不登校から高校進学 いくらでもありますが、卒業後が大事!@愛知県編


第1章|はじめに:不登校でも愛知県で高校進学は「いくらでも」ある!

「うちの子、不登校だけど、高校に進学できるのでしょうか?」
これは、私が保護者の方から最もよくいただくご相談のひとつです。

結論から申し上げます。
「進学の道は、いくらでもあります」

この言葉は、決して気休めや一時の慰めではありません。
私はこれまで40年以上にわたり、一般社団法人不登校引きこもり予防協会の代表理事として、全国の不登校・引きこもりの子どもたち、そしてそのご家族を支援してきました。
特に愛知県では、制度面でも進学支援の道が用意されており、多くの子どもたちが高校進学を果たしています。

愛知県には“不登校の子に配慮した受験制度”があります

ご存じでしょうか?
愛知県の県立高校入試では、以下のような制度が用意されています。

  • 「自己申告書A」提出制度
     中学校の2年または3年時に年間30日以上の欠席がある生徒でも、希望すれば全ての選抜でこの申告書を提出できます。
  • 「長期欠席者等にかかる選抜方法」
     中学校3年時の欠席が出席日数の半分以上でも、やむを得ない事情があれば、学校を通じて申請することで、一般選抜で特別な配慮を受けることが可能です。

つまり、「出席日数が足りないから無理だ」と諦める必要はまったくありません。
愛知県は、不登校の子どもたちにも公平なチャンスを提供しているのです。

✅ 愛知県の制度詳細はこちら(令和4年度 入試結果PDF)
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/418560.pdf

ただし、本当に大切なのは「高校に入ること」ではない

ここで、私が強調したいのは、「進学できる」という事実そのものではありません。
もっと大切なのは、その後にどう生きていくかです。

実際、高校には進学できたものの、卒業後に引きこもってしまい、昼夜逆転の生活になってしまったというご家庭の相談も少なくありません。

  • 「高校はなんとか卒業できたけれど、毎日ゲームばかり」
  • 「予備校に通う予定だったけど、全然起きられない」
  • 「進学はできた。でも、本人が何も意欲を持てずに困っている」

こうした声は年々増えています。
高校進学を“ゴール”にしてしまったことで、卒業後の「社会との接点」が途切れてしまっているのです。

「卒業後をどう支えるか」までが進路指導です

不登校からの高校進学は、スタートラインにすぎません。
本当に支援が必要なのは、進学後、そして卒業後の生活です。

たとえば、生活リズムを整え、アルバイトなどの社会体験を積む。
また、自信をつけて、自分で将来を描けるようになる。
こうしたプロセスを経て、子どもたちは少しずつ「社会の一員」として歩み始めることができます。

私たちは、進学=ゴールではなく、「その先をどう支えるか」までが支援であると考えています。

今後の章では…

このブログでは、ステージ判定(ステージ1~5)に沿って、以下のような情報をお届けしていきます。

  • 愛知県の進学制度の詳しい解説
  • ステージごとの進路選択のポイント
  • 卒業後の支援を受けられずに困っている事例
  • 引きこもりを予防するために今からできること
  • 高校卒業後に「社会で活躍している子」の成功事例

40年以上の支援経験をもとに、不登校の子どもたちが「高校に入るだけでは終わらない未来」を実現するためのヒントを、惜しみなくお伝えしていきます。

最後に:愛知県で、不登校の子を持つご家庭へ

もし、今この記事を読んでいるあなたが
「高校進学なんて無理かも…」と思っていたとしたら、
どうかその考えを少し横に置いてください。

不登校から高校進学はいくらでもあります。
ただし、大切なのは、「その後」を一緒に考えていくことです。

このブログが、お子さんの未来を考える一歩になれば幸いです。
次章では、なぜ高校卒業後の支援が重要なのか、具体的な事例をもとに詳しく解説していきます。

目次

第2章|高校卒業後が大切な理由【ステージ判定で解説】

「高校には進学できたのに、その後どうして…?」
私たちのもとには、そういった“卒業後の悩み”が後を絶ちません。

実際、当協会に寄せられた450件以上の相談の中で、高校は無事に卒業したものの、その後の生活でつまずいてしまったケースは決して少なくありません。

たとえば、こんな声があります。

  • 「日中はずっと寝ていて、夜に起きてゲーム。外には出たがらず、予備校にも行けない状態です」
  • 「大学受験を目指していたのに、共通テスト直前になって“受けない”と言い出しました」
  • 「卒業して数ヶ月経つのに、アルバイトもせず、何もしていない。親として焦るばかりです…」

こういった子どもたちに共通して見られるのが、ステージ判定4〜5の引きこもり傾向です。

ステージ4〜5とは?卒業しても支援が必要な状態

当会では、子どもたちの状態を以下のようにステージ判定しています。

  • ステージ1:学校には行けないが、生活リズムは整っている
  • ステージ2:親との会話はあるが、進路の話を避ける
  • ステージ3:ほぼ部屋から出ず、昼夜逆転が始まる
  • ステージ4:無気力・将来への希望がない状態
  • ステージ5:完全な引きこもり。自発的な行動はほぼゼロ

高校卒業後の「つまずき組」の多くは、ステージ3〜5の傾向が強く残っているのです。
彼らは一見「進学できた=元気になった」と思われがちですが、実際には“高校卒業まで何とか頑張った”だけで、その後に燃え尽きてしまっていることが少なくありません。

実際の相談事例(抜粋)

■ ステージ4・愛知県の県立高校をギリギリ卒業した男子

高校3年間、出席日数がギリギリで何とか卒業。
浪人生活に入ったものの、予備校には通わず、昼夜逆転・動画漬けの毎日。
本人は「もう大学受験はしたくない」と話し、親は絶望感と焦りでいっぱい。
暴力はないものの、社会との接点が完全に途切れている状態。

■ ステージ5・中学から不登校→高校は新宿山吹高校卒業

中学2年から不登校。教育支援センターには通い、高校は都外の通信制を卒業。
現在は予備校在籍中だが、すでに不登校気味。将来へのビジョンも持てず、家族も困り果てている。

■ ステージ4・「役者になりたい」と言っていたが…

高校2年で1年間不登校 → 転校して卒業はできたが、
その後は「役者になりたい」と口にするだけで、実際はずっと自室にこもりゲーム中心の生活。
親も本人も、どう動いていいかわからないまま、時間だけが過ぎている。

高校卒業後=支援の終わりではない!

