稔ヶ丘高校 校長先生との対談 都政新報 11/14日号

チャレンジスクールは、不登校・中退という問題を積極的に克服していこうという意志の基につくられていると言っても過言ではありません。実際に、チャレンジスクールには多くの不登校経験者が在籍しています。そういった生徒が目標を持って次の一歩を踏み出すことができるように指導していくのも、チャレンジスクールの大きな役割でしょう。都立稔ヶ丘高校は、不登校を経験した生徒がその後の人生でまた「不登校」にならないようにするということに重点を置いた取り組みをしているチャレンジスクールです。

今回は、坂井秀敏校長先生にお話を伺ってきました。

■倍率は低い方がよい。チャレンジスクールの募集は軒並み二倍から三倍、分割後期募集にはそれ以上の高倍率になりますが、私は倍率は低い方がよいと思います。私たち稔ヶ丘は、あらかじめ募集する生徒の対象を明らかにしておいて、指導にフィットする生徒を集める。チャレンジスクールもたくさんありますし、多様な生徒をカバーするためにも高校同士で受け入れる生徒の切り分けをし、せっかく学校に行こうとして高校受験をしたのに失敗してしまうという、高倍率による第二の挫折を生まないようにしたほうがいいと思います。

■最終的には生徒の自立が目標。「高校にもまれる」という考え方。そもそも総合学科の学校は、「好きな時に好きなように授業を選択出来る」というコンセプトがあってそれが売りでもありましたが、我々はやはり学習には順番があると考えています。最終的には生徒に自立してもらいたいので、細かく指導はしますが何に対してもハードルを下げるということはしません。しっかりと「高校の授業」をしていきます。「なんとなくを意図的に」を稔ヶ丘の教員の合い言葉とし、順を追った指導と細かいステップの提供を心がけています。また、登校ストレスを軽減し不登校にさせないのではなく、それに負けないように育てることで不登校を生まないようにしたいと思っています。そうすることで、大学や社会に出て行くためのステップとしての高校の役割をもう一度浸透させ、チャレンジスクールではありますが、あえて「高校にもまれる」ことを通して「勁(つよ)い心」育てていきます。

■「こうするとうまくいく」ということを教える。稔ヶ丘では「コーピング」という独自教材を使用し、確実に成果をあげるための科目の積み重ねや、キャリア教育に力を入れています。例えば大学や社会に出ても、そこでついていける根本の土台となるのは人間関係だと私たちは考えています。一度不登校を経験してしまった生徒が、何度も何度も失敗を体験して人との接し方を体得していくというような「トライアンドエラー」で人間関係を築くということには抵抗があるでしょう。また何か失敗してしまうかもしれないという恐れが、次の一歩を踏み出すのを躊躇させてしまう。重なりますが、最終的には生徒の自立が目標ですから「どうやって相手と付き合うか」ということを教えてあげるのがいいと思います。そこで、学校不適応に対する取り組みとして、人間関係を円滑にするコツやストレスを乗り越えるコツを意図的に学んでいこうというわけです。

創立二年目の稔ヶ丘高校。来年度には初めての卒業生が生まれます。坂井校長先生以下、教職員の方々の熱く細やかな指導がどのように開花するか非常に楽しみです。また、これからの都立高校の在り方に関しても、様々な議論がより活発に交わされていくことを期待しています。

都政新報11/14日号教育支援の現場から

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杉浦 孝宣
杉浦孝宣(すぎうら たかのぶ)は、一般社団法人不登校・引きこもり予防協会の代表理事。自身も小学生時代に不登校を経験し、つらい気持ちに寄り添う支援を40年以上続けています。「子どもは必ず変われる」を信じ、不登校や高校中退、引きこもりで悩む親子に寄り添い続けています。著書に『不登校・ひきこもりの9割は治せる』など。
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