
40年以上の指導歴と不登校・ひきこもりの
9割を立ち直らせた解決力
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40年以上の指導歴と不登校・ひきこもりの
9割を立ち直らせた解決力
一般社団法人未来自律支援機構(JADA)代表理事 杉浦孝宣
「うちの子、中学生なのに全然お風呂に入らないんです」
「髪もボサボサ、爪も伸びっぱなし。ゲームばかりで、このまま引きこもりになるのではないかと不安です」
こうしたご相談は、決して珍しくありません。
お風呂に入らない、歯を磨かない、髪や爪を放置する、部屋から出てこない。
これは単なる反抗期ではなく、JADA Stage OSでいうステージ3以上の引きこもり状態に進んでいるサインである場合があります。
今回は、中学1年生で不登校となり、7か月以上引きこもったカイト君が、家庭訪問、ピアサポート、生活改善、通信制高校を経て、自衛隊員として社会に出るまでの実話をお伝えします。
同じような再出発の実例は、こちらにもまとめています。
お子さんがお風呂に入らない、部屋から出てこない方へ
お風呂の問題だけを見るのではなく、生活リズム、親子関係、外出状況を含めてステージ判定することが大切です。
カイト君が学校へ行けなくなったのは、中学1年生のゴールデンウィーク明けでした。
きっかけは英語でした。
授業についていけなくなり、自信を失い、少しずつ学校から足が遠のいていきました。
最初は、ご両親も「少し休めば戻れる」と考えていました。
しかし、学校を休む日が増え、やがて部屋に閉じこもるようになりました。
昼夜逆転、ゲーム中心の生活、お風呂に入らない、歯も磨かない、髪や爪は伸び放題。
部屋からは異臭がする。
親子の会話は途絶え、3食は親が部屋の前にそっと置くような状態になっていきました。
カイト君の状態をJADA Stage OSで見ると、当初はステージ3、その後ステージ4に近い状態へ進んでいました。
ステージ3とは、単なる不登校ではありません。
学校へ行かないだけでなく、親との会話が減り、生活リズムが崩れ、外出が少なくなり、家庭内で孤立し始める段階です。
この段階になると、「学校へ行きなさい」と言うだけでは動きません。
むしろ、学校の話をするほど本人は反発し、さらに部屋へこもることがあります。
ここで必要なのは、登校刺激ではなく、生活の立て直しと信頼関係の再構築です。
この考え方は、支援哲学④でも詳しくお伝えしています。
カイト君のご家庭では、ご両親の考え方にも違いがありました。
お母様は、こう考えていました。
「せっかく入学した私立中学。辞めさせたくない。もう少し待てば元に戻るかもしれない」
一方、お父様はこう訴えていました。
「学校よりも、まずはこの引きこもり状態を何とかしてほしい。今のままでは生活すら成り立たない」
どちらも、お子さんを思う気持ちから出た言葉です。
しかし方向性が揃わないままでは、支援は進みません。
私、一般社団法人未来自律支援機構(JADA)代表理事・杉浦孝宣は、毎月の保護者面談でご両親のお気持ちを丁寧に聴き取りました。
そして少しずつ、
「まず生活を立て直すことが、将来の進路にもつながる」
という共通理解にたどり着いていただきました。
カイト君のご家庭では、親が部屋の扉をノックしようものなら、エアガンを向けるほど本人は追い詰められていました。
完全に家庭内で孤立した状態です。
私はご両親への面談と親コーチングを担当し、まず家庭内の方向性を整えることに集中しました。
一方、現場のアウトリーチ支援には、JPC(JADA公認自律支援ペアレンツコーチ)として500回以上の家庭訪問・アウトリーチ支援を経験してきた大倉が入りました。
大倉は、不登校・引きこもりだけでなく、家庭内暴力や強い拒否反応があるケースにも数多く対応してきたベテラン支援員です。
しかし、最初から順調だったわけではありません。
カイト君は一切の会話を拒否し、部屋から出てくる気配もありませんでした。
そこで大倉は、部屋の前で話しかけたり、置き手紙を残したりしながら、毎回少しずつメッセージを届け続けました。
