医師家庭・中高一貫校の不登校|親が今日からできる3つの対応
医師家庭のお子さんが中高一貫校で不登校になったとき、大学受験の準備と並行して、今の生活、学校での負担、人との関わりを整理する必要があります。この記事では、今日からできる対応を3つにまとめ、JADAの支援途中にあるA君の経過と照らし合わせて説明します。中高一貫校への対応は一般の保護者向けに整理したもので、A君の在籍校種を示すものではありません。
医師家庭のお子さんが不登校や引きこもりになったとき、見直したいのは勉強量だけではありません。「難関大学へ進んで当然」という期待を、本人がどのように受け取ってきたか。そして、今の本人が実際に動ける生活と人間関係があるかです。
目標を持つことは悪いことではありません。しかし、大学名と自分の価値が結び付いているとしたら、朝起きられないことや教室へ行けないことまで、「自分は駄目だ」という評価につながっていないか、確かめる必要があります。
一般社団法人未来自律支援機構(JADA:Japan Autonomous Development Association)代表理事の杉浦孝宣です。40年以上にわたる不登校・高校中退・引きこもり支援、1万人超の支援経験をもとに、親へのコーチングと子ども・若者本人への実動支援を行っています。杉浦孝宣のプロフィールはこちら。
今回は、親や親族に医師がいる家庭で育ったA君の支援経過を紹介します。寮生活で教室へ通い始めても、帰省をきっかけに生活が崩れる。学ぶ意欲はあるのに、人の助けを受け入れることが難しい。それでも、高卒認定試験の2日間をやり切るところまで進みました。
これは「難関大学に合格して解決した話」ではありません。理想と現実の間で揺れながら、社会的自律へ向けて支援を続けている事例です。
事例について:個人の特定を避けるため、仮名を使用し、地域・志望大学名などの詳細は省いています。心理的な背景は支援上の見立てであり、本人の内面や医学的診断を断定するものではありません。医師家庭全体に同じ傾向があると示す記事でもありません。
「死にたい」という訴え、自傷、深刻な食事・水分摂取の低下、暴力などがある場合は、受験や登校より安全確保を優先してください。差し迫った危険には119番・110番などを利用し、家族だけで抱え込まないでください。安全確保と医療連携の項目へ。
「医師の家庭だから」が、本人の中で重圧になっていないか
A君の支援で見落とせない背景は、難関大学や医療系の進路が身近にある家庭環境でした。親が毎日「医学部へ行きなさい」と言っているかどうかだけでは、本人が感じる重さは分かりません。
親や親族が難しい試験を突破してきたこと。進学先や職業が家族の会話に登場すること。周囲の同級生が受験へ進んでいくこと。そのなかで、本人が「自分も同じ道を歩まなければ」と考えていないかを確かめます。
ここで大切なのは、親の意図と、子どもの受け取り方を分けることです。親は選択肢を広げてあげたい。本人には、一定以上の大学でなければ認められないように感じられる。そうした行き違いがないか、支援者が間に入って整理します。
「プライドが高い」で片付けない
A君には、自分のやり方で勉強したいという強い思いがありました。一方で、教室へ通うことや生活を整えることは安定していませんでした。
私たちは、この姿を「言うことを聞かない性格」で終わらせません。できない姿を人に見せる不安はないか。助けを借りることが、本人には負けのように感じられていないか。高い目標を口にすることで、現在の苦しさから距離を置いていないか。対話のなかで確認すべき背景として考えます。
本人の自尊心を傷つけて現実を認めさせるのではなく、助けを借りても自分の人生を進められる経験をつくる。それが支援の出発点です。
世間体や親族への説明を、本人に背負わせない
医師家庭であっても、世間体や親族の期待が実際に負担になっているかは、ご家庭ごとに確認が必要です。そのうえで、進路の話題が本人を追い詰めているなら、親族への説明は大人が引き受けます。
例えば保護者から、「今は生活と学びを立て直しています。進学のことはこちらから必要なときにお伝えしますので、本人への質問や比較は控えてください」と伝える方法があります。これはA君の家庭で実際に交わされた言葉ではなく、保護者に提案する伝え方の例です。
守るべきなのは、家族の体面に合う進路ではなく、本人が自分で選び、歩き続けられる未来です。
見守りたい父親、不安を抱える母親。どちらかを悪者にしない