上記のようなケースは、決して珍しいものではありません。

むしろ「高校さえ卒業できれば、あとは何とかなる」という思い込みが、かえって子どもたちを苦しめる結果につながっているのです。

現実として、高校を卒業しても、生活リズムが整っていなければ自立は難しい
社会経験もなく、孤立した状態で社会に出ていくのは、10代の若者にとって非常にハードルが高いのです。

なぜ「卒業後の支援」が必要なのか?

私たちが「卒業後の支援こそ重要」と考えるのには、理由があります。

  • 高校卒業=社会に出る準備が整ったとは限らない
  • 卒業後は学校や担任の支援が切れる(居場所喪失)
  • 家族の支えだけでは限界が来る

だからこそ、卒業後に第三者の介入=専門支援が必要なのです。

当協会では、卒業後に引きこもりが加速してしまった子どもたちに対して、アウトリーチ型支援(訪問支援)や生活改善合宿など、家庭の外からの支援を行っています。

保護者に伝えたい「3つの大切な視点」

① 卒業したから大丈夫、は危険な思い込み

実際は“ようやくスタートラインに立った”だけです。

② 高校進学より卒業後の計画こそ必要

就職、アルバイト、インターン、資格取得…準備は在学中から。

③ 支援が必要な時期を見逃さない

「卒業したのに何もしない」と感じたら、それは黄色信号です。

最後に:未来に進む準備は「高校の先」にある

不登校を乗り越え、頑張って高校に進学・卒業できた。
これは確かに、素晴らしいことです。ご本人もご家族も、胸を張っていい成果です。

しかし、そこで立ち止まってしまってはもったいない。
今こそ、「次の一歩」を一緒に考える時期なのです。

次章では、ステージ1の子どもたちに向けた、高校進学の選択肢とその後の支援について、具体的に解説していきます。

第3章|【ステージ1】全日制県立・私立が目指せるケース

「不登校」とひとくちに言っても、その状態には段階があります。
私たちはそれを「ステージ判定」という形で分類し、状態に応じた支援や進路選択を提案しています。

今回はその中でも、ステージ1=軽度の不登校傾向にあるお子さんに向けて、愛知県内で選べる高校進学先についてご紹介します。

ステージ1とは?〜“外に出られる力”が残っている状態

ステージ1とは、たとえば以下のような状態を指します。

  • 学校には行けていないが、生活リズムはおおむね安定している
  • 定期テストや保健室登校には参加できている
  • 家族との会話があり、外出もたまにできる
  • 将来や進学について、ある程度前向きに話せる

この段階であれば、高校進学は十分に狙えます。むしろ、大きな転機になる可能性も高いのです。

愛知県立高校の仕組みがステージ1の子に優しい理由

愛知県の県立高校では、不登校の生徒にも配慮した受験制度が用意されています。

自己申告書Aの提出が可能

中学2・3年で年間30日以上の欠席がある場合、「自己申告書A」を提出することで、選抜時に配慮を受けることができます。

長期欠席者にかかる選抜方法

中学3年で欠席が出席日数の半分以上でも、やむを得ない理由があれば、中学校を通じて申請可能。特別な選抜方法が適用されるケースもあります。

これらの制度があるおかげで、出席日数だけで高校進学を諦める必要はありません。

実際に目指せる進学ルートは?

▶ 全日制の県立高校

生活リズムが整っていて、定期テストを受けていれば、内申点もつきます。
不登校だったとしても、成績さえ出ていれば受検資格があります。

多くのお子さんが、高校進学を機に環境を変えることで、不登校から抜け出し、学校に通えるようになったケースもあります。

▶ 私立高校

私立高校は推薦枠が広く、出席状況よりも本人の意欲や面接、作文を重視する傾向があります。
柔軟な校風の私立校も多いため、ステージ1の子にとっては「自信を取り戻す場」となることもあります。

学力に不安がある場合の選択肢

不登校期間があったために学力面が心配…というご家庭には、以下の選択肢があります。

▶ 県立の定時制・三部制高校(昼夜間)

  • 城北つばさ高校
  • 一宮起工科高校
  • 刈谷東高校
  • 名古屋市立中央高校
  • 豊橋市立豊高校

これらは比較的卒業しやすいとされる一方、出席が一定以上必要です。つまり「緩やかではあるが、通学が前提」です。

通信制高校はまだ早い?

通信制高校は、「通わなくても卒業できる」点で魅力的に見えるかもしれません。
しかし、ステージ1の段階では、できるだけ“通う環境”を選んだ方が良いと私は考えます。

理由は以下のとおりです。

  • 「楽そうだから」と通信制を選ぶと、次第に引きこもるリスクがある
  • 他者との交流が極端に減り、社会性が育ちにくい
  • 一度生活リズムが崩れると、再建が難しくなる

もちろん、お住まいの地域に定時制高校がない場合などは、週5日通学できる通信制高校のサポート校という選択肢もあります。

「高校進学=人生の転機」になった事例

実際に、ステージ1の段階で高校に進学し、その後見違えるように元気になった子は少なくありません。

たとえば、以前支援したエイタ君(中2で不登校)は、地元の私立高校に進学後、自信を取り戻し、カナダ留学を果たしました。
高校卒業後は大学進学も実現し、今はIT系の道を目指して歩んでいます。

まとめ|ステージ1の今こそ「通える学校」を選ぼう

高校進学はゴールではありません。
でも、不登校を抜け出す「最初の一歩」にはなり得ます。

【ステージ1の進路選択まとめ】

状況推奨される選択肢
学力あり・不登校期間短い全日制 県立・私立高校
学力不安・生活リズムに不安あり定時制(昼夜間)高校
通える学校が周囲にないサポート校付き通信制高校(週5日)

