支援」が生んだ実際の変化
リョウタ君(当時15歳)は、1年以上部屋から出られませんでした。
家庭訪問支援で少しずつ関係を築き、
生活改善合宿に参加したことで、ようやく朝の光を浴びられるように。
合宿後は通信制高校に進学し、航空自衛隊に就職。
「もう一度、生きる意味を見つけられた」と笑顔で話します。
もし、ご家庭が「見守り」を続けていたら、
彼は今も部屋から出られなかったかもしれません。
「動く支援」は親子を“分断”ではなく“再結合”させる
一部の保護者は「子どもを預けたら親子関係が壊れるのでは」と心配されます。
しかし実際には逆です。
家庭訪問や合宿を経た親子は、
ほとんどが「以前よりも会話が増えた」と言います。
なぜなら、“第三者が間に入ることで余白ができる”からです。
親も子も、互いに責め合わずに向き合えるようになる。
「動く支援」は、親子の信頼を修復するきっかけでもあります。
見守りすぎが“取り返しのつかない10年”を生む
Y子さんのケースが象徴的です。
もし、家族が中学時点で専門家とつながっていれば、
10年間の引きこもりは避けられたかもしれません。
彼女は奇跡的に再出発できましたが、
それは1万人以上を支援してきた中でも稀な例です。
「見守る」は最初の1〜3か月まで。
それ以降は、“動く支援”へ切り替える勇気が、親に必要です。
データが示す「動いた家庭ほど回復が早い」
当協会の2024年度支援データでは、
親が半年以内に支援を導入した家庭の9割が1年以内に改善しています。
一方、1年以上「見守り」を続けていた家庭は、
回復までに平均3年以上を要しています。
行動の早さが、そのまま回復スピードに比例するのです。
これは、数字だけでなく現場の実感としても明確です。
「動ける親」が、子どもを救う
不登校や引きこもりの支援は、
子どもだけの問題ではなく、親の行動が鍵になります。
親が「うちの子はまだ大丈夫」と思っているうちに、
取り返しのつかない時間が流れていくのです。
だからこそ私は、こう呼びかけています。
「見守る勇気」よりも、「動く勇気」を。
それが、家庭を救い、未来を変える第一歩です。
40年以上、1万人以上の親子を支援してきた中で、
私が一貫して伝えてきた言葉があります。
「見守るだけでは変わらない。動けば必ず変わる。」
ここでは、当協会が実践している「動く支援」を
7つのステップに整理してご紹介します。
どの家庭でも、どのステージからでも始められる実践ガイドです。
🟢 STEP1|現状を知る──ステージ判定で可視化する
最初にすべきことは、「我が子はいまどの段階か」を把握することです。
多くの家庭が、子どもの状況を正しく理解できていません。
朝起きられないのか、家から出られないのか、会話ができないのか。
それぞれの段階によって、必要な支援はまったく異なります。
当協会では、「不登校〜引きこもりステージ判定表(1〜5)」を使い、
現状を数値化して整理します。
この可視化が、支援の第一歩です。
🔍 まずは現状を「見える化」することで、焦りが減り、行動が明確になります。
🟡 STEP2|親のコーチング──関係修復と対応法の習得
多くの家庭では、子どもよりも親の言葉が原因で関係が悪化しています。
「いつまでそうしてるの?」「もう高校どうするの?」
こうした言葉が、子どもをさらに部屋に追い込むことがあります。
そのため、最初に行うのは親のコーチングです。
親が「待つ」でも「叱る」でもない、
“伝わる関わり方”を身につけることで、
家庭の空気が変わり始めます。
親のコーチングとは、子どもを変えるためではなく、
親自身の関わり方を整える支援なのです。
💡 子どもは“言葉”ではなく、“空気”に反応します。
まずは親が変わることが、子どもを動かす最初のスイッチです。
🔵 STEP3|家庭訪問支援──信頼関係の再構築
「親の言葉が届かない」ときこそ、第三者の介入が効果的です。
