学校を休ませると休み癖がつく?不登校へ進むサインと親の7つの対応
「学校を休ませたら、休み癖がつくのではないか」
「心身を立て直すため、本人が動き出すまで休ませた方がよいのか」
不登校のお子さんを持つ保護者から、こうした質問を数多く受けます。
多くのカウンセラーや支援者は、「まずは十分に休ませましょう」「本人が動き出すまで見守りましょう」と助言します。もちろん、心身が疲れ切っている子どもには休養が必要です。
しかし、その助言を鵜呑みにして、寝たいだけ寝かせ、ゲームも好きなだけさせ、いつ寝て、いつ起きるのか分からない生活になっている家庭も少なくありません。
起きている時間のほとんどをゲームに費やし、食事や入浴も不規則になっている状態を、私は「心身を立て直すための休養」とは考えません。
それは休養ではなく、生活の崩れが固定され始めている状態です。この生活を続けるだけで、不登校が自然に解決するとは思えません。
私は、一般社団法人未来自律支援機構(JADA)代表理事の杉浦孝宣です。不登校・高校中退・引きこもりの子ども・若者と、その家庭を40年以上支援し、これまで1万人以上の相談に向き合ってきました。
この記事では、「休み癖」という言葉だけで子どもを責めるのではなく、必要な休養と生活の固定化を見分け、不登校から引きこもりへ進ませないために親ができる7つの対応をお伝えします。
この記事の結論
学校を休むこと自体が問題なのではありません。学校を休んだ後、生活リズム、家族との会話、外出、学び、社会との接点まで失われていくことが問題です。学校への復帰を一時的に求めなくても、規則正しい生活は維持してください。
お子さんが家庭で対応できる段階か、第三者の支援が必要な段階かを確認する
学校を休ませると「休み癖」がつくのか
一日、二日学校を休んだからといって、すぐに休み癖がつくわけではありません。
発熱、睡眠不足、強い疲労、いじめ、学校での人間関係、学習上のつまずきなど、子どもが学校を休む理由はさまざまです。
問題は、休む日が増えるにつれて、学校へ行かない生活が本人にとって当たり前になり、生活全体が崩れていくことです。
例えば、次のような変化が重なっていないでしょうか。
- 朝、学校へ行く時間に起きなくなった
- 昼夜逆転が始まった
- 起きている時間の大半をゲームやスマートフォンに費やしている
- 家族との会話が減った
- 入浴や歯磨きを嫌がるようになった
- 外出しなくなった
- 学校や進路の話を強く拒絶する
- 食事を自室で取るようになった
この状態を、「今は休養が必要だから」と無期限に見守ることには注意が必要です。
「休み癖」という言葉は、本人を怠け者と決めつけるために使うものではありません。
この記事では、学校を休むことだけでなく、生活の崩れと社会との断絶が固定され始めた状態を分かりやすく表す言葉として使用します。
必要な休養と、自堕落な生活は違います
心身を立て直すための休養は必要です。しかし、休養には生活の土台が必要です。
私が考える本当に必要な休養とは、規則正しい生活をできるだけ維持しながら、一旦、学校への復帰を考えさせず、本人にのびのびと生活してもらうことです。
学校へ行くかどうかを毎朝問い詰める必要はありません。勉強の遅れや進路について、繰り返し責める必要もありません。
一方で、次のような状態を放置することは、休養とは区別しなければなりません。
- 午後や夕方まで寝かせておく
- 夜通しゲームをさせる
- 食事の時間を決めない
- 入浴や着替えをしなくても何も言わない
- 家族と話さず、自室だけで生活させる
- 外出や学習、社会との接点が全くない
短期的には親子の衝突を避けられるかもしれません。しかし、数か月、数年と続けば、本人が再び動き出すための体力、気力、自信、対人関係、学習習慣まで失われていきます。
休養とは、社会との接点をすべて断ち、生活を崩すことではありません。
まず「不登校・引きこもりの5ステージ判定」で現在地を確認する
JADAでは、本人と家庭の状態を「不登校・引きこもりの5ステージ判定」で整理します。
