引きこもり高校生に親ができる3つの支援ステップ｜見守りから行動へ

一般社団法人 不登校引きこもり予防協会 代表理事の杉浦孝宣です。40年以上、不登校・高校中退・引きこもりの子どもたちを支援してきました。この記事では、「高校生 引きこもり 対応」で悩む保護者の方に向けて、私たちの現場で実証されてきた「親ができる3つの支援ステップ」をお伝えします。

結論から言うと、高校生の引きこもりは「見守るだけ」ではほとんど改善しません。親が正しい知識を学び、第三者を入れ、生活と学びの土台を作り直す──この3つのステップを踏めば、たとえ今は部屋にこもっていても、再スタートは十分に間に合います。

「うちの子はまだ完全な引きこもりではない」「そのうち動き出すはず」と思っているうちに、あっという間に半年、1年と過ぎてしまうケースを、私は何度も見てきました。本記事が、「見守り」から「具体的な行動」へと一歩踏み出すきっかけになれば幸いです。

第1章｜高校生が引きこもる本当の理由

1-1 人は「居場所を失う」と引きこもる

人は、居場所がなくなると引きこもるものです。高校生も同じです。

たとえば、次のような状況が続くと、子どもは「ここにいても意味がない」「どうせ自分なんて」と感じ始めます。

• 授業についていけず、成績が下がり続ける
• クラス替えや部活の人間関係がうまくいかない
• SNSで他の子と自分を比べて落ち込む
• 先生や親から「もっと頑張れ」と言われ続ける

こうした「心理的な居場所の喪失」が、不登校と引きこもりの入り口です。最初は「朝起きられない」「体調不良が続く」といった形で現れますが、放っておくと、自室からほとんど出ない本格的な引きこもりへと進行していきます。

1-2 不登校が3ヶ月以上続いたら“引きこもり予備軍”

当協会では、不登校・引きこもりの状態を「ステージ1〜5」で判定しています。目安として、不登校が3ヶ月以上続き、生活リズムが乱れてきたらステージ3（要介入期）と考えてください。

• ステージ1〜2：欠席は増えているが、まだ学校や外出の余力がある
• ステージ3：不登校が続き、昼夜逆転・スマホゲーム依存が目立つ
• ステージ4〜5：家庭内での暴言・暴力、完全な引きこもり状態

多くの保護者の方は、ステージ3の段階で「そのうち行けるようになるのでは」「高校生だから自分で考えるだろう」と期待してしまいます。しかし現場の感覚で言えば、このタイミングこそが『本格的な引きこもり』になるかどうかの分岐点です。

1-3 「まだ不登校なだけ」と思っているうちに手遅れ感が強くなる

全国から寄せられる相談の中で、当協会が最もよく聞く言葉があります。

「もっと早く相談すればよかった」

高校生の不登校が半年〜1年と長期化すると、子どもだけでなく親の心もすり減っていきます。学校に連絡するのもつらい、友人にも話せない、親戚にも言えない…と、家庭ごと孤立してしまうのです。

ここで大事なのは、「高校生 引きこもり 対応」は、子どもに「頑張れ」と言うことではなく、親が正しい知識を得て、外部の力を上手に借りることだという視点です。

第2章｜スクールカウンセラーに任せきりの落とし穴

2-1 家庭訪問なしで「見守り」は判断できない

相談者の多くが口にするのが、次のような言葉です。

「スクールカウンセラーに相談したら、『様子を見ましょう』『見守りましょう』と言われました。」

しかし、よく聞いてみると、カウンセラーの先生はお子さんと一度も会っていない、あるいは数分しか話していない、というケースが珍しくありません。家庭訪問もしていない、お家の様子も知らない──その状態で「見守りましょう」と言われてしまうのです。

これは、ある意味では「神対応」です。会ってもいない子どもの状態を、判断しようがないからです。でも、そのあいだに時間だけが過ぎ、ステージ3から4・5へと悪化してしまいます。

2-2 「見守り＝放置」になっている家庭が多い

もちろん、「見守る」こと自体が悪いわけではありません。ただし、それは適切な環境づくりや支援とセットになっている場合に限ります。

• 生活リズムは乱れたまま
• ゲーム・スマホ時間は増える一方
• 親子の会話は減り、「ご飯できたよ」と声をかけるだけ

この状態での「見守り」は、実質的には「放置」です。親御さんは一生懸命やっているつもりでも、子どもから見れば、「何も変わらない毎日」が続いていくだけです。

2-3 「引きこもり対応」と謳っていても家庭訪問をしない支援機関

インターネット上には、「引きこもり対応」「不登校支援」と書かれたサービスがたくさん存在します。しかし、よく見ると、

• オンライン面談だけで終わる
• 家庭訪問支援がない
• 生活改善の合宿や寮など、現場で動く支援がない

といったケースがほとんどです。これでは、子どもの生活そのものや行動パターンを変えることができません。

当協会が大事にしているのは、「親へのコーチング」と「子どもへの実動支援」を両輪で行うことです。どちらか片方だけでは、改善が長続きしないことを、現場の経験から痛感しています。

