家庭内暴力で児童相談所へ|引きこもり7か月の18歳が海外で一人暮らし・アルバイトへ進むまで
「朝、起こそうとすると激しく怒る」
「家で何度も暴れ、警察を呼ぶ事態になった」
「将来の話をしようとしても、ほとんど話し合えない」
18歳、高校3年生相当のR・K君のご家庭では、約7か月にわたる引きこもりと家庭内暴力に悩んでいました。
初回面談後には、母親への暴力、警察官とのもみ合い、児童相談所への移送にまで発展しました。
しかし、父親と母親への具体的なコーチング、私・大倉星耶による家庭訪問、国内での約2週間の一人暮らしを経て、R・K君は父親が近くに住む海外へ生活環境を移しました。
現在は海外で一人暮らしをしながら、アルバイトを継続しています。保護者によれば、家庭内暴力はなくなり、母親ともSNSなどで普通に会話できるようになりました。
この事例は、「海外へ行けば引きこもりが解決する」という話ではありません。
本人を取り巻く家庭環境を整え、父母の役割を明確にし、本人が自分で生活し、働くところまで具体的に動かした支援記録です。
私は元引きこもり当事者として、現在は一般社団法人 未来自律支援機構(JADA)で、家庭訪問、生活改善、同行、進路・就労支援などを担当しています。
元引きこもり当事者として本人支援に関わる大倉星耶のプロフィールを見る
R・K君の支援前と現在
| 項目 | 支援前 | 現在 |
|---|---|---|
| 生活 | 夜の不安で眠れず、朝起きられない | 海外で一人暮らし |
| 社会接点 | 学校・友人との交流がほぼない | アルバイトを継続 |
| 家族関係 | 母親への依存と反発、家庭内暴力 | SNSなどで普通に会話 |
| 本人の行動 | ゲーム・スマートフォン中心 | 自宅を離れ、生活と仕事を経験 |
| 支援段階 | 相談時Stage 3 | STEP 5からSTEP 6へ向かう途中 |
この事例でいう成功は、進学先や就職先が確定したことではありません。
家庭内暴力がなくなり、自宅中心だった本人が家を離れ、一人で生活し、働きながら社会との接点を持ち始めたことです。
昼夜逆転、ゲーム中心、外出減少、家庭内暴力などが重なっている場合は、単なる不登校ではなく、引きこもり段階へ進んでいる可能性があります。
支援前|海外インターンから帰国後、動けなくなった
R・K君は、不登校になる前に学校が設定した約1か月の海外インターンへ参加していました。
しかし、帰国後、張り詰めていた糸が切れたように抑うつ的な状態となり、学校や社会との接点を失っていきました。
相談時点では、高校3年生相当の18歳。不登校・引きこもりの状態は約7か月続いていました。
食事や入浴など、基礎的な生活行動はある程度できていました。家族との会話も完全に断絶していたわけではありません。
一方で、次の問題が重なっていました。
- 夜になると不安が強くなり、眠れない
- 朝起きられず、無理に起こされると激昂する
- ゲームやスマートフォンの使用頻度が高い
- 部屋を十分に清掃できない
- 学校関係者との交流をほぼ断っている
- 家庭外の居場所や友人関係がほとんどない
- 将来について話すことが難しい
- 食事や購入物への要求が強くなっている
- 思いどおりにならないと家庭内で暴れる
本人は母親に強く関わりを求める一方で、母親の対応が自分の思いどおりにならないと、怒りを爆発させる状態でした。
「日本が嫌い」「日本人に会いたくない」といった発言も出ていました。
相談時はStage 3|会話ができても引きこもりは進行する
R・K君は、家族と会話ができ、食事や入浴もできていました。
そのため、外から見ると「まだ深刻な引きこもりではない」と思われるかもしれません。
しかし、学校や友人との接点がほぼなくなり、自宅中心の生活が約7か月継続。夜間の不安、起床困難、ゲーム・スマートフォンへの強い依存、将来の話への拒否、家庭内暴力も重なっていました。
現在の5ステージ判定で整理すると、相談時はStage 3です。
家族との会話があるかどうかだけではなく、家庭外との接点、生活リズム、本人の行動範囲、暴言・暴力、将来について話せる状態かを総合的に見る必要があります。
家庭の課題|母親が一人で対応を背負っていた
父親は仕事のため海外で生活していました。
父親にも協力する意思はありましたが、家庭内で起きている問題や、母親の精神的な疲労について、十分に実感できていない部分がありました。
