見守るだけでは子どもの「社会復帰」はムリ?プレジデントオンライン掲載記事を保護者向けに解説します

見守るだけでは子どもの「社会復帰」はムリ?プレジデントオンライン掲載記事を保護者向けに解説します

一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会 代表理事の杉浦孝宣です。

2024年10月、プレジデントFamily Online(プレジデントオンライン)に、拙著『もう悩まない!不登校・ひきこもりの9割は解決できる』の内容をもとにした記事が掲載されました。

見守るだけでは子どもの”社会復帰”はムリ…「学校に行かない子」「自宅に引きこもる子」が日本中に増えたワケというタイトルで、不登校・引きこもり支援の現場で見てきたリアルをお話ししています。

▶ 記事全文はこちら:https://president.jp/articles/-/91335

このブログでは、この記事の内容を、不登校・引きこもりに悩む保護者の方向けに、より具体的にわかりやすく噛み砕いて解説していきます。「見守るだけでは危ない」と書いた本当の意図を、ぜひ受け取ってください。

目次

第1章|10年以上のひきこもりからでも社会復帰はできる

記事の冒頭では、「10年以上ひきこもっていた子も社会復帰できた」という実例を紹介しました。中学2年から24歳まで約10年ほど家から出られなかった女性が、相談をきっかけに通信制高校・サポート校に通い直し、短大を卒業し、公務員として働き、結婚もしているケースです。

このエピソードでお伝えしたかったのは、

  • ひきこもり期間が長くても「もう終わり」ではないこと
  • ただし、家族だけで抱えていても自然には好転しにくいこと
  • 相談のタイミングさえ間違えなければ、流れは必ず変えられること

多くの親御さんが「10年もひきこもっていたら、もう無理ですよね」とおっしゃいます。しかし、現場ではその「無理だと思えたケース」ほど、支援が入ることで劇的に変わることが少なくありません。

まずは、「長く続いている=終わり」ではなく、「長く続いている=専門的な支援が必要なサイン」と捉え直していただけたらと思っています。

第2章|なぜ「見守る」だけでは危険なのか

記事のタイトルにある「見守るだけでは子どもの社会復帰は難しい」というメッセージは、決して親御さんを責めるためのものではありません。むしろ、「見守る」という言葉の裏で、親子が追い詰められていく現実をなんとか止めたい、という願いから生まれた言葉です。

当協会のステージ判定でいうと、

  • ステージ1〜2:一時的な不登校・登校しぶり。外出や会話はまだできる。
  • ステージ3:3か月以上続く不登校。昼夜逆転やゲーム・スマホ依存が目立ち始める。
  • ステージ4:家からほとんど出ない。家族との会話も大きく減る。
  • ステージ5:暴言・暴力、自傷のリスクなどが出始める、危険な状態。

ステージ1〜2であれば、「しばらく休ませて様子を見る」という対応がうまくいくこともあります。しかし、ステージ3以上に入っているのに「見守るだけ」で数ヶ月〜数年が過ぎてしまうと、状態はほぼ確実に悪化します。

記事では、長期にわたり見守り続けた結果、親御さんも心身ともに疲弊し、子どもも社会との接点を失ってしまった「悲劇的な結末」に触れました。これは決して珍しい話ではなく、現場では年々増えている印象です。

「見守るだけ」から一歩踏み出し、「どう見守るか」「どこで支援を入れるか」を一緒に考えていくこと。ここに、解決のカギがあります。

第3章|まず「お子さんの状態」を正しく見極める

記事の中では、最初のステップとして「子どもの状況を把握すること」の重要性をお伝えしています。

たとえば、次のようなポイントです。

  • 親子の会話がどの程度あるか
  • 昼夜逆転や寝不足がどのくらい続いているか
  • ゲーム・スマホの時間がどれくらいか
  • 家の中での暴言・物に当たる行為があるかどうか
  • 外出や通院がどの程度できるか

こうした点を整理していくと、「思ったより重い状態だった」「まだ外出はできるからステージ2くらいかも」と、ご家庭の中だけでは見えていなかった“現在地”が少しずつ明らかになります。

当協会では、この状態把握を「不登校・引きこもりステージ判定表(1〜5)」として体系化し、オンラインでのAI判定や面談でのヒアリングに活用しています。「なんとなく不登校」という曖昧な状態を、数字と特徴で見える化すること。それが、次の一手を間違えないための出発点です。

第4章|両親が「一枚岩」になることが解決のスタートライン

この記事の3ページ目では、「夫婦が一枚岩になること」についても触れています。

実際の相談現場では、

  • 相談に来るのはお母さんだけ
  • お父さんは「そのうち行くだろう」「大げさに騒がなくていい」と考えている
  • お母さんが外部の支援を頼もうとすると、お父さんがブレーキをかけてしまう

という状況がとても多く見られます。これでは、いくらお母さんが頑張っても、お子さんはなかなか動き出せません。

そこで私は、可能な限り「最初の相談には、父母そろってきてください」とお願いしています。不登校・引きこもりの解決は、「母の問題」でも「子どもの問題」でもなく、「家族全体の課題」だからです。