A君のお父様は、本人の意思を尊重し、成長を信じて見守りたいと考えていました。一方、お母様は、昼夜逆転や部屋にこもる様子、食事を取ろうとしない場面を見て、以前の深刻な状態へ戻ることを恐れていました。
お父様の信頼も、お母様の危機感も、どちらもお子さんを大切に思う気持ちから出ています。ただ、それぞれが異なる情報を見たまま対応すると、家庭の方針がそろいません。
親コーチングでは、「待つか、厳しくするか」という争いから離れます。何時に起きたか、食事は取れているか、誰と話したか、教室へ何回通えたか。同じ事実を共有し、誰が何を担当するかを決めます。
多忙なお父様にも、例えば週1回の状況確認や支援者との連絡など、継続できる役割を持っていただく。お母様を、毎朝一人で説得し、心配し続ける役割から解放する。こうした役割分担を、ご家庭の事情に合わせて組み立てます。
親が一枚岩になるとは、二人で本人を追い込むことではありません。期待のかけ方、生活の基準、支援者との役割分担をそろえることです。
A君の4月から秋までの支援経過
A君の変化は、一直線ではありませんでした。できるようになったことと、再び難しくなったことを分けて振り返ります。
| 時期 | 状態と支援 | 確認できた変化・残る課題 |
|---|---|---|
| 4月 | 実家を離れた寮生活のなかで、生活と教室へ通う行動を整える。 | 午前中から登校できるようになった。 |
| 5月 | 連休の帰省後、昼夜逆転や部屋にこもる状態が再び見られる。担当の大倉が訪問する予定を伝える。 | A君が自分で移動し、寮へ戻った。その後、寮での対話と学習状況を共有する約束へつなげた。 |
| 6月 | スタッフ宅での食事や交流、教科書の受け渡しなど、学習以外も含めた接点をつくる。 | 月8日の登校。本人から複数科目の教科書を求める言葉があった。生活と通学はなお不安定だった。 |
| 7月 | 自己流の学習や登校について支援者と意見がぶつかる。家族で今後を話し合う。 | A君は自ら家族会議に出席した。意見が違っても、話し合いの場につながっていた。 |
| 8月 | 高卒認定試験に向け、大倉が前夜から会場近くのホテルに待機し、起床確認から会場へ向かう行動を支える。 | 2日間の試験を受験し切った。合格や支援完了とは区別して評価する。 |
| 9月以降 | 難関大学への現役合格や模試をめぐる不安が再び強まる。生活、ゲーム、登校目標、進路の選択肢を見直す。 | 支援継続中。受験できた経験を、日常の学習や社会との接点へつなげることが課題。 |
帰省後に昼夜逆転が戻った。「全部振り出し」ではない
4月には午前中から教室へ通えていたA君でしたが、連休に実家へ帰省すると、再び生活が崩れました。お母様が「また前の状態に戻ってしまうのでは」と不安になるのも無理はありません。
ただし、これを「実家で甘えたから」と説明して終わらせてはいけません。生活時間の変化、家族との距離、進路の話題、支援者との接点の減少など、何が変わったのかを確認する必要があります。
医師家庭という背景を考える際も、「帰省したから重圧が再燃した」と因果関係を決めつけず、本人が実家で何を負担に感じたのかを確かめます。
A君の場合は、担当の大倉が実家を訪問する予定を伝えた後、本人が自分で移動し、寮へ戻りました。帰寮後は大倉が訪問して対話し、夜に取り組んだ勉強の写真を送る約束もつくりました。
見逃してはいけないのは、生活が崩れた事実だけでなく、本人がもう一度戻る行動を取れた事実です。次の帰省では、その行動を支えられるように、戻る予定日、連絡する相手、生活が崩れたときの対応を先に決めます。
帰省後の変化だけを根拠に「ステージ4へ退行した」とは判定しません。期間、外出、会話、食事、安全面などを含めて、改めて現在地を確認します。
「家で3時間勉強している」。意欲と、進んでいる事実を分けて見る
A君は、家で1日3時間勉強しているという趣旨の話をしていました。学ぶ意思があることは大切です。実際に、自分から教科書を求めたこともありました。
一方で、勉強している時間だけでは、どこでつまずき、何が身につき、次に何をすべきかは分かりません。本人の話を疑って監視するのでも、「やっていると言うから大丈夫」と確認をやめるのでもなく、支援者と学習内容を共有する形をつくります。
例えば、本人と相談して1週間分の小さな課題を決め、取り組んだ範囲と分からなかったところを一緒に確認する。必要な教材を受け取るために教室へ行く。自宅学習を否定せず、他者とつながる学習へ変えていく方法です。
