「1日1食カップラーメンだった高校生が航空自衛隊員になるまで|リョウタ君の再出発

一般社団法人未来自律支援機構(JADA)代表理事 杉浦孝宣

今、引きこもりの問題は全国で深刻化しています。

特に高校生年代の引きこもりは、学業の遅れだけでなく、将来への展望が見えなくなり、心身ともに大きな影響を及ぼします。

その中で、私たちが現場で何度も見てきたのが、「1日1食・カップラーメンだけの生活」です。

親が食事を用意しても本人は手をつけない。

夜中に部屋から出てきて、カップラーメンだけを食べる。

昼夜逆転し、学校の話になると黙り込む。

家ではほとんど話さず、自室に閉じこもり、携帯ゲームばかりしている。

リョウタ君も、まさにその状態でした。

昨年の夏休み明けから学校を休みがちになり、10月には完全に不登校。

家では一切話さず、毎日自室に閉じこもり、携帯ゲームばかりしていました。

親が作った食事を拒否し、カップラーメンだけで過ごす日々。

ご両親は学校に相談しましたが、状況は一向に改善しませんでした。

お母様は、何をすればよいのかわからず、私たち一般社団法人未来自律支援機構(JADA)に相談されました。

そこから家庭訪問、生活改善合宿、通信制高校への転校を経て、リョウタ君は2023年9月、航空自衛隊へ入隊しました。

今回は、JADA成功事例ライブラリー No.003として、リョウタ君の再出発をお伝えします。

お子さんが食事を拒否し、カップラーメンばかりになっていませんか?

食生活の乱れは、引きこもり状態の深刻化を示すサインの一つです。まずは生活リズム、親子関係、外出状況を含めて現在のステージを整理しましょう。

▶ LINE無料相談はこちら

目次

リョウタ君の状態|JADA Stage OSではステージ3

JADA Stage OSでは、不登校・引きこもりの状態を段階的に見極めます。

リョウタ君は、相談時点でステージ3に該当する状態でした。

ステージ3とは、学校に行けないだけでなく、家庭内での会話、生活リズム、食事、外出などが崩れ始めている段階です。

リョウタ君には、次のような状態がありました。

  • 夏休み明けから学校を休みがちになった
  • 10月には完全に不登校になった
  • 親とほとんど話さなかった
  • 自室に閉じこもっていた
  • 携帯ゲームばかりしていた
  • 親の作った食事を拒否した
  • 1日1食、カップラーメンだけで過ごしていた
  • 学校に相談しても状況が改善しなかった

