支援哲学⑤|子どもは人との出会いで変わる
一般社団法人未来自律支援機構(JADA)代表理事 杉浦孝宣
私は40年以上、不登校・引きこもりの子どもたちと向き合ってきました。
その中で確信していることがあります。
子どもは、説教で変わるのではありません。
子どもは、人との出会いで変わります。
保護者面談で、よくこう聞かれます。
「何を言えば、子どもは動きますか?」
「どう説得すれば、学校へ行きますか?」
しかし、ステージ3以上の引きこもり状態になると、親の言葉は届きにくくなります。
親が悪いのではありません。
むしろ、親が本気で心配しているからこそ、その言葉が本人にはプレッシャーとして届いてしまうことがあるのです。
だからこそ、JADAでは家庭訪問、アウトリーチ支援、ピアサポート、生活改善合宿、学生寮を重視しています。
なぜなら、孤立した子どもが再び社会とつながるためには、まず「人」とつながる必要があるからです。
お子さんが親以外とつながれていない方へ
親の言葉が届かない時期でも、第三者との出会いから変化が始まることがあります。まずは現在のステージを一緒に整理しましょう。
まず、支援哲学①〜③を振り返ります
この支援哲学シリーズは、私、杉浦孝宣が40年以上・1万人以上の支援実践から学んだ考え方を整理したものです。
支援哲学①|最初は何もないものです
なぜ私は未来を先に見るのか。
今、部屋から出られない子でも、将来は公務員になるかもしれません。
今、昼夜逆転でゲームばかりしている子でも、将来は航空自衛隊員になるかもしれません。
私は、現在の姿だけで子どもを判断しません。
支援の出発点は、今見えている問題ではなく、未来の可能性を見ることです。
支援哲学②|本当の失敗は何もやらない事だ
なぜ私は「見守るだけ」を勧めないのか。
もちろん、休息が必要な時期はあります。
しかし、ステージ3以上の引きこもり状態で何年も「様子を見る」だけでは、状況が固定化することがあります。
本当の失敗は、失敗することではありません。
何もやらないまま、時間だけが過ぎていくことです。
支援哲学③|動き始めた後は待つ
なぜ私は「急がせない」のか。
一度外へ出たからといって、すぐに毎日通学できるわけではありません。
一度支援者と話したからといって、すぐに就職や進学の話をしてよいわけでもありません。
動き出す前には支援が必要です。
しかし、動き始めた後は急がせない。
このバランスが支援では非常に大切です。
親の言葉が届かなくなる時がある
親ほど子どもを愛している人はいません。
親ほど子どもの将来を心配している人もいません。
だからこそ、親は言います。
「学校はどうするの?」
「将来どうするの?」
「このままでいいの?」
しかし、不登校や引きこもりが長期化すると、その言葉が本人には責められているように聞こえることがあります。
話しかけられるだけでイライラする。
親の顔を見るだけで緊張する。
部屋のドアを閉める。
会話を避ける。
これは、ステージ3以上でよく見られる状態です。
だからこそ、JADA Stage OSでは第三者との接点を重視しています。
この考え方は、支援哲学④でも詳しく整理しました。
カイト君を変えたのは、アツヤ君(ウッチー)との出会いだった
カイト君は中学1年で不登校になりました。
昼夜逆転。
ゲーム漬け。
お風呂にも入らない。
部屋に閉じこもる。
家族が近づくとエアガンを向ける。
ご両親の言葉は届きませんでした。
私たち支援者の言葉も、最初から届いたわけではありません。
しかし変化のきっかけになったのは、当時学生インターンとして活動していたアツヤ君(通称ウッチー)でした。
アツヤ君自身も不登校を経験し、その後、高卒支援会の学生インターンとして後輩たちの支援に携わるようになりました。
年齢の近いお兄さん。
説教しない。
評価しない。
ただ一緒にゲームの話をする。
そんな関係から始まりました。
やがてカイト君は部屋から出るようになり、フリースクールへ通い、通信制高校へ進学し、社会復帰への道を歩み始めました。
カイト君を変えたのは、理論ではありません。
アツヤ君との出会いでした。
リョウタ君を変えたのは、家庭訪問と生活改善合宿だった
リョウタ君は高校1年で不登校になりました。
親と話さない。
1日1食カップラーメン。
ゲームばかり。
自室に閉じこもる。
学校へ相談しても変わりませんでした。
しかし、家庭訪問が始まると、少しずつ人との接点ができました。
支援者と話す。
一緒に食事を考える。
生活改善合宿へ参加する。
通信制高校へ転校する。
そして航空自衛隊へ進みました。
リョウタ君も、突然変わったわけではありません。
人との出会い、環境との出会い、生活リズムとの出会いが、少しずつ本人を動かしていったのです。
Y子さんを変えたのも、社会との出会いだった
Y子さんは10年間引きこもりました。
24歳になるまで社会との接点を失っていました。
しかし、学び直しを始め、支援者と出会い、通信制高校で人と出会い、アルバイト先で社会と出会いました。
そして保育士資格を取得し、公務員になりました。
人生を変えたのは、「頑張れ」という言葉ではありません。
人とのつながりでした。
JADAが家庭訪問を重視する理由
JADA Stage OSでは、ステージ3以上になると第三者との接点を重視します。
なぜなら、引きこもりは孤立だからです。
孤立は、孤立のままでは解決しません。
社会復帰とは、再び人とつながることです。
だから私たちは、家庭訪問を行います。
アウトリーチ支援を行います。
ピアサポートを行います。
生活改善合宿を行います。
学生寮での生活支援を行います。
すべての共通点は、人との出会いです。
親の言葉が届かないと感じている方へ
それは親御さんの愛情不足ではありません。ステージ3以上では、親以外の第三者との出会いが変化のきっかけになることがあります。
成功事例22選もご覧ください
JADAでは、Y子さん、カイト君、リョウタ君、アツヤ君のほかにも、多くの再出発の事例があります。
中学不登校から自衛隊へ進んだ子。
10年引きこもりから公務員になった子。
高校中退から美大へ進んだ子。
通信制高校を経てプライム上場企業へ就職した子。
一人ひとりに共通しているのは、どこかで人との出会いがあったことです。
まとめ|人は人によって変わる
不登校や引きこもりを変えるのは、説教ではありません。
強制でもありません。
人との出会いです。
カイト君を変えたのは、アツヤ君(ウッチー)との出会いでした。
リョウタ君を変えたのは、家庭訪問スタッフや生活改善合宿での出会いでした。
Y子さんを変えたのは、学び直しと社会との出会いでした。
そしてアツヤ君自身もまた、多くの支援者との出会いによって人生を切り開きました。
人は人によって変わる。
これが、一般社団法人未来自律支援機構(JADA)が家庭訪問やピアサポートを重視する理由です。
子どもは、まだ変われます。
その一歩は、たった一人との出会いから始まることがあります。
一般社団法人未来自律支援機構(JADA)
代表理事 杉浦孝宣
40年以上にわたり不登校・高校中退・引きこもり支援に従事。1万人以上の相談実績をもとに、JADA Stage OSと7つの自律支援ステップを体系化し、全国のご家庭を支援している。
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