A君への支援では、スタッフ宅で食事をし、子どもと触れ合う機会もありました。大学名や点数とは別の会話ができる時間を持つことも、支援の一部でした。
医師家庭の期待を背負っている可能性のある本人に、「もっと高い成果を出そう」とだけ働きかけない。学ぶこと、人と関わること、暮らしを整えることを、一緒に支えます。
試験前夜、担当者がホテルに待機した理由
8月の高卒認定試験で壁となったのは、勉強だけではありませんでした。朝起きられるか。時間どおりに会場へ向かえるか。不安が強まったときに、誰と連絡を取れるか。
そこで、大倉が試験前夜から会場近くのホテルに待機し、起床確認から会場へ向かう行動を支えました。A君は、2日間の試験を受験し切りました。
支援者が答案を書いたわけではありません。試験会場へ向かい、問題に向き合ったのはA君です。
助けを借りたから価値が小さくなるのではありません。助けを使って、自分でやり切った。その事実を、次の挑戦につなげていきます。
難関大学への現役合格だけを物差しにすると、この2日間まで「まだ足りない」で終わってしまいます。私たちは、本人が実際にできた行動を見落としません。ただし、これだけで生活が安定した、引きこもりが解決したとは考えず、その後も支援を続けています。
なお、高卒認定試験は、高校卒業者と同等以上の学力を認定する制度です。合格しても高校卒業の学歴そのものを取得するわけではありません。制度上の意味は、文部科学省の説明で確認してください。
ホテル待機を含む支援は、この事例で必要性を検討して行った対応です。すべての契約に含まれる標準サービスではなく、実施可否、体制、費用を個別に確認します。
難関大への距離より先に、本人と家庭の現在地を確認する
JADAの中核フレームワークであるAutonomy Stage OSでは、本人と家庭の現在地を整理し、必要な支援を選びます。そのなかの評価枠組みが5ステージ判定です。医学的診断ではありません。
正式な区分は、ステージ1「行き渋り・初期サイン」、ステージ2「不登校初期」、ステージ3「引きこもり初期」、ステージ4「長期化・孤立化」、ステージ5「社会との接点喪失」です。ステージ5を「回復・社会的自律」とは位置付けていません。
JADAでは、ステージ3以上を引きこもり段階として捉え、親への助言だけでなく、本人への直接的な支援を検討します。ただし、危険な言動や健康上の問題への対応は、ステージ番号にかかわらず優先します。
5ステージ判定とAutonomy Stage OSを詳しく読む
親へのコーチングと、本人への実動支援を両輪にする
JADA Support Philosophyの核心は、親へのコーチング × 子ども・若者本人への実動支援です。英語では、Parent Coaching × Direct Support for the Young Personと表現します。
ご両親が期待のかけ方を見直すだけでも、本人を寮へ移すだけでも、支援は完結しません。家庭の方針をそろえることと、本人が人に会い、学び、行動する機会をつくることを同時に進めます。
実行の道筋が、次の7 Steps to Autonomyです。A君にすべてのステップが完了しているという意味ではありません。
- 親コーチング&ステージ判定
- アウトリーチ(家庭訪問)
- 生活改善・環境調整(合宿・寮)
- 学び直し支援
- 社会接点づくり(同行)
- 進路・社会参加支援(進学・就職・ボランティア)
- Social Autonomy(社会的自律)
A君では、親への働きかけ、訪問の調整、寮生活、教室との接点、高卒認定受験への伴走を組み合わせてきました。秋以降も進路と生活の再設計を続けており、最終目標への途中にいます。
ゲームは全面禁止か、放任か。二択にしない
秋になると、現役で難関大学へ進みたいという思いや模試への不安が強まり、ゲームに長い時間を使うことが課題になりました。A君の支援では、週3.5日以上の登校を目標に、ゲーム利用の条件と結び付ける調整も行っています。
ただし、これは個別の支援経過であり、全家庭に同じ条件を勧めるものではありません。また、その目標を安定して達成したという報告でもありません。
ご家庭に持ち帰っていただきたいのは、「学校へ行けばゲームを与える」という取引ではなく、睡眠・食事・学習・人との接点を守る生活の約束を、本人と一緒につくることです。
開始・終了時刻、課金、翌日の予定、守れなかった日の見直し方を具体化します。登校できなかった罰として、安心できる活動や相談相手との接点まで一律に奪うことはしません。一方で、昼夜逆転が続くのに、利用を無制限のままにすることもしません。
