YouTubeとゲーム漬けの日々 引きこもりの高校生に必要な支援は?
「通信制高校に進学すれば、きっと変わると思っていました…」
最近、そんな声を多くの保護者から聞きます。
中学時代に不登校だったお子さんが、なんとか通信制高校に入学したものの、実際には週に一度通うのもやっと。日中はほとんど自室にこもり、YouTubeやオンラインゲームで一日が過ぎていく。声をかけても「今は行けない」「レポートだけは出すよ」としか返ってこない——。
「このまま卒業しても、何も変わらないのでは…?」
「本来は明るい子だったのに、もう戻ってこないの?」
そんな不安を抱えるご家庭が、今、日本中に増え続けています。
この記事では、40年以上・1万人以上の子どもたちの支援に携わってきた当協会の視点から、“引きこもり状態の高校生に本当に必要な支援”について、事例と具体的ステップをもとに解説します。
第1章|YouTubeとゲーム漬けの高校生活…これって「引きこもり」?
「ゲームをしているから元気そう」
「友達とボイスチャットしてるから問題ない」
本当にそうでしょうか?
通信制高校は、毎日通わなくても単位が取得できる柔軟な制度ですが、裏を返せば「家にずっといても卒業できてしまう」仕組みでもあります。
私たちが相談を受ける家庭では、以下のような生活リズムが定番です。
- 朝は10時〜11時に起床(親が声をかける)
- 日中〜深夜までYouTubeとゲーム
- 1時〜2時に就寝
- 食事は個別、親とはあまり食卓を囲まない
この状態が3ヶ月以上継続している場合、「引きこもりステージ3(中度)」以上に該当することが多いのです。
親が「放っておいても回復する」と願っても、本人はすでに「社会と距離を置く生活」に慣れてしまっている可能性があります。
第2章|親が気づきにくい「中度〜重度の引きこもり」ステージ
当協会では、子どもの状態を以下のように7つのステップで整理しています。
🟢【ステージ1】学校に行き渋りはじめた
🟡【ステージ2】不登校が継続する
🔵【ステージ3】生活リズムが乱れ始める(中度)
🟣【ステージ4】外出できなくなる(重度)
🟤【ステージ5】感情の起伏が少なくなる
🔴【ステージ6】将来への興味が希薄になる
🟠【ステージ7】自分はダメだと思い込む
ゲームや動画に依存している子は、一見すると「楽しそう」に見えます。ですが、話してみると「どうせ俺は…」「外に出る意味ない」といった諦めの言葉が出てくることも。
親が見えているのは“表面”だけ。
“内面”には、不安とあきらめが混在しているのです。
第3章|過去は「明るく外交的」だった子が、なぜ引きこもるようになったのか?
「うちの子、昔は友達も多くて明るかったんです」
そう話す保護者は少なくありません。
実際、私たちが支援してきた多くの子どもたちも、本来は外交的で、エネルギーに満ちていました。
ただ、ADHDや学習障害(LD)といった特性を持つ場合、「学校」という環境において苦しさを感じやすい傾向があります。
- 勉強が苦手→周囲との比較→自己肯定感の低下
- 忘れ物が多い、集中できない→先生に叱られる
- 環境の変化(中学受験や進級)についていけない
こうした積み重ねが「自信喪失」につながり、「どうせ頑張ってもダメだ」というあきらめに変わってしまうのです。
第4章|「卒業できればいい」では社会につながらない
通信制高校に通っているご家庭から、よくこんな言葉を聞きます。
「今は通えないけど、レポートだけ出して卒業はしたいそうです」
一見前向きに見えますが、注意すべきなのは、「卒業=ゴール」ではないということです。
- 卒業してもバイト経験がない
- 友人と外出する機会がない
- 起床・就寝時間が乱れている
- 人前で話すことに強い不安がある
こうした状態で18歳を迎えた場合、「何もできない自分」に気づき、さらに引きこもりが深まるケースも少なくありません。
第5章|今の状態を変えるには?7つの支援ステップ
当協会では、「卒業できればいい」ではなく、「社会につながる力を育む」ことを目的に、7つの支援ステップを提唱しています。
- ステージ判定
今の状態を客観的に把握する - 親のコーチング
子どもに寄り添いすぎず、適切な関わり方を学ぶ - 家庭訪問支援
ピアサポーター(元当事者)などが家庭に訪問し、信頼関係を築く - 生活改善合宿・学生寮
環境を変えることで、生活リズムを整え自立心を育む - 学び直し
自分のペースで学ぶことで“できる自分”を取り戻す - アルバイト・インターン
「社会に参加する」初めの一歩。失敗できる練習の場 - 社会貢献・自律支援
将来の目標や夢に向かい、自ら行動できるよう支援
第6章|似た状況から社会復帰した「成功事例」紹介
当協会で支援してきた子どもたちの中にも、「ゲーム漬けの日々」から立ち直った事例は数多くあります。
✅ Y子さん(10年間引きこもり→保育士→公務員)
中学2年から引きこもり。支援を通じて学び直し、アルバイト、保育士資格取得。現在は公務員として働く。
✅ カイト君(中1不登校→自衛隊)
不登校時代は、支援員にエアガンを向けてしまうほど荒れていた。寮生活とフリースクールを経て、高校卒業後に自衛隊へ。
✅ G君(中退→8ヶ月引きこもり→美大合格)
通信制高校を中退後、引きこもりに。フリースクールとインターン経験を経て、見事に美術大学に合格。
✅ W君(引きこもり→インターン→自衛隊)
通信制高校で引きこもり。当会のサポート校に通い始め、学生インターン→自衛隊へ進路変更。
これらの子どもたちに共通するのは、「家庭以外の人との関わり」があったこと。小さな成功体験が、自信の回復と自律につながったのです。
第7章|「今は穏やかだから様子を見よう」は危険かもしれません
子どもが暴れなくなった。親に逆らわなくなった。
その一方で、無気力・無関心になっている…
このような変化を「安定」と捉えるのは危険です。
特に、ゲーム・動画に没頭しているケースでは、「現実逃避」が習慣化し、社会と関わる意欲を完全に失ってしまうことがあります。
子ども自身が「悩まなくなった」と語るとき、それは「あきらめ」や「無感情」のサインかもしれません。
第8章|親ができる3つの具体的アクション
「今のままでいいの?」
そう感じたら、今日からできることがあります。
① 時間・空間の“メリハリ”をつける
生活空間に変化を。昼と夜の区別、家の中の役割分担。
② ゲーム以外の選択肢をさりげなく用意
eスポーツやイラスト、動画編集など「得意」に近い分野から。
③ 家庭外の人との関わりをつくる
家庭訪問支援や学生インターンとの接点が突破口になります。
第9章|支援は“早ければ早いほど”効果がある
「まだ本人が嫌がるから…」
「今は静かだから、様子を見よう…」
その“静けさ”の裏にある、子どもの“諦め”に気づいてください。
支援は、早いほど効果があります。
心がまだ柔らかいうちに、一歩踏み出す環境を用意することが、将来の自立につながるのです。
第10章|まとめ:「ゲームの世界」から「現実の社会」へ戻るために
ゲームやYouTubeの世界は、安全で、気楽で、逃げ場になる場所。
でも、そこだけに閉じこもっていては、現実の壁は高くなるばかりです。
親が変われば、子も変わります。
外の人とつながれば、また自信を取り戻せます。
今この瞬間が、“変化の第一歩”かもしれません。
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