中高一貫校で不登校|自主退学を迫られた時の転校・進路と親の対応

「中学では何とか内部進学できたものの、高校に上がって欠席が増え、学校から『このままでは進級できません』『転校や自主退学を考えてください』と言われました」

中高一貫校に通うお子さんを持つ保護者から、このような相談が寄せられています。

高校の不登校は、時間との闘いです。

全日制高校では、出席日数や単位の不足によって留年が決まったり、学校側から転校や自主退学を勧められたりすることがあります。何も確認しないまま退学届を提出すると、在籍中だから利用できた転入学の選択肢を失う場合もあります。

私、一般社団法人未来自律支援機構(JADA)代表理事の杉浦孝宣は、40年以上にわたり、不登校、高校中退、都立高校への転学を支援してきました。特に都立新宿山吹高校へ、年間50名以上の合格者を送り出した時期もあります。

東京都の転学制度は複雑で、私立学校の先生でも詳しく把握していない場合があります。学校から自主退学を勧められても、すぐに結論を出すのではなく、在籍期限、出席日数、修得単位、転校可能な学校、試験日程を一つずつ確認することが重要です。

ただし、学校を替えるだけで、不登校や引きこもりが解決するとは限りません。昼夜逆転、ゲーム漬け、親との会話断絶、外出困難、入浴拒否、進路拒否などが重なっている場合は、転校先を探すことと並行して、生活と家庭の対応を立て直す必要があります。

JADAでは、本人と家庭の状態を「不登校・引きこもりの5ステージ判定」で整理します。簡単にいえば、家庭と学校の連携で対応できる段階なのか、家庭訪問や生活改善など、第三者による実動支援が必要な段階なのかを判断するためのステージ判定です。

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目次

難関中高一貫校でも不登校は起きています

最近では、難関中高一貫校に在籍する生徒からの相談も増えています。相談者の中には、開成中学校・高等学校の在籍者もいます。

しかも、必ずしも成績不振が原因ではありません。これまでの成績は「中の上」で、授業についていける学力がありながら、突然学校へ行けなくなり、親との会話を避け、自室へ閉じこもるようになるケースがあります。

保護者は「成績も悪くなかったのに、なぜ」と原因を探し続けます。しかし、本人自身も理由をうまく説明できないことがあります。成績だけで判断せず、生活リズム、家族との会話、外出、入浴、ゲームの時間、学校での人間関係、将来への意欲まで確認する必要があります。

中高一貫校の子が抱える「何のために勉強するのか」

中高一貫校の生徒が不登校や引きこもりに陥る背景には、昔から共通する根本的な問いがあります。

「自分は、何のために勉強しているのだろう」

目の前の中学受験、内部進学、難関大学への合格だけが目標になると、子どもは勉強する意味を見失うことがあります。

特にAI時代の今、知識を覚え、正解を早く答えるだけの勉強に対して、「これは将来、本当に役に立つのか」「AIができることを、なぜ自分が必死に覚えるのか」と疑問を持つ子が増えているように感じます。

だからといって、学ぶこと自体に意味がなくなったわけではありません。読み、書き、考え、自分の意見を伝える力は、AI時代だからこそ必要です。問題は、勉強が受験の点数を取るためだけの作業になり、本人の人生や社会とのつながりが見えなくなっていることです。

AIには知識を整理し、文章や答えを作ることができます。しかし、友人と一緒に笑うこと、失敗して悔しい思いをすること、働いて給料を受け取ること、誰かから感謝されることは、本人にしか経験できません。

AI時代に子どもの力となるのは、知識の量だけではなく、実際の体験を通じて考え、選び、行動した経験です。

JADAが目指すのも、学校へ戻して受験勉強だけを再開させることではありません。規則正しい生活を取り戻し、学び直しと社会体験を組み合わせながら、本人が「何のために学ぶのか」「将来、何をしたいのか」を見つけ、自分で進路を選び、社会へ一歩を踏み出せる状態を目指します。

コロナ禍で失われた体験の影響は大きい

私は、コロナ禍による体験不足が、現在の不登校や引きこもりに大きな影響を与えていると、最近の相談現場で実感しています。このことは、私の著書でも読者へ伝えてきました。

コロナ禍では、修学旅行や学校行事が中止・縮小され、給食は友人と会話をしない「黙食」になりました。休み時間や放課後に友人と過ごす機会も減り、子どもたちは本来、成長過程で経験するはずだった「みんなでワイワイ過ごす時間」を失いました。

