不登校で母親の約23%が退職|父親・母親が子どもを支える3つの方法【JADA】
不登校・引きこもりの子どもに、父親と母親はどう関わればいいのでしょうか。
私は40年以上、不登校・高校中退・引きこもりの子どもと、そのご家族の相談に関わってきました。
その現場で強く感じてきたことがあります。
相談に来られる保護者の90%以上が、母親です。
学校との連絡、子どもの生活対応、相談先探し、仕事との両立。気がつくと、母親一人に負担が集中している家庭を、私は何度も見てきました。
一方で、父親は仕事に出ていて、子どもの昼間の生活や、家庭の中で何が起きているのかを十分に把握していないこともあります。
その結果、
- 母親ばかりが子どもの対応をしている
- 父親が不登校の問題に向き合ってくれない
- 夫婦で意見が合わず、対応がバラバラになっている
- 見守っているけれど、昼夜逆転やゲーム中心の生活が続いている
といった問題が起こります。
2026年にNPO法人キーデザインが公表した「不登校離職実態調査2026」では、不登校・行き渋りを経験した子どもの保護者1,234件の回答のうち、就労していた母親1,053人中241人、22.89%が退職を経験したと報告されています。父親は1,079人中8人、0.74%でした。
この調査はGoogleフォームによるオンラインアンケートで、LINE相談窓口やSNS等を通じて回答を募集したものであり、無作為抽出ではありません。したがって、「全国の不登校家庭の母親の23%が退職する」と一般化することはできません。
それでも、母親の仕事や生活に不登校対応の負担が集中しやすい現実を考えるうえで、重要な調査だと私は考えます。
ABEMA TIMESも2026年10月5日、母親の「不登校退職」と夫婦間で偏るケア負担を取り上げています。
ただし、私はこの記事で父親を批判したいわけではありません。
母親に「もっと頑張ってください」と言いたいわけでもありません。
大切なのは、不登校を母親一人の問題にせず、父親と母親が子どもの将来について同じ方向を向き、それぞれが具体的な役割を持つことです。
父親と母親が同じことをする必要はありません。仕事の状況、本人との関係、家庭環境に応じて役割を分ければよいのです。
しかし、子どもを今後どうしていくのかという方針だけは、夫婦でそろえておく必要があります。
JADAでは、親へのコーチングだけでも、本人への支援だけでもなく、Parent Coaching × Direct Support for the Young Person、つまり「親へのコーチング × 子ども・若者本人への実動支援」を両輪として支援しています。
この記事では、私自身の40年以上の支援現場での経験と、2026年の不登校離職調査、そして今回の動画をもとに、父親と母親が何をそろえ、何を分担し、家庭だけで難しい場合にどのように支援へつなげるのかを具体的に解説します。
目標は、ただ学校へ戻すことではありません。
本人が生活を整え、人とつながり、学び、働き、社会の中で自分の人生を歩んでいくSocial Autonomy(社会的自律)です。
動画|母親の約23%が退職、夫婦でどう支えるか
- 動画タイトル
- 【不登校】母親の約23%が退職!夫婦で子どもを支えるために必要な3つのこと
- 公開日時
- 出演
- 杉浦孝宣(一般社団法人未来自律支援機構 JADA 代表理事)
- 動画URL
- https://youtu.be/7kAm0E8jzR0
動画では、不登校対応が母親に集中しやすい理由、父親が具体的に何を担うのか、「見守る」と「放置」の違い、昼夜逆転やゲーム中心の生活、夫婦で意見が違う場合の考え方、相談のタイミング、そして子どもの「現在地」を把握する重要性を解説しています。
動画の目次
- 00:00 不登校の子を持つ母親「5人に1人が退職」
- 01:07 不登校の相談は9割以上が母親
- 01:51 なぜ母親に負担が集中するのか?
- 02:53 父親・母親が共通してやるべきこと
- 03:16 「見守る」と「放置」は違う
- 04:43 生活リズムをどう整える?
- 05:12 不登校が夫婦関係・仕事にも影響
- 06:53 父親が本気で関わると状況が変わる
- 07:48 父親にまずやってほしいこと
- 08:28 どのタイミングで相談すべき?
- 10:47 夫婦で意見が違うときはどうする?