暴力の危険がある場合、親だけで機器を取り上げたり、突然通信を切ったりして対抗せず、先に安全を確保し、支援者と対応を決めます。
病気と決めつけない。しかし、必要な医療を遠ざけない
不登校や引きこもりの背景を、病名だけで説明して支援を終えることはしません。同時に、重い苦痛を「プライド」「甘え」「ゲームのせい」だけで説明することもできません。
「死にたい」という言葉や自傷は、生活を整えれば大丈夫と判断せず、安全確認と専門家への相談が必要なサインとして扱います。厚生労働省も、本人の苦しさを受け止め、命に関わることを抱え込まず周囲に助けを求めるよう案内しています。
差し迫った自傷・自殺の危険、けがや意識の異常があるときは119番、暴力などで身の安全を守れないときは110番などにつなぎます。安全に付き添える範囲で一人にせず、保護者自身にも危険がある場合は距離を取り、救援を求めてください。
緊急性が明確でない場合も、発言、睡眠、食事、日常生活の変化を医療機関や公的相談窓口に伝え、早めに相談します。受診の要否を支援団体だけで判断したり、通院・服薬の中止を勧めたりはしません。
親が医師であっても、我が子の問題を一人で評価し、支え続ける必要はありません。家族の外の専門家につながることも、大切な支援の選択です。
JADAは、必要な医療と連携しながら、暮らし、学び、人との接点を支えます。医療か生活支援か、どちらか一方を選ぶ話ではありません。
参考:厚生労働省「消えてしまいたい」といわれたら/厚生労働省「まもろうよ こころ」相談窓口
今日から保護者ができる3つの対応
進学先を決める前に、家庭の方針、生活と学校の条件、本人が動ける接点を順に整理します。安全や健康に不安がある場合は、記録がそろうのを待たずに相談してください。
対応1:親の方針をそろえ、進路への期待を整理する
医師になるか、難関大学を目指すかを結論にする前に、父母が現在の困り事を共有します。JADAの親へのコーチングでは、進路への期待と本人が今できる行動を分け、家庭の声かけと役割をそろえます。
今日から保護者ができる To Do:
- 今日、父母で20分話し、起床、食事、外出、会話、心配なことを共有する。
- 「医学部へ」「同級生は」という比較が負担になっていないか、本人が話した言葉を整理する。繰り返し聞き出さない。
- 親族への説明を引き受ける保護者を決め、本人に進路説明を背負わせない。
対応2:生活を記録し、学校と学び方の条件を確認する
中高一貫校では、在籍継続や内部進学の条件、課題や試験への対応を学校に確認します。同時に、起床・食事・外出の実態を整理します。学校名や学力だけで進路を決めず、本人が学び続けられる環境を検討します。
今日から保護者ができる To Do:
- 明日から、分かる範囲で起床、就寝、食事、外出を記録する。監視や採点の材料にしない。
- 学校へ欠席時の学習対応、評価、内部進学・在籍継続の条件を文面で確認する。
- 学校での負担や安全に問題がある場合は、別室利用、外部の学習先、転校も含めて相談する。
- 次の帰省・試験の前に、戻る日、起床確認、移動方法、動けない場合の連絡先を決める。
対応3:第三者との接点をつくり、本人への実動支援につなぐ
保護者の対応を整えることと、本人が実際に動ける支援を両輪にします。JADAでは5ステージ判定で現在地を整理し、必要に応じて家庭訪問、生活改善、学び直し、外出同行などを検討します。本人が相談室へ来られなくても、保護者から相談できます。
今日から保護者ができる To Do:
- 本人が家族以外に話せる人、会える場所を一つ書き出す。
- 短時間の面談、教材の受け渡し、外出同行など、本人が受け入れられる接点を支援者に相談する。
- 本人に目的、相手、場所を事前に伝え、受け入れ方を確認する。
- 保護者だけでも5ステージ判定を受け、相談時に生活記録と父母の考えを伝える。
関連動画|母親が語る、親の接し方と家庭の変化
「【母親が語る】引きこもりの息子を変えた親の接し方とは?|親がやってはいけないこと」を紹介します。家庭の関わり方を振り返るための関連動画です。本文のA君とは別の事例であり、医師家庭・中高一貫校の事例と同一ではありません。
動画を見た後は、父母それぞれが「家庭で変えたい関わり」を一つ書き、対応1の話し合いで共有してください。本人への実動支援が必要かどうかは、動画だけで決めず、現在の状態をもとに相談します。
医師家庭の不登校・引きこもりでよくある質問10問
Q1. 医師家庭であることが、不登校の原因なのでしょうか?