今はまだ「普通」に戻る自信がないかもしれません。
でも、「環境が変われば、子どもは変わる」――これは何度も目にしてきた現実です。

第4章|【ステージ2】私立+定時制+通信制を柔軟に検討

ステージ1では「通える力」があるお子さんに向けて、全日制県立や私立高校への進学を提案しました。
ここからは一歩踏み込んで、ステージ2=親子間の対話が難しくなってきた段階についてお話します。

「進路の話をすると子どもが逃げる」
「ゲームやスマホに没頭し、将来の話を嫌がる」
そんな状況のご家庭にこそ、柔軟で段階的な進学戦略が必要です。

ステージ2とは?進路の話ができない「逃避モード」

以下のような特徴が見られるお子さんは、ステージ2に該当する可能性があります。

  • 昼夜逆転が始まり、生活リズムが乱れ始めている
  • 学校に行けず、定期テストも欠席
  • 親が進路の話をすると、無視・反発・退室してしまう
  • 将来の話をすると「無理」「どうでもいい」と言う

この段階では、子ども自身が現実から目を背けている状態です。
しかし、適切な環境とアプローチがあれば、再び前を向けるようになる可能性も大いにあります。

進学先の考え方:選択肢は一つに絞らなくていい

ステージ2の進学先は、1つに固定する必要はありません。
むしろ、複数の選択肢を“並行して”検討するのが理想です。

第一選択:私立高校

私立高校の中には、出席日数よりも面接・作文などの人柄ややる気を重視する学校もあります。
また、少人数制・自由な校風など、子どもの個性を尊重する私立校も増えています。

🌱「とりあえず私立に進学 → その後県立高校への転編入学を目指す」
という作戦も有効です。最初は“つなぎ”として私立、という考え方もOKです。

第二選択:定時制高校(三部制・昼夜間)

通学日数を週3〜4日に調整できるなど、柔軟な通い方が可能。
出席すれば単位が取れるため、学力不安があるお子さんでも卒業は目指せます。

🏫 例:城北つばさ高校、刈谷東高校、一宮起工科高校、市立中央高校など

第三選択:通信制高校+サポート校(週5日通学型)

毎日通う通信制サポート校もあり、通学習慣の維持に効果的です。
ネット授業メインの通信制単独校より、週5通学+担任+進路指導ありのサポート校付き通信制が安心です。

⚠ 注意:完全在宅型通信制は、引きこもりを助長するリスクあり
「楽だから」という理由で選ぶと、ステージ3へ進行する可能性があります

親のNG対応:「この学校にしなさい」は逆効果

このステージでよく見られるのが、親の焦りから「学校を勝手に決めてしまう」こと。

しかし、子どもにとってはそれがストレスになり、「親に支配された」と感じ、余計に心を閉ざしてしまうことも。

進路の一方的な押しつけ

→ ステージ3への後退リスク大

◎ いくつかの選択肢を“提示”して、最終的な判断は子どもに任せる

→ 主体性と自律性の回復につながる

寮生活で生活リズムを立て直すという選択

「家庭内ではリズムが整わない」
「親の言うことは聞かない」
そんな場合は、全寮制の学校という選択肢も検討に値します。

🔶 例:黄柳野高等学校(つげの)

愛知県内にある、全日制・全寮制の私立高校。
学力よりも人間性・生活の改善に重きを置いており、地方からの入学者も多くいます。

「進学できれば変われる」は半分正解、半分危険

進学を機にお子さんが変わるケースは確かにあります。
ですが、「高校に入れば勝手に治るだろう」と思ってしまうのは危険です。

重要なのは、「どの学校に行くか」よりも、「どんな生活を送れるか」
進学の手段が目的化してはいけません。

まとめ|ステージ2は“選択肢の幅”がカギ

ステージ2のお子さんは、「行けそうな学校」ではなく、“行きやすくなる仕組みがある学校”を選ぶことが大切です。

【ステージ2の進路選択まとめ】

状況推奨される選択肢
親との対話は可能・学力あり私立高校(柔軟な校風)
学力に不安あり定時制(三部制)高校
通学が困難通信制高校サポート校(週5日通学)
家庭での生活再建が難しい全寮制高校(例:黄柳野)

焦らず、決めつけず、お子さんと並走していく。
それがステージ2の最大の支援となります。

次章では、ステージ3〜5に該当する、より深刻な引きこもり状態について詳しく解説し、必要な支援のあり方を紹介していきます。

第5章|【ステージ3〜5】引きこもり状態からの逆転方法

「うちの子、もう何日も部屋から出てきません…」
「夜中にゲーム、昼は寝てばかり。将来の話をすると怒ります…」

このようなご相談が、私たち一般社団法人不登校引きこもり予防協会に日々届いています。
こうした状態にあるお子さんは、すでに「引きこもりステージ」に突入している可能性が高いのです。

大切なのは、不登校と引きこもりは似て非なるものだという理解。
そして、ステージ3以上になると、「家庭だけの対応では限界がある」という現実です。

ステージ3〜5とは? もはや“学校どころではない”状態

当協会では、子どもたちの状態を5つの段階に分けて支援しています。
中でもステージ3以上は、以下のような深刻な傾向が見られます。

ステージ特徴
ステージ3昼夜逆転、ネット・ゲーム依存、外出拒否。家族との関係も希薄化。
ステージ4将来への希望を完全に失い、社会との接点もゼロに近い。会話が減り、感情表現も乏しい。
ステージ5無気力に加えて暴言や暴力も。自傷・他害のリスクがある。親も疲れ果て、支援を諦めがち。

この段階は、文部科学省の枠組みでは「不登校」でも、厚生労働省の定義に照らせば、明確に“引きこもり”状態です。

⚠ 家族にとって最も怖いのは、「このままでも大丈夫」と思い込んでしまうこと。
引きこもりが10年、20年と続く「8050問題」「9060問題」は、すでに社会的課題です。