- 11:35 「子どもの幸せ」から考える
- 13:12 まず子どもの「現在地」を知る
2026年「不登校離職実態調査」から見えること
NPO法人キーデザインの「不登校離職実態調査2026」は、全国46都道府県から1,234件の回答を集めた調査です。
| 項目 | 調査結果 |
|---|---|
| 回答数 | 1,234件 |
| 就労していた母親 | 1,053人 |
| 退職を経験した母親 | 241人(22.89%) |
| 就労していた父親 | 1,079人 |
| 退職を経験した父親 | 8人(0.74%) |
母親と父親には大きな差があります。しかし、この数字から「父親が悪い」と結論づけるのではなく、家庭内で誰が不登校対応の実務を担っているのかを見る必要があります。
学校との連絡、欠席連絡、担任との面談、本人の食事、生活状況の確認、外出できるかどうかの判断、相談先探し、通院や支援機関への同行などが一人に集中すれば、仕事との両立は難しくなります。
また、同調査では、仕事を続けながら不登校に対応する保護者の多くが、両立に大きな困難を感じていることも報告されています。
ABEMA TIMES「5人に1人の母親が“不登校退職”」を見る
この調査はGoogleフォームによるオンラインアンケートで、LINE相談窓口やSNS等を通じて回答を募集したものであり、無作為抽出ではありません。全国すべての不登校家庭の退職率を示すものではありません。
父親と母親がそろえる3つの対応
1.「学校へ行かせるか」ではなく、子どもの将来の目標を共有する
夫婦の話し合いが「明日、学校へ行かせるか」「今日は休ませるか」だけになると、短期的な対立が続きます。
まず、半年後、1年後に本人にどのような生活を送ってほしいのかを共有してください。
朝起きられるようになってほしいのか。食事を家族と取れるようになってほしいのか。外出できるようになってほしいのか。学び直しを始めてほしいのか。家族以外の人と関われるようになってほしいのか。
今日からできること:父母だけで30分時間を取り、「生活」「学習」「外出」「家族との会話」「社会との接点」について、現在と半年後の目標を書き出してください。
2.母親だけに負担を集中させず、具体的な役割を分担する
「父親も協力する」という言葉だけでは、母親の負担は減りません。
学校への連絡、相談先の調査、保護者面談への参加、本人の生活状況の確認、週末の外出、進路情報の収集など、具体的に誰が何をするのかを決めます。
役割は性別で固定する必要はありません。仕事の時間、本人との関係、得意不得意に応じて分担します。
今日からできること:母親が現在担っている実務を書き出し、「何が一番負担か」「何を代わってほしいか」を確認し、今週からもう一方の保護者が引き受ける役割を1つ決めてください。
3.本人と家庭の「現在地」を把握し、必要な支援へ進む
同じ「不登校」でも、学校を休み始めた子どもと、何か月も部屋から出ず、昼夜逆転し、入浴や歯磨きもできず、家族との会話まで失われている子どもでは、必要な支援が違います。
「本人がその気になるまで待つ」という一つの方針を、すべての状態に当てはめることはできません。
今日からできること:7日間、起床、就寝、食事、入浴、歯磨き、外出、スマートフォン・ゲーム、親子の会話、学習、家族以外との接点を記録してください。責めるためではなく、必要な支援を判断するための記録です。
そのうえで、JADAの5ステージ判定を使い、本人と家庭の現在地を整理します。
父親と母親が今日からできる5つの行動
- 父母だけで30分話す。
学校へ行く・行かないだけではなく、半年後・1年後の生活を共有します。 - 母親だけに負担を集中させない。
母親が抱えている実務を見える化し、今週から分担する役割を決めます。 - 7日間、生活を記録する。
起床、食事、入浴、外出、ゲーム、会話、学習などを事実として記録します。 - 家庭の基準をそろえる。
生活時間、スマートフォン、ゲーム、金銭、食事などについて父母の対応をそろえます。ただし、突然の没収や一方的な制限は、本人の状態や安全性を確認せずに行わないでください。 - 親だけで解決しようとしない。
本人が相談を拒否していても、保護者から相談を始めることはできます。必要に応じて本人への家庭訪問など実動支援へつなげます。
JADAの支援哲学|親へのコーチング × 本人への実動支援
JADA Support Philosophyの核心は、Parent Coaching × Direct Support for the Young Personです。
親だけが変われば解決するとは考えません。
本人だけを支援すれば解決するとも考えません。
親へのコーチングでは、父母の方針、役割分担、生活環境、本人への関わり方を整理します。
本人への実動支援では、状態に応じて、家庭訪問、生活改善・環境調整、合宿・寮、学び直し、外出・社会接点づくり、進学・アルバイト・就職への同行支援などを組み合わせます。
JADA Support Philosophy|親へのコーチング × 本人への実動支援