返事はありません。
それでも支援は止めませんでした。
その後、ピアサポートとして投入したのが、当時高校生インターンだった「ウッチー」ことアツヤ君です。
アツヤ君自身も、かつて不登校・引きこもりを経験し、支援を受けながら社会復帰した若者でした。
現在は高級モード業界へ就職し、自立した社会人として活躍しています。
カイト君にとってアツヤ君は、ただの支援者ではありませんでした。
年齢の近いお兄さん。
同じように苦しい時期を乗り越えてきた先輩。
そして、
「自分も変われるかもしれない」
と思わせてくれる存在でした。
最初は返事もなく、顔も見せてくれませんでした。
それでも大倉とアツヤ君は諦めず、何度も家庭訪問を続けました。
ある日、私たちは事前に本人へ伝えたうえで、鍵屋さんを呼び、部屋の扉を開ける決断をしました。
「無理やり連れ出すためではない」
「君と話したいからだ」
そのメッセージを、スタッフから本人に伝え続けました。
ドアが開き、久しぶりにカイト君の顔を見たご両親は涙を流しました。
しかし、そこからが本当のスタートでした。
最初は部屋の入口まで。
次は部屋の中へ。
そして会話へ。
少しずつ言葉が増え、表情がやわらぎ、アツヤ君とのやりとりの中で笑顔も見られるようになりました。
カイト君が変わり始めたのは、説教されたからではありません。
親に無理やり動かされたからでもありません。
親コーチング。
アウトリーチ支援。
ピアサポート。
JADAの3つの支援が重なったことで、ようやく変化の扉が開いたのです。
親だけで抱え込んでいませんか?
ステージ3以上になると、親の声かけだけでは動かないことがあります。家庭訪問やピアサポートなど、本人とつながる第三者支援が必要になる場合があります。
カイト君の支援では、いきなり学校復帰を目指したわけではありません。
まず取り組んだのは、生活の立て直しでした。
お風呂、睡眠、食事、掃除、会話。
これらを一つずつ整えていきました。
最初は、シャワーという言葉にも拒否反応がありました。
そこでスタッフは、強制ではなく「できたら報告してね」というスタンスを取りました。
本人の関心に合わせて小さな約束を作り、できたら認める。
最初は週1回のシャワーから始まりました。
大切なのは、いきなり毎日入らせることではありません。
本人が「できた」と思える経験を積むことです。
当初、カイト君は午前3時頃に寝て、昼過ぎに起きる生活でした。
そこで、朝の声かけ、自然光、短い散歩を組み合わせていきました。
最初の1か月は無視されても続けました。
2か月目には、朝の散歩に誘える日が出てきました。
3か月目には、午前中に起きる日が増えていきました。
最初は夜中に冷蔵庫をあさり、1日1食のような状態でした。
そこで、決まった時間に温かい食事を用意することから始めました。
会話がなくても構いません。
同じ時間に食事がある。
それだけでも生活の軸になります。
やがてスタッフと一緒に食べる日が生まれ、少しずつ家族との食卓にも近づいていきました。
カイト君の部屋は、最初はゴミがたまり、異臭がする状態でした。
スタッフが「一緒にやろうか」と声をかけ、少しずつ掃除を始めました。
最初はスタッフが手伝う。
次に本人が少し動く。
そして5か月目には、カイト君自身が「部屋をきれいにしたい」と言うようになりました。
アツヤ君とのボードゲーム。
eスポーツでの交流。
YouTube動画を一緒に見ること。
好きな話題から会話を始めること。
こうした小さな関わりの中で、カイト君の心のスイッチが少しずつ入っていきました。
「できたね」
「また明日やってみよう」
この繰り返しが、自信の回復につながりました。
この考え方は、支援哲学③「動き始めた後は待つ」にもつながります。
7か月ほど支援を続けた頃、カイト君はフリースクールに通えるようになりました。
最初は週1日からです。
それでも、朝起きて、外へ出て、人と会う。
この一歩は非常に大きなものでした。
その後、ご両親との話し合いを重ね、通信制高校への進学を提案しました。