家庭訪問支援では、支援員が家庭に入り、
子どもと“無理なく自然に関わる時間”をつくります。
最初は部屋のドア越しに会話するだけでも構いません。
少しずつ信頼を積み重ねていくことで、
「この人なら話してもいい」と心を開いていきます。
訪問は“押しかけ”ではなく“寄り添い”。
これが、親子が再びつながるための橋渡しになります。
🚪「部屋から出られなかった子が、自分から顔を出した」──
その瞬間が、支援のターニングポイントです。
🟣 STEP4|生活改善合宿・学生寮──自律リズムの再生
家庭では変えられない環境をリセットする場が、
「生活改善合宿」や「学生寮」です。
朝起きる、食事をとる、掃除をする、会話をする。
当たり前の生活を取り戻すことで、
自分への信頼感(セルフエフィカシー)が蘇ります。
多くの子どもたちは、
「やらされる」から「自分でやる」に切り替わる瞬間を迎えます。
それが“自立”ではなく、“自律”の始まりです。
🌅 環境が変われば、心も変わる。
「生きる力」は、規則正しい生活から再び芽を出します。
🟤 STEP5|学び直し──通信制高校・サポート校・フリースクール
生活のリズムが整ったら、「学び直し」の段階へ。
通信制高校やサポート校では、自分のペースで学びを再構築できます。
全日制に戻ることだけが正解ではありません。
大切なのは、「学ぶ意欲を取り戻すこと」。
勉強よりも、“学びの喜び”を再び感じられることが、社会復帰への土台です。
📚 「勉強=苦痛」から「学び=自己成長」へ。
その転換が、子どもの未来を開きます。
🔴 STEP6|社会接点の再獲得──アルバイト・ボランティア・ピアサポート
学び直しの先にあるのは、“社会とのつながり”です。
アルバイト、ボランティア、地域活動など、
小さな一歩でも外との関わりが生まれます。
特に効果的なのが、ピアサポート(同世代支援)です。
かつて支援を受けた若者が、今度は後輩を支える立場になる。
この経験が「自分も社会の一員」という実感を与えます。
🤝 「支えられる側」から「支える側」へ。
社会貢献の体験こそ、真の回復を導きます。
🟠 STEP7|社会貢献・自律支援──再出発と希望の循環
最終段階は、「支援の卒業」です。
就職、公務員、進学、起業、ボランティア──
形は違っても、“誰かの役に立っている”という実感が
生きる力を支えます。
Y子さんのように、10年の引きこもりから立ち上がり、
公務員となり、家庭を持ったケースもあります。
彼女の再出発は、まさに“希望の循環”です。
🌈 「支援される」から「支える」へ。
この循環が、社会全体を変えていきます。
「動く支援」を始めるために──今日できる3つのこと
「見守る」だけでは、未来は変わらない
見守ることが悪いのではありません。
“見守るだけ”になってしまうことが、危険なのです。
私たちは、40年の現場経験から断言します。
どんなに長い不登校・引きこもりでも、
支援のタイミングを逃さなければ、必ず再出発できる。
親が「動く」と決めた瞬間、家庭が変わります。
家庭が変わると、子どもが動きます。
そして、子どもが動くと、社会が変わる。
💬 見守る勇気より、動く勇気を。
その一歩が、未来をつくります。
巻末メッセージ|不登校・引きこもりを「家庭で終わらせない」
不登校や引きこもりは、“家庭の失敗”ではありません。
支援を受けられなかった社会の課題です。
だからこそ、家庭で抱え込む必要はありません。
あなたの行動が、子どもの未来を変えるきっかけになります。
どうか、一人で悩まないでください。
📩【30分無料個別相談】
▶ ご家庭の状況を伺い、ステージ判定と支援方針をお伝えします。
https://yoboukyoukai.com/soudan/
親が希望を失わない限り、子どもは必ず再出発できます。
それが、私たちが1万人以上の支援で見続けてきた“真実”です。