職業だけで原因は決まりません。本人がどのような期待を感じているか、学校や人間関係、心身の状態、生活環境を分けて確認します。JADAでは、保護者が望む進路と本人が受け取っている期待の違いを親コーチングで整理し、本人にも話せる接点をつくります。
今日から保護者ができるTo Do:今夜、父母それぞれが本人に望んでいることを書き出してください。大学名や職業だけになっていないかを確認し、次の面談で支援者に共有します。
Q2. 難関大学や医学部は、諦めさせた方がよいですか?
一方的に諦めさせる必要はありません。ただし、本人の価値と合格先を切り離します。志望は志望として置き、生活、学習の到達点、受験条件、支援体制を確認します。A君でも、浪人や寮のある予備校を含めた選択肢の検討が行われていますが、進路決定や入学済みという意味ではありません。
今日から保護者ができるTo Do:明日、「将来の希望」と「今週できる行動」を別々に書いてください。本人が話せるときに、希望する理由と、いま困っていることを聞きます。
Q3. 父親は見守りたい、母親はすぐ動きたい。どうそろえますか?
まず、どちらが正しいかを決める話し合いをやめ、同じ生活記録を見ます。父母の方針統一は、本人を二人で説得することではありません。JADAが間に入り、生活の基準、連絡担当、本人への働きかけ、次の確認日を決めます。
今日から保護者ができるTo Do:今夜20分だけ、各自が見た事実を共有してください。支援者への連絡担当と、次に話し合う日時を一つずつ決めます。
Q4. 「家で勉強しているから放っておいて」と言われます。
本人の言葉を頭から否定せず、学習時間と学習の到達点を分けて確認します。親が毎日テストするのではなく、本人と合意した方法で支援者に取り組んだ範囲や疑問を共有します。自宅学習を続ける場合も、質問や対話の機会を残します。
今日から保護者ができるTo Do:今日、共有できる教材や課題があるかを本人に提案してください。承諾が得られたら、今週中に支援者と確認する時間を決めます。拒否されたら力ずくで教材を調べず、接点のつくり方から相談します。
Q5. 帰省すると昼夜逆転します。帰省させない方がよいですか?
帰省を一律に禁止する前に、帰省前後で何が変わったのかを確認します。睡眠、家族との会話、進路の話題、支援者との連絡を見直し、滞在期間や戻る際の支援を調整します。悪化を甘えと決めつけず、安全や健康の問題があれば早めに専門家へつなぎます。
今日から保護者ができるTo Do:次の帰省前に、戻る日と連絡担当を本人・保護者・支援者で決めてください。すでに生活が崩れている場合は、今日の食事や安全を確認し、支援者へ具体的な変化を伝えます。
Q6. ゲームを取り上げれば、学校に行くようになりますか?
取り上げれば登校できるとは言えません。JADAでは、無制限の利用も、一律の全面禁止も前提にせず、睡眠、食事、学習、人との接点を守る約束を考えます。登校できなかった罰として、安心できる社会接点まで失わせないことも大切です。
今日から保護者ができるTo Do:父母で対応をそろえたうえで、本人と終了時刻、課金、翌日の予定を話し合ってください。暴力の危険がある場合は、機器を奪い合わず、安全確保と第三者への相談を先に行います。
Q7. 寮に入れば、生活も勉強も立て直せますか?
住む場所を変えるだけで解決するとは限りません。本人の納得、生活を支える担当者、日中の居場所、学習支援、医療との連携、帰省後の対応まで確認します。JADAでは、寮を罰や隔離として使うのではなく、本人が生活と社会との接点を取り戻す選択肢として検討します。
今日から保護者ができるTo Do:見学や契約の前に、朝起きられない日の対応、夜間の連絡先、通う場所、費用、帰省時の支援を確認してください。本人にも、移る目的と受けられる支援を説明します。
Q8. 高卒認定試験や模試の朝、起きられるか心配です。
勉強とは別に、起床から会場到着までの支援を決めます。A君には、担当者が前夜から近くで待機して受験への行動を支えた経過があります。各家庭で同じ対応を行えるわけではないため、必要性、本人の希望、実施体制と費用を個別に確認します。
今日から保護者ができるTo Do:受験予定が決まったら、起床確認の担当、交通手段、間に合わないときの連絡先を一枚にまとめてください。睡眠の問題が続く場合は、受験対策だけにせず医療機関にも相談します。
Q9. 受験の話をすると「死にたい」と言います。どう対応しますか?
