息子が笑わなくなった日から|高校生引きこもりK君を自律へ導いた母と支援者の歩み
一般社団法人未来自律支援機構(JADA)代表理事 杉浦孝宣
「まさか、うちの子が——」
高校に進学して半年。
中学までは明るく、友達と外出し、家でもよく笑っていた息子の笑顔が消えました。
ある日を境に自室にこもり、会話は途絶え、目が合うことすらなくなったのです。
お母様は、その変化にただ戸惑っていました。
「そのうち自分で乗り越えるはず」
そう思い、しばらく様子を見ていました。
しかし、状況は改善するどころか、暴言、ドア封鎖、物の破壊、スマホ依存、自室への閉じこもりへと進んでいきました。
今回ご紹介するのは、JADA成功事例ライブラリー No.004、K君の再出発の物語です。
K君は一時、完全な引きこもり状態に近い状況になりました。
しかし、JADAの親コーチング、家庭訪問支援、通信制高校、学生寮、留学、アルバイト経験を経て、現在は自分の足で未来へ歩み出しています。
この記事では、K君がなぜ笑顔を失ったのか、母親は何に苦しんだのか、そして支援によってどのように自律へ向かっていったのかをお伝えします。
お子さんが笑わなくなった、話さなくなった、部屋にこもるようになった方へ
それは単なる反抗期ではなく、ステージ3以上の引きこもり状態へ進んでいるサインかもしれません。まずは一人で抱え込まず、現在の状態を一緒に整理しましょう。
母親インタビュー|息子が笑わなくなった日から、支援で解決するまで
まずご覧いただきたいのは、K君のお母様のインタビューです。
当時のお母様は、息子が笑わなくなったこと、暴言が増えたこと、ドアを塞ぐようになったこと、どう関わればよいかわからないことに深く悩まれていました。
しかし、親だけで抱え込まず、JADAの支援につながったことで、家庭の関わり方が変わり、K君本人にも少しずつ変化が生まれていきました。
K君に何が起きていたのか
高校生の引きこもりの原因は、ひとつではありません。
「学校が合わなかった」
「成績が下がった」
「友人関係がうまくいかなかった」
表面的にはそう見えても、背景には自信の喪失、自己肯定感の低下、居場所のなさ、期待に応えられない苦しさが積み重なっています。
K君の場合も、いくつもの要因が重なっていました。
成績へのプレッシャー
K君は小学生の頃から塾に通い、早い時期から競争の中にいました。
中学では上位に入ることもありましたが、「1番になれない自分」に納得できず、悔し涙を流すこともありました。
常に比較される環境は、知らないうちに彼の心をすり減らしていきました。
燃え尽きと学習意欲の低下
中学2年の頃から、急に勉強への意欲が落ちていきました。
努力しても報われない。
期待される自分と、現実の自分が違う。
そのギャップが、K君の心を少しずつ閉ざしていったのです。
高校生活での孤立
高校入学後、友人関係がうまく築けず、担任からも「壁を作っている」と言われるようになりました。
中学までは自然にできていた人間関係が、高校ではうまくいかない。
その孤立感が、K君の居場所を奪っていきました。
部活動でのストレス
気分転換のつもりで始めた部活動も、K君にとっては大きなストレスになりました。
途中入部で周囲に気を遣い、思うように活動できない。
「またうまくいかない」
そう感じたとき、心の限界が近づいていました。
JADA Stage OSで見るとステージ3〜4
K君の状態をJADA Stage OSで見ると、ステージ3からステージ4に近い状態でした。
- 高校入学後、笑顔が消えた
- 親との会話が途絶えた
- 目を合わせなくなった
- 暴言が増えた
- 物を壊すようになった
- 自室のドアを塞ぐようになった
- スマホ依存が強まった
- 髪や爪が伸び放題になった
- お風呂を暗くして入るようになった
- 家族との接触を強く避けるようになった
ここまで進むと、単なる不登校対応では難しくなります。
「学校へ行きなさい」
「頑張りなさい」
「このままでどうするの」
そうした正論は、本人には届きません。
むしろ、さらに心を閉ざすことがあります。
なぜ親の正論が逆効果になるのか
親としては、当然心配です。
学校へ行ってほしい。
将来困らないでほしい。
このままではいけないと伝えたい。
しかし、自己肯定感が下がっている子にとって、正論は励ましではなく、責められている言葉に聞こえることがあります。
「やっぱりわかってもらえない」
「また頑張れと言われた」
「できる自分しか認めてもらえない」
そう感じてしまうのです。
だから、JADAの支援では、まず親の関わり方を整えます。
これは親を責めるためではありません。
親御さんが一番苦しんでいるからこそ、まず親が孤立しないことが重要なのです。
この考え方は、支援哲学④で詳しくお伝えしています。
支援の第一歩は、母親の相談だった
K君のお母様は、当初こうおっしゃっていました。
「もう、どうしたらいいかわかりません」
「私のことを“出て行け”と言う息子が怖いです」
「でも、見捨てたくないんです。助けてください」
