成績不振から不登校に!中高一貫校生が公務員になるまでの道

「中高一貫校に入れたのに、なんで…」
「成績が落ちて、不登校に。暴言もひどくなってきた…」
そんな風に、一人で悩んでいませんか?

大丈夫です。
今は苦しくても、子どもは変わります。やり直せます。
一般社団法人不登校引きこもり予防協会 代表理事杉浦孝宣です

このブログは、同じ悩みを乗り越えたある家族の実話です。
あなたにも、希望が見つかりますように。

目次

■中高一貫校「浅野中学」に合格したカズキ君。でもその先に待っていたのは…

カズキ君が入学したのは、神奈川県でも有数の進学校である浅野中高一貫校。(本人の了解を得て、校名公開)

初めて相談を受けた際、私は彼にこう声をかけました。

「君、すごい学校に入ったね!」

それに対してカズキ君は、少し照れながらこう答えました。

「いや……ラッキーパンチで受かったんです。合格したときは本当にうれしかった。
でも、入学後に配られたテストの結果はほぼ学年最下位で。
中3の頃には担任から“もっと勉強しないと上に上がれないよ”って言われました。」

■「上がれると思ってたのに…」成績不振が心をむしばむ

浅野中学に入った当初、カズキ君は「きっと自分も高校まで進める」と思っていたそうです。
しかし、現実は甘くありませんでした。入学直後のテストでは学年でほぼ最下位。
中3になる頃には、担任の先生からこう言われるようになります。

「このままだと、上(高校)に上がれないぞ

それまでは「なんとかなる」と思っていた気持ちが、そこで音を立てて崩れていきました。
カズキ君はプレッシャーから逃れるように、次第にゲームにのめり込み、朝起きられなくなる日々が続きます。

