不登校と夫婦喧嘩の悪循環を断つ|家庭を立て直す3つのステップ

私は40年以上にわたり、不登校や引きこもりで悩むご家庭を支援してきました。
その中で最も多く寄せられるのが、「子どもが不登校になってから夫婦仲が悪化した」という声です。

実は、不登校は子どもだけの問題ではありません。
家庭全体のバランスが崩れ、親同士のすれ違いが深まる中で、
子どもが“家の空気”に押しつぶされてしまうケースを、数え切れないほど見てきました。

特に母親が焦り、父親が「好きにさせておけ」と突き放す――。
この“夫婦のズレ”こそ、不登校が長期化する最大の要因のひとつです。
親がバラバラの方向を向けば、子どもはますます混乱し、
「どうせ何を言っても分かってもらえない」と心を閉ざしてしまいます。

この記事では、一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会 代表理事・杉浦孝宣が、
全国1万人以上の支援実績から見えてきた「家庭を立て直す3つのステップ」を紹介します。

不登校と夫婦喧嘩の悪循環を断ち切り、
「家庭が変われば、子どもが変わる」――その現実を、支援の現場からお伝えします。


目次

不登校と夫婦喧嘩がセットで起こる理由

「子どもが学校に行かなくなってから、夫婦の会話が減った」「つい互いを責め合ってしまう」。
不登校家庭で最も多い相談の一つが、この夫婦関係の悪化です。

不登校は、子どもの“問題”ではなく、家庭全体のバランスが崩れたサインでもあります。
親の心には「どうしてうちの子だけ」「何が悪かったんだろう」という焦りや自責が渦巻き、
その不安がやがて夫婦の対立を引き起こしていくのです。

母親は「何とか学校に戻したい」と焦り、父親は「そのうち行くだろう」と静観する。
このような温度差が積み重なることで、「お前が甘やかすから」「あなたがうるさいから」と
互いを責める構図が生まれます。

こうした家庭では、子どもがますます混乱し、
「自分が原因なんだ」と感じて心を閉ざしてしまうことが多いのです。
家庭が安全でないと感じると、子どもは部屋へ、スマホへと逃げ込みます。
この段階で早期に家庭の空気を整えることが、回復の第一歩になります。

子どもに悪影響を与える“親のズレ”とは

親の言葉は、どれも子どもを思ってのこと。けれども、方向が違えば“攻撃”に聞こえてしまうことがあります。

母親が「スマホばかりやめなさい」と言い、父親が「好きにさせておけ」と言う。
一見どちらも正論ですが、子どもには「どっちの言うことを聞いても怒られる」と映ります。
この“親のズレ”が続くと、子どもはどちらにも心を開けなくなり、沈黙という防衛を選びます。

「見守る」とは“放置”ではありません。
温かい観察と、必要なタイミングでの働きかけが本来の意味です。
しかし「何もしないこと」が見守りだと誤解されている家庭も多く、
気づけば半年、1年と時間だけが過ぎてしまうケースが後を絶ちません。

一方で母親が「もう限界」と焦り、父親が「うるさい」と突き放す。
この悪循環を断ち切るためには、まず親のコーチングを通して
夫婦が同じ方向を向くことが欠かせません。

不登校と夫婦喧嘩の悪循環を断つ|家庭を立て直す3つのステップ

STEP1:親のコーチングで「同じ方向を向く」

夫婦がバラバラのままでは、どんな支援を入れても空回りします。
最初のステップは「夫婦が協力できる土台を作る」ことです。

当協会の「親のコーチング」では、まず家庭のルールづくりから始めます。
スマホの使用時間、起床・就寝、声かけの仕方。
これらを命令ではなく“家族の約束”として話し合いながら決めていきます。

ある家庭では、母親が「夜にWi-Fiを切りたい」と言い、父親が「反発するだけ」と反対しました。
そこで支援員が「制限ではなく信頼のルールにしましょう」と提案し、
“夜12時以降は家族全員スマホをリビングに置く”というルールを設定。
結果、子どもが自らスマホを置くようになったのです。