母親は「このままではいけない」という強い危機感を持っていました。
一方、本人を心配するあまり、朝になると何度も起こすなど、本人への働きかけが増えていました。
母親が声をかける。
本人が怒る。
母親がさらに心配して関わる。
本人がさらに激しく反発する。
この悪循環が続いていました。
父母の間でも、次の方針が十分に一致していませんでした。
- 暴力に対してどこまで毅然と対応するか
- 本人の要求にどこまで応じるか
- 金銭をどのように管理するか
- 本人が動き出すまで待つのか
- 親がどこまで積極的に関与するのか
- 本人が自分で行うべき生活行動は何か
本人のつらさを理解することと、暴力や過度な要求を認めることが混同されていたのです。
初回面談後、警察とのもみ合いから児童相談所へ
初回面談後、父親が仕事のため海外へ戻るタイミングで、R・K君は家庭内で激しく暴れました。
母親への暴力があり、母親は一時的に避難しようとしました。
すると本人が自ら警察へ通報。その後、警察官との言い争いともみ合いに発展し、児童相談所へ移送されました。
児童相談所への移送後、暴力などの問題行動は明らかに減りました。
ただし、日本や日本人に対する悪感情はさらに強くなり、母親にも強い怒りを向けるようになりました。
ここで本人への説得や注意を増やしても、親子の対立が深まる可能性がありました。
そこで私は、本人への働きかけを増やす前に、父母の役割と家庭内の境界線を整理しました。
Parent Coaching|父親には母親の安全を最優先にしてもらった
家庭内暴力が起きたとき、最優先すべきことは家族の安全です。
この場面で父親が、「本人もつらいのだから、子どもの気持ちも分かる」と双方の間に立とうとすると、暴力を受けている母親が孤立してしまいます。
私は父親に、次の対応をお願いしました。
- 母親の身の安全を最優先にする
- 暴力的な行為は認めない
- 金銭面と生活上の基準を明確にする
- 母親の側に立ち、母親を一人にしない
- 本人への対応を母親だけに任せない
- 海外にいても家庭の状況を細かく把握する
- 父親自身が本人へ積極的に関わる
本人の気持ちを理解することは必要です。
しかし、本人の気持ちを理解することと、暴力を容認することは別です。
「つらい気持ちは理解する。しかし、暴力は認めない」という境界線を、父親が明確に示す必要がありました。
母親には「心配でも距離を取る」よう伝えた
母親には、本人への働きかけを減らし、適切な距離を取ることを伝えました。
例えば、「家庭のルールだから」という理由で、本人が起きるまで何度も声をかけ続けることをやめてもらいました。
基本的には、本人から話しかけてきたときに対応する形へ切り替えました。
これは、本人を放置することではありません。
母親が本人の生活へ先回りして介入する範囲を減らし、本人が自分で行う行動を増やすためです。
一方で、父親との細かな連絡は続けてもらいました。
母親が一人で判断し、一人で本人の怒りを受け止める状態に戻さないことが重要だったからです。
Direct Support|「会いたくない」と拒否した本人への家庭訪問
私はR・K君の自宅を訪問しました。
本人は、私を児童相談所の関係者だと思い、「会いたくない」と拒みました。
そこで、面会する時間を短く限定しました。また、父親から本人へ、下りてきて話をするよう伝えてもらいました。
本人が拒否したからといって、すぐに帰ることはしませんでした。
もちろん、力ずくで部屋から連れ出したわけでもありません。
「短い時間でよい。しかし、必要な話はする」という姿勢を示し、本人が応じられる条件をつくりました。
最終的に、R・K君との面会につながりました。
感情的に叱らず、事実と選択肢を伝えた
面会では、家庭内で何が起きたのかを事実に基づいて確認しました。
私は本人の人格や感情を否定せず、家庭内暴力などの「してはいけないこと」を、支援の専門家として明確に伝えました。
同時に、次のことも本人へ伝えました。
- 現在の生活を続けた場合に起こり得ること
- 家族との関係をこれ以上悪化させないために必要なこと
- 今後、本人が選べる生活環境
- 自分の力を試すためにできること
この事例では、最初から深い信頼関係をつくることだけを目標にはしませんでした。
本人は日本や日本人に強い悪感情を持つ一方、語学力があり、海外で生活する可能性を持っていました。