そして、親子関係にもひびが入っていきました。

「朝、母親に起こされるのがうっとうしくて、思わずコンピューターのマウスを投げつけたこともありました……」

こうした暴言や暴力の背景には、本人の自信喪失と現実逃避がありました。
この時期から、カズキ君は学校への足が遠のき、不登校の兆候が見え始めていたのです。

■仮進級という“猶予”。でも現実は甘くなかった

カズキ君は中学3年の終盤、「このままでは高校に上がれない」という厳しい現実に直面します。
それでも、両親と一緒に学校に頭を下げて頼み込みました。

「高校からは心を入れ替えて、ちゃんと勉強します」

そう約束し、仮進級という形でなんとか高校1年に進むことができました。
しかし、待ち受けていたのはさらなる試練でした。

高校1年の中間試験で、9教科中7科目が赤点
教師からはついに、「自主退学を考えてほしい」と告げられます。

その頃からカズキ君は、母親から進路の話をされるたびに感情を爆発させるようになりました。

  • 「うるせえな!」
  • 「お前のせいでこうなったんだろ!」

時には暴言にとどまらず、物に当たるなどの家庭内暴力も見られるようになりました。

■親子ともに限界…「どうしたらいいか分からない」

追い詰められたご両親は、カズキ君を無理に連れてくることはできず、2人だけで当会を訪れました。

「家の中がめちゃくちゃなんです……」
「言葉も届かないし、もうどうしたらいいか分からないんです」

お二人はそう語り、疲れきった表情を浮かべていました。

不登校・成績不振・中高一貫校の圧力・家庭内暴力。複数の問題が絡み合い、家庭全体が崩壊寸前だったのです。

■相談内容は「家庭内暴力と進路の話ができない」――親の悲痛な声

カズキ君のご両親が当会にご相談に来られた時、最初にこう切り出されました。

家庭内暴力と暴言をなんとかしてほしいんです」
「それから、高校を中退した後の進路を、本人にきちんと考えさせたい」

お話を伺う中で、こんなリアルな家庭の悩みが次々と語られました。

「進路の話をしようとしても、逃げる・怒鳴る・モノを投げる……もう会話が成り立たないんです」

中高一貫校で成績不振や不登校になると、子どもは“親のせいだ”と責めてきます


中学受験は親が主導してやったので、その反動もあるんだと思います」

カズキ君もまさにこの「親に話しても無駄」という心理状態にありました。
そのため、親子で話し合おうとしても、冷静に言葉が届かない状況になっていたのです。

■だからこそ、「第三者の支援」が必要です

私たち不登校・引きこもり予防協会では、このような状況にあるご家庭に対して、**“第三者の立場”**から子どもと向き合うことを大切にしています。

「お困りの家庭内暴力や暴言の背景には、子どもに“居場所がない”という切実な孤独があります」

家庭でも、学校でも、社会でも「自分の話を聞いてくれる人がいない」と感じたとき、子どもは感情を爆発させます。

そのため、私たちはまず適切な“居場所”を提供します。
学習や生活のリズムを整え、少しずつ本人が「安心して自分を見つめ直せる環境」をつくることが最優先です。

そして時間をかけて、本人に「将来どうなりたいか」「どんな人生を歩みたいか」といった人生の目標を見出していけるようサポートします。

こうした環境づくりを通じて、カズキ君は暴力や暴言から自然と距離を置き、自ら立ち直る道を選んでいくようになりました。

■頭に包帯を巻いたお母さんと一緒に…ついにカズキ君が当会へ

数度にわたる作戦会議の末、ある日ついに、カズキ君がご両親に付き添われて当会を訪れました

そのとき、お母さんの頭には包帯が巻かれていました
実は、カズキ君が感情を爆発させた際、モノを投げてしまい、お母さんにケガを負わせてしまったのです。

家庭内暴力の現実は、ここまで深刻になっていました。
それでも、親子関係を修復し、未来を取り戻したい――
ご両親の強い想いが、カズキ君をようやく連れ出すことにつながったのです。

カズキ君は、見るからに素直でナイスガイ
教室に入ってきたその顔には、神妙な面持ちと、どこか張り詰めたような不安が見えました。

私はゆっくりと、こう声をかけました。

「よく来てくれたね。学校から“出ていけ”って言われたって聞いてるけど、大丈夫。
留年しないで高校を卒業できる道もあるから、一緒に考えていこう

■本人の選択が「立ち直り」の第一歩に

その場で、いくつかの選択肢をカズキ君に提示しました。

  • このまま中高一貫校に残り留年する道
  • 高校を辞めて今すぐ通信制高校に転校する道
  • 高卒認定試験を経て別の進学先を目指す道

カズキ君は少し悩みながらも、自分の気持ちを言葉にしました。

1年遅れるのは絶対に嫌です
高卒認定だと“学園生活”が味わえない気がして……」

最終的に彼が選んだのは、通信制高校サポート校への転校でした。
自分のペースで通える柔軟な学びの環境、そして仲間と交流しながら卒業資格を取れる仕組みに、彼は前向きになれたのです。

その後、当会の提携する通信制高校に正式に転校
カズキ君の新たな一歩が、静かに、そして確かに始まりました。

■通信制高校サポート校という「居場所」ができたことで変化が

提携する通信制高校サポート校に転校したカズキ君は、なんと毎日遅刻せずに登校するようになりました。

以前の中高一貫校では、不登校がちだった彼が、自分のペースで通える環境を手にしたことで、心に余裕が生まれてきたのです。

ただ、彼が教室で開いていたのは、なぜか以前の学校の課題プリントでした。

「カズキ君、なんでその課題をやってるの?」
私がそう聞くと、彼はハッとしたように言いました。

「あっ…そうでした。もう前の学校、辞めたんでしたよね。やらなくていいのか……」

「そうだよ。それにそれって、君が本当にやりたいことじゃないよね?

すると彼は、少し考えたあとに、こんな本音を漏らしました。

「……いやー、生まれてこの方ずっと、親から“勉強やれ”って言われてきて、“やらされてる感”がすごくあったんですよね」

■「だったら、一回“勉強”から離れてみようか?」

私は彼に、こう提案しました。

「どうだろう。一回、“勉強”のことは忘れて、アルバイト体験でもしてみたら?
ちょうどこのビルの1階で、アルバイトの募集をしてるんだよ」

勉強を離れて、「働く」というリアルな体験を通じて、社会との接点を持つこと
それは、自信を取り戻し、将来の目標を考え直すための大切な一歩になると私は確信していました。

私のアドバイスを受けて、カズキ君はサイゼリヤというイタリアンレストランでのアルバイトに挑戦することになりました。
週に3回、放課後に働くというスケジュールです。

この瞬間が、カズキ君の「やらされる人生」から「自分で選ぶ人生」への切り替わりだったのです。

■「やらされる」から「自分で動く」へ――アルバイトで見せた変化

初日は私も同行して、店長に挨拶。店内を見学させてもらいました。
そこで、私は驚きました――教室では見せなかった、まったく別の顔があったのです。

「いらっしゃいませ!」と元気な声で接客
注文をキビキビと取り、料理を笑顔でテーブルまで運ぶ姿

その動きには、自信と誇りがにじんでいました。
まるで、社会の一員として“必要とされている”実感を初めて得たような表情でした。

教室では、どこか他人事のように見えていた彼が、ここでは目の前の仕事に真剣に向き合っていたのです。

■「ありがとう」の経験が、自信に変わる

後日、彼に感想を聞いてみました。

「お客さんに“ありがとう”って言われたんです。
なんか……ちょっと嬉しかったです」

それは、成績や偏差値では得られない、人とのつながりから生まれる自己肯定感でした。
アルバイトを通じて彼は、自信・責任感・コミュニケーション能力といった、人生に必要な力を育んでいったのです。

