通信制から都立全日制へ。転入試験の「真実」と「制度」の仕組み

「通信制高校へ転校したけれど、やはり都立の全日制高校へ戻りたい」

「不登校になった高校生でも、都立高校へ転学・編入することはできるのでしょうか」

こうした相談を、私は長年受けてきました。

一般社団法人未来自律支援機構(JADA:Japan Autonomous Development Association)代表理事の 杉浦孝宣 です。

私は40年以上、不登校・高校中退・引きこもりの子ども・若者とその家庭を支援し、1万人を超える相談・支援に関わってきました。

私が創業した高卒支援会では、通信制高校サポート校を運営しながら、通信制高校への転校だけでなく、都立高校への転学・編入、新宿山吹高校をはじめとする都立高校への進路変更を長年支援してきました。

また、都立高校の転学・編入学試験を実際に受けた生徒から問題を回収し、学校ごとの出題傾向を蓄積してきました。

2014年に宝島社から出版した著書 『高校中退 不登校でも引きこもりでもやり直せる!』 でも、都立高校の転学・編入学制度について解説しています。

制度を調べて紹介しているだけではありません。

実際に制度を使い、受験を支援し、合格後の学校生活まで見てきた現場から、この記事を書いています。

目次

高校中退からの再挑戦を社会へ伝えてきた|都立転編入制度について記者会見

私は、高校中退や不登校になった生徒にとって、都立高校の転学・編入学制度は「やり直すための現実的な選択肢」になると考え、長年その活用を訴えてきました。

2013年には、高校中退問題と都立高校転校制度の活用について記者会見を行い、NHK、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、毎日新聞、東京新聞、宝島社などのメディアが集まりました。

高校を中退したら、その後の進路が突然なくなる。

その状態を放置するのではなく、利用できる制度を知り、次の教育機会へつなぐ。

この考え方は、現在のJADAが目指すSocial Autonomy(社会的自律)にもつながっています。

「全日制へ戻りたい」|相談者Wさんへ厳しい現実を伝えた理由

以前、相談者Wさんから、

「息子は全日制へ戻りたいと願っています。サイトを見て希望を持ったのに、相談では今受けても非常に厳しいと言われました。なぜ希望を持たせる内容を掲載しているのですか」