実際の支援事例|親へのコーチングだけで終わらせない
CASE21|父親への毎月のコーチング × 本人への家庭訪問・通学・進路支援
K君は難関校で不登校となり、家庭内で引きこもる状態になりました。その後、高卒支援会への転学後も通学が安定しない時期がありました。
本人への実動支援はJPC大倉星耶が担当し、家庭訪問、通学支援、進路支援を行いました。
同時に、私は父親と毎月面談し、家庭での接し方や進路への向き合い方をコーチングしました。
その後、K君は高校を卒業し、LEC東京リーガルマインドへ正社員として就職しました。
これは「親を変えるだけ」「本人へ働きかけるだけ」ではなく、父親へのコーチングと本人への実動支援を組み合わせた事例です。
CASE06|16か月の引きこもりから農業大学校・JA就職へ
佐藤渉太君は、高校中退後に1年4か月、16か月の引きこもりを経験しました。
すぐに就職を求めたのではありません。外出、人との接点、アルバイトへの挑戦と失敗、農業体験などを経て、農業大学校へ進学し、JAへ就職しました。
JADAの公開記録では、2年間の継続勤務が報告されています。
このほかにも、JADAでは不登校・高校中退・引きこもりから再出発した22の事例を公開しています。
個別の成功事例は、すべての家庭に同じ結果が生じることを保証するものではありません。本人の年齢、状態、家庭環境、希望によって必要な支援は異なります。
まず「今どこにいるのか」を知る|JADAの5ステージ判定
JADAの5ステージ判定は、Autonomy Stage OSの内部に位置づけられたAssessment Frameworkです。医学的な診断ではありません。
目的は、子どもに番号をつけることではなく、
- 現在どの程度、不登校・引きこもりが深刻化しているのか
- 今は家庭の対応を整える段階なのか
- 第三者による本人への実動支援を検討する段階なのか
- 生活改善、学び直し、社会との接点のうち、何を優先するのか
を整理し、「親が今日から何をすべきか」を明確にすることです。
5ステージ判定の後は、7 Steps to Autonomyへ
現在地を把握しただけでは、状況は変わりません。
JADAでは、必要に応じて次の7つの支援ステップへ進みます。
- STEP 1|親コーチング&ステージ判定
- STEP 2|アウトリーチ(家庭訪問)
- STEP 3|生活改善・環境調整(合宿・寮)
- STEP 4|学び直し支援
- STEP 5|社会接点づくり(同行)
- STEP 6|進路・社会参加支援(進学・就職・アルバイト・ボランティア等)
- STEP 7|Social Autonomy(社会的自律)
すべての家庭が同じ順番・同じ速度で進むわけではありません。本人と家庭の現在地を確認し、必要な支援を組み合わせます。
FAQ|父親・母親が今日からできること
Q1.父親が不登校の問題に関心を示さない場合、母親は何をすればよいですか?
「もっと関心を持って」と責めるだけでは、夫婦の対立が強くなる場合があります。まず本人の生活状況を具体的に共有し、父親に担ってほしい役割を一つ明確にしてください。
今日からできること:起床、食事、外出、親子の会話などを1枚に整理し、「今週は学校との連絡を担当してほしい」など、具体的に依頼してください。
夫婦だけで方針がまとまらない場合は、保護者だけで相談することもできます。
Q2.夫婦で「学校へ行かせる」「休ませる」の意見が違う場合はどうすればよいですか?
まず「明日学校へ行くか」という議論から離れてください。半年後・1年後の本人の生活をどうしたいのかという共通目標を作ります。
今日からできること:父母だけで30分話し、「生活」「学習」「外出」「人との接点」の4項目について、共通目標を書いてください。
目標を決めた後は、7つの支援ステップのどこから始める必要があるかを確認します。
Q3.母親が仕事を辞める前に確認すべきことは何ですか?
退職しか選択肢がないと決める前に、母親が現在担っている対応を分解してください。学校との連絡、日中の本人対応、相談先探し、面談、通院などを一人で抱えていないかを確認します。
今日からできること:母親が平日に行っている対応を書き出し、「父親が担えること」「学校へ相談できること」「支援者へ任せられること」「勤務先へ相談できること」に分けてください。
家庭だけで整理できない場合は、親へのコーチング × 本人への実動支援という考え方も確認してください。
Q4.子どもが父親とは話さず、母親とだけ話す場合はどう対応しますか?
父親が無理に会話を増やすことだけが関わりではありません。学校連絡、相談先の調査、面談への参加、週末の外出など、母親だけに負担を集中させない役割を持つことができます。
今日からできること:父親は本人への説教ではなく、家庭の実務を一つ引き受けてください。
父親へのコーチングと本人への実動支援を組み合わせた具体例は、Success Hub CASE21で確認できます。
Q5.昼夜逆転が続いている場合、父親と母親は何から始めますか?