形式的な進学ではありません。
生活のリズムを継続し、学び直しができる場所として、通信制高校と生活環境を整えていったのです。
高校生になった頃、カイト君は保護者会でこう話しました。
「僕は、もう学校に戻ることは考えていませんでした」
「でも、社会には戻りたいと思っていました」
「どうやって戻ればいいかわからなかったけれど、方法を教えてもらえたのがありがたかったです」
この言葉には、カイト君の本音が表れています。
不登校や引きこもりの子どもは、必ずしも「何もしたくない」わけではありません。
本当は社会に戻りたい。
でも戻り方がわからない。
だからこそ、支援者が道筋を示す必要があるのです。
高校3年生になったある日、カイト君は「将来、公務員になりたい」と話し始めました。
私は、港区役所の知人である課長を紹介しました。
彼は最初、少し戸惑っていました。
「髪、セットしてないのに……どうしよう」
そんなことを気にしていました。
しかし、その後、真剣な表情でこう尋ねました。
「自分の引きこもり経験って、マイナスじゃないですか?」
「それを面接でどう話せば、強みに変えられますか?」
その時、課長さんはこう言ってくださいました。
「君がどれだけの壁を乗り越えたか。そこをちゃんと語れる人間こそ、公務員に向いているよ」
その言葉を聞いたカイト君の顔には、これまで見たことのない光が宿っていました。
その後、カイト君は通信制高校を卒業しました。
そして、自衛隊へ進みました。
かつて、お風呂に入らず、部屋から出ず、親とも話さなかった中1男子です。
しかし今では、社会の一員として働いています。
これは奇跡ではありません。
親コーチング、家庭訪問、ピアサポート、生活改善、学び直し、社会参加。
それらを一つずつ積み重ねた結果です。
10年引きこもりから公務員になったY子さんも、同じように小さな一歩から再出発しました。
カイト君の回復は、現在JADAが体系化している7つの自律支援ステップと重なります。
回復には順番があります。
そして、その順番を間違えないことが大切です。
お風呂に入らない状態を見て、親御さんは焦ります。
「汚い」
「だらしない」
「このままでどうするの」
そう言いたくなる気持ちはわかります。
しかし、本当に見るべきなのは、お風呂だけではありません。
生活リズム、親子の会話、外出状況、食事、部屋の状態、ゲームやスマホの時間。
これらを総合的に見る必要があります。
この状態が続いているなら、JADA Stage OSではステージ3以上の可能性があります。
その場合、親だけで抱え込まず、早めに相談してください。
お子さんの状態を一緒に整理しませんか?
「お風呂に入らない」は、生活リズムや親子関係の崩れを示すサインかもしれません。まずは現在のステージを整理しましょう。
カイト君のように、不登校・引きこもりから再出発した子どもたちは他にもいます。
詳しくは成功事例17選をご覧ください。
カイト君の事例は、JADAの支援哲学そのものです。
最初は何もないように見えても、1ミリの可能性があれば、そこから道は開けます。
そして、親だけで抱え込まず、必要な支援を入れることで、子どもは変わるきっかけをつかめます。
カイト君の問題は、お風呂に入らないことだけではありませんでした。
本当の問題は、生活リズムが崩れ、親子の会話が途絶え、社会との接点が失われていたことです。
しかし、そこからでも再出発はできました。
親だけで抱え込まず、ステージ判定を行い、必要な支援を入れる。
そして小さな成功体験を積み重ねる。
その先に、社会的自律があります。
カイト君は、そのことを教えてくれた大切な成功事例です。
一般社団法人未来自律支援機構(JADA)
代表理事 杉浦孝宣
40年以上にわたり不登校・高校中退・引きこもり支援に従事。1万人以上の相談実績をもとに、JADA Stage OSと7つの自律支援ステップを体系化し、全国のご家庭を支援している。









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