この段階になると、単に「学校へ戻そう」とするだけでは解決しません。

まず必要なのは、生活の土台を立て直すことです。

この考え方は、支援哲学②でもお伝えしています。

支援哲学②|本当の失敗は何もやらない事だ

学校に相談しても状況が動かなかった理由

リョウタ君のご両親は、最初に学校へ相談しました。

これは当然のことです。

しかし、状況は一向に改善しませんでした。

学校は教育の専門家です。

学校に来ている子どもに対しては、学習や進路の支援ができます。

しかし、本人が自室に閉じこもり、親とも話さず、食生活まで崩れている場合、学校だけで対応するのは難しくなります。

ステージ3以上では、不登校支援だけではなく、引きこもり支援の視点が必要です。

親だけで抱え込まず、第三者が家庭に入り、本人との接点を作ることが大切になります。

この点については、支援哲学④でも詳しくまとめています。

▶ 支援哲学④|親だけで抱え込まない

家庭訪問から支援が始まった

お母様から相談を受けた後、私たちはリョウタ君の状態を整理し、家庭訪問を開始しました。

最初から本人が素直に話してくれたわけではありません。

親が声をかけても反応がない。

支援者が来ても部屋から出てこない。

学校の話をすると表情が曇る。

こうした状態では、焦って説得しても逆効果です。

まず必要なのは、本人が「この人たちは責めに来たのではない」と感じることです。

JADAのアウトリーチ支援では、本人の興味や生活状況を見ながら、少しずつ接点を作っていきます。

リョウタ君の場合も、最初の目的は登校ではありませんでした。

まず生活を整えること。

食事を整えること。

人と話すきっかけを作ること。

そこから支援は始まりました。

1日1食カップラーメン生活の危機

リョウタ君の生活で特に深刻だったのは、食事でした。

親が用意した食事には手をつけず、カップラーメンだけで過ごす。

本人は「腹が減っていない」「あとで食べる」と言う。

しかし実際には、栄養が著しく偏り、倦怠感が強く、何もしたくない状態が慢性化していました。

食生活の乱れは、単に体力を奪うだけではありません。

気力、集中力、感情の安定にも影響します。

朝起きられない。

昼間に動けない。

夜中だけ目が冴える。

またカップラーメンを食べる。

この悪循環が続くと、本人はますます社会から離れていきます。

だから私たちは、リョウタ君に「生活改善合宿」を提案しました。

日の出太陽の家 生活改善合宿とは

生活改善合宿の目的は、ただ泊まり込みで生活することではありません。

最大の目的は、規則正しい生活リズム、健康的な食生活、他者との協力経験を取り戻すことです。

朝は6時半に起床。

ラジオ体操。

みんなで朝食。

午前中は畑作業や地域活動。

昼食後も身体を動かし、人の役に立つ体験を積みます。

夕食後には振り返りを行い、21時には就寝。

スマホから離れ、生活のリズムを取り戻していきます。

最初は「無理」「やりたくない」と言っていた子も、2日目、3日目になると少しずつ変わります。

「今日のごはんは何?」

「おかわりしていい?」

「明日は何をするの?」

こうした小さな言葉が出始めるのです。

食生活の変化が心と体を動かした

「健全な精神は、健全な肉体に宿る」

これは私たちが支援の現場で何度も実感してきたことです。

リョウタ君は、合宿前は1日1食カップラーメンのような生活でした。

しかし合宿で、温かく栄養バランスの整った食事を取るようになりました。

初日は戸惑いながら食べる。

2日目にはおかわりする。

3日目には「今日のごはんは何?」と聞く。

食べることが、作業ではなく楽しみになっていきました。

朝ごはんを食べることで午前中に体が動く。

昼食後には満足感が出る。

夕食後には「今日はがんばった」と感じられる。

食事が整うことで、生活全体が少しずつ整っていったのです。

「7つの習慣」とミッションステートメント

合宿中、リョウタ君は「7つの習慣」とミッションステートメントの作成にも取り組みました。

これは、単なる目標設定ではありません。

「どんな人間になりたいのか」

「何を大切にしたいのか」

「これからどう生きたいのか」

自分自身の価値観に向き合う時間です。

リョウタ君は、次のように書いていました。

一日三食を継続する。合宿での生活をこれからも意識して、生活を整える。自分の目標を叶えるために、まずは体を整える。

ここには、やらされ感ではなく、自分で選んだ意思がありました。

引きこもりからの回復では、この「自分で選ぶ」という感覚が非常に重要です。

合宿後に見えた変化

合宿を終えたリョウタ君は、少しずつ変化を見せ始めました。

以前は部屋からほとんど出ませんでした。

しかし合宿後は、近所を散歩するようになりました。

家庭内でも、

「手伝うことある?」

と声をかける日が出てきました。

食事も1日3食を意識するようになり、体調が安定すると表情も明るくなりました。

これは、一気に人生が変わったという話ではありません。

小さな生活習慣の積み重ねが、本人の自信を回復させていったのです。

通信制高校への転校

家庭訪問と生活改善合宿を経て、リョウタ君は私たちの通信制高校へ転校しました。

元の学校へ無理に戻すことだけが解決ではありません。

本人が動ける環境を整えること。

学び直しができる場所を用意すること。

生活リズムを崩さずに通える仕組みを作ること。

これが大切です。

通信制高校への転校は、逃げではありません。

再出発のための戦略です。

航空自衛隊への入隊

リョウタ君はその後、航空自衛隊への道を選びました。

体を動かすこと。

規則正しい生活をすること。

人の役に立つこと。

合宿で経験したことが、将来の進路選択につながっていきました。

2023年9月、リョウタ君は航空自衛隊へ入隊しました。

かつて1日1食カップラーメンで、自室に閉じこもり、親とも話さなかった高校生です。

しかし今では、社会の一員として自分の道を歩んでいます。

リョウタ君に実施した7つの自律支援ステップ

リョウタ君の回復は、JADAの7つの自律支援ステップと重なります。

  • STEP1|ステージ判定:ステージ3の引きこもり状態を確認
  • STEP2|親コーチング:家庭内の関わり方を整理
  • STEP3|家庭訪問支援:本人との接点を作る
  • STEP4|生活改善合宿:睡眠、食事、生活リズムを整える
  • STEP5|学び直し:通信制高校へ転校
  • STEP6|社会参加:合宿や地域活動を通じて人との関わりを回復
  • STEP7|社会的自律:航空自衛隊へ入隊