これは、JADAの中核となる支援フレームワーク「Autonomy Stage OS」に基づく「5-Stage Assessment」です。
簡単にいえば、家庭で対応を整えながら見守れる段階なのか、家庭訪問など第三者による実動支援が必要な段階なのかを判断するためのステージ判定です。
- Stage 1:行き渋りがあるが、学校や外部との接点は残っている
- Stage 2:欠席が増え、昼夜逆転など生活の乱れが始まっている
- Stage 3:不登校が長期化し、外出や家族との会話が減っている
- Stage 4:家庭内で孤立し、生活習慣が大きく崩れている
- Stage 5:引きこもりが長期化し、進学、就労、将来の話を拒絶している
Stage 1〜2では、家庭の対応と学校との連携を整えながら、改善を目指せる場合があります。
一方、昼夜逆転、ゲーム漬け、親との会話断絶、外出困難、入浴拒否、進路拒否などが重なるStage 3以上では、学校や教育委員会だけでの対応には限界があります。
保護者だけで抱えず、JADAのように本人への働きかけまで行う専門機関へ相談することを推奨します。
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不登校から引きこもりへ進ませない親の7つの対応
1.学校へ行くかどうかと、生活リズムを分けて考える
「学校へ行かないなら、朝起きなくてもよい」と考えないでください。
復学を急がせないことと、昼夜逆転を認めることは別です。学校を休んでいる間も、起床、食事、入浴、就寝の時間をできるだけ整えます。
体調不良や医師の指示がある場合を除き、午前中には起きる生活を基本にしてください。
規則正しい生活が整わないままでは、学び直しや外出、アルバイト、進学、就職へつなげることが難しくなります。
2.ゲームとスマートフォンを無制限にしない
ゲームは、不登校や引きこもりの子どもにとって、友人とつながるための共通言語になることがあります。ゲームを一律に悪者にして、取り上げればよいわけではありません。
しかし、一日中、深夜まで無制限にゲームをする生活を認めれば、昼夜逆転が固定されます。
利用時間、終了時刻、課金、端末を置く場所などを家族で決めてください。ルールは、親が実際に運用できる内容にします。
特に重要なのは、父親と母親が方針を一致させることです。
母親が利用時間を守らせようとしている一方で、父親が子どもと一緒に深夜までゲームをしているという相談は、決して珍しくありません。
両親の方針が違えば、家庭のルールは機能しません。
3.「学校へ行きなさい」と毎日迫らない
学校への復帰を毎日迫ると、本人は朝が来ること自体を恐れるようになります。
登校だけを目標にせず、まず起きる、着替える、家族と食事をする、散歩へ行くなど、本人ができる行動から整えます。
学校へ戻すことを一時的に考えさせず、規則正しい生活の中で、のびのびと過ごさせる期間が必要な場合もあります。
4.本人を問い詰めず、生活を観察する
「どうして学校へ行けないの」「何が嫌なの」と繰り返し聞いても、本人が理由を説明できないことがあります。
私自身も小学3年生で不登校を経験しました。当時、鼻が悪く、鼻をかみたくて保健室へ行き、そのまま教室へ戻れなくなりました。
担任や親から「なぜ保健室ばかり行くのか」と聞かれても、私はうつむいているだけでした。小さかった私には、自分の状態をうまく言葉で説明できなかったのです。
原因を無理に言わせるのではなく、睡眠、食事、会話、入浴、外出、ゲーム、学習など、実際の生活の変化を見てください。
5.家庭の生活基準を取り戻す
本人を刺激しないようにするあまり、家庭のルールをすべてなくしてはいけません。
食事は家族と取る、使った食器は戻す、朝はカーテンを開ける、昼間は着替えるなど、家庭で暮らすための最低限の基準を決めます。
いきなりすべてを変える必要はありません。一つずつ、実行できる内容から始めます。
6.家庭の外に小さな接点をつくる
生活が少し整ってきたら、散歩、買い物、運動、フリースクール、学び直し、ボランティア、アルバイトなどへ段階的につなげます。