第3章｜親ができる3つの支援ステップ（見守りから行動へ）

ここからがこの記事の核心部分です。高校生の引きこもり対応で、親が「今すぐ」できることを、3つの支援ステップに整理してお伝えします。

STEP1｜まず「親が変わる」――ステージ判定と正しい関わり方

最初の一歩は、「子どもを変えようとすること」ではなく、「親が正しい知識を身につけること」です。

当協会では、最初に「不登校・引きこもりステージ判定1〜5」を使って、今のお子さんの状態を一緒に整理していきます。

• 今はステージいくつなのか？
• どのタイミングで悪化してきたのか？
• 親の声かけや対応で、逆効果になっている部分はないか？

この「見立て」が間違っていると、対応もすべてズレてしまいます。たとえば、すでにステージ3〜4なのに、ステージ1〜2の子と同じように「学校の話」をしてしまうと、子どもはますます心を閉ざしてしまいます。

成功しているご家庭は例外なく、まず親御さんが学ぶことから始めています。親の捉え方が変わると、子どもに対する言葉も自然と変わり、その変化を子どもは敏感に感じ取ります。

STEP2｜家庭訪問支援で「第三者」が子どもとつながる

ステージ3以上の高校生に対して、親子だけで何とかしようとするのは、正直かなり難しいのが現実です。そこで重要になるのが、私たちのような第三者による家庭訪問支援（アウトリーチ）です。

当協会の支援員（認定・引きこもり予防士）は、これまでに400回以上の家庭訪問を行ってきました。最初はドア越しの会話から、ゲームや趣味の話、アルバイトや将来の話へと、少しずつ信頼関係を作っていきます。

親がいくら正しいことを言っても、子どもにとっては「親＝プレッシャーの源」になっていることも多いものです。一方で、外から来た大人には、意外なほど素直に話をしてくれることがあります。

実際に、

• 家庭訪問をきっかけに外出できるようになり、航空自衛隊に進んだリョウタ君
• 長期の引きこもりから、通信制高校→大学→公務員と進んだY子さん

など、「第三者が家に入る」ことが、再出発のスイッチになったケースは数え切れません。

STEP3｜生活改善合宿・寮・学び直しで「土台」を作り直す

親が学び、第三者が入り、少しずつ会話や外出ができるようになってきたら、次のステップは生活と学びの土台づくりです。

• 生活改善合宿：2泊3日で「朝起きる・人と一緒にご飯を食べる・会話をする」を取り戻すプログラム
• 学生寮：家から離れ、同世代と共に暮らしながら自立の練習をする場
• 通信制高校・サポート校・フリースクール：今の高校にこだわらず、「自分に合ったペースでやり直せる環境」へ移る選択肢

ポイントは、「元の学校に戻すこと」だけをゴールにしないことです。高校生の引きこもり対応で大切なのは、

• 生活リズムを整える
• 人との関わりを回復する
• 「自分でもできる」という小さな成功体験を積み重ねる

この3つが整えば、通信制高校から大学進学、公務員、自衛隊、専門学校、就職など、進路の選択肢はいくらでも開けます。当協会の1万人・成功率9割以上という実績は、この「土台作り」を徹底してきた結果でもあります。

第4章｜成功事例から見る「見守りから行動への転換点」

ここで、当協会が関わってきた中から、高校生・若者世代の事例をいくつかご紹介します。どのケースにも共通しているのは、「見守るだけ」から「親が学び、第三者が動く」へと転換した瞬間があることです。

• Y子さん：中学で不登校→約10年の引きこもり→家庭訪問と親の学び→通信制高校→短大→保育士→現在は公務員
• カイト君：中1から不登校・引きこもり→家庭訪問と生活改善→通信制高校→自衛隊に入隊
• カズキ君：中高一貫校で不登校→家庭内暴言→寮での生活改善→通信制高校→区役所勤務
• タツマ君：中高一貫校で引きこもり→全寮制高校・通信制高校で学び直し→法政大学→公務員
• G君：高校中退・引きこもり→フリースクールと通信制サポート校で再スタート→美大合格
• ヨッシー君：中学不登校→海外留学に失敗し再び引きこもり→支援を経て青山学院大学→大手IT企業へ

