夏休みの生活リズムの乱れが不登校の入口に|ゲーム・スマホを取り上げる前に親がすべきこと

夏休みの生活リズムの乱れが、不登校・引きこもりの入口になることがあります。

ゲーム・スマホ・SNSを一方的に取り上げる前に、親が整えるべき家庭のルールと関わり方があります。

40年以上・1万人を超える子ども・若者を支援してきた経験から、夏休み明けに崩れないための具体策をお伝えします。

夏休みは、学校へ行かなくてもよいため、子どもも親も少し安心しやすい時期です。しかし、安心している間に生活が崩れ、始業式が近づいた途端に「行けない」「起きられない」「学校の話をしないで」となることがあります。

夏休み明けの不登校は、9月になって突然始まるわけではありません。夏休み中の小さな変化が重なった結果として現れることが少なくないのです。

目次

結論|夏休みは休ませながら、生活の土台を崩さないことが大切です

結論から言えば、ゲーム・スマホ・SNSだけを悪者にしても解決しません。

見るべきなのは、睡眠、食事、運動、外出、家族との会話、家庭内での役割、一日の予定を含めた生活全体です。

夏休みだからと完全に自由にしておくことも、感情的にゲームを取り上げることも、どちらも良い対応とは言えません。親が家庭の環境とルールを整え、子どもが現実の生活へ戻れる足場をつくることが重要です。

なぜ夏休みが不登校・引きこもりの入口になるのか

学校がある間は、起床、登校、食事、帰宅と、外から与えられる時間割があります。夏休みには、その枠がなくなります。

すると、起きる理由がなくなり、夜更かしが続きやすくなります。ゲーム仲間やSNSで深夜までつながり、昼に起きて食事を部屋で済ませ、外出しない日が続く。こうして家庭の中だけで一日が完結してしまいます。

その状態で始業式が近づくと、子ども自身も「元の生活に戻れないかもしれない」と不安になります。親が学校の話を急に始めれば、子どもは責められたと感じ、会話を避けることがあります。

だからこそ、始業式直前に慌てるのではなく、夏休みの途中から生活の土台を守ることが必要です。

夏休みに注意したい10のサイン

次の状態が複数重なっている場合は、「夏休みだからだらけているだけ」と決めつけず、早めに生活を整え始めてください。

  1. 昼夜逆転が続いている
  2. 朝食を食べず、食事時間が毎日違う
  3. 入浴や着替えの回数が減っている
  4. 一日中、自室で過ごしている
  5. 外出を極端に嫌がる
  6. 家族との会話を避けている
  7. ゲームやSNSを自分で終えられない
  8. 学校の話をすると怒る、黙り込む
  9. 宿題や進路の話を完全に避ける
  10. 家の中で担っている役割が何もない

大切なのは、子どもを診断することではありません。今、お子さんがどの段階にいて、家庭だけで整えられる状態なのか、第三者の力が必要な状態なのかを見極めることです。

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ゲーム・スマホ・SNSを突然取り上げてはいけない理由

ゲームやスマホの利用が長くなれば、親として心配になるのは当然です。しかし、突然没収したり、ゲーム機を壊したりすれば、親子関係が一気に悪化することがあります。

子どもがさらに部屋に閉じこもる、隠れて利用する、暴言や暴力につながる、親への不信感を強める。こうしたケースを、私は現場で何度も見てきました。

もちろん、自由に使わせてよいという意味ではありません。深夜の利用、終える時間、課金、食事中の利用などは、家庭の共通ルールとして管理すべきです。

ゲーム・スマホ・SNSは、生活が崩れた原因である場合もありますが、生活が崩れた結果、そこに依存的になっている場合もあります。まず生活全体を見直し、親が落ち着いてルールを提示することが出発点です。