そのため、本人を日本国内の支援へつなぎ止めるより、本人が現実に社会とつながれる環境を探す方が重要だと判断しました。
「ECサイトで稼ぐ」という言葉を否定しなかった
面会時、R・K君は、自分で作っていたECサイトについて「これで稼ぐ」と話しました。
大人から見れば、すぐに生活できる収入を得られるのか、疑問を感じる発言だったかもしれません。
しかし、私は否定しませんでした。
保護者にも、可能な範囲で本人に実際に挑戦させるよう助言しました。
成功すれば、本人にとって大きな成功体験になります。
うまくいかなかった場合も、商品を売り、収入を得ることの難しさや、自分に足りないものを経験から知ることができます。
どちらの結果になっても、親から結論だけを与えられるより、本人が実際に行動した経験が残ります。
最初から「普通のアルバイトをしなさい」と迫るより、本人が関心を持っている行動から社会との接点をつくる方が現実的だと考えました。
Turning Point|国内で約2週間の一人暮らしを実施
次に提案したのが、家族が所有する国内の住居を使った約2週間の一人暮らしです。
いきなり海外で一人暮らしを始めるのではなく、必要なときには母親が支援できる国内で、本人がどこまで生活できるかを確認しました。
この一人暮らしで分かった強みは、「本人が自分で納得したことには取り組める」ということです。
一方で、次の課題も見えました。
- 部屋の清掃を十分に継続できない
- 生活環境を自分で整える力がまだ不足している
- 完全に一人で生活するには一部の支援が必要
本人自身も、「まだ完全に一人で生活できるわけではない」と認識できました。
この2週間は、一人暮らしの成功・失敗を判定する期間ではありません。
本人の現在の生活能力と、今後必要になる支援を確認するAssessmentとして実施しました。
環境調整|父親が近くにいる海外での生活へ
国内での一人暮らしを経て、次の生活環境として選んだのが、父親が近くに住む海外でした。
本人も、海外で生活することには前向きでした。
海外ならどこでもよいという判断ではありません。
本人が日本での生活や人間関係に強い抵抗を持っていたこと、語学力があったこと、近くに父親がいて必要な場合には支援できることを総合して決めました。
家庭内で母親と密着し、依存と反発を繰り返す環境から離れることにも意味がありました。
Today|海外で一人暮らしをしながらアルバイトを継続
現在、R・K君は、父親が近くに住む海外で一人暮らしをしています。
父親を通じて始めたアルバイトも継続しています。
保護者からは、家庭内暴力はなくなったと報告を受けています。
母親とは離れて生活していますが、SNSなどを通じて普通に会話できるようになりました。
母親との物理的な距離ができたことは、親子関係の断絶ではありません。
近すぎた関係を調整し、お互いが落ち着いて関われる距離をつくったと評価しています。
Before・Action・After
Before|支援前
- 約7か月にわたり学校や社会との接点を失う
- 夜の不安で眠れず、朝起こされると激昂する
- ゲーム・スマートフォン中心の生活
- 家庭外の居場所や友人関係がほぼない
- 母親への依存と激しい反発
- 家庭内暴力
- 警察官とのもみ合いから児童相談所へ移送
- 将来について話すことが難しい
Action|行った支援
- 父親に母親の安全を最優先にするよう伝える
- 暴力、金銭、生活上の境界線を明確にする
- 母親へ、本人との適切な距離の取り方を伝える
- 父母間の細かな情報共有を継続する
- 家庭訪問で本人と直接面会する
- 暴力などの禁止事項を事実に基づいて伝える
- 本人のECサイトへの挑戦を否定しない
- 国内で約2週間の一人暮らしを実施する
- 父親が近くに住む海外へ生活環境を移す
- アルバイトによる社会接点をつくる
After|現在
- 家庭内暴力がなくなる
- 自宅中心の生活から離れる
- 国内で一人暮らしを経験する
- 本人が自分の生活能力と課題を認識する
- 海外で一人暮らしを始める
- アルバイトを継続する
- 母親とSNSなどで普通に会話する
- 家庭外に社会との接点が生まれる
JADA Support Philosophy|親へのコーチング × 本人への実動支援
R・K君の変化は、本人だけに働きかけた結果ではありません。
母親だけが対応を変えた結果でもありません。