人は、集団生活の中で会話をし、意見が合わなければ話し合い、失敗したら謝り、困ったときには誰かへ相談することを学びます。ところが、その体験が十分にないまま成長した子の中には、何か嫌なことや不安なことが起きると、周囲へ相談せず、黙って自室へ入り、親まで遮断するケースがあります。

私は40年以上、不登校・高校中退・引きこもりの相談を受けてきました。その経験と、コロナ禍以前・以後の相談者の変化を比較して、コロナによる交流と体験の喪失は、現在の不登校・引きこもり増加の大きな背景の一つだと考えています。

だからこそ、勉強や復学だけを急ぐのではなく、合宿、旅行、スポーツ、アルバイト、ボランティアなど、人と関わる実体験を取り戻すことが必要です。体験を通じて人との関係をつくり直すことが、再出発と社会的自律につながります。

LINEに届く200名を超える保護者の声

JADAでは、2026年4月に保護者向けの公式LINEを開設しました。2026年9月時点で登録者は200名を超え、現在も不登校・高校中退・引きこもりに悩む保護者と日常的にやり取りしています。

LINEには、「難関中高一貫校に合格したのに、突然学校へ行けなくなった」「成績は悪くないのに、勉強する意味が分からないと言い始めた」「学校から自主退学を勧められた」「昼夜逆転し、親との会話を断って部屋から出てこない」といった、今まさに起きている相談が寄せられています。

私は、過去の成功事例だけで判断しているのではありません。現在もLINE、個別相談、家庭訪問を通じて保護者と直接話し、子どもたちに何が起きているのかを確認しています。

JADAの支援は、机上の理論だけでつくられたものではありません。40年以上の実践、1万人を超える支援、実際の成功事例、そして現在LINEに届いている保護者の声を基に、本人と家庭の変化を追いながら更新を続けています。

自主退学を決める前に確認する7項目

学校から転校や自主退学を勧められても、慌てて退学届を提出しないでください。まず、次の7項目を確認します。

  1. 現在の在籍期限
    いつまで現在の学校に在籍できるのか、学校へ具体的に確認します。
  2. 出席日数と進級条件
    どの科目が不足しているのか、進級や卒業の可能性が残っているのかを確認します。
  3. 修得済みの単位
    転校先で引き継げる単位と、取り直す必要がある科目を整理します。
  4. 転入学と編入学の違い
    在籍したまま受験するのか、退学後に受験するのかで、選択肢が変わる場合があります。
  5. 受入校の募集時期と受験資格
    学校ごとに募集時期、試験科目、必要書類、住所要件などが異なります。
  6. 本人の生活状態と学力
    受験勉強以前に、起床、食事、入浴、外出ができる状態かを確認します。
  7. 転校後と卒業後の進路
    合格だけをゴールにせず、通学の継続、卒業、進学、就職まで考えて学校を選びます。

東京都の高校転入・編入制度について詳しく見る

実例:無対策の転校試験に不合格、新宿山吹高校へ再挑戦

私立中高一貫校の附属中学時代から不登校となり、基礎学力が大きく抜けたまま高校へ内部進学した男子生徒がいました。学校から転校を勧められ、十分な準備をしないまま転校試験を受けましたが、不合格となりました。

「人間関係の理由で転校しようと思い、某高校の試験を受けましたが、結果はもちろんダメで、高校へはいけなく、本当に困っていました。母が学力会(JADAの前身)を見つけて相談してみたら……」

相談後は、本人の現在地を整理し、中学校段階で抜けていた基礎学力を学び直しました。同時に、本人の状態に合う進路を検討し、都立新宿山吹高校への受験準備を進めました。

  • 現在の学力と不足分の確認
  • 基礎学力の集中的な学び直し
  • 受験資格と必要書類の確認
  • 本人に合った志望校の選定
  • 同じような経験を持つ仲間との学習
  • 受験後の通学と生活を見据えた準備

その結果、本人は都立新宿山吹高校へ合格し、再出発することができました。

都立新宿山吹高校は有力な選択肢の一つ

私は40年以上、東京都の転学制度を活用して、不登校や高校中退を経験した生徒の進路を支援してきました。都立新宿山吹高校へ年間50名以上の合格者を送り出した時期もあります。

ただし、新宿山吹高校へ入れば、すべて解決するわけではありません。受験資格や選抜方法は年度や募集区分によって異なるため、必ず最新の募集要項を確認する必要があります。また、本人の生活状態、学力、通学可能性、卒業後の進路によっては、別の全日制、定時制、通信制高校が適している場合もあります。