「高校に行けば変わる」は通用しません

ステージ3以上のお子さんに対して、
「とにかく高校に入れれば生活が変わる」――この考えは非常に危険です。

進学以前に、

  • 朝起きられない
  • 意欲が湧かない
  • 対人関係を避けたい

といった心理・生活面の課題が山積みであるため、無理に進学させても「登校できない」「退学」「さらに自信喪失」という流れになりやすいのです。

必要なのは「家庭訪問支援(アウトリーチ)」という選択肢

この段階で最も必要なのは、家庭の中に第三者が入ることです。

私たち一般社団法人不登校引きこもり予防協会では、
専門資格を有した「引きこもり予防士」による【家庭訪問支援(アウトリーチ)】を行っています。

🔶 家庭訪問支援(アウトリーチ)の流れ

  1. 保護者の方との事前相談・面談
  2. ご家庭の状況やお子さんの生活実態のヒアリング
  3. 当協会認定の「引きこもり予防士」が家庭を訪問
  4. 本人の反応や空気感を読み取り、初期支援プランを立案
  5. ピアサポート(当事者経験者の訪問)や合宿など、段階的に外部と接点をつくる

💡 ピアサポートとは?
元・不登校や引きこもり経験者が先輩として訪問する支援です。
親には言えない本音も、同じ経験を持つ人には自然と話せることがあります。

引きこもりから脱出した実例

「本当に、ここから社会復帰できるんですか?」
そう思われるのも当然です。
でも、私たちは実際に多くの子が“復活”した姿を見てきました。

Y子さん(10年引きこもり→公務員)

中学2年で不登校→10年間引きこもり。
家庭訪問支援からの再スタートで通信制高校に進学。
その後、短大卒業→保育士資格→現在は地方公務員として勤務中。

カイト君(不登校→自衛隊)

中学1年から不登校→生活改善合宿→通信制高校+フリースクールで復帰。
卒業後は自衛隊入隊。今では後輩を支える立場に。

G君(中退→通信制→美大合格)

高校中退後、8ヶ月間の引きこもり。
家庭訪問支援・合宿を経て、通信制高校を卒業。
現在は美大で学びながら、学生インターンとして後輩を指導中。

引きこもり支援は「順番」が命

ありがちなのが、いきなり学力支援(塾・家庭教師)から始めてしまうケース。
これは高確率で失敗します。

不登校・引きこもり支援の基本は、以下の3ステップです。

  1. 規則正しい生活(起床・就寝・食事・清潔)
  2. 小さな自信の積み重ね(外出、会話、役割)
  3. 社会貢献や就労体験(アルバイト・ボランティア・進学)

❌ 順序を飛ばすと、心がついていかず、本人は「また失敗した」と自己否定へ。

今こそ、勇気を出して第三者の手を借りましょう

ステージ3以上は、本人の意志だけで変われる状態ではありません。
そして、親御さんだけで抱え込むには、負担があまりにも大きいのです。

  • 「家庭の外からの視点」
  • 「対話できる第三者」
  • 「時間をかけて寄り添う支援」

この3つが揃って初めて、引きこもり状態は動き出します。

まとめ|ステージ3以上は“静かな緊急事態”

【ステージ3〜5の対応まとめ】

状況対応策
昼夜逆転・会話拒否家庭訪問支援(アウトリーチ)開始
親に対して過敏・反発引きこもり予防士による中立的アプローチ
先が見えない・孤独感ピアサポートでモデルケースを提示

進学でもなく、叱咤でもなく、
今のお子さんに必要なのは「家庭の中に信頼できる第三者が入ること」です。

どうか、「うちの子には無理だ」と決めつけないでください。
再スタートは、いつでも、ここから切れます。

次章では、高校卒業後に支援がなかったことで引きこもりが長期化したケースと、それをどう防ぐかを詳しくご紹介します。

第6章|卒業後の支援がなければどうなる?実例と課題

「高校はなんとか卒業した。でも、その後どうしていいかわからない」
「卒業してから、急に何もしなくなった」
「予備校に通うはずが、ずっと部屋にこもってゲームばかり」

…これはすべて、実際に当協会に寄せられたご相談の一部です。
不登校から高校へ進学・卒業できたことは、間違いなく大きな成果です。
しかし、それがゴールになってしまうと、その後の“空白期間”でふたたび引きこもり状態に陥るリスクが高くなってしまいます。

「卒業して終わり」ではなく「卒業後が本当のスタート」

学校という“居場所”がなくなった途端に、生活リズムが崩れ、目標も失い、気づけば引きこもりへ逆戻り…。
こうした「卒業後の空白期間」は、支援の手が届かなくなるタイミングでもあります。

🎓 高校の先生は卒業後、基本的に関われません
👪 家庭だけでは「支援力」が限界を迎える
💬 進学・就労などの情報や選択肢も見つけられない

だからこそ、卒業後の支援体制をあらかじめ用意しておくことが極めて重要なのです。

実例1:県立高校をギリギリ卒業 → 浪人生 → 引きこもりへ

ステージ判定:4
男子(18歳)愛知県の県立高校を出席ギリギリで卒業。
浪人して大学を目指すと言っていたが、予備校には行かず、生活は昼夜逆転。
ゲーム・動画が中心で、家族との会話も減少。
「大学はもう受けない」「このままでもいい」と発言。
進学も就職も考えられず、親だけが焦りと不安に駆られている。

実例2:通信制高校卒業後、目標を見失いステージ5に

ステージ判定:5
中学から不登校 → 教育支援センター → 通信制高校に入学・卒業
現在、大学受験を目指して予備校に通うはずが、ほぼ不登校。
外出せず、会話も少なく、本人も「生きる意味がわからない」と口にする。
家庭でできることはやり切ったが、完全に限界を迎えている状況。

実例3:夢を語っていたが、行動が伴わず引きこもりへ

ステージ判定:4
高校2年で不登校 → 転校して卒業。
「役者になりたい」と語るも、実際は毎日部屋にこもりゲーム三昧。
何かのきっかけを待っているように見えるが、何も動かない。
親がアルバイトや専門学校を勧めても反応なし。
自立できる気配がなく、親の疲弊が進行中。

なぜ卒業後の引きこもりが増えるのか?