夫婦で話し合い、

  • どのような方針で解決を目指すのか
  • どの専門機関に相談するか
  • どこまでを家庭でやり、どこから外部に頼るのか

こうした点を共有しておくことが、支援をスムーズに進める土台になります。

第5章|「見守る期限」をあらかじめ決めておく

記事の中で特に強調したのが、「見守る期限を決める」という考え方です。

たとえば次のようなイメージです。

  • まず1か月は、学校やスクールカウンセラーと連携しながら様子を見る
  • 1か月で改善しなければ、学校の先生・カウンセラーにしっかり相談する
  • 3か月経っても戻れない・状態が悪化している場合は、民間の専門機関(当協会など)に相談する

ポイントは、「期限と方針をあらかじめ夫婦で話し合って決めておく」ことです。なんとなく様子を見続けているうちに半年、1年と過ぎてしまうと、元の生活リズムや人間関係に戻るのが格段に難しくなります。

私の実感としても、1〜3か月で動き始めたケースと、年単位で経過してから相談に来られたケースでは、必要な支援の量も期間も大きく変わってきます。逆に言えば、「今からでも期限を決める」ことで、これ以上悪化させないことは十分に可能です。

第6章|「見守り」から「支援の段階を踏む」へ──7つの支援ステップ

記事では紙幅の関係で書ききれませんでしたが、当協会では「見守り」の先にある具体的な支援の流れを、「7つの支援ステップ」として整理しています。

  • 🟢STEP1|ステージ判定(1〜5:現状の可視化)
  • 🟡STEP2|親のためのコーチング(関係修復・対応法の習得)
  • 🔵STEP3|家庭訪問支援(信頼関係の再構築)
  • 🟣STEP4|生活改善合宿・学生寮(生活リズムと自立基盤の回復)
  • 🟤STEP5|学び直し(通信制高校・サポート校・フリースクール)
  • 🔴STEP6|アルバイト・インターン(社会との接点を取り戻す)
  • 🟠STEP7|社会貢献・自律支援(公務員・企業就職・地域活動など)

「見守るだけ」から一歩前に進むとは、このステップのどこから始めるかを一緒に考えていく、ということでもあります。ステージ3以上の場合、STEP2(親のコーチング)とSTEP3(家庭訪問支援)から入ることが多いです。

一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会では、親御さんへのコーチングと全体の支援設計を、
認定NPO法人 高卒支援会では、家庭訪問・寮・合宿・学び直しなどの「実動支援」を主に担っています。

オンライン相談だけで終わらせない、「現場で動く支援」があることを、この記事を通じて知っていただけたらうれしく思います。

第7章|成功事例に共通する「親の決断」と「最初の一歩」

プレジデントオンラインの連載でも、当協会の成功事例16選の中から、いくつかのケースが取り上げられています。そこに共通するのは、

  • 「このままではまずい」と感じた親御さんが、相談の一歩を踏み出したこと
  • 「見守るだけ」から、「一緒に支援を受けよう」へと方向転換したこと
  • ステージに合わせて、家庭訪問・合宿・寮・学び直しといった段階的な支援を取り入れたこと

たとえば、

  • 10年のひきこもりから公務員になったY子さん
  • 中1で不登校・ゲーム漬けだったカイト君が、自衛隊として自立していったケース
  • 中高一貫校で不登校・家庭内暴力まで進んだカズキ君が、公務員として働いているケース

など、「あのとき相談していなかったら、今の姿はなかった」というご家庭ばかりです。

詳しい16名以上の成功事例は、こちらにまとめています。
中高生の引きこもりに悩む親必見!成功事例から学ぶ対処法16選

第8章|「見守るだけ」を卒業しませんか?──まずは30分の無料相談から

もし今、

  • 「このまま様子を見ていて大丈夫なのだろうか」
  • 「見守る以外に、何をしていいのかわからない」
  • 「スクールカウンセラーには相談したが、具体的な道筋が見えない」

と感じておられるなら、それは「見守るだけ」を卒業するサインかもしれません。

当協会では、

  • 現在のステージの目安
  • お子さんの状態に応じた「今やめた方がいい対応」「今から始めたい対応」
  • 必要に応じて、家庭訪問・合宿・寮・学び直しなど、7つの支援ステップのどこから入るべきか

を一緒に整理する30分の無料個別相談をオンラインで実施しています。

▶ 30分無料相談のお申し込みはこちら
https://yoboukyoukai.com/soudan/

プレジデントオンラインの記事を通して、不登校・引きこもりは「家庭だけの問題ではない」ということを社会に投げかけることができました。今度は、このブログを読んでくださったあなたと一緒に、「見守るだけ」から「一緒に動いていく支援」へ、一歩を踏み出せたらうれしく思います。

一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会
代表理事 杉浦孝宣

  • URLをコピーしました!
目次