というご意見をいただきました。

もっともな疑問だと思います。

都立高校には、実際に転学・編入学の制度があります。

しかし、

制度上「受験できる」ことと、今その子が「受験すべき状態にある」ことは、同じではありません。

生活リズムは整っているか。

朝から外へ出られるか。

必要な学習を続けられるか。

志望校の授業についていけるか。

そして、合格後に通学を継続できるか。

私はここまで見ます。

試験に受からせることだけが目的ではありません。

「転学した後、再び不登校にならないか」まで考えて進路を判断する必要があります。

「うちの子は、今すぐ転学試験を受ける段階なのだろうか」と迷っている方は、学校選びの前に、まず本人の現在地を確認してください。

JADAでは、欠席日数だけではなく、起床・睡眠、外出、学習、家族との会話、家庭外の居場所、人との接点などから現在の状態を整理します。

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まず確認|「転学」と「編入学」は同じではありません

都立高校への進路変更を考える際、最初に整理していただきたいのが「転学」と「編入学」の違いです。

転学とは

現在高校に在籍している生徒が、引き続き別の高校の相当学年へ移る制度です。

東京都教育委員会では、都立高校の転学について学期ごとに募集を実施しています。

編入学とは

高校を一度退学した人などが、第1学年当初とは異なる時期に改めて高校へ入学する制度です。

一般的な編入学は第一学期募集が基本となります。

したがって、まずは、

現在も高校に在籍しているのか。
すでに高校を退学しているのか。

を整理する必要があります。

制度の最新情報は、必ず東京都教育委員会の公式ページで確認してください。

東京都教育委員会|都立高等学校の転学・編入学について

「高1の夏だけ」ではありません|現在の都立転学制度

以前は「高1の夏が最大のチャンス」と説明することが多くありました。

現在の制度は、もう少し柔軟です。

第1学年の第二学期募集では、現在在籍している課程・学科とは異なる課程・学科への出願が可能です。

たとえば、

  • 通信制から全日制
  • 定時制から全日制
  • 専門学科から普通科

など、異なる課程・学科への進路変更を検討できる場合があります。

また、第1学年第三学期以降も、転学後に卒業に必要な単位を履修・修得できると志願先の都立高校長が認める場合には、異なる課程・学科へ出願できる場合があります。

つまり、

「高1の夏を逃したら、もう都立へ転学できない」

という単純な制度ではありません。

2026年度も都立高校の転学・編入学募集は実施されています

2026年度第二学期の都立高校転学・編入学募集では、全日制課程で実学校数167校、募集人員10,502人が公表されています。

ただし、

募集人数が多い=簡単に合格できる

という意味ではありません。

募集校、募集学年、学科、人数、選抜方法は毎回変わります。

そのため、受験を検討する際は、東京都教育委員会の最新情報と志望校への直接確認が必要です。

東京都教育委員会|令和8年度第二学期 都立高等学校転学・編入学募集

受験前に必須|学力より先に「単位照合」を確認する

都立高校への転学・編入学は、「試験で何点取れるか」だけで決まりません。

非常に重要なのが、単位照合です。

現在の高校で修得した単位と、志望する都立高校の教育課程を照合し、転学後に卒業に必要な単位を履修・修得できるかを確認します。

出願前に、志望校へ確認してください。

特に、

  • 現在の学年
  • 修得済み単位
  • 履修中の科目
  • 志望校の教育課程
  • 卒業までに必要な単位

を整理することが重要です。

私は長年の支援の中で、

「学力はあるのに、単位の問題で希望する学年へ転学できない」

というケースも見てきました。

ですから、過去問を解き始める前に、まず出願資格と単位を確認してください。

転学試験の過去問は入手できますか?

学校によっては可能です。

東京都教育委員会は、過去1年間に実施された転学・編入学募集の検査問題について、志願先の都立高校へ問い合わせるよう案内しています。

ただし、実際に受検者がいて検査を実施した募集についてのみ、問題を配布できる場合があります。

一方、私が創業した高卒支援会では、長年にわたり都立高校の転学・編入学試験を受けた生徒から、実際に出題された問題を回収し、独自にデータベース化してきました。

その蓄積をもとに、

  • 学校ごとの出題傾向
  • 英語・数学・国語の難易度
  • 面接で確認されやすい内容
  • 本人の学力と志望校との距離
  • どの時期から何を準備するか

を考えながら受験指導をしてきました。

転学・編入学試験は、通常の高校受験と比べて公開情報が少ない試験です。

制度を知ることと同時に、実際の出題傾向を知ることが大切です。

転学試験は「受かれば終わり」ではありません

私は、転学試験の相談で最も大切なのは、

合格後に、本当にその学校へ通い続けられるのか

という点だと考えています。

昼夜逆転している。

朝起きられない。

外出がほとんどない。

学習が止まっている。

人との接点が少ない。

この状態で、試験だけ合格しても、その後毎朝通学することが難しければ、再び不登校になる可能性があります。

だからJADAでは、学校選びだけではなく、本人の生活と社会との接点を確認します。

5-Stage Assessmentは「合否判定」ではありません

ここは、以前の記事から大きく修正する重要な点です。

JADAの5-Stage Assessmentは、

転学試験に受かるか、落ちるかを予測するためのテストではありません。

本人と家庭の現在地を整理するAssessment Frameworkです。

起床・睡眠。

食事。

外出。

学習。

家族との会話。

家庭外の居場所。

家族以外との接点。

ゲーム・スマートフォン。

こうした生活全体を見ます。

Stage 1〜2だから必ず転学試験に合格するわけではありません。

Stage 3以上だから、制度上受験できないわけでもありません。

ただし、生活や社会との接点が大きく崩れている場合には、受験以前に、

「合格後の学校生活を継続できる状態か」

を慎重に考える必要があります。

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親だけでも、受験指導だけでもない|JADA Support Philosophy

JADAの支援哲学は、

Parent Coaching × Direct Support for the Young Person

親へのコーチング × 子ども・若者本人への実動支援

です。

「転学した方がいい」

「勉強しなさい」

と親が言い続けるだけでは、本人の生活は動きません。

反対に、本人へ勉強だけ教えても、家庭の方針がバラバラでは進路変更がうまくいかない場合があります。

家庭では、

  • 今の学校に残るのか
  • 転学するのか
  • 通信制へ一度移るのか
  • 学年を落として学び直すのか
  • 滑り止めをどうするのか

を整理します。

本人には、

  • 生活改善
  • 学力確認
  • 過去問対策
  • 面接練習
  • 志望理由の整理
  • 通学練習

など、必要な行動を具体的に支援します。

JADA Support Philosophy|親へのコーチング × 本人への実動支援を詳しく見る

都立転学・編入を7 Steps to Autonomyで考える

転学試験は、それ単体で考えるものではありません。

JADAの7 Steps to Autonomyの中では、進路変更は一連の支援プロセスの一部です。

STEP 1 親コーチング&ステージ判定

本人と家庭の現在地を確認し、父母の進路方針を整理します。

STEP 2 アウトリーチ(家庭訪問)