■成績不振から不登校に!中高一貫校生が公務員になるまでの道

転校後、カズキ君の生活は目に見えて変わりました。

  • 通信制高校サポート校には毎日遅刻せず登校
  • 月1回のイベント活動にも欠かさず参加
  • 週3回のアルバイトも継続して勤務

まさに「居場所」と「役割」が揃ったことで、彼の生活は規則正しく、社会性に満ちたものへと進化していったのです。

■「親は大学に行けって言うけど、僕は仕事をしたい」

高校2年の終わり頃、カズキ君が改まった顔で私のところへ来て、進路相談をしてきました。

「親は“大学に行け”って言うんですけど……」
「でも、正直勉強が好きになれないんです」

「アルバイトしてると、働くって面白いなって思えてきて……仕事をしている方が自分には合ってる気がします」

彼のその言葉には、かつての「やらされていた勉強」とは違う、自分の意志で人生を選ぼうとしている覚悟が感じられました。

ここまで来て、ようやく本当の意味で**“自立”への第一歩**を踏み出したのです。

■「大学に行け」という親、「働きたい」という本人――すれ違う進路観

高校2年の終盤、カズキ君は明確な意思を持って進路の相談をしてくれるようになりました。

「親は“大学に行け”って言ってくるんですけど、僕は勉強が好きじゃないし、早く社会に出て働きたいです」

そんな彼の話を聞いた当会のスタッフが、ある提案をしました。

「じゃあ、高卒で公務員になるっていう道もあるよ。安定してるし、やりがいもある」

すると、カズキ君の顔がぱっと明るくなり、

それ、いいですね!」と即答。

■第三者が入ることで、親子の対立が「対話」へ変わった

ただし、ここで立ちはだかったのが親の希望です。

「大学には行ってほしい。高卒では将来が不安です」
「公務員になりたいって言っても、続けられるか分からないじゃないですか」

一方でカズキ君は強く主張しました。

「もう、親の言いなりでは進路を決めません。自分で選びたいんです」

そこで当会のスタッフが**“橋渡し役”として、丁寧に両者の想いを整理して伝え合う役割**を担いました。
時間をかけ、冷静に、何度も対話を重ねながら、最終的には次のような形で折り合いがつきました。

■高卒公務員を目指す。そのために“自分で責任を取る”と決めた

高校3年になったら、公務員予備校の費用は自分で負担します

この言葉に、ご両親は渋々ながらも納得。
親の願いと本人の希望の“ちょうどよい落とし所”を見つけることができたのです。

家庭内暴力や暴言で会話すらできなかった親子が、時間をかけて信頼と理解を築き直した
ここまで来たのは、カズキ君自身が変わり、支援環境と社会経験が彼を支えたからに他なりません。

■高校3年、カズキ君は人生で一番“忙しい”日々を送っていた

高校3年生になったカズキ君は、毎日がまさに“怒涛”でした。

  • 通信制高校サポート校に毎日登校
  • 週3〜4日のアルバイトを継続
  • 放課後は公務員予備校で受験勉強

その姿は、かつて家庭内暴力をふるっていた少年とは思えないほど、規則正しく、誠実な生活そのものでした。

■一次試験は通るのに…「なぜ僕は二次で落ちるんでしょうか?」

9月以降、カズキ君は希望する自治体の一次試験(筆記)には合格するようになっていました。
ところが、二次試験(面接)で不合格になることが続いたのです。

ある日、彼は私にぽつりとつぶやきました。

「先生、どうしてオレ、二次で受からないんだろう……
落ちたら、自衛隊に進むしかないんです……

私は腹が立ちました。

君みたいに優秀な子を落とすなんて、けしからん!
「よし、僕の友人に○○区役所にいる人がいるから、面接指導をお願いしてみよう

■「これじゃ受からない。でも、直せば確実に受かる」

後日、その友人にカズキ君の面接シートを見てもらったところ、開口一番こう言われました。

「**これじゃダメです。**自己PRや志望動機が弱いし、本人の強みが伝わっていない。
でも、ここをこう直せば、成績的には上位に入ってるので受かりますよ!

アドバイスのポイントは以下の3つでした。

  1. 通信制高校に在籍していたこと
  2. サポート校に毎日通い、生徒会長を務めていたこと
  3. 2年半にわたるアルバイト継続という実績

これらを具体的かつ誇りを持って書くこと。それが面接での評価を一気に引き上げる鍵だったのです。

■見事、○○区役所に最終合格!

指導を受けた後、カズキ君は面接シートを書き直し、志望動機も自分の言葉で練り直しました。
そして迎えた本番――

見事、○○区役所に最終合格!

ついに彼は、自分の力で選び、自分の努力でつかんだ未来へと歩き出しました。

■「不登校」でも「暴言を吐いていた」子でも、やり直せる

カズキ君は、
・中高一貫校で成績不振 → 不登校 → 家庭内暴力
という困難な道を歩みながらも、
・通信制高校サポート校で再出発
・生徒会活動とアルバイトで自信を回復
・第三者の支援と本人の努力で公務員試験に合格

という【奇跡ではない、再現性のある成功】を手にしました。

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