通信制高校に転校=人生終わり?親が知っておきたい“その後”の現実

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「通信制高校に行くなんて、もう人生終わり…」と泣いた日から

「もう人生終わりだ…」
お子さんがそう口にした瞬間、胸が締め付けられた経験はありませんか?

私,一般社団法人不登校引きこもり予防協会 代表理事 杉浦孝宣はこの40年間で1万人以上の不登校・高校中退・引きこもりの子どもたちと出会い、支援してきました。その中で痛感するのは、**通信制高校は“終わり”ではなく“再スタート”**だということです。

今、医師、公務員、自衛隊、教員、弁護士、会計士、起業家など、多くの卒業生たちが社会で活躍しています。
この記事では、保護者が抱えがちな誤解を解き、通信制高校から見える「その後の現実」と「希望」を、データと実例を交えてお伝えします。

なぜ今、通信制高校が増えているのか

2025年、文部科学省が発表した速報値によれば、通信制高校に通う生徒数が30万人を超え、過去最多を記録しました(日経新聞2025年8月28日付)。これは前年度比5%増、5年で1.5倍という急増ぶりです。

かつて通信制高校といえば、

「社会人や主婦の学び直しの場」

「不登校や引きこもりの子が行く“最低の教育機関”」

というイメージが強かったでしょう。
しかし、今は事情がまったく違います。

不登校児童生徒数は2023年度に34万人を突破し、11年連続で過去最多
背景には、

  • コロナ禍で崩れた生活リズム
  • 教員不足や指導力の低下
  • いじめ問題の深刻化
  • 「無理に行かなくてもいい」という価値観の変化
    などがあります。

週5日の登校や集団行動が難しい子にとって、自分のペースで学べる通信制高校は「学びをつなぐ命綱」になっているのです。

「通信制=人生詰み」という誤解

保護者からよく聞くのが、
「通信制高校に行ったら、普通の人生はもう歩めないのでは?」という声です。

たしかに一部には、質の低い運営をしていた学校もありました。
例えば、三重県のある通信制高校では、生徒がテーマパークで買い物をしただけで数学の単位が認められた、
という不適切な事例が発覚しています。

しかし、そうした学校はごく一部。文科省も2023年に基準を見直し、教員配置や施設要件、いじめ防止策などを厳格化しました。

今では、

  • 進学指導が充実した学校
  • メンタルケアや生活支援が手厚いサポート校
  • 海外進学や芸能活動と両立できる柔軟なカリキュラム

など、子どもの可能性を広げる教育環境が増えています。

通信制高校は「終わりの場所」ではなく、学び直しと社会復帰のためのステップなのです。

通信制高校に転校=人生終わり?親が知っておきたい“その後”の現実

ここからは、実際に支援した子どもたちの変化を紹介します。
「人生終わり」と口にした子どもたちが、どう立ち直り、未来を切り開いたのか——。

Y子さん|10年引きこもり→通信制→公務員

中学2年で不登校になり、10年間引きこもり続けたY子さん。
24歳のときに支援を開始し、家庭訪問で生活改善→アルバイト→短大進学→保育士資格取得→現在は自治体職員として活躍中です。

カイト君|中1不登校→通信制→自衛隊

中学1年で不登校となり、家族や支援員にエアガンを向けるほど荒れていた彼。
7か月の寮生活で生活を立て直し、通信制高校に転校。卒業後、自衛隊に入隊し、今では後輩の相談にも乗る頼れる存在になっています。

カズキ君|家庭内暴力→通信制→区役所職員

中高一貫校で成績不振から不登校、家庭内暴力へと悪化したカズキ君。
支援後、通信制高校へ転校し、卒業後は区役所職員として社会に貢献しています。

これらの子どもたちに共通するのは、

  • 親が動いたこと
  • 学校外の伴走支援があったこと
    です。

学校選びで“その後”は大きく変わる

通信制高校は現在全国332校(2025年)まで増え、私立・株式会社立・公立と多様です。
選択肢が広がった分、学校選びの目利きが欠かせません。

学校選びのチェックポイント

  • サポート体制はあるか(担任・進路指導・メンタルケア)
  • 通学スタイル(週通学・完全通信型・寮併設)
  • 中退率や卒業率はどうか
  • 学費の内訳が明確か
  • 卒業後の進路実績や就労支援はあるか

見学や体験入学には必ず親子で参加し、実際の空気を感じ取ることが重要です。

転校後のサポートが未来を決める

転校しただけでは、何も変わりません。
大切なのは、転校後の伴走支援です。

私たちは40年の経験から「7つの支援ステップ」を体系化しました。

7つの支援ステップ

  1. ステージ判定(現状の見える化)
  2. 親のためのコーチング
  3. 家庭訪問支援(アウトリーチ)
  4. 生活改善合宿・学生寮
  5. 学び直し(通信制+サポート校)
  6. アルバイト・インターン体験
  7. 社会貢献・自律支援

このプロセスを踏むことで、卒業後の社会復帰率が格段に上がるのです。

「人生終わり」と言う子の本音

「もう人生終わり」と言う子どもたちは、本当は「助けてほしい」というサインを出しています。

親ができること

  • まず受け止めること
  • 無理に励まさず、「どうしたいか」を聞くこと
  • 相談先を探し、行動に移すこと

言葉の裏にある「不安」「焦り」「孤独」を理解し、支援につなぐことが再スタートの第一歩です。

まとめ:通信制高校は“再スタート”の場所

通信制高校は、子どもたちにとって「終わり」ではなく「やり直しのチャンス」です。

私たちが支援してきた1万人以上の子どもたちの9割は、

  • 規則正しい生活
  • 自信と自律
  • 社会貢献

を取り戻し、次のステージへと進んでいます。

大切なのは、親が「正しい情報」を持ち、動き出すことです。
それが、お子さんの未来を大きく変えます。

今すぐできること

「人生終わり」と泣いたその日から、再スタートは始まっています。
動き出す勇気を、私たちが全力でサポートします。

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