理由は明確です。

  1. 日中に所属する場所がなくなる(居場所の喪失)
  2. 社会的な期待が高まり、本人がプレッシャーを感じる
  3. 親が「もう大丈夫」と思って支援をやめてしまう

卒業=自立ではありません。
むしろ、卒業後こそ「次のステップ」へ進むための支え・伴走役が必要なのです。

卒業後に引きこもりを防ぐ3つの視点

① 在学中から「卒業後の生活設計」を一緒に考える

  • 予備校だけでなく、アルバイト、インターン、資格取得など多様な選択肢を具体化する
  • “本人が描く未来”を否定せず、一緒に設計することが重要

② 生活リズムを継続させる仕組みをつくる

  • 通学→卒業で朝起きる理由がなくなると、すぐ崩れる
  • 週に数回でも外出や活動予定を入れる工夫が必要(習い事・支援団体など)

③ 卒業後もつながり続ける“支援の窓口”を用意する

  • 保護者のみで抱え込まない
  • 家庭訪問支援(アウトリーチ)やピアサポートなど、卒業後も頼れる場所をつくっておく

支援を継続することで、再スタートは可能になる

たとえ卒業後に一時的に引きこもってしまっても、そこから再び立ち上がる道は必ずあります

実際、私たちが支援しているN君(ステージ4→通信制高校卒→カナダ留学→農業大学)も、卒業後一度は引きこもりかけました。
しかし、家庭訪問支援で再び動き出し、今では前向きに人生を歩んでいます。

🌱 重要なのは、「卒業後に支援の手を放さない」こと。
それが、お子さんの未来の可能性を広げる最大の鍵です。

まとめ|「卒業したのに…」と悩む前に

【卒業後の支援がない場合の課題】

問題結果
居場所がなくなる昼夜逆転・引きこもり
社会的期待がプレッシャーに自信喪失・自己否定
家庭だけで抱え込む保護者の疲弊・家庭崩壊の危険も

【対策】

  • 卒業前から「その後の生活」を設計する
  • 卒業後も支援者・伴走者が関わり続ける
  • 家庭訪問支援・ピアサポートで外との接点を切らさない

卒業は、あくまで「一区切り」に過ぎません。
社会に出て生きていく準備は、その先にこそ必要なのです。

次章では、「高校卒業後に“生きる力”を育むには何が必要か?」について、ステージ判定や事例をもとに、具体的な方法をご紹介していきます。

第7章|高校卒業後に“生きる力”を育むには

「高校は卒業した。でも、この先どうすれば…」
これは、私たち一般社団法人不登校引きこもり予防協会に寄せられるご相談の中でも、
卒業直後のご家庭から非常に多く寄せられる声です。

進学も就職も決まっていない。
アルバイトもできない。
家にこもってゲームや動画中心の生活。

卒業してから動けなくなる――そんな“空白期間”こそ、支援の継続が求められるタイミングなのです。

「生きる力」とは何か?

私たちが支援の中で重要視している「生きる力」とは、単なる学力や知識ではありません。
それは、以下の3つのステップで構成されます。

① 規則正しい生活

まずは朝起きて、夜眠るという当たり前の生活を取り戻すこと。
生活リズムが整わなければ、意欲も行動も生まれません。

② 自信と自律

小さな成功体験の積み重ねを通じて、
「自分はできる」「前に進める」と実感できるようになること。
これが“自律”へとつながっていきます。

③ 社会との接点(社会貢献)

自分が誰かに必要とされているという実感――
それこそが、生きる力の土台となるのです。

実践的な方法|アルバイトは“最強の社会経験”

高校卒業後、まず私たちが推奨するのはアルバイト経験です。
特に、ステージ2〜4にある子どもたちにとっては、社会との接点づくりとして非常に有効です。

🔷 アルバイトで得られる5つの“力”

  1. 挨拶・礼儀が自然と身につく
  2. 時間を守る感覚が養われる
  3. 報酬=労働の対価を理解できる
  4. 他者とのコミュニケーション力が高まる
  5. 「自分も社会の一員だ」という自己効力感

就労支援・インターン・地域活動も“貢献体験”に

アルバイトが難しい場合は、以下のような「疑似社会参加」もおすすめです。

  • NPOや自治体でのインターンシップ
  • 就労体験プログラム(特別支援学校や民間機関との連携)
  • 地域の清掃活動、イベントのボランティアなどの小さな社会貢献

これらの経験は、履歴書に書く実績にもなり、将来的な進学・就職にもつながっていきます。

家庭でできる“生きる力”サポート

保護者の関わりも非常に重要です。
「甘やかしすぎ」や「突き放しすぎ」ではなく、“できたことを認めてあげる”伴走型の関わり方が効果的です。

🌱 例えば、こんな関わり方を:

  • 起きてきたら「おはよう、起きれてえらいね」
  • ゴミ出しや食器洗いなどの役割を与える
  • アルバイトや通所をした日は、ちゃんと褒める
  • 失敗しても「また次があるよ」と安心感を与える

成功事例:卒業後に“生きる力”を育んだ若者たち

シュン君(高1引きこもり→生活改善合宿→看護系大学へ)

不登校から生活改善合宿でリズムを取り戻し、住み込みの仕事で社会経験を積む。
予備校に通い、看護系大学に進学。現在は看護師を目指して奮闘中。

サコウ君(通信制高校→上場企業内定)

家庭での生活改善と並行して、インターンでビジネスマナーを学習。
その経験が評価され、プライム市場上場の大手企業に内定。

N君(不登校→2年引きこもり→カナダ留学→農業大学)

支援後、通信制高校に入学。英語に興味を持ち、留学を経て農業大学へ進学。
現在は就農を目指し、地域活動にも参加中。

まとめ|卒業後こそ「自分らしく生きる力」を

高校卒業はあくまで通過点です。
社会に出て、自分らしく生きるためには、“実体験に基づいた力”を育むことが不可欠です。

【生きる力を育むために大切な視点】

ステップ内容支援方法
① 規則正しい生活起床・食事・就寝のリズム合宿、寮、家庭支援
② 自信と自律小さな成功体験家庭訪問支援、ピアサポート
③ 社会との接点アルバイト・ボランティアインターン・職場体験・支援団体の紹介