人は居場所と役割を失うと、引きこもりやすくなります。学校へ戻ることだけが社会との接点ではありません。
本人に合う居場所を見つけ、「自分にもできることがある」という経験を重ねることが重要です。
7.Stage 3以上は家庭だけで解決しようとしない
Stage 3以上では、保護者が声をかけても拒絶され、学校の先生も本人に会えないケースが増えます。
この段階では、保護者への助言だけでは足りません。親へのコーチングと、本人への実際の働きかけを組み合わせる必要があります。
JADAでは、必要に応じて家庭訪問、生活改善合宿、寮、学び直し、外出同行、アルバイト、進学、就職まで支援します。
相談窓口で待つだけではなく、本人のいる場所へ出向き、再び社会との接点をつくることが、JADAの支援方針です。
Stage 3以上でお困りの方は、JADAへご相談ください。
JADAの支援は「親へのコーチング」と「本人への実動支援」
親だけが変われば、すべて解決するわけではありません。本人だけを支援しても、家庭の方針が変わらなければ、元の生活へ戻る可能性があります。
そこでJADAは、次の二つを両輪として支援します。
- 親へのコーチング:父母の方針統一、声のかけ方、家庭のルール、ゲーム、金銭、起床、食事等の環境調整
- 本人への実動支援:家庭訪問、外出同行、生活改善、合宿・寮、学び直し、アルバイト、進学・就職支援
支援は、本人と家庭の状態に合わせて、次の順序で進めます。
- 親コーチングとステージ判定
- 家庭訪問
- 生活改善・環境調整
- 学び直し
- 社会との接点づくり
- 進学・就職などの社会参加
- 社会的自律
最終目標は、学校へ戻すことだけではありません。
本人が生活を整え、人とつながり、学び、働き、自分で考えて行動できる状態を目指します。
10年の引きこもりから公務員になったY子さん
JADAが支援したY子さんは、中学2年生から約10年間、引きこもり状態にありました。
24歳で相談を受けた後、生活を整え、学び直しを始め、通信制高校を卒業しました。その後、短期大学へ進学し、保育士資格を取得。最終的には公務員として働くまでになりました。
長期間、自宅で過ごしていたからといって、人生が終わるわけではありません。
しかし、「本人が動くまで待つ」だけで10年が過ぎた事実も見なければなりません。
必要なのは、本人と家庭の現在地を把握し、その段階に合った働きかけを行うことです。
PIVOTで紹介されたJADAの支援
杉浦孝宣の支援の考え方は、YouTube番組「PIVOT」でも前編・後編にわたり紹介されました。
PIVOT前編
PIVOT後編
よくある質問
1.学校を一日休ませると、休み癖がつきますか?
一日休んだからといって、すぐに休み癖がつくわけではありません。発熱や強い疲労、学校での問題などがある場合は、休ませる必要があります。
ただし、欠席後に起床、食事、入浴、就寝などの生活リズムまで崩れていないかを確認してください。学校を休むことと、生活全体を崩すことは分けて考える必要があります。
2.不登校は甘えや怠けなのでしょうか?
不登校を一律に甘えや怠けと決めつけることはできません。本人が理由を説明できない場合もあります。
一方で、学校へ行かず、昼夜逆転やゲーム中心の生活が固定されている場合は、本人の気持ちを理解するだけでなく、生活を立て直す働きかけが必要です。
3.朝は無理に起こさない方がよいですか?
体調不良や医師の指示がある場合を除き、学校へ行かない日も午前中に起きる生活を基本にしてください。
登校を毎朝迫る必要はありませんが、昼夜逆転を防ぐため、起床、食事、入浴、就寝の時間は整えます。
4.ゲームは取り上げるべきですか?
突然すべて取り上げると、大きな反発や家庭内の衝突につながることがあります。
ゲームは不登校や引きこもりの子どもにとって、友人との共通言語や社会との接点になる場合もあります。
ただし、無制限にはしません。利用時間、終了時刻、課金等のルールを決め、父親と母親が同じ方針で対応してください。
5.本当に必要な休養とは、どのような状態ですか?