神奈川県、埼玉県、千葉県を含む首都圏からも相談がありますが、公立高校の転入・編入制度は都県ごとに異なります。学校名だけで決めず、本人の現在地と制度の両方を確認して進路を選びます。

転校だけで終わらせないJADAの支援

学校が本人に合わなかっただけなら、転校をきっかけに通学を再開し、卒業できる子もいます。一方、昼夜逆転、ゲーム漬け、会話断絶、外出困難などが進んでいる場合は、合格しても再び通えなくなる可能性があります。

JADAの支援の核心は、親へのコーチングと、本人への実動支援です。

  1. 親へのコーチングと5ステージ判定
  2. 家庭訪問による本人との接点づくり
  3. 合宿・寮・環境調整による生活改善
  4. 基礎からの学び直し
  5. 外出や同行による社会との接点づくり
  6. 進学、就職、アルバイト、ボランティアへの伴走
  7. 自分で考え、選び、行動する社会的自律

最終目標は、転校試験の合格や学校復帰だけではありません。本人が生活を整え、学び、働き、社会の一員として自分の人生を歩めるようになることです。

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転校先を決める前に、家庭で対応を整えられる段階なのか、第三者による実動支援が必要な段階なのかを確認します。

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不登校になっても、中高一貫校を離れても人生は終わらない

中高一貫校に合格したことは、お子さんの人生の最終目的ではありません。その学校を離れることも、失敗や人生の終わりではありません。

重要なのは、本人に合わない環境に耐え続けさせることでも、慌てて退学させることでもありません。利用できる制度を確認し、家庭の対応をそろえ、生活、学力、体験、進路を順番に整えることです。

約10年間の引きこもりから学び直して公務員になったY子さん、高校中退と引きこもりを経験してJAへ就職した若者、家庭訪問と生活改善を経て自衛隊へ進んだ若者もいます。

不登校・高校中退・引きこもりから再出発した18の成功事例を見る

親が諦めない限り、JADAも諦めません。退学届を出す前、進路の選択肢を失う前に、現在の状況を整理してください。

中高一貫校の不登校・自主退学について相談する

現在の在籍状況、出席日数、単位、本人の生活状態を整理し、転校・学び直し・生活改善を含めた今後の方向性をご提案します。保護者だけでも相談できます。

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よくある質問

1.中高一貫校の生徒は、なぜ不登校になるのでしょうか?

原因は成績不振だけではありません。JADAの相談者には、開成中学校・高等学校をはじめとする難関校の在籍者もおり、成績が「中の上」で、授業についていける生徒もいます。

中学受験、内部進学、難関大学への合格が目標になり、「自分は何のために勉強しているのだろう」と意味を見失うことがあります。人間関係、学校文化、将来への迷い、生活リズムの崩れなども含め、本人の状態を総合的に確認する必要があります。

2.コロナ禍の体験不足は、不登校と関係していますか?

はい。私は、コロナ禍による体験不足が、現在の不登校や引きこもりに大きな影響を与えていると、最近の相談現場で実感しています。このことは、私の著書でも読者へ伝えてきました。

コロナ禍では、修学旅行や学校行事が中止・縮小され、給食は友人と会話をしない「黙食」になりました。子どもたちは本来、成長過程で経験するはずだった、人と話し、失敗し、折り合いをつけ、困ったときに助けを求める体験を十分に得られませんでした。

40年以上の支援経験と、コロナ禍以前・以後の相談者の変化を比較して、交流と体験の喪失は、現在の不登校・引きこもりの大きな背景の一つだと考えています。

3.AI時代には、勉強する意味がなくなるのでしょうか?

学ぶ意味がなくなるわけではありません。ただし、知識を暗記し、受験で正解することだけを目的とした勉強には、疑問を持つ子が増えています。

AI時代に必要なのは、読み、書き、考える基礎学力に加え、実際の体験を通じて判断し、人と協力し、自分で行動する力です。勉強と社会体験を結びつけ、本人が「何のために学ぶのか」を見つけることが大切です。

4.学校から自主退学を勧められたら、すぐに退学届を出すべきですか?

すぐに提出しないでください。在籍している状態だから利用できる転学制度と、退学後に受ける編入学では、条件や選択肢が異なる場合があります。

まず、在籍期限、出席日数、修得単位、進級条件、転学試験の日程、受入校の出願条件を確認します。口頭説明だけで判断せず、必要事項を整理したうえで進路を決めてください。

5.転入学と編入学は、何が違うのですか?