本人が相談や学校へ出向けない場合は、必要に応じて支援する側から接点をつくります。

STEP 3 生活改善・環境調整

朝起きる、日中活動する、外へ出るなど、通学を継続するための生活を整えます。

STEP 4 学び直し支援

基礎学力、過去問、志望校に必要な学習を進めます。

STEP 5 社会接点づくり

同世代、スタッフ、学校など、家庭外の人との接点を増やします。

STEP 6 進路・社会参加支援

転学・編入、通信制高校、高卒認定、大学進学など、本人に合った進路を具体化します。

STEP 7 Social Autonomy

学校へ入ることだけではなく、本人が自分の生活と人生を自分で動かせる状態を目指します。

制度を実際に使ってきたEvidence|都立転編入・合格動画

JADAでは、制度を説明するだけではありません。

私が高卒支援会を運営していた時代から、実際に都立高校の転学・編入学試験へ挑戦し、再出発した本人・保護者の声を動画で記録してきました。

超進学校から都立青山高校へ|不登校から転編入合格

通信制高校から新宿山吹高校へ|転編入試験を突破

通信制高校から全日制都立高校へ転学

新宿山吹高校合格|ダラダラ生活から猛勉強へ

このほかにも、新宿山吹高校、六本木高校、青山高校、都立全日制高校などへの転学・編入・再進学事例を長年記録しています。

重要なのは「有名校へ合格した」という結果だけではありません。

どのような状態から、

どのような環境変更を行い、

どのように学び直し、

どのように本人が再び動けるようになったのか。

そこに、次の家庭へ活用できるEvidenceがあります。

都立高校への転学・編入を考える時は、制度だけでなく「実際にどのような状態から再出発したのか」も確認してください。

JADA Success Hub|22の成功事例を見る

JADA Support Philosophy|親へのコーチング × 本人への実動支援

杉浦孝宣プロフィール|40年以上・1万人超の支援実績

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よくある質問|都立高校の転学・編入学

1.通信制高校から都立全日制高校へ転学できますか?

可能な場合があります。

第1学年の第二学期募集では、現在在籍している課程・学科とは異なる課程・学科への出願が可能です。

ただし、募集状況、修得単位、志望校の教育課程などの確認が必要です。

2.「転学」と「編入学」は何が違いますか?

転学は、現在高校に在籍している生徒が、引き続き別の高校の相当学年へ移る制度です。

編入学は、高校を一度退学した人などが、第1学年当初とは異なる時期に高校へ入学する制度です。

まず、現在も高校に在籍しているのか、すでに退学しているのかを確認してください。

3.都立高校への転学は「高1の夏」しかチャンスがないのでしょうか?

いいえ。

第1学年第二学期は異なる課程・学科へ出願できる重要な時期ですが、第1学年第三学期以降でも、卒業に必要な単位を履修・修得できると志願先高校長が認める場合には、異なる課程・学科へ出願できる場合があります。

4.転学試験は学力だけで決まりますか?

いいえ。

まず、出願資格と単位照合の確認が必要です。

選抜方法も学校や募集によって異なるため、学力検査、面接など、志望校の最新募集内容を確認してください。

JADAではさらに、合格後に本人が通学を継続できる生活状態かどうかも重視します。

5.通信制高校で取った単位は、都立高校でもそのまま使えますか?

一律にすべて使えるとは言えません。

在籍校で修得した単位と、志望校の教育課程を照合し、転学後に卒業に必要な単位を修得できるかを志望校側が確認します。

出願前に必ず単位照合を行ってください。

6.転学試験の過去問は入手できますか?

学校によっては可能です。

東京都教育委員会は、過去1年間に実施された転学・編入学募集の検査問題について、志願先の都立高校へ問い合わせるよう案内しています。

ただし、その募集で実際に受検者がいて検査を実施した場合に限り、配布できる場合があります。

一方、私が創業した高卒支援会では、長年にわたり都立高校の転学・編入学試験を受けた生徒から、実際に出題された問題を回収し、独自にデータベース化してきました。

学校ごとの出題傾向、学力レベル、面接対策など、実際の受験支援にも長年関わってきました。

7.5-Stage AssessmentでStage 1〜2なら転学試験に合格できますか?