「うちの子にはまだ早い」と思うかもしれません。
ですが、小さな一歩から始めれば、必ず「生きる力」は育ちます。

次章では、実際にその“生きる力”を育て、見事に自立・社会復帰を果たした子どもたちの成功事例を取り上げ、保護者の皆様へのヒントをお届けします。

第8章|成功事例から学ぶ「卒業後が大事」の意味

「高校を卒業できたのに、なぜまた引きこもってしまうのか…」
そう悩むご家庭がある一方で、高校卒業後に支援を継続したことで、大きく飛躍した子どもたちも確かに存在します。

この章では、実際に支援を通じて“卒業後の空白”を乗り越えた成功事例をご紹介しながら、なぜ卒業後が重要なのか?を具体的に掘り下げていきます。

成功事例1|Y子さん(10年引きこもり → 通信制卒業 → 公務員)

中学2年から不登校になり、そのまま10年もの間、部屋に閉じこもっていたY子さん。
ご家族は見守るしかできず、時間だけが過ぎていきました。

しかし、当協会の家庭訪問支援(アウトリーチ)をきっかけに、少しずつ外との接点が生まれ、通信制高校へ進学。
卒業後も継続支援を受けながらアルバイト・短大を経て、保育士資格を取得し、現在は公務員として地域に貢献する立場に

🔑 ポイント:卒業後に「社会とつながる仕組み」があったことで、自己肯定感が育ちました。

成功事例2|カイト君(中1不登校 → 通信制高校 → 自衛隊入隊)

中学1年から不登校。
支援開始時はステージ3の引きこもり傾向が強く、昼夜逆転・ゲーム中心の生活でした。
家庭訪問支援と生活改善合宿を経て、通信制高校へ進学。フリースクールで他者との関わりを経験し、少しずつ自信を取り戻しました。

卒業後もサポートを続け、自衛隊に入隊。いまでは後輩の卒業式にも出席するほどに成長しました。

🔑 ポイント:「卒業がゴール」ではなく「卒業後にどう動くか」が明暗を分けました。

成功事例3|N君(2年間引きこもり → 留学 → 農業大学)

中学3年で不登校。そのまま2年間、完全な引きこもり状態に。
当会の支援で通信制高校に進学し、英語に興味を持ったことからカナダへ短期留学。

卒業後は農業大学に進学し、現在は地元で就農を目指しながら、農業ボランティアにも積極的に関わっています。

🔑 ポイント:「やりたいことを見つけた後」も、支援が伴走し続けたことが社会参加の鍵に。

成功事例4|G君(高校中退 → 美大合格 → インターン)

一度は高校を中退。8ヶ月間の引きこもり生活を経て、家庭訪問支援で生活リズムを回復。
通信制高校へ転入後、絵を描くことに没頭し、努力の末に美大に合格
現在は当会の学生インターンとして、後輩の支援にも関わっています。

🔑 ポイント:本人の得意や興味に支援がリンクし、「夢」が「現実」になりました。

成功事例から見える「卒業後支援の共通点」

どの事例にも共通しているのは、高校卒業後に支援が続いていたことです。
それによって、以下のような効果が見られました。

支援継続の効果内容
自信の維持卒業後も支援者が関わることで「できる自分」を維持
社会との接点アルバイト・留学・インターン等で他者との関係性を築く
失敗のフォロー落ち込んでも支援者が支えることで再起できる
モチベーションの持続夢や目標を共有し、一緒に計画を立てて動ける

卒業後の“支援のあり方”が、その後の人生を左右する

進学や卒業は、あくまで一つの通過点にすぎません。
その後、社会に出て自立し、誰かに必要とされる感覚を持てるようになるためには、卒業後の支援の質と継続性が決定的に重要なのです。

支援が続くことで、子どもは安心しながら自分のペースで社会との距離を縮めていけます。
そして、ゆっくりでもいいから「自分で歩ける力」を育てていけるのです。

まとめ|卒業後の“その一歩”に寄り添えるかが、未来を変える

【成功事例に共通する支援の視点】

視点内容
継続卒業後も“孤立させない”こと
伴走本人のやりたいことに一緒に取り組む
社会性アルバイト・インターン・人との関わりを経験させる
柔軟性進路の正解を一つに決めず、選択肢を広く持つ

「卒業したから、もう大丈夫」――そう思いたい気持ちはよくわかります。
でも、大事なのは、卒業の“その先”を一緒に歩むことなのです。

次章では、保護者の皆さまが「卒業後」に備えて、今からできること――情報収集・対話・支援先との連携など、実践的なポイントをお伝えします。

第9章|保護者にできること:進学後を見据えて今からできる備え

「とりあえず高校には入れた。でもこの先、大丈夫なんだろうか…」
「卒業後、また家にこもるのでは?」

不登校・引きこもりを経験したお子さんを持つ保護者にとって、進学後の不安は尽きません。
特に「卒業後、また動けなくなるのでは?」という心配は、よくあるご相談の一つです。

進学がゴールではなく、その先をどう支えるか――それが保護者にとって最も大切な“備え”です。

「高校進学後」にこそ必要な親の役割とは?

お子さんが高校に入ったからといって、支援や見守りをすべて手放してしまうのは危険です。
むしろ、高校に入った今だからこそ、「卒業後を見据えた関わり方」が必要なのです。

以下に、当協会が実践する【7つの支援ステップ】を用いながら、保護者として今からできる備えをご紹介します。

🔵【STEP1】ステージ判定|現在の状態を把握する

最初にするべきは、お子さんの今の状態=ステージを正しく把握することです。
生活リズムや会話の有無、社会との接点の有無を客観的に見て、支援のスタート地点を確認しましょう。

✅ 家族だけで判断が難しい場合は、面談や家庭訪問を活用してください。
【目安】ステージ1~2:不登校傾向|ステージ3以上:引きこもり傾向

🟡【STEP2】親のためのコーチング|関わり方を整える

ステージがわかったら、次に必要なのは「親の関わり方」の見直しです。

  • 過干渉・過保護になっていないか?
  • 怒りや不安を感情的にぶつけていないか?
  • お子さんの選択や意思を尊重できているか?