まず受験の話を止め、苦しさを否定せず、安全を確認します。発言を脅しや甘えと決めつけません。差し迫った自傷・自殺の危険がある場合は119番などへ連絡し、安全に付き添える範囲で一人にしないでください。暴力で保護者も危険なときは距離を取り110番などに助けを求めます。緊急性が判断できない場合も、医療機関や公的窓口へ早めに相談します。 厚生労働省の対応案内も参照してください。
今日から保護者ができるTo Do:今この状況にある場合は、学習の約束より安全対応を優先してください。発言と生活の変化を相談先へ伝え、家族だけで判断し続けない体制をつくります。
Q10. 本人が相談を拒否していても、親だけで相談できますか?
保護者だけで相談できます。JADAの5ステージ判定や30分無料相談で、家庭の現在地と次の対応を整理します。その先で必要に応じて面談や支援計画の検討へ進み、本人への説明、支援範囲、費用を確認して実動支援につなげます。無料相談を申し込むだけで、訪問や支援契約が自動的に始まるわけではありません。
今日から保護者ができるTo Do:今日、年齢、欠席や外出の状況、生活リズム、父母の考えの違い、いま最も困っていることをメモしてください。本人を説得できていなくても、その情報をもとに保護者から相談します。
成功事例を見るときは、大学名より「その前に何をしたか」を
JADA Success Hubには、生活、学び、人との接点を立て直して再出発した経過を掲載しています。大切なのは、最終的な進学先や就職先だけを比べないことです。
例えば、公開事例のN君は約2年間の引きこもりを経て、ご両親へのコーチングと約7か月・計69回の訪問支援を受けました。本人が通信制高校への進学を選び、通学、アルバイト、留学などを経験し、2025年4月の大学進学へつながりました。
この事例は、医師家庭の傾向を証明するものではありません。親への働きかけと本人への支援を組み合わせ、社会との接点をつくった実践記録として紹介しています。同じ回数や期間で、同じ結果が得られるという意味でもありません。
N君の支援記録と本人・保護者の動画を見る/JADA Success Hubで再出発の経過を読む
A君についても、帰寮した、教科書を求めた、家族会議へ出席した、2日間の試験を受けたという確認できる行動を記録します。まだ難しいことも併記し、その後の支援に生かします。
誰が、親と本人を支えるのか
本事例では、代表理事の杉浦孝宣と、担当の大倉星耶が支援に関わっています。保護者へのコーチングと、本人への訪問・対話・学習や受験への伴走をつなぎ、家庭だけで支える状態を変えていきます。
大倉は中級JPC(自律支援ペアレンツコーチ)として、訪問支援や進路・社会参加支援に携わっています。相談時には、担当者、連絡方法、訪問の範囲、緊急時の対応、費用を確認してください。
杉浦孝宣のプロフィール/大倉星耶のプロフィール/支援スタッフ一覧
医師になるためではなく、自分の人生を歩くために
医師を目指すことも、難関大学に挑戦することも、本人が選ぶ大切な未来になり得ます。その希望を否定する必要はありません。
ただ、「その道に進めない自分には価値がない」という前提は、手放せるように支えたいのです。
A君が受験した2日間は、誰かの期待に追いついたかどうかでは測れません。支援を受けながら、自分で会場へ向かい、試験に取り組んだ。その行動を土台に、暮らし、学び、人との関わりを再びつないでいきます。
JADAのMissionは、「40年・1万人超・9割解決の実績とSDGs(4・8)に基づき、自律して三大義務(教育・勤労・納税)を果たし、社会に貢献する未来を全世界で実現する。」です。
目指すのは、復学や大学合格だけではありません。本人が必要な助けを使いながら、自分で考え、選び、生活し、学び、働き、納税を通じて社会へ貢献していくSocial Autonomy(社会的自律)です。いま学べない、働けないことによって、本人の価値が下がるわけではありません。
親が諦めない限り、JADAも諦めません。それは、親だけで頑張り続けてくださいという意味ではありません。親へのコーチングと本人への実動支援を両輪に、次の一歩を一緒につくるという意味です。
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