一般的に、転入学は現在の高校に在籍したまま別の高校へ移ること、編入学は一度退学した後、改めて高校へ入学することを指します。

ただし、単位の引き継ぎ、受験資格、入学時期、在籍学年などは学校によって異なります。退学届を出す前に、希望校と現在の学校の双方へ確認することが重要です。

6.東京都の都立高校へ転入・編入できますか?

条件を満たせば、受験できる可能性があります。ただし、募集時期、募集人数、必要単位、住所要件、試験科目、提出書類は、学校や募集区分によって異なります。

東京都の転学制度は複雑で、私立学校の先生が十分に把握していない場合もあります。JADAは40年以上、東京都の転学制度を活用し、不登校や高校中退を経験した生徒の受験を支援してきました。実際の出願では、必ず受験年度の最新募集要項を確認します。

7.都立新宿山吹高校は、不登校でも受験できますか?

不登校経験があることだけで、受験できないと決まるわけではありません。ただし、希望する課程や募集区分によって、受験資格、試験内容、必要書類などが異なります。

JADAでは、都立新宿山吹高校へ年間50名以上の合格者を送り出した時期があります。私立中高一貫校で不登校となり、自力で受けた転校試験に不合格だった生徒が、基礎学力を学び直し、進路を整理した結果、新宿山吹高校へ合格した事例もあります。

新宿山吹高校は有力な選択肢の一つですが、すべての生徒に適した学校ではありません。本人の生活状態、学力、通学の可能性、卒業後の進路まで考えて選びます。

8.神奈川県、埼玉県、千葉県からも相談できますか?

相談できます。JADAには、東京都だけでなく、神奈川県、埼玉県、千葉県を含む首都圏のご家庭からも相談があります。

ただし、都県によって公立高校の転入・編入制度、住所要件、募集時期などが異なります。現在の在籍状況と希望する進路を確認し、全日制、定時制、通信制高校なども含めて選択肢を整理します。

9.転校すれば、不登校や引きこもりは解決しますか?

学校が本人に合わなかっただけなら、転校をきっかけに通学を再開し、卒業できる子もいます。

一方、昼夜逆転、ゲーム漬け、親との会話断絶、外出困難、入浴拒否、進路拒否などが重なっている場合は、学校を替えるだけでは根本的な解決になりません。

規則正しい生活、親の対応、学び直し、人との交流、アルバイトなどの社会体験を順番に整え、卒業後の進学・就職まで見据える必要があります。

10.どの段階でJADAへ相談すべきですか?

欠席が増えた、学校から進級や在籍について話があった、本人が転校を口にした時点で、早めに相談してください。高校の不登校は、出席日数、単位、在籍期限が関係するため、時間との闘いです。

JADAでは、本人と家庭の現在地を「不登校・引きこもりの5ステージ判定」で整理します。簡単にいえば、家庭と学校の連携で対応できる段階なのか、家庭訪問や生活改善など、第三者による実動支援が必要な段階なのかを判断するものです。

昼夜逆転、ゲーム漬け、親との会話断絶、外出困難、入浴拒否、進路拒否などが重なるStage 3以上では、転校先を探すだけでなく、JADAのような専門機関による支援を推奨します。保護者だけでも相談できます。


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杉浦 孝宣
杉浦孝宣(すぎうら・たかのぶ)は、一般社団法人未来自律支援機構(JADA)代表理事、認定NPO法人高卒支援会創業者。自身も小学3年生で不登校を経験し、その体験を原点に40年以上にわたり不登校・高校中退・引きこもり支援に携わってきた。 これまで1万人以上の相談に対応し、家庭訪問、生活改善合宿、学生寮、学び直し支援、就労支援などを通じて、多くの若者のSocial Autonomy(社会的自律)を支援している。 「子どもは必ず変われる」を信念に、学校復帰だけをゴールとせず、一人ひとりが自ら考え、行動し、社会に参加していくSocial Autonomyを目指した支援を実践している。 著書に『不登校・ひきこもりの9割は治せる』『高校中退 不登校でも引きこもりでもやり直せる』『もう悩まない!不登校・ひきこもりの9割は解決できる』など。近年は一般社団法人未来自律支援機構(JADA)を通じて、Autonomy Stage OSと7 Steps to Autonomyを体系化し、国内外へ発信している。台湾版著書も出版され、教育・福祉・行政・企業・国際社会との連携を通じて、若者のSocial Autonomyを実現する支援モデルの普及に取り組んでいる。
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