この言葉が、支援の出発点でした。
JADAでは、まず保護者面談と親コーチングを行い、家庭内での声かけ、距離感、刺激の減らし方、本人への関わり方を整えていきました。
そして必要に応じて、家庭訪問支援を行います。
親子だけでは固定化してしまった関係も、第三者が入ることで少しずつ動き出すことがあります。
この考え方は、支援哲学⑤にもつながります。
K君本人インタビュー|通信制高校・寮生活・留学・アルバイト、そして将来へ
次にご覧いただきたいのは、K君本人の動画です。
引きこもり状態だった当時の心境、通信制高校への転校、学生寮での生活、カナダやフィリピン・セブ島への留学、アルバイト、そしてこれからの将来について、本人の言葉で語られています。
母親の視点だけではなく、本人の声があることで、この事例は単なる支援記録ではなく、「親子が再び未来へ向かい始めた実話」として伝わります。
通信制高校、学生寮、留学へ
K君は支援を受ける中で、少しずつ外の世界との接点を取り戻していきました。
完全な引きこもり状態から、通信制高校への転校。
そして学生寮での生活。
生活リズムを整えながら、学び直しと人との関わりを取り戻していきました。
さらに、カナダやフィリピン・セブ島での留学も経験しました。
かつて自室のドアを塞ぎ、家族を拒絶していたK君が、海外へ出て、自分の世界を広げていったのです。
現在は大手飲食店でアルバイトにも取り組んでいます。
この変化は、決して一夜で起きたものではありません。
親コーチング。
家庭訪問。
通信制高校。
学生寮。
留学。
アルバイト。
一つひとつのステップが、K君の自律につながっていきました。
K君に実施した7つの自律支援ステップ
K君の回復は、JADAの7つの自律支援ステップと重なります。
- STEP1|ステージ判定:ステージ3〜4の引きこもり状態を確認
- STEP2|親コーチング:母親の孤立を防ぎ、家庭内対応を整理
- STEP3|家庭訪問支援:本人との接点をつくる
- STEP4|生活環境の再構築:学生寮で生活リズムを整える
- STEP5|学び直し:通信制高校へ転校
- STEP6|社会参加:留学、アルバイトに挑戦
- STEP7|社会的自律:自分の未来を自分で考え、行動する
ここで大切なのは、最初から進学や就職を急がせなかったことです。
動き出す前には支援が必要です。
しかし、動き始めた後は急がせない。
この考え方は、支援哲学③でもお伝えしています。
支援哲学とK君の回復
K君の事例は、JADAの支援哲学そのものです。
支援哲学①|最初は何もないものです
最初は笑顔も会話もなく、未来が見えないように感じます。
しかし、私は現在の姿だけで子どもを判断しません。
未来を先に見ます。
支援哲学②|本当の失敗は何もやらない事だ
見守りだけで長期化するケースがあります。
K君のお母様が相談という一歩を踏み出したことが、回復の始まりでした。
支援哲学④|親だけで抱え込まない
親の愛情だけでは届かない段階があります。
だからこそ、親コーチングと第三者支援が必要になります。
支援哲学⑤|子どもは人との出会いで変わる
家庭訪問、寮生活、留学、アルバイト。
K君は人との出会いの中で、少しずつ自分を取り戻していきました。
他の成功事例もご覧ください
K君だけではありません。
JADAでは、多くの子どもたちが不登校・引きこもりから再出発しています。
- Y子さん:10年引きこもりから公務員へ
- カイト君:中1不登校、7か月引きこもりから自衛隊へ
- リョウタ君:1日1食カップラーメン生活から航空自衛隊へ
- アツヤ君(ウッチー):不登校・引きこもりから高級モード業界へ
それぞれの道は違います。
しかし共通しているのは、親が一人で抱え込まず、適切な支援につながったことです。
「うちの子にも当てはまるかも」と思われた方へ
暴言、ドア封鎖、笑顔の消失、親との会話断絶。これらは支援が必要なサインかもしれません。今の状態を一緒に整理し、次の一歩を考えましょう。
まとめ|息子が笑わなくなった日は、終わりではなかった
息子が笑わなくなった日。
それは、お母様にとって不安と後悔の始まりだったかもしれません。
しかし、そこから支援につながったことで、K君の人生は少しずつ動き始めました。
通信制高校。
学生寮。
留学。
アルバイト。
そして、自分の経験を語るまでの成長。
最初は何もないように見えても、未来はあります。
本当の失敗は、何もやらないことです。
親だけで抱え込まないでください。
子どもは、人との出会いで変わります。
K君の物語は、そのことを教えてくれる大切な成功事例です。
一般社団法人未来自律支援機構(JADA)
代表理事 杉浦孝宣
40年以上にわたり不登校・高校中退・引きこもり支援に従事。1万人以上の相談実績をもとに、JADA Stage OSと7つの自律支援ステップを体系化し、全国のご家庭を支援している。
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