夏休みに親が整えるべき家庭のルール

すべてを一度に変える必要はありません。できるところから、親子で確認できる形にしていきましょう。

・起床時間を学校がある時期から大きくずらさない
・午前中にカーテンを開け、光を浴びる
・朝食または昼食を、できるだけ家族と取る
・食事を毎回自室へ運び続けない
・深夜のWi-Fi・スマホの利用について、親子で終了時刻を決める
・一日一回、買い物、散歩、用事などで外に出る機会をつくる
・洗濯、食器洗い、買い物、掃除など、家庭内の役割を一つ持たせる
・夏休み後半からは、登校時刻を意識して少しずつ戻す
・父母で方針をそろえ、片方が許し、片方が叱る状態をつくらない

家庭内の役割は、単なるお手伝いではありません。「自分もこの家庭の一員として必要とされている」という実感につながります。自律への第一歩は、生活の中で自分の役割を持つことです。

親がしてはいけない対応

・朝から怒鳴って起こす
・ゲーム機やスマホを突然没収・破壊する
・きょうだいや友人と比較する
・「学校へ行かないなら将来はない」と脅す
・本人の前で父母の意見が食い違う
・食事、洗濯、片付けなど、すべてを親が代わりにする
・夏休みの間ずっと何も言わず放置する
・始業式直前まで生活の準備をしない

親が変わればすべて解決する、ということでもありません。子ども本人への実動支援が必要になることもあります。ただ、親の関わりがそろわないままでは、子どもに伝わるメッセージもぶれてしまいます。

JADAでは、「親へのコーチング × 子どもへの実動支援」を両輪として考えます。家庭の関わり方を整えながら、必要に応じて外出、学び直し、生活改善、社会参加へと具体的な一歩を支えます。

夏休み明けに崩れないための準備

始業式の一週間前から急に早起きを求めても、うまくいかないことが多いものです。夏休み後半から、少しずつ戻してください。

まずは就寝時間と起床時間を30分ずつ調整します。朝食を取り、午前中に外へ出る予定をつくります。学校の近くまで散歩する、制服や持ち物を確認するなど、登校への心理的な負担を小さくする工夫も役立ちます。

一方で、登校だけを唯一の目標にしないことも大切です。体調や状態によっては、保健室登校、別室登校、相談室、学び直し、進路の再整理など、段階に合った選択肢を考える必要があります。

親子だけで抱えず、相談した方がよい状態

次のような状態がある場合は、家庭内だけで解決しようとせず、早めに専門家へ相談してください。

・昼夜逆転が固定している
・親とほとんど会話しない
・数週間以上、外へ出ていない
・暴言や暴力がある
・自傷行為がある、命に関わる発言がある
・部屋に立てこもり、家族が入れない
・学校の話が一切できない
・親が対応に疲れ切っている

自傷や命に関わるおそれがある場合は、まず安全確保を優先し、医療機関や地域の緊急相談窓口にもつながってください。

JADAでは、保護者だけの相談から始められます。現在地を見極め、親御さんの関わり方を整え、必要であればお子さんへの具体的な支援につなげます。

動画で解説しています|夏休みに親が見るべきポイント

今回の動画では、夏休み中に親が見るべきポイント、ゲーム・スマホ・SNSへの具体的な対応、家庭内ルールの作り方、生活リズムを整える方法、夏休み明けの不登校を防ぐための準備をお話ししています。

「何から始めればよいか分からない」という保護者の方は、ぜひご覧ください。


40年以上の支援現場からお伝えしたいこと

私は40年以上、不登校・高校中退・引きこもりの子ども・若者と向き合い、1万人を超える支援に携わってきました。

不登校の解決は、ただ学校へ戻すことではありません。規則正しい生活を取り戻し、自信をつけ、教育・勤労・納税という社会の三大義務を果たし、社会に貢献できる人生へ向かうことが本当のゴールです。

JADA Stage OSでは、お子さんの状態を5段階で見極め、段階に合わない対応で悪化させないことを大切にしています。

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生活の立て直しから社会参加までの道筋は、JADA Autonomy OS|7 Steps to Autonomyで紹介しています。

すでに立ち直った先輩たちの歩みは、不登校・引きこもり成功事例17選にまとめています。今は動けなくても、生活を整え、外との接点をつくり、一歩ずつ自律へ向かった事例です。

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まとめ|夏休みは、生活を立て直す機会にできます

夏休みは、子どもを休ませるだけの期間ではありません。生活リズム、家庭内の役割、ゲーム・スマホのルール、親子の会話、外との接点を整える機会にもできます。

見守ることが必要な時期もあります。しかし、生活が崩れ、会話が減り、外との接点がなくなっているなら、見守るだけでは長期化することがあります。

夏休みの今、できる小さな一歩から始めてください。親の関わりを整え、必要なら第三者の力も借りながら、お子さんが自律して社会に貢献する人生へ向かう土台をつくっていきましょう。

監修:一般社団法人未来自律支援機構(JADA)代表理事・杉浦孝宣

40年以上・1万人超の不登校・高校中退・引きこもり支援経験をもとに、親へのコーチングと子どもへの実動支援を行っています。



FAQ

夏休みに昼夜逆転したら、不登校になるのでしょうか?

必ず不登校になるわけではありません。ただし、昼夜逆転に加えて外出減少、会話の減少、学校の話への強い拒否などが重なる場合は注意が必要です。始業式直前に慌てず、夏休み後半から少しずつ起床時間、食事、外出の習慣を戻しましょう。

子どものゲームを取り上げれば、不登校は改善しますか?

一方的に取り上げるだけでは根本的な解決になりません。親子関係を悪化させ、隠れて利用する、さらに部屋に閉じこもるなどの反応を招くことがあります。睡眠、食事、外出、家庭内の役割と合わせて、家庭の共通ルールをつくることが大切です。

夏休み中、ゲームやスマホは何時までに終えるべきですか?

年齢や現在の生活状況によって異なります。大切なのは、本人と親で終了時刻を具体的に決め、翌日の起床時間や食事に影響しないようにすることです。親が感情的に命令するのではなく、家庭のルールとして共有してください。

夏休み明けに学校へ行けないと言い出したら、どうすればよいですか?

まず責めずに、生活リズム、体調、人間関係、学習、学校への不安などを整理してください。その上で、登校だけを唯一の選択肢にせず、段階に合った支援を考えます。親子で話すことが難しい、昼夜逆転や引きこもりが進んでいる場合は、早めに専門家へ相談しましょう。

保護者だけでもJADAへ相談できますか?

はい。保護者だけの相談から始められます。まずお子さんの現在地を見極め、親御さんの関わり方を整えながら、必要に応じて本人への実動支援につなげます。

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杉浦 孝宣
杉浦孝宣(すぎうら・たかのぶ)は、一般社団法人未来自律支援機構(JADA)代表理事、認定NPO法人高卒支援会創業者。自身も小学3年生で不登校を経験し、その体験を原点に40年以上にわたり不登校・高校中退・引きこもり支援に携わってきた。 これまで1万人以上の相談に対応し、家庭訪問、生活改善合宿、学生寮、学び直し支援、就労支援などを通じて、多くの若者の社会的自律を支援している。 「子どもは必ず変われる」を信念に、学校復帰だけをゴールとせず、一人ひとりが自ら考え、行動し、社会に参加していく「社会的自律(Autonomy)」を目指した支援を実践している。 著書に『不登校・ひきこもりの9割は治せる』『高校中退 不登校でも引きこもりでもやり直せる』『もう悩まない!不登校・ひきこもりの9割は解決できる』など。近年は一般社団法人未来自律支援機構(JADA)を通じて、JADA Stage OSと7つの自律支援ステップを体系化し、国内外へ発信している。 台湾版著書も出版され、教育・福祉・行政・企業・国際社会との連携を通じて、若者の社会的自律支援モデルの普及に取り組んでいる。
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