5-Stage Assessmentは、転学試験の合否を予測するためのものではありません。

本人の生活、外出、学習、家族との会話、人との接点などから現在地を整理するためのAssessment Frameworkです。

Stageが低ければ必ず合格する、Stageが高ければ必ず不合格になる、というものではありません。

大切なのは、合格後に通学を継続できる状態かどうかです。

8.昼夜逆転やゲーム中心の生活でも、転学試験を受けた方がよいでしょうか?

本人の状態によります。

制度上受験できることと、今すぐ受験することが本人にとって最善かは別問題です。

朝起きられない、外出が少ない、学習が止まっている、人との接点が少ない場合には、受験準備と同時に生活改善や本人への実動支援が必要かを確認します。

9.2026年度も都立高校の転学・編入学募集はありますか?

あります。

2026年度第二学期は、全日制課程で実学校数167校、募集人員10,502人の募集が公表されています。

ただし、募集校、学年、学科、人数は毎回変わります。

必ず東京都教育委員会の最新情報と志望校への確認を行ってください。

10.都立高校への転学を考えたら、保護者は最初に何をすればよいですか?

私は、いきなり志望校を決める前に、二つの現在地を確認することを勧めています。

一つは制度上の現在地です。

  • 現在の在籍状況
  • 学年
  • 修得単位
  • 志望校の募集条件

もう一つは本人の現在地です。

  • 朝起きられるか
  • 外出できるか
  • 学習を継続できるか
  • 人と関われるか
  • 合格後に通学を続けられそうか

制度上の「受験できる」と、本人が「通い続けられる」は別です。

この二つを確認したうえで、転学試験へ進むのか、生活改善や学び直しを先に行うのかを考えてください。

都立転学・編入制度は「人生をやり直すための制度」になり得る

高校を一度休んだ。

不登校になった。

通信制高校へ転校した。

高校を中退した。

だからといって、その時点でその子の人生が決まるわけではありません。

私は40年以上、進路を失いかけた子どもたちが、都立高校の転学・編入制度を使って再出発する姿を見てきました。

新宿山吹高校へ進んだ子。

都立青山高校へ転学した子。

通信制高校から全日制高校へ戻った子。

高校中退後に学び直した子。

重要なのは、

「転学試験に受かること」ではなく、その制度を使って本人の人生を再び動かすことです。

そして、進路変更の先には、大学進学、アルバイト、就職、社会参加があります。

JADAの最終目標は、学校へ戻ることだけではありません。

本人が生活を整え、人とつながり、学び、働き、自分で人生を選択していくSocial Autonomy(社会的自律)です。

進路を一度間違えても、やり直す方法はあります。

ただし、制度を正しく知り、本人の現在地に合った順番で使うことが重要です。

親が諦めない限り、JADAも諦めません。


JADA Global|Japan’s Support Model for Social Autonomy

JADA(Japan Autonomous Development Association)は、日本で40年以上にわたり培ってきた不登校・高校中退・引きこもり支援の実践知を、海外へも発信しています。

英語公式サイトでは、

  • Autonomy Stage OS
  • 5-Stage Assessment
  • JADA Support Philosophy
  • 7 Steps to Autonomy
  • JADA Success Hub / Evidence
  • Social Autonomy

について英語で紹介しています。

JADA Global|English Official Website

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杉浦 孝宣
杉浦孝宣(すぎうら・たかのぶ)は、一般社団法人未来自律支援機構(JADA)代表理事、認定NPO法人高卒支援会創業者。自身も小学3年生で不登校を経験し、その体験を原点に40年以上にわたり不登校・高校中退・引きこもり支援に携わってきた。 これまで1万人以上の相談に対応し、家庭訪問、生活改善合宿、学生寮、学び直し支援、就労支援などを通じて、多くの若者のSocial Autonomy(社会的自律)を支援している。 「子どもは必ず変われる」を信念に、学校復帰だけをゴールとせず、一人ひとりが自ら考え、行動し、社会に参加していくSocial Autonomyを目指した支援を実践している。 著書に『不登校・ひきこもりの9割は治せる』『高校中退 不登校でも引きこもりでもやり直せる』『もう悩まない!不登校・ひきこもりの9割は解決できる』など。近年は一般社団法人未来自律支援機構(JADA)を通じて、Autonomy Stage OSと7 Steps to Autonomyを体系化し、国内外へ発信している。台湾版著書も出版され、教育・福祉・行政・企業・国際社会との連携を通じて、若者のSocial Autonomyを実現する支援モデルの普及に取り組んでいる。
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