この事例では、JADA Support Philosophyである、次の両輪による支援を行いました。
Parent Coaching × Direct Support for the Young Person
親へのコーチング × 子ども・若者本人への実動支援
Parent Coaching
- 父親と母親の役割を明確にする
- 暴力に対する家庭の境界線をそろえる
- 母親の安全を守る
- 金銭管理と生活基準を整理する
- 母親が先回りする範囲を減らす
- 父母間の情報共有を継続する
Direct Support for the Young Person
- 家庭訪問で本人へ直接関わる
- 事実と今後の選択肢を伝える
- 本人が関心を持つECサイトへ挑戦させる
- 国内で一人暮らしを試す
- 生活能力と課題を本人と確認する
- 海外生活とアルバイトへつなげる
親だけを変えようとするのでも、本人のやる気が出るまで待ち続けるのでもありません。
家庭と本人の双方へ具体的に働きかけ、実際の行動が始まるところまで支援したことが、この事例の重要な点です。
JADA Support Philosophyと7 Steps to Autonomyを見る
現在の7 Steps to Autonomyで振り返る
この支援を、40年以上の実践を現在体系化した7 Steps to Autonomyで整理すると、次のようになります。
- STEP 1 親コーチング&ステージ判定:相談時をStage 3と判断し、父母の役割と家庭の方針を整理
- STEP 2 アウトリーチ:大倉が家庭訪問し、本人へ禁止事項と今後の選択肢を説明
- STEP 3 生活改善・環境調整:国内で一人暮らしを試し、その後、父親が近くに住む海外へ移動
- STEP 4 学び直し支援:具体的な学び直しや進学は今後の課題
- STEP 5 社会接点づくり:一人暮らしとアルバイトを通じて家庭外との接点をつくる
- STEP 6 進路・社会参加支援:アルバイトを継続しながら、中長期的な進路を考える段階
- STEP 7 Social Autonomy:安定した生活、継続的な学び・仕事、自分で選ぶ人生へ進むことが今後の目標
現在はSTEP 5からSTEP 6へ向かう途中です。
なぜ、この事例を成功事例として残すのか
R・K君は、大学進学や正社員就職を達成したわけではありません。
しかし、次の行動が始まっています。
- 家庭内暴力を止める
- 引きこもりがちだった自宅を離れる
- 一人暮らしを経験する
- 自分の生活能力と課題を認識する
- 家庭外の人と関わる
- アルバイトを継続する
- 母親と落ち着いて会話する
JADAでは、学校へ戻ったか、大学へ合格したか、正社員になったかだけで解決を判断しません。
本人が生活を整え、自分で家から出て、人と関わり、働き始めたことも、不登校・引きこもり解決の重要なEvidenceです。
ただし、不登校・引きこもりの解決と、Social Autonomyの達成は分けて考えます。
まだSocial Autonomyを達成した段階ではない
R・K君は、まだ自分の人生の目標や、その先の具体的な進路を決め切れていません。
今後は、次の課題へ進む必要があります。
- 安定した生活を継続する
- 清掃などの生活管理能力を高める
- アルバイトを継続し、働く責任を経験する
- ECサイトなどの関心を現実の仕事や学びにつなげる
- 進学、就職、起業などの選択肢を比較する
- 自分で進路を選び、その結果に責任を持つ
JADAの最終目標は、本人を家から出すことだけではありません。
本人が自分で考え、選び、行動し、教育・勤労・納税を通じて社会へ参加するSocial Autonomyです。
不登校・引きこもりから再出発したJADAの成功事例22選を見る
元引きこもりの支援員・大倉星耶が語る本人支援
R・K君の支援を担当した大倉星耶自身も、元引きこもり当事者です。
動画では、現代の引きこもりが深刻化しやすい背景と、親が避けるべき対応について、本人支援の現場から説明しています。
- 動画タイトル:【元引きこもりの支援員が語る】「現代」引きこもりが深刻化になりやすい理由|親が絶対にやってはいけないこと
- 出演:JADA支援スタッフ・大倉星耶
- 公開日:2026年6月7日
- 再生時間:12分34秒
大倉星耶が答える|家庭内暴力と引きこもり支援のFAQ10問
1.本人が家庭訪問を拒否したら、すぐに帰った方がよいですか?