規則正しい生活を維持しつつ、一旦、学校への復学を考えさせず、本人にのびのびと生活してもらうことです。
心身を休めながらも、起床、食事、入浴、就寝などの生活の土台は大きく崩さないようにします。
状態が落ち着いてきたら、家族との会話、散歩、買い物、学習、外出などへ少しずつつなげます。
期限も目標もなく、寝ることとゲームだけを続ける状態とは区別する必要があります。
6.本人が理由を話すまで待った方がよいですか?
本人が自分でも理由を整理できない場合があります。問い詰めて無理に言わせようとしても、解決につながらないことがあります。
本人の言葉を待つだけでなく、睡眠、食事、入浴、外出、家族との会話、学習、ゲームなどの生活状況を確認し、必要な対応を始めてください。
7.学校への復帰を目標にしなくてもよいですか?
復学は選択肢の一つですが、唯一の目標ではありません。
転校、通信制高校、フリースクール、学び直し、高卒認定、アルバイトなど、本人に合う再出発の方法があります。
最終的に目指すのは、本人が自分で外へ出て、学びや仕事へ一歩を踏み出し、社会の中で自律して生きられる状態です。
8.どのような状態になったら、第三者の支援が必要ですか?
昼夜逆転、ゲーム漬け、親との会話断絶、外出困難、入浴拒否、進路拒否などが重なるStage 3以上では、家庭だけで抱えず、JADAのような専門機関へ相談することを推奨します。
Stage 3以上になると、学校や教育委員会では本人へ継続的に働きかけることが難しく、保護者の声も届きにくくなります。
親への助言だけでなく、家庭訪問など本人への実動支援が必要です。
9.「9割以上の解決実績」とは、誰でも必ず解決するという意味ですか?
誰でも、何もしなくても必ず解決するという意味ではありません。
JADAの支援方針を理解し、父母が同じ方向を向き、家庭の対応を変え、専門家と一緒に必要な行動を続けた家庭では、高い割合で解決へ進んでいます。
失敗と集計しているのは、途中で家庭が支援を諦めたケースが中心です。
ご両親が諦めず、JADAと一緒に伴走を続ける家庭には、私たちも解決に向けて徹底して関わります。
10.「死にたい」「人生が終わった」と言う場合は、どうすればよいですか?
「死にたい」という気持ちや言動を、専門的には希死念慮と呼ぶことがあります。ただし、保護者が言葉の定義を判断する必要はありません。
私の40年以上の支援経験では、子どもが最も甘えることのできる母親に対し、「死にたい」「人生が終わった」と訴えるケースを数多く見てきました。
私が直接支援してきた範囲では、繰り返し「死ぬ」と訴えた子が、その言葉どおりに亡くなったケースはありません。
しかし、だからといって発言を軽視してよいわけではありません。
大切なのは、言葉だけに反応するのではなく、その背景に、絶望、孤立、家庭内の問題、学校での問題、生活の崩壊などがないかを見極めることです。
JADAでは、本人と家庭の状態を整理し、必要な支援を判断します。
具体的な自殺の計画、自傷、薬の大量摂取、刃物、家庭内暴力など、差し迫った危険がある場合は、家庭内だけで対応せず、110番・119番、医療機関、警察、児童相談所等へ連絡し、安全確保を最優先してください。
まとめ|必要なのは「休ませるか、行かせるか」の二択ではない
不登校の子どもに休養が必要な場合はあります。
しかし、寝たいだけ寝かせ、起きている間はゲームをさせ、生活の崩れを無期限に認めることが休養ではありません。
重要なのは、次の7点です。
- 学校へ行くかどうかと生活リズムを分ける
- ゲームとスマートフォンを無制限にしない
- 復学を毎日迫らない
- 理由を問い詰めず、生活を観察する
- 家庭の生活基準を取り戻す
- 家庭の外に小さな接点をつくる
- Stage 3以上は第三者の実動支援を入れる
不登校の休み癖は、早い段階で家庭の対応を整えれば改善できます。
長期化していても、正しい順序で生活、学び、人との接点をつくり直せば、再出発は可能です。
親が諦めない限り、JADAも諦めません。
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