これらのご家庭は、最初のご相談時点では皆さん同じように悩んでいました。

「このまま引きこもりになってしまうのではないか」
「どこに相談しても『様子を見ましょう』と言われるだけだった」

そこから、

• STEP1：親がステージ判定と関わり方を学ぶ
• STEP2：家庭訪問で第三者が子どもとつながる
• STEP3：合宿・寮・通信制高校などで生活と学びを立て直す

というプロセスを経て、少しずつ表情が柔らかくなり、外出が増え、将来を考えられるようになっていきました。

「見守っていたら自然に動き出した」子は、ほとんどいません。
動けるようになった背景には、必ず親の学びと、現場で動く支援があります。

第5章｜オンライン講演会のお知らせ｜「支援の失敗」から分岐点を学ぶ

もしあなたが今、

• 子どものために頑張っているのに、なぜかうまくいかない
• スクールカウンセラーや本の通りに声をかけても、反応が冷たくなる
• 「見守りが大事」と聞いたけれど、このままでいいのか不安

というお気持ちを抱えているなら、今回のオンライン講演会はきっとお役に立てると思います。

🎤オンライン講演会｜親の対応が逆効果に？失敗事例から見る支援の分岐点

〜うまくいかなかった“あの関わり方”から学ぶ〜

• 開催日時：2025年12月14日（日）13:00〜14:30（Zoom開催）
• 参加費：1,000円（税込）
• 申込締切：12月13日（土）18:00まで
• お申し込み：お申込みの方にZoom招待状をお送りします。

【お申込みリンクはこちら】

👤講師紹介

杉浦 孝宣（すぎうら・たかのぶ）
一般社団法人 不登校引きこもり予防協会 代表理事。40年以上にわたり、不登校・高校中退・引きこもりの子どもたちを支援し、これまでに1万人以上を社会復帰へ導く。支援成功率は9割以上。NHKやYouTube「PIVOT」など多数メディア出演。著書に『不登校ひきこもりの9割は治せる』『もう悩まない！不登校・ひきこもりの9割は解決できる』など。

大倉 星耶（おおくら・せいや）
認定NPO法人 高卒支援会。中級 引きこもり予防士。家庭訪問支援・寮支援・保護者面談などを多数担当し、特に中高生男子のゲーム依存・昼夜逆転からの回復支援に実績を持つ。

💡講演を聞くことで得られること

• 「支援がなぜ失敗したのか」の理由が分かる
• お子さんのステージに合った声かけ・関わり方が具体的にイメージできる
• 「もう失敗したくない」という不安が軽くなり、次の一歩が見えてくる
• 同じように悩む他の家庭の存在を知り、「うちだけじゃない」という安心感を得られる

第6章｜「高校生 引きこもり 対応」は今からでも間に合う

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。最後に、あらためてお伝えしたいことがあります。

高校生の引きこもりは、今からでも十分に間に合います。

ただし、何もしないまま「見守る」だけでは、状況が自然に良くなる可能性は高くありません。だからこそ、

• STEP1：親がステージ判定と関わり方を学ぶ
• STEP2：家庭訪問支援など第三者の力を借りる
• STEP3：生活改善合宿・寮・通信制高校などで土台を作り直す

という「見守りから行動への3ステップ」を、ぜひ意識してみてください。

日本では、引きこもりはどうしても「自己責任」のように見られがちです。しかし、現場で1万人以上を見てきた私の実感はまったく逆です。環境と関わり方が変われば、人はいつからでもやり直せます。

もし今、「このままでは本当にマズい」と感じておられるなら、その直感は正しいです。その感覚があるうちに、ぜひ一度、専門機関に相談してみてください。

第7章｜まずは30分の個別相談から一歩を踏み出しませんか？

当協会では、全国どこからでも受けられるオンライン個別相談（Zoom）を行っています。状況をお聞きしたうえで、

• お子さんのステージ判定
• 親子関係・生活リズムの整理
• 家庭訪問・合宿・寮・学び直しなど、具体的な支援の選択肢

を一緒に考えていきます。

「相談したら、すぐに何かを契約しないといけないのでは…」と不安に感じる方もいらっしゃいますが、相談だけで終わる方もたくさんいます。それでも構いません。一度、専門家と一緒に状況を整理すること自体が、大きな第一歩になります。

あなたのお子さんの未来は、まだ何も決まっていません。
親が一歩動けば、子どもも必ず変わります。一緒に、再出発の道を探していきましょう。