本人が拒否したからといって、毎回すぐに引き下がればよいとは限りません。
R・K君の場合は、面会時間を短く限定し、父親からも話をしてもらいました。強引に連れ出すのではなく、本人が応じられる条件をつくりながら、「短時間でも必要な話はする」という姿勢を示しました。
2.家庭内暴力について、本人へどのように伝えますか?
感情的に叱ったり、本人の人格を否定したりせず、起きたことを事実に基づいて確認します。
本人のつらさを理解することと、暴力を認めることは別です。暴力などの「してはいけないこと」は、支援者として明確に伝えます。
3.なぜ、最初から信頼関係づくりだけを優先しなかったのですか?
本人には日本や日本人への強い悪感情がある一方、語学力と海外生活の可能性がありました。
日本での支援者との関係にこだわるより、本人が社会とつながれる現実的な選択肢を示す方がよいと判断しました。信頼関係は重要ですが、信頼関係をつくること自体が最終目的ではありません。
4.家庭内暴力がある場合、父親には何をしてもらいますか?
最初に考えてほしいのは、母親と家族の身の安全です。
父親が曖昧な立場を取ると、母親が一人で暴力を受け止めることになります。本人の気持ちを理解しながらも、「暴力は認めない」という立場を明確にする必要があります。
5.母親が適切な距離を取るとは、具体的にどういうことですか?
例えば、本人が起きるまで何度も声をかけ続けることをやめ、基本的には本人から話しかけてきたときに対応します。
一方で、父親との情報共有は続けます。距離を取ることは、本人を放置したり、母親が一人で問題を抱えたりすることではありません。
6.「ECサイトで稼ぐ」という発言を、なぜ否定しなかったのですか?
成功すれば、本人の成功体験になります。
うまくいかなかった場合も、稼ぐ難しさや自分の課題を経験から知ることができます。どちらの結果になっても、本人が実際に動いた経験が残るためです。
7.約2週間の一人暮らしで何が分かりましたか?
自分で納得して受け入れたことには取り組めるという強みが分かりました。
一方、部屋の清掃など、完全に一人で生活を続けるには、まだ身につけるべき力があることも確認できました。
8.なぜ、最初から海外へ移さなかったのですか?
家族から離れたときに、本人がどこまで一人で生活できるか分からなかったためです。
まず必要な場合に家族が支援できる国内で試し、本人の生活能力と必要な支援範囲を確認してから、海外生活へ進みました。
9.家庭内暴力がなくなり、アルバイトを始めても完全解決ではないのですか?
不登校・引きこもりの状態からは大きく前進しています。
しかし、本人は自分の人生の目標や次の進路を、まだ決め切れていません。生活を安定させ、自分で進路を選び、学びや仕事を継続することが次の課題です。
10.同じような問題に悩む保護者へ、最も伝えたいことは何ですか?
家庭だけでは、どうにもできない場合があります。
特に暴力がある状態では、母親や家族だけで抱え込まないでください。本人の問題だけでなく、家族の安全、父母の役割、家庭内の境界線、生活環境を同時に整理する必要があります。
今まさに暴力が起きている、刃物がある、自傷・他害のおそれがあるなど、差し迫った危険がある場合は、安全確保を優先し、警察・救急・医療機関・児童相談所などへ連絡してください。
まとめ|家庭だけで抱え込まず、本人が動ける環境をつくる
R・K君のご家庭では、母親が一人で本人への対応を背負い、本人との距離が近くなりすぎていました。
支援では、父親に母親の安全を守る役割を担ってもらい、母親には先回りを減らしてもらいました。
本人には家庭訪問で事実と選択肢を伝え、国内での一人暮らしを試したうえで、海外生活とアルバイトへつなげました。
重要なのは、本人が動くまで無期限に待つことではありません。
また、親が力ずくで本人を変えることでもありません。
本人と家庭の現在地を整理し、親へのコーチングと本人への実動支援を組み合わせ、本人が実際に行動できる環境をつくることです。
昼夜逆転、ゲーム中心、外出減少、将来の話への拒否、暴言・家庭内暴力などが重なっている場合は、保護者だけで抱え込まず、現在地を整理してください。
親が諦めない限り、JADAも諦めません。
執筆:一般社団法人 未来自律支援機構(JADA) 中級JPC・大倉星耶
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