当協会では、保護者向けに「親のコーチング」を実施し、適切な距離感・言葉かけを学んでいただいています。
「正しい声かけ」が、子どもの自立を促す一歩になります。

🔵【STEP3】家庭訪問支援(アウトリーチ)|第三者を入れる

ステージ3以上の状態であれば、家庭の中に第三者(引きこもり予防士)を入れる必要があります。
家庭だけで抱えず、プロの手を借りて「生活を動かすスイッチ」を入れていく支援です。

🚪 ご本人との対話はもちろん、保護者の相談相手としても訪問支援は機能します。

🟣【STEP4】生活改善合宿・学生寮|生活を立て直す場を提供する

昼夜逆転が続いている/家庭内に緊張感がある/兄弟姉妹への影響が強い…
こういった場合には、一度家庭から離れて生活を立て直す“合宿”や“学生寮”が有効です。

  • 朝起きる
  • 食事をとる
  • 人と関わる
  • 規則正しい生活をする

この基本を整えた上で、次のステップ(学び直し・社会体験)に進めるようになります。

🟤【STEP5】学び直し|勉強の遅れを取り戻す

心の準備ができていないのに、いきなり「塾に通わせる」「家庭教師をつける」のは逆効果です。
まずは「自分のペースで学べる環境」を整えることが大切です。

  • 通信制高校+サポート校
  • フリースクール
  • オンライン教材

学び直しは、社会復帰への布石です。焦らず、段階的に「できる体験」を増やしましょう。

🔴【STEP6】アルバイト・インターン|社会とつながる経験を

高校卒業後に大事なのは、“小さな社会体験”を積むことです。
当会では「高校在学中からアルバイトを推奨」しています。

  • 挨拶
  • 時間管理
  • 金銭感覚
  • 他者との関わり

すべてが社会に出るための準備となります。
難しければ、就労体験プログラムやインターンシップでも構いません。

🟠【STEP7】社会貢献・自律支援|「ありがとう」と言われる経験

社会に出て、自分が誰かの役に立てる。
この実感こそが、“自律”を支える力になります。

  • 地域活動やボランティア
  • 家庭内での役割(料理、掃除、買い物など)
  • 保育園訪問、清掃活動、支援団体での手伝い

卒業後にこうした経験を継続できるように、今から「どんな活動が合いそうか」を一緒に考えておくことが大切です。

まとめ|保護者ができる備えは“今から”始められる

【7つの支援ステップ】をふまえた保護者の行動チェックリスト:

チェック項目YESNO
現在のお子さんのステージを把握できている○/×
親の関わり方を見直している○/×
第三者支援(訪問・合宿)を検討している○/×
学び直しや社会体験の計画がある○/×
卒業後の生活を家族で話し合っている○/×

進学が決まったからといって安心するのではなく、
卒業後に向けてどんな支援が必要かを今から備えておくことが、再引きこもりを防ぐ最大の予防策です。

不登校から高校進学 いくらでもありますが、卒業後が大事!@愛知県編

「うちの子は不登校だけど、高校に進学できるのだろうか?」
「愛知県にはどんな制度やサポートがあるのか、調べきれなくて不安です」

このような声を、愛知県内の保護者からよく伺います。
実は、愛知県は全国的に見ても“不登校支援が進んでいる自治体のひとつ”であり、制度や受け皿がしっかり整えられています。

ここでは、不登校からの高校進学や卒業後の支援に役立つ、愛知県独自の制度や情報をわかりやすく整理してご紹介します。

1|愛知県立高校の「不登校生に配慮した入試制度」

愛知県では、不登校の生徒も高校受験にチャレンジできるよう、特別な配慮制度が整備されています。

【自己申告書A】

  • 中学校の2・3年のいずれか、または両方で年間30日以上の欠席がある生徒が対象
  • 「不登校の理由」「進学への意欲」「支援の内容」などを記載
  • 出願時に提出することで、選抜時に一定の配慮を受けられる

【長期欠席者等にかかる選抜方法】

  • 中学3年生で出席日数が半分以下だった生徒が対象
  • やむを得ない事情(精神的な理由、家庭の事情など)が認められる場合、中学校を通じて申請可能
  • 面接や作文など、学力試験以外の要素を重視した選抜が行われる

🔗 詳細:愛知県教育委員会「令和4年度 公立高等学校入学者選抜結果」
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/418560.pdf

2|県立・市立の定時制高校(昼夜間・三部制)

不登校の期間が長かった生徒や、生活リズムの回復途中にある生徒にとっては、定時制高校という選択肢も現実的です。

愛知県では以下のような定時制・三部制の高校が設置されています。

【主な定時制・三部制高校】

  • 城北つばさ高校(名古屋市・三部制)
  • 一宮起工科高校(昼間定時制/ものづくり系)
  • 刈谷東高校(夜間定時制)
  • 名古屋市立中央高校(三部制)
  • 豊橋市立豊高校(定時制)

📌 ポイント:出席・単位制のため、自分のペースで通いやすい
学校によっては進学・就職支援も充実しています。

3|通信制高校・サポート校も選択肢に

通学が困難な状態や、地元に高校の選択肢が限られている場合は、通信制高校+サポート校も有効な進路です。

ただし、本人の状態(ステージ)により、通信制の環境が逆効果になることもあるため注意が必要です。

【サポート校を活用するメリット】

  • 週1〜5日まで柔軟な通学スタイルを選べる
  • 学習支援・進路指導・生活相談が受けられる
  • 通信制でも「居場所」や「仲間」ができる

💡 週5日通学型のサポート校は、引きこもり傾向のある生徒に特におすすめです。

4|愛知県の教育支援センター(適応指導教室)

中学生のうちから利用できる公的な支援機関として、教育支援センター(適応指導教室)があります。

【教育支援センターの役割】

  • 学校復帰を目的とした通所型の支援教室
  • 学習・生活・社会性のサポートを受けられる
  • 在籍校との連携により、進級・卒業も可能
  • 一部のセンターでは、高校受験の支援も実施

✅ 名古屋市、豊田市、岡崎市など、県内各地域に設置されています。
利用には学校や教育委員会との相談が必要です。

5|子ども・若者総合相談センター(愛知県・各市)