大切なのは、「親が敵ではない」と伝える家庭の空気づくり
そのために、夫婦がチームとして同じ方向を向くことが、回復の第一歩となります。

STEP2:家庭訪問・第三者支援で「緊張を緩める」

家庭内の空気がピリピリしていると、子どもはその緊張を敏感に感じ取ります。
どんなに優しく声をかけても、親の表情や口調が硬いと、子どもは安心できません。

そのようなときに有効なのが、第三者による家庭訪問支援です。
当協会では、引きこもり予防士や学生ピアサポーターが家庭を訪問し、
「親以外の大人」として子どもに寄り添います。

ある高校生のケースでは、支援員が数回訪問するうちに
廊下越しの雑談からドアが開き、「少し話してもいいですか」と子どもが自ら声を出しました。
家庭の空気が柔らぐことで、子どもの心にも小さな風が通い始めます。

STEP3:生活リズム改善と信頼の再構築

通信制高校への転校で「これで安心」と思う方も多いですが、実はここからが本番です。
学校が自由になるほど、自分を律する力が求められます。

「朝起きられない」「夜眠れない」「スマホがやめられない」。
この3つが同時に起きている場合、家庭だけでの改善は難しいことが多いです。

当協会では、八王子での生活改善合宿や学生寮での短期滞在を通じて、
規則正しい生活リズムを体験的に取り戻す支援を行っています。
朝の挨拶、共同生活、食事のリズム――その積み重ねが「自分でもできた」という自信につながります。

半年以上昼夜逆転だった高校生が、3週間の合宿で朝6時起床に戻り、
通信制高校を卒業して保育士として働いている例もあります。
環境を変えれば、心も変わる。 それが現場で見てきた現実です。

支援実例:夫婦の対立から協力へ変わった家庭

母親が「学校に行かせたい」と焦り、父親が「本人の好きにさせろ」と突き放す――。
こうした家庭では、子どもがますます部屋にこもり、深夜に冷蔵庫をあさるような生活に。

この家庭に対しては、親コーチングと家庭訪問を同時に導入しました。
最初は父親が参加を拒んでいましたが、面談の中で「お子さんが父親の声を待っています」と伝えると、
次第に表情が和らぎ、夫婦そろってオンライン面談に参加されました。

夫婦が同じ方向を向いた瞬間、家庭の空気が変わり、
1か月後には子どもが「週3日なら通いたい」と言い出したのです。

スマホを取り上げて大喧嘩をしていた家庭でも、
「親が決める」から「家族で決める」ルールに変えたところ、
子どもが「自分も守る」と約束し、生活が整いました。

こうした変化は一夜にして起きるものではありません。
けれども「親が変われば、家庭が変わる。家庭が変われば、子どもも変わる」
これは、1万人の支援現場で見てきた揺るぎない真実です。

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よくある誤解「離婚したほうがいいのか?」への回答

「夫婦関係が悪化しているなら、離れたほうがいいのでは?」
そう考える保護者も少なくありません。

しかし不登校期の子どもが求めているのは、安心できる環境です。
離婚そのものではなく、「家庭が不安定になること」が子どもへの負担となります。

支援現場では、離婚を決める前に「一時的な別居」や「相談機関との併用」で
冷静に状況を見るケースが多くあります。
結果として、距離を置いたことで夫婦の対話が戻ることも珍しくありません。

感情ではなく、子どもの安定を軸に判断すること。
それが、家庭再建の第一歩です。

|まとめ|家庭が変われば、子どもも変わる

不登校の背景には、学業や人間関係だけでなく、家庭内の緊張構造があります。
夫婦が対立を乗り越え、チームとして動くことが、最も効果的な支援です。

子どもは親の会話や表情を敏感に感じ取っています。
夫婦が協力し合う姿を見せるだけで、安心し、
自ら動き出す力を取り戻すことがあります。

焦らず、責めず、比べずに。
「うちの家庭もきっと変われる」――その希望を信じてください。

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「諦めなければ、大丈夫。」
これが、私たちが1万人のご家庭と向き合ってきた中で得た確信です。

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