小中の不登校は過去最多35万人超…「ひきこもりの中高年」にする親・させない親の分かれ道

小中の不登校は過去最多35万人超…「ひきこもりの中高年」にする親・させない親の分かれ道

一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会 代表理事の杉浦孝宣です。

2024年11月、私はプレジデントFamily Online(プレジデントオンライン)で、「小中の不登校は過去最多34万人…学校に行かなくなった子供を『ひきこもりの中高年』にする親、させない親」という記事を書きました。

▶ 元記事はこちら:https://president.jp/articles/-/91311

あの記事では、文科省が公表した「不登校34万6482人(小中)」という数字と、「放置すれば8050・9060問題に直結する」という危機感をお伝えしました。それから1年――残念ながら、不登校はさらに増え、過去最多を更新しました。

このブログでは、最新データを踏まえながら、「わが子を中高年ひきこもりにしてしまう親」と「させない親」の違いを、40年以上の支援経験と具体例を交えてお伝えします。

目次

第1章|小中の不登校は35万3970人へ…12年連続で過去最多

文部科学省の最新調査(2024年度)によると、

  • 小中学生の不登校児童生徒数:35万3970人
  • 前年度比:+7488人(約2.2%増)
  • 12年連続で過去最多を更新

わずか1年で、前年の34万6482人→35万3970人へ。増加ペースこそ鈍化しているものの、小学生は10年前の約5.5倍、中学生も2倍以上になっています。

つまり、2024年度のデータを反映させると、プレジデントオンラインの記事タイトルは、「34万人」ではなく「35万人超」と書き換えなければならない状況になりました。

そして、この数字の裏にいるのは、統計上の「1人」ではなく、それぞれの家庭の葛藤と不安を抱える親子です。現場で相談を受けていると、まさに数字の分だけ、あるいはそれ以上の「声にならない声」があることを痛感します。

第2章|なぜここまで増えたのか──コロナと価値観の変化

不登校増加の背景として、よく挙げられるのは次のような点です。

  • コロナ禍で生活リズムが乱れた
  • 「無理に学校へ行かなくてもいい」という価値観が広がった
  • オンライン授業や出席扱い制度など、「学校以外の学び方」が身近になった
  • いじめ・友人関係・発達特性など、もともとあった要因が表面化した

私はコロナ初期に『不登校・ひきこもり急増』という本を緊急出版しましたが、その中で「このままでは必ず不登校・ひきこもりが増える」と警告しました。その懸念が、残念ながら現実になってしまった形です。

一方で、保護者の側にも変化がありました。

  • 「命が一番大事だから、学校は二の次でいい」という意識
  • 「合わない学校に無理に行かせるより、休ませたほうがいい」という判断
  • 「フリースクールや通信制高校など、多様な選択肢がある」という期待

これ自体は決して悪いことではありません。しかし、「休ませる」=「放置する・任せきりにする」になってしまうと、状況は一気に悪化します。ここに、「中高年ひきこもり」を生み出すかどうかの分かれ道があります。

第3章|放置は「中高年ひきこもり」と親の老後破綻につながる

プレジデントオンラインの記事では、「わが子を放置すれば『自分の老後』は必ず行き詰まる」と書きました。これは、脅しでも大げさな表現でもなく、実際に相談現場で見てきた現実です。

不登校が長期化し、20代・30代になっても社会に出られず、親と同居したままの状態が続くと、

  • 親が80代、子が50代の「8050問題」
  • 親が90代、子が60代の「9060問題」

と呼ばれる状況になります。親が高齢になり、介護と子どもの生活を同時に支えなければならない現実は、想像以上に過酷です。

「今はまだ小学生だから、大丈夫だろう」
「中学生だけど、そのうち行くだろう」

そうやって数年が過ぎ、気がつけば高校進学も就職も難しくなり、「どこから手をつけていいか分からない」という状態になるご家庭を、私は数えきれないほど見てきました。

不登校そのものが悪いのではありません。問題なのは、「ステージ3以上(半年〜1年以上の長期化)」に入っているのに、具体的な対策を取らないまま「見守り続けてしまうこと」なのです。

第4章|「ひきこもり中高年にしてしまう親」のパターン

では、どのような関わり方が「ひきこもり中高年」につながりやすいのでしょうか。これまでの相談から、典型的なパターンをいくつか挙げてみます。

  • ①「そのうち行くだろう」と、1年以上様子を見る
    → ステージ3〜4に入っても、学校と家庭だけで抱え込んでしまい、専門機関に相談しない。
  • ② 「やめなさい」と言いながら、ゲーム・スマホを実質無制限に与える
    → 生活リズムが崩れ、昼夜逆転とネット依存が固定化していく。
  • ③ 夫婦で方針がバラバラ
    → 片方は「甘え」、もう片方は「かわいそう」と考え、子どもはその間で身動きが取れなくなる。
  • ④ 「うちの子に限って」「大したことない」と問題を小さく見積もる
    → 客観的に見るとステージ4なのに、親がステージ2くらいだと思っているケースは非常に多いです。
  • ⑤ 「本人の気持ちを尊重して」何もしないことを選ぶ
    → 本人は「何も決められない・動けない」状態なのに、決定を丸投げしてしまう。