いきなり完全な朝型へ戻そうとする前に、現在の生活を把握してください。
今日からできること:7日間、起床、就寝、食事、入浴、日中活動、スマホ・ゲーム、外出を記録し、父母で同じ事実を共有してください。
その記録をもとに、LINE無料「5ステージ判定」で現在地を整理することができます。
Q6.スマートフォンやゲームのルールは、夫婦でどう決めればよいですか?
一方の親が制限し、もう一方が例外を認める状態を続けないことが重要です。ただし、突然の没収や一方的な制限は、激しい対立につながることがあります。
今日からできること:利用時間、夜間利用、課金、端末代、食事中の利用について、まず父母の考えをそろえてください。
生活環境の調整は、7 Steps to AutonomyのSTEP 3にもつながります。
Q7.見守っていても半年以上変化がない場合、次に何をすべきですか?
「見守ること」と「何もしないこと」は同じではありません。昼夜逆転、外出減少、入浴低下、会話の減少、学習停止、社会との接点消失が続いている場合は、現在地を再評価します。
今日からできること:半年前と現在を、起床、外出、会話、学習、入浴、家族以外との接点で比較し、悪化・停滞している項目を書き出してください。
5ステージ判定で「まだ家庭中心で整える段階か」「本人への実動支援を検討する段階か」を確認します。
Q8.子どもが家庭訪問や相談を拒否していても、保護者だけで相談できますか?
はい。本人が相談へ来られない段階でも、保護者から状況整理を始められます。本人にいつ、誰が、どのように関わるかを準備することも支援の一部です。
今日からできること:本人の生活状況、困っていること、これまで試した対応を整理し、保護者面談から始めてください。
Q9.父親が仕事で忙しい場合、どのように支援へ参加できますか?
毎日長時間本人と接することだけが参加ではありません。定期面談、学校や支援先への連絡、週末の外出、進路情報の収集など、時間に合わせた役割を持てます。
今日からできること:週に確保できる時間を明確にし、その時間で必ず担当する役割を一つ決めてください。
父親の継続的な関与を含む事例は、Success Hubの22事例から確認できます。
Q10.学校へ戻れるようになった後、親は何を目標にすべきですか?
復学だけを支援のゴールにしません。生活、学習、人間関係、進路、仕事、困ったときに助けを求める力まで見ていきます。
今日からできること:「学校へ行けた」以外に、本人が自分でできるようになったことを一つ記録し、次の目標を本人と相談してください。
次の支援段階は、7 Steps to AutonomyとSuccess Hub 22事例を参考に考えることができます。
「うちの子は今どこにいるのか分からない」という方へ
同じ不登校でも、必要な支援は本人と家庭の状態によって異なります。
JADAでは、次の順番で現在地と次の一手を整理します。
1.LINEで無料5ステージ判定
↓
2.本人と家庭の現在地を把握
↓
3.7 Steps to Autonomyから必要な支援を検討
↓
4.Success Hub 22事例で実際の支援経過を確認
↓
5.家庭だけで難しい場合は保護者相談へ
学校復帰だけをゴールにしない
中学校へ戻れた。通信制高校へ進めた。高校を卒業できた。大学へ進学できた。就職できた。
どれも大切な一歩です。
しかし、JADAが見ているのはその先です。
本人が生活を整え、人とつながり、学び、働き、自分の人生を自分で歩める状態へ進んでいるか。
教育、勤労、納税、社会貢献へとつながっていくか。
JADAでは、この状態をSocial Autonomy(社会的自律)と呼んでいます。
父親と母親が同じ役割をする必要はありません。
しかし、子どもの将来に向けて、同じ方針で動くことはできます。
そして、家庭だけで難しい段階になったときは、親だけで抱え込む必要もありません。
親が諦めない限り、JADAも諦めません。
出典・この記事の範囲
- NPO法人キーデザイン「不登校離職実態調査2026」。全国46都道府県、回答1,234件。就労していた母親1,053人中241人(22.89%)、父親1,079人中8人(0.74%)の退職経験等を参照。
- ABEMA TIMES(2026年10月5日)。母親の「不登校退職」と夫婦間で偏るケア負担についての報道。
- 【不登校】母親の約23%が退職!夫婦で子どもを支えるために必要な3つのこと。杉浦孝宣による父母の役割、見守りと放置、生活リズム、夫婦の方針統一、相談のタイミング、現在地把握についての解説。
「相談の90%以上が母親」という記述は、杉浦孝宣が40年以上の支援現場で得てきた経験に基づく説明であり、JADAの2026年最新相談データを再集計した統計値ではありません。キーデザイン調査はオンラインで回答を募集した調査であり、無作為抽出ではありません。JADAの成功事例も、すべての家庭に同じ結果を保証するものではありません。
お子さんの未来は、
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