この流れは、他の成功事例にも共通しています。

例えば、カイト君は7か月引きこもった後、家庭訪問とピアサポートを経て自衛隊へ進みました。

▶ カイト君の成功事例はこちら

Y子さんは10年引きこもった後、学び直しと社会参加を経て公務員になりました。

▶ Y子さんの成功事例はこちら

アツヤ君は不登校・引きこもりを経て、高級モード業界へ就職しました。

▶ アツヤ君の成功事例はこちら

保護者にできることと、やってはいけない対応

引きこもり状態の高校生に対して、保護者がどう関わればよいのか。

これは非常に難しい問題です。

まず大切なのは、環境を整えることです。

怒鳴らない。

詰めない。

比較しない。

焦らせない。

そして、本人の小さな変化に気づくことです。

「今日は少し顔色がよかったね」

「昨日より声が明るく聞こえたよ」

こうした言葉が、本人の自己効力感を育てます。

一方で、やってはいけないのは比較と評価です。

「友達は学校へ行っているのに」

「このままだと将来どうするの」

こうした言葉は、本人の自信を奪い、親子関係をさらに悪化させることがあります。

大切なのは、見守りすぎず、手放しすぎず、必要なタイミングで専門家とつながることです。

1日1食、カップラーメン生活が続いている方へ

食生活の乱れは、生活リズムと心の状態の崩れを示すサインです。お子さんの状態がステージ3以上かもしれないと感じたら、早めにご相談ください。

▶ LINE無料相談はこちら

リョウタ君だけではありません

JADAでは、リョウタ君のように不登校・引きこもりから再出発した事例を多数支援してきました。

詳しくは、成功事例17選をご覧ください。

▶ 成功事例17選はこちら

まとめ|食生活の崩れは、再出発の入口にもなる

リョウタ君の問題は、カップラーメンだけではありませんでした。

本当の問題は、生活リズムが崩れ、親子の会話が減り、社会との接点が失われていたことです。

しかし、そこからでも再出発はできました。

家庭訪問。

生活改善合宿。

通信制高校。

航空自衛隊。

リョウタ君は、一つずつ階段を上がっていきました。

お子さんが今、1日1食のような生活をしていても、人生が終わったわけではありません。

必要なのは、現在地を知ること。

そして、次の一歩を一緒に考えることです。

一般社団法人未来自律支援機構(JADA)は、親御さんとお子さんの再出発を支援します。


一般社団法人未来自律支援機構(JADA)
代表理事 杉浦孝宣

40年以上にわたり不登校・高校中退・引きこもり支援に従事。1万人以上の相談実績をもとに、JADA Stage OSと7つの自律支援ステップを体系化し、全国のご家庭を支援している。

author avatar
杉浦 孝宣
杉浦孝宣(すぎうら・たかのぶ)は、一般社団法人未来自律支援機構(JADA)代表理事、認定NPO法人高卒支援会創業者。自身も小学3年生で不登校を経験し、その体験を原点に40年以上にわたり不登校・高校中退・引きこもり支援に携わってきた。 これまで1万人以上の相談に対応し、家庭訪問、生活改善合宿、学生寮、学び直し支援、就労支援などを通じて、多くの若者の社会的自律を支援している。 「子どもは必ず変われる」を信念に、学校復帰だけをゴールとせず、一人ひとりが自ら考え、行動し、社会に参加していく「社会的自律(Autonomy)」を目指した支援を実践している。 著書に『不登校・ひきこもりの9割は治せる』『高校中退 不登校でも引きこもりでもやり直せる』『もう悩まない!不登校・ひきこもりの9割は解決できる』など。近年は一般社団法人未来自律支援機構(JADA)を通じて、JADA Stage OSと7つの自律支援ステップを体系化し、国内外へ発信している。 台湾版著書も出版され、教育・福祉・行政・企業・国際社会との連携を通じて、若者の社会的自律支援モデルの普及に取り組んでいる。
  • URLをコピーしました!
LINE無料相談 30分無料相談
目次