これらに共通しているのは、「責めるのも怖いし、動かすのも怖いから、何もしないで時間が過ぎる」という構図です。親御さんは決して怠けているわけではなく、「どうしていいか分からない」のです。

だからこそ、親だけで抱え込まず、早い段階で相談してほしいと強く願っています。

第5章|「ひきこもり中高年にさせない親」が必ずやっていること

一方で、10年以上のひきこもりから社会復帰したY子さん、公務員になったカズキ君、自衛官になったカイト君など、長期不登校からの「大逆転」を遂げたご家庭にも共通点があります。

  • ① 現状を冷静に「ステージ」で見た
    → 「うちの子は今、ステージ3なのか4なのか?」と、主観ではなく状態で判断しようとした。
  • ② 夫婦(あるいは家族)で方針をそろえた
    → どこまで家庭でやり、どこから外部に頼るのかを話し合った。
  • ③ 早い段階で専門家に相談した
    → 学校やスクールカウンセラーだけでなく、民間の支援機関にもつながった。
  • ④ 親自身が「関わり方」を学んだ
    → 感情的に怒る・説教するだけでなく、コーチング的な関わり方を身につけた。
  • ⑤ 子どもの「居場所」と「役割」を一緒に探した
    → フリースクール、通信制高校、アルバイト、インターンなど、段階的なステップを踏んだ。

要するに、「見守る」から「一緒に動く」へと切り替えたご家庭ほど、未来が大きく開けていくのです。

第6章|「見守る」だけから抜け出すための7つの支援ステップ

当協会では、不登校・ひきこもり支援を次の「7つの支援ステップ」として整理しています。

  • 🟢STEP1|ステージ判定(1〜5)で現状を可視化
    → まずは「今どの段階か」を数字と特徴で把握する。
  • 🟡STEP2|親のためのコーチング
    → 親の不安・怒り・罪悪感を整え、適切な関わり方を学ぶ。
  • 🔵STEP3|家庭訪問支援
    → 支援者が自宅に行き、信頼関係をつくりながら外出のきっかけを作る。
  • 🟣STEP4|生活改善合宿・学生寮
    → 生活リズムを整え、自立の土台を短期集中でつくる。
  • 🟤STEP5|学び直し(通信制高校・サポート校・フリースクール)
    → 学歴の回復と、再チャレンジのルートを整える。
  • 🔴STEP6|アルバイト・インターン
    → 社会との接点を「小さく、でも確実に」取り戻す。
  • 🟠STEP7|社会貢献・自律支援
    → 公務員・企業就職・地域活動など、長期的な自立を支える。

一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会は、親のコーチングと全体の支援設計を担当し、
認定NPO法人 高卒支援会が、家庭訪問・寮・合宿・学び直しなどの「実動支援」を担っています。

オンライン相談だけで完結させない、「現場で動く支援」があることを、覚えておいていただけたらと思います。

第7章|16名以上の成功事例が教えてくれること

プレジデントオンラインの記事でも一部ご紹介しましたが、当協会では、

  • 10年のひきこもりから公務員になったY子さん
  • 中1不登校から自衛隊に就職したカイト君
  • 中高一貫校で不登校・家庭内暴力まで進んだカズキ君(公務員)
  • 高校中退から美大合格を果たしたG君
  • スポーツ推薦高校から不登校・農業大学・JA内定の佐藤君

など、16名以上のリアルな成功事例を公開しています。

詳しくはこちらからご覧いただけます。
中高生の引きこもりに悩む親必見!成功事例から学ぶ対処法16選

彼らに共通しているのは、「親が一人で抱え込むのをやめ、支援を入れる決断をしたこと」です。その決断の早さが、その後の数年〜十数年を大きく変えました。

第8章|「今」動ける親が、わが子の未来を守る

もし今、

  • 「うちの子も、将来ひきこもり中高年になってしまうのでは」と不安
  • 「見守るだけ」でいいのか、このままではマズいのか、判断に迷っている
  • 夫婦や家族の中で、不登校への見方が分かれてしまっている

と感じておられるなら、それは「親が一歩動くタイミング」かもしれません。

当協会では、

  • ステージ判定(1〜5)の目安
  • 今すぐやめたほうがいい対応・今から始めたい対応
  • ご家庭に合う「7つの支援ステップ」の入り口

などを一緒に整理する30分の無料個別相談をオンラインで実施しています。

▶ 30分無料相談のお申し込みはこちら
https://yoboukyoukai.com/soudan/

不登校は、「今どう動くか」で未来が大きく変わる問題です。プレジデントオンラインの記事で伝えきれなかった部分も含めて、このブログが、あなたの「最初の一歩」の後押しになればうれしく思います。

一般社団法人 不登校・引きこもり予防協会
代表理事 杉浦孝宣

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