愛知県には、不登校・引きこもり・発達課題などを抱える若者とその家族のための「子ども・若者総合相談センター」があります。

【主な支援内容】

  • 専門相談(心理士・福祉職員)
  • 進路・就労の情報提供
  • 引きこもり家庭への家庭訪問(連携機関あり)
  • NPOなどの支援機関の紹介

✅ 名古屋市・豊橋市・春日井市など、各自治体に窓口があります。
「どこに相談すればいいかわからない」という方は、まずこちらを訪ねてみてください。

6|全寮制・特色校で生活改善から始める進学も可能

「家庭内では生活リズムが整えられない」
「親との関係に緊張感がある」
こうしたケースでは、全寮制の学校も選択肢の一つです。

【例】黄柳野高等学校(つげの高校/新城市)

  • 全日制・全寮制の私立高校
  • 不登校経験者の受け入れ多数
  • 教科学習だけでなく、生活習慣・人間関係の再構築も重視

🎓 学力重視ではなく、「社会で生きていける力」を育てる学校です。

まとめ|「情報を知っている」だけで道は大きく広がる

愛知県には、不登校や引きこもり傾向の子どもたちを支える制度・学校・支援機関が充実しています。
しかし、これらの情報は保護者にとって分かりづらく、「もっと早く知っていれば…」という声も少なくありません。

【情報のポイントまとめ】

支援制度/機関主な内容
自己申告書A/長期欠席者選抜不登校生への入試配慮
定時制・三部制高校柔軟な通学・学習支援あり
通信制+サポート校学び直し・生活支援に対応
教育支援センター中学生対象の復帰支援
子ども・若者総合相談センター保護者の最初の相談窓口
全寮制高校環境を変えて再スタート可能

最後に:今から行動を!お子さんの未来は変えられる

「高校には行けるかもしれない。でも、その先は…」
「進学できたのに、卒業後に引きこもってしまったら意味がないのでは?」

不登校の子どもを抱えるご家庭で、こうした不安を感じている親御さんは非常に多いです。
そして、その不安は決して間違いではありません。
大切なのは、「進学」だけにとらわれず、その先の未来まで見据えて支援をすることです。

私たち一般社団法人 不登校引きこもり予防協会には、愛知県をはじめ全国各地から毎日のようにご相談が寄せられています。

最近では、私が出演したYouTube番組『pivot』の影響もあり、愛知県の相談件数が急増
とくに、医師のご家庭をはじめとする医療・福祉関係者からの問い合わせが目立つようになりました。
「家庭だけで支えきれない」「専門的な支援が必要だと感じた」という声が多く、支援の必要性が広がっているのを日々実感しています。

高校進学はゴールではない。「社会に出る力」をどう育むか?

「とりあえず高校に進めば安心」――これは多くの親が抱きがちな考えですが、私たちは高校進学は“再スタート”にすぎないと捉えています。

  • 昼夜逆転のまま卒業しても、社会には出られません
  • 自信を育まずに進学しても、また不登校・引きこもりになる可能性が高いです
  • 進路だけを親が主導すると、「自分の人生」という感覚が育ちません

だからこそ、「卒業後どう生きるか」「自立して生きる力をどう育てるか」が鍵になります。

支援の鍵は「今」、保護者のあなたの一歩

「うちの子が動かない限り、何も変わらない」
そう思っていませんか?

でも、実際は保護者の一歩から子どもが変わるケースが本当に多いのです。
そのため、当協会では段階的に支援できる「7つのステップ」を整備しています。

🔑 不登校・引きこもりから社会復帰へ|当協会の7つの支援ステップ

🟢STEP1|【ステージ判定】

現在のお子さんの状態を正しく評価し、今後の方向性を明確にします。

🟡STEP2|【親のためのコーチング】

親御さん自身が変わることで、子どもの行動も変わり始める――そのサポートをします。

🔵STEP3|【家庭訪問支援(アウトリーチ)】

当協会認定の引きこもり予防士がご家庭を訪問。ご本人の様子や家庭環境を丁寧に把握します。

🟣STEP4|【生活改善合宿・学生寮】

規則正しい生活を取り戻し、自立に向けた第一歩を支援します。

🟤STEP5|【学び直し】

フリースクールやサポート校を通して、「できた!」という自信を取り戻します。

🔴STEP6|【アルバイト・インターン】

実際の職場体験を通して、社会性・金銭感覚・責任感を育みます。

🟠STEP7|【社会貢献・自律支援】

最終的には「支援される側」から「支える側」へ。社会の一員として活躍できる自律を支えます。

未来は、いくらでも変えられる

不登校や引きこもりは「性格」ではありません。
環境や関わり方を変えれば、必ず回復できます。
そして、その変化の起点は“今”の親御さんの行動です。

  • まずは、子どもをよく見て「今どのステージか」を知りましょう
  • 自分たちだけで抱え込まず、支援を求めてください
  • 迷ったら、まずは30分の無料相談からスタートしてみてください

📞 無料相談・家庭訪問のご予約はこちら
不登校・引きこもり予防協会 公式サイト

📘 著書紹介

『不登校・ひきこもりの9割は治せる』杉浦孝宣 著(光文社)
40年超の支援実績から生まれた、再生の3ステップ(生活の立て直し → 自信 → 社会貢献)を体系的にまとめた実践書。
Amazonで見る

『もう悩まない!不登校・ひきこもりの9割は解決できる』杉浦孝宣・高濱正伸 共著(光文社)
「花まる学習会」代表の高濱氏とともに、家庭でできる対応・支援の考え方をやさしく解説。
Amazonで見る

🎥 YouTube番組「pivot」出演動画はこちら
【前編】不登校・引きこもりの原因と対策
【後編】年齢別の対応法と立ち直りのステップ

最後に──今がチャンスです

未来は変えられます。
高校進学も、その先の人生も、不登校や引きこもりで終わるものではありません。

お子さんの“再出発”のタイミングは、まさに今。
私たちは全力でサポートします。

どうか、お一人で悩まずに、一緒に